関東大学対抗戦 9月13日 対日体大 北海道・札幌月寒ラグビー場
ついにチーム野中の関東大学対抗戦(対抗戦)が幕を開ける。これまでの鍛錬の成果を示す時がやってきた。初戦の舞台は北海道・月寒屋外競技場ラグビー場。新章の幕開けを告げる笛が、北の大地で鳴り響いた。試合開始直後から早大は持ち前のアタッキングラグビーを展開。自陣深くからも積極的にボールをつなぐ。接点での勝負でも有利に立ち、試合の主導権を握った。早大は開始2分に早くも得点を奪うと、続けざまに得点を重ねる。一時は自陣深くまで攻め込まれ、失点の危機に陥るが、昨季から磨きあげてきたディフェンスで粘り強く守りきり、インゴールを割らせない。38ー0と早大ペースで前半を折り返した。続く後半は雨脚がさらに強まったことでマイボールを継続できず、得点が伸びない時間帯が続く。日体大に自陣深くまで攻め込まれると、早大はペナルティーを繰り返してしまい、とうとう後半最初にゴールを明け渡してしまった。点差を広げたい早大だったが、強風と雨という悪天候によりミスを連発。それでもフィジカルで勝る早大がエリアを支配し、常に敵陣へ。3つのトライを奪い、59ー7でノーサイド。対抗戦初戦を白星で飾った。

ライン際を駆けあがるFB植木
SO野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)のキックオフで対抗戦の火蓋が切って落とされた。試合開始直後から早大は攻撃のギアをあげる。早くも前半2分、自陣深くからFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦)がキックカウンターからしかけると、巧みに相手ディフェンスを引き寄せ、ライン際にスペースを作る。WTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)が持ち前のボディーコントロールから起点を作ると、そこからオープンサイドに大きく展開。最後は植木が自慢の快速を飛ばし、日体大の防御網を次々と切り裂き、チームとして記念すべき対抗戦ファーストトライをあげた。続く前半5分には、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)が鋭くスペースを突き、CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)にボールをつなぐ。最後にボールを受け取ったNO・8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がパスダミーから相手ディフェンスを翻弄し、そのまま力強くインゴールに飛び込んだ。野中のコンバージョンも決まり、12ー0とする。前半8分には、ライン際でボールをもらった田中健がディフェンスの背後にボールを転がしてエリアを獲得する。すると本試合、接点での戦いで前に出続け、輝いていた対抗戦初出場のLO小林光晴(文2=福岡)が力強いヒットから起点を作る。BKに展開すると黒川のパスを受け取った福島がゴールラインを駆け抜けた。前半28分、敵陣深くでラインアウトモールを形成すると、SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)からFWの裏に位置した黒川、そして野中にボールが渡り、数的有利を作り出す。WTB池本晴人(社3=東京・早実)がそのままインゴールに滑り込んだ。このトライが象徴するように本試合では早大は多層的なアタックを披露。そこで輝いたのが黒川だ。アタックでは何度もボールを触りスペースを作り出すと、的確なスペースにボールを配給し、早大のアタックラインを巧みにコントロールした。続く前半25分、植木が快速で相手に触れさせない。早大は短長なパスを織り交ぜ日体大ディフェンスを攻略し、敵陣ゴール前まで攻め込む。PR新井瑛大(教3=大阪桐蔭)やLO栗田文介(スポ4=愛知・千種)が起点を作り、素早いテンポで糸瀬がボールを捌くと、池本がグラウンディングした。本試合、存在感を放ったのが池本。今試合を通してボールタッチ数が非常に多く、早大のアタックに変化を加えるなどWTBとしての枠にとらわれない池本が持ち味を存分に発揮した試合となった。ゴールを野中が冷静に沈め33ー0とリードを広げる。前半31分には相手ボールスクラムを押し込んでターンオーバーに成功。池本から福島にロングパス。田中健が相手を吹き飛ばして内側に切り込み起点を作る。フェーズを重ねて数的有利を作り出すと池本から植木にボールが渡り、トライラインに飛び込んだ。前半終了間際には日体大に攻め込まれるピンチに陥ったが、昨年から磨き上げてきたディフェンスが功を奏し、インゴールを明け渡さない。最後は糸瀬がボールを蹴り出し、前半は38ー0で終了。日体大を大きく引き離してセカンドハーフに臨む。

