今回登場するのは第二先発としての活躍が期待される3年生左腕、宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)。昨季は初完封を記録したものの、勝ち星はその1つのみと悔しさも味わった。さらなる進化が期待される宮城に夏の取り組みや東京六大学秋季リーグ戦(リーグ戦)への意気込みを伺った。
※この取材は9月10日にオンラインで行われたものです。
今の自分の実力を再確認

――まずはチームとして春の戦いを振り返っていただきたいです
立教戦で勝ち点を取られてから、エースの伊藤さん(伊藤樹、スポ4=宮城・仙台育英)を中心に優勝まで持って行くことができて、このチームの強さを感じました。後がない状況から、監督さん(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)のおっしゃられた「怒涛(どとう)の5連勝」を達成することができたのは大きな成果だったと思います。
――春の期間で見つかった課題はありましたか
立大戦まではそこそこのピッチングができていたと思うのですが、明治、慶応戦ではうまくいきませんでした。終盤の白熱した戦いで、自分が投げて勝ち切ることができなかったのは悔しさが残っています。
――7月には日米大学選手権(日米野球)に出場しました。代表に選出された時の気持ちを教えてください
素直に嬉しかったです。嬉しい気持ち半分とびっくりした気持ち半分でした。
――日本代表としてプレーをするのは初めてだったのでしょうか
初めてでした。野球をやっている身としては、やはり憧れるものでした。自分のイメージの中では、最終学年で大学日本代表に選んで頂くという目標があったのですが、こういう形で選んで頂けるとは思っていなかったので嬉しかったです。
――日米野球での投球を振り返ってください
エスコン(エスコンフィールドHOKKAIDO)で投げた時は、自分が持っている力を出せたと思います。逆に新潟では、自分の課題としている部分が全部出てしまったなと思いました。良くも悪くも自分の今の自分の実力を再確認できた舞台でした。通用する部分、まだまだこのままではいけないなという部分の両方がはっきりしたなと思います。
――大会期間中に交流を深めた選手はいますか
自分と同じ沖縄出身で亜細亜大の山城さん(山城京平、4年)と、出身は沖縄ではないんですけど興南高校出身の山形さん(山形球道、立大4年)の沖縄3人で仲良くさせてもらいました。あとは同学年のピッチャーの有馬(伽久、立命館大3年)と佐藤幻瑛(仙台大3年)とかと特によく一緒にいました。
――初めて会う選手や学年がひとつ上の選手が多かったと思います。その中でコミュニケーションを行う上で心がけたことなどあれば教えてください
樹さんがいたっていうのがとても大きかったです。(伊藤樹は)2年連続の選出で、顔馴染みの人も多くいらしたので、樹さんについていって「同じ早稲田の宮城です」って紹介してもらっていました。
ピッチングの精度を上げる
――ここからは夏の期間に関する質問に移ります。この夏やキャンプでの取り組みのテーマなどがあれば教えてください
冬の期間はスケールアップを目標にやってきていて、春は自分の思うところまでの成果は出なかったんですけど、そこそこ形として表すことはできたと思っています。次はスケールアップしたところをどうやって試合で抑えるということに落とし込んでいくかということがテーマでした。日本代表を経験させて頂いて、レベルの高いピッチャーを見て、自分に足りていないものやトップレベルの実力を感じた中で、ピッチングの精度を上げようということに立ち返りました。160キロ近いボールを投げるピッチャーを見て、出力を求めても自分はあそこまではいけないと思ったというか、自分は総合力で勝負しなければいけないと思えたので、この夏はそういうことを考えながらやっていました。
――その取り組みについてご自身で評価してください
この夏は思うようにならないことが多くてとにかく苦しかったです。自分のやりたいことに対して結果が出ず、投げても投げても良くならなかったです。ですがつい先週、9月に入ってから兆しが見え始めました。振り返ってみるとうまくいかず、思うようにいかないことばかりだった夏でした。
――夏の間に最高球速が伸びていたら教えて欲しいです
最高が148で変わらずです。逆に夏の期間は出力が落ちてしまっていて、140中盤までしか出ない期間もありました。150キロは達成したい目標ではあるんですけど、それよりも完成度、総合力にフォーカスしてやっています。
――日米野球後のインタビューで「夏はもっと自信をつけたい」とあったがその点についてはどうだったか
今、うまくいかないときに、自分がやっていることを曲げずに続けていって、もっと良くなっていったとき、辛抱してやり続けていることが自信になればいいなと思っています。
――9月6日の日産自動車戦で登板があったようですが、内容を振り返ってください
初回と2回は四死球が1つずつあってランナー出しながらではあったんですけど、3回以降は自分のしたいピッチング、テンポよく、球数少なくアウトを重ねることができました。リーグ戦1週間前でギリギリにはなってしまいましたが、5回無失点で試合を作ることができました。キャンプ期間中は失点することが多かったので、どんな形であれ、ゼロで抑えることができたのがよかったと思います。
秋は勝ちにつながるピッチングを

――今週末に秋季リーグ戦が開幕します。今の身体の状態はいかがですか
特に痛いところもなく万全です。
――今季の個人としての目標を教えてください
春は1勝しかできず、結果でチームに貢献することができませんでした。秋は勝ちにつながるピッチングをしたいので、先発として3勝を絶対に達成することを目標に掲げます。チーム内での競争にも勝って、相手校との対戦にも勝っていきたいです
――春の対談の際と同じ目標を掲げて頂きましたが、春季リーグ戦でうまくいかなかったことも踏まえての目標ですか
そうですね。その数字を達成できれば防御率も自分の目標まで落ちてくると思うので、防御率よりも勝ちにつながるピッチングをというところで3勝です。
――ご自身の今季の起用法について、スタッフ陣から何かお話はありましたか
今のところはまだ聞いていないです。チーム内での競争に負けないように頑張ります。
――最後に意気込みをお願いします
4連覇のかかるシーズンにはなるんですけど、受け身にならず攻める気持ちでリーグ戦に挑んでいけたらと思います。個人的には樹さんや田和さん(田和廉、教4=東京・早実)、ずっと一緒にやってきたピッチャー陣の4年生とできる最後のシーズンなので、優勝で終われるように、さらに自分がそこに貢献できるように、笑って終われればなと思います。
ーーありがとうございました!
(取材 西本和宏、編集 石渡太智)
◆宮城誇南(みやぎ・こなん)
2004(平16)年9月5日生まれ。175センチ、80キロ。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部3年。先日誕生日を迎えた宮城選手。投手陣の皆さんからバースデーソングでお祝いして頂いたそうです!苦しんだ夏を自信に変えられるような投球に期待です!