【連載】野球部 秋季リーグ戦開幕直前特集『早稲田の栄光』 第8回 石郷岡大成

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 昨年春、新星のごとく現れ、強烈な印象を残してきた石郷岡大成(社4=東京・早実)。3季連続3割超えの打率を記録するなど3連覇に大きく貢献してきた石郷岡だが、その裏には知られざる試行錯誤の過程があった。とうとう学生野球最後のシーズンを目前に、早大の競走馬は何を語るのか。

※この取材は9月4日にオンラインで行われたものです。

打点につながらなかった

――まず春のシーズンについてお伺いします。「怒涛(どとう)の5連勝」を当事者として経験していかがでしたか
 もう1回も負けられないっていうところだったんですけど、変なプレッシャーとかはあんまりなくて。1試合1試合を全力で戦って、とにかく勝ちたいっていうその思いだけでやった結果が、ああいった5連勝でつながったので、今までやってきたことは、あの時点では間違いではなかったのかなと思いました。

――全日本では悔しい結果となりました。改めて振り返っていかがですか
 負け方としてはやっぱり屈辱的な負け方をしてしまいました。六大学の代表として出ておきながらああいった結果になってしまったのは、他の5大学にも申し訳ないなと思います。色々難しかったところはあるんですけど、他の大学も全部一緒の条件でやっているので。その中で自分たちの負けパターンで、エラーがどんどん重なっていくっていうかたちで負けてしまって。自分もチャンスでしっかりいい当たりではあったんですけど、ヒットにならなかったというのも結構勝敗に大きく関わってくるかなと思ったので、あそこでしっかり打ち切れる、打てる力をつけようと思って、この夏も取り組んできました。

――春に浮かび上がった課題はありましたか
 個人的なところでは、打点が稼げなかったところです。得点圏打率だったり、チャンスでランナーをかえすバッティングだったり、打点につながらなかったという結果として出たので、このオフシーズンでは、よりチャンスでどうやって点を取るバッティングをするかというのは特に意識して練習してきました。

――続いて夏の期間について。どんなことを意識して練習に取り組んでいましたか
 打点に関する部分で言うと、技術的なところは普段のバッティングと特に変える必要はないかなと思ってるんですけど。どういうメンタルで打席に入るのかであったり、どういうマインドを持っているかを自分の中で確立して、このマインドだったら思うように体を動かせるというか、やりたいことができるというのを自分の中で作ろうと思って取り組んできました。あとは盗塁で、春シーズンは2つか3つか失敗したんですけど、この秋は失敗なしで盗塁企画したら全部成功させるのを目標に掲げているので、引き続き取り組んでいました。

――夏前に立てた目標はありますか
 数字とか具体的なのはないんですけど、さっき言ったチャンスでのバッティングと、甘く来た球をしっかり強く仕留めるっていうところは意識して。結構自分は流しの、スコーンっていうようなバッティングが多いんですけど、しっかり甘いところに来たらパチンと一発で捉えることは意識して、バッティング練習から取り組んでいました。

――夏のオープン戦を振り返って、ご自身の成績や手応えはいかがでしたか
 チャンスで、というところで言うと、もちろんなかなか思うようにいかなかった試合もあるんですけど、割合で言うとなんとか結果を出すことができた試合は少しは増えたかなとは思います。オール早慶のバンテリン(ドームナゴヤ)での試合でも、1アウト満塁で1点欲しい場面で1点取れなかったっていう打席もあるので、技術的などうこうだけじゃないんですけど、まだまだ勝負強さという面ではもっと結果出せるように意識して練習していく必要があるかなと思いました。

――六大学オールスターやオール早慶戦に出場した感想は
 オールスターとかオール早慶戦を通して言うと、いろんなしゃべったことなかったような選手とかなり仲良くなれたのが自分的には嬉しくて。今までリーグ戦3シーズン出てきてはいたんですけど、なかなか仲良くなる機会がなかったのか、ちょっとわかんないですけど、仲良くなれなくて。ずっと仲良くなりたいなと思ってたので、そこはすごく良くて、みんな面白かったので、ここでやれて幸せだなと思いました。