パスを放るCTB黒川
後半に入り、さらに得点を重ねたい早大だったが、雨脚が強まりアタックのテンポが乱される。開始早々の5分、立て続けに反則を犯してしまい、日体大に自陣深くまで攻め込まれる。FWにフェーズを重ねられ、ついにインゴールをこじ開けられた。主導権を取り戻したい早大だったが、雨の影響でハンドリングエラーが続き、思うように試合を運べない。それでも後半27分、黒川が巧みにインゴールへボールを転がすと、反応したFB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が押さえ込み、待望の後半初得点を挙げる。さらに34分には野中のキックをまたも矢崎がインゴールに抑え、、終了間際には途中出場のSO田中大斗(教2=東京・早実)のキックに福島が反応して追加点。終盤に畳み掛け、59ー7でノーサイド。対抗戦初戦を白星で飾った。

タックラーを外しながらゲインするWTB池本
「試合の入りにこだわり、この試合に向けて今年6月から準備してきた」。大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)が振り返ったように、前半の入りでは抜群の集中力と準備の成果を示した。一方で、後半の入りや試合中の修正力には課題を残したことも確かだ。それでも、チーム野中の対抗戦は始まったばかり。試合を重ねるごとに強さを増していくのが早大の真骨頂だ。個性豊かな4年生たちを中心に『荒ぶる』を目指す今年の早大も目が離せない。
(記事:大林祐太 写真:村上結太、安藤香穂)
コメント
◆FL田中勇成(教4=東京・早実)
ーー今日のチームのテーマを教えてください
今日のテーマは『早稲田スタンダード』で、どれだけ自分たちにフォーカスできるかということを挙げていました。
一一初戦を白星で飾りましたが、チームとしての手応えはいかがですか
本当に多くの課題が残ったと思います。日体大さんの圧力を受けてしまったところが多い印象です。
ーーこれからの修正点は何を挙げられますか
ブレイクダウンのところで、クリーンにボールを出さないと早稲田のアタックはできないので、そこの部分で劣勢に回ったことが課題だと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
ここから対抗戦が続いていく中で毎試合どれだけ成長していくかだと思うので、全勝に向けて頑張っていきたいと思います。
◆LO小林光晴(文2=福岡)
ーー個人として今日の試合で意識したことは何ですか
僕はいつもの試合では結構考え込んでプレーが迷いがちになってしまうことがあるので、今日は自信を持ってプレーをすることを意識しました。
ーー初めての対抗戦でしたが個人としてのプレーの手応えはいかがですか
とても課題が残る試合で、コリジョンの部分で負けてるところが多かったので、しっかり修正していきたいと思います。
ーー接点では個人として前に出れていましたがいかがですか
ぜんぜんダメだったので、これから修正していきたいです。
ーー今後の意気込みを教えてください
続く対抗戦や選手権に向けて、トップチームに絡み続けられるように頑張りたいと思います。
◆CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)
ーー今日の試合で意識したことは何ですか
チームとして「早稲田スタンダード」っていうテーマを掲げて試合に臨んだ中で、今まで春から夏にかけてやってきた1つ1つのコリジョンの部分とか、イーブンボールへの反応だったりとか自分の役割を丁寧にやり遂げるといった、敵に関係なく自分たちにフォーカスして、自分たちがやるべきことをやり切ることに意識しました。
ーーBKのアタックはいかがでしたか
雨が降っていてスリッピーな状況ではあったのでそこまで無理することなく、自分がキャリーできるところは当たってゲインラインを突破しようと心がけていたのですが、もっと大外のスペースだったり、FWを使えば楽にアタックができたと思うので、そこが反省点です。
ーーCTBとしてチームとしてのディフェンスの完成度はいかがですか
ディフェンスとして今年やってきたプレッシャーディフェンスというところを体現できたとは思うのですが、その反面でゴール前の粘りだったりとか、最終的には後半の最初に日体大に得点を取られてしまったり、オフサイドやハイタックルといったディシュプリンの部分で課題が出ました。そこは自分たちでコントロールできる問題なので、意識だけでも変えて修正したいです。
ーー最後の対抗戦が始まりました。今後の意気込みをお願いします
個人としてもCTBのポジション争いというところで、毎試合がセレクションだと思うので、上のカテゴリーで出た時も自分のやるべきことにフォーカスをして、毎試合が『荒ぶる』に関わってくると思うので、4年生として、色々な人を巻き込みながら、1試合ずつ成長していけたらなと思います。