後悔しないように全力を

――大学野球最後のシーズンを目前にして、どのような心境ですか
 もうなんか泣きそうです(笑)。春の時点でも、尾瀬(雄大、スポ4=東京・帝京)と一緒によく試合ない日とか、リーグ戦の前の週とか一緒にいるんですけど、その時からキセキを聞いたりして。モチベーションじゃないですけど。もう最後だなみたいな感じでやってたんですけど、これが秋ってなるともう本当に最後なので、どうなるのか分からないぐらい。ただ、後悔しないように今できることをやって、試合で全力を出し切って、それで結果がついてきたらいいかなと思います。

――春季開幕前の対談ではラストイヤーへの不安を口にされていましたが、その点で変化はありますか
 それも心境としては全く一緒で。3シーズン打率3割残せたというところだったり、出塁率も4割超えたという面ではいい成績を残せたので、そろそろ落ちるんじゃないかっていうような不安はすごいあるんですけど。自分の結果よりも、とにかく優勝できればいいかなと思っているので。春と一緒で、自分が打つこともそうですけど、どうにかして守備でもバッティングでも走塁でもなんでもいいので、チームが勝てるような後ろからのサポートを。4年生としてのサポートもありますし、どこでもいいのでチームの優勝に貢献できたらいいかなというメンタルでいます。

――同期の皆さんはどのような存在ですか
 1年生の頃はやっぱり色々仕事とか大変だったので、言い合いとかもあったんですけど。こうして4年生のラストシーズンってなると、より団結してる感じもありますし、メンバーに入ってない選手からもマジで優勝してくれみたいに言われたりするので、恩返しじゃないですけど、なんとかいい結果で終わりたいというふうに思わせてくれる4年生です。

必ず4連覇を成し遂げる

――秋季リーグ戦の目標を教えてください
 チームではまず4連覇は絶対だと思うので、そこを絶対成し遂げることですね。個人としてはやっぱり出塁率4割と、10盗塁か8盗塁かちょっと難しいですけど、失敗なしでというところを目標に頑張りたいと思います。

――4連覇を達成するために何が必要だと思いますか
 まずはやっぱりチームでの一体感は非常に重要だと思うんですけど、Aチーム、Bチームでベクトルが違ったりすると、それも良くないかなと思うので。全員が本当に魂をかけて、優勝するために自分に何ができるかにAチームBチーム関係なく取り組むことが非常に重要だと思います。僕はAチームでやらせてもらっていて、Bチームの補助を受けたりすることがあるので、そこに対して感謝の気持ちをもっと伝えるとか、細かいことですけど、そういう小さいことをないがしろにしないことだと思っています。

――現在のチームの雰囲気は
 もうリーグ戦が近づいてきてて、どんどん空気がピリッとしてくる頃かなと思うんですけど、現状だと正直ちょっとまだ、どうなのかなという部分もあって。ただ、そこは小澤主将(周平、スポ4=群馬・健大高崎)もこれから多分ミーティングをすると思うんですけど、そういったところで話し合って、もう1回最後頑張ろうという雰囲気になっていくと思います。

――現在のご自身の調子はどのように捉えていますか
 調子は悪くはないんですけど、ただ内容で言うと、自分のやりたいことっていうのがまだできていない状態だと思っているので、東大戦に向けてもそうですし、リーグ戦を経て、どんどんアジャストしていきたいと思っています。

――他大学で怖い選手はいますか
 対戦するのはピッチャーなので、ピッチャーで言うと、やっぱり渡辺和大選手(慶大3年)はオール早慶戦でも対戦しましたし、すごく球速くて。春シーズンはいろんな大学に打たれてたんですけど、でもなんであんなに打てるんだろうって本当に疑問に思うぐらいずっといいボールを投げているので。秋の早慶戦というところもありますし、要注意だなと思います。

――最後にリーグ戦への意気込みをお願いします
 早稲田として必ず4連覇を成し遂げるっていうのは絶対に達成したいと思います。個人としてというか、4年生としても、やっぱり来年以降の3年生以下に残していかなければいけないものもあると思うので、そういうのをこのリーグ戦の戦いを通して伝えていくことも、1つのテーマとしていけたらなと思います。

ーーありがとうございました!

(取材、編集 田島凜星)

◆石郷岡大成(いしごうおか・たいせい)
2003(平15)年10月2日生まれ。171センチ、70キロ。東京都・早実高出身。社会科学部4年。夏の期間に慶大の外丸選手と特に仲良くなれたそう。リーグ戦では、冷静なプレーの合間の熱いガッツポーズに注目です!