最終回は、WR中原秀城(スポ4=京都・南山)、WR松野雄太朗(社4=東京・早大学院)、WR吉規颯真(政経4=東京・早大学院)の3人が登場。春季シーズンで活躍を見せたWRトリオにWRの魅力や秋季リーグへ向けた意気込みを伺った。
※この対談は、8月28日に行われたものです。
「色々なタイプの選手がそれぞれの強みを生かせるのがWRの魅力」(吉規)
4月の早慶戦でMVPを獲得した吉規
ーーそれぞれの紹介をお願いします
松野 中原秀城です。今年はレシーバー主任をやっていて、何よりアメフトIQが高いです。コーチやASとも密にコミュニケーションを取って、僕らに戦術面で情報をくれたり、コーチとの橋渡し役を担ってくれています。プレーでも今年は一層パッションを持って取り組んでいる、そんな選手です。
中原 吉規は、普段はめちゃくちゃ大人しくて、人とのコミュニケーションをあまり取らないタイプです。でも実は、内に熱い気持ちを秘めていて、負けず嫌いでプライドが高い一面があります。大学生では考えられないレベルのキレのある動きをしますし、体が大きいわけではないのに球際でも競り勝てる選手です。
吉規 松野雄太朗くんです。僕たち2人は経験者ですが、松野くんは高校までサッカーをやっていて、大学からアメフトを始めました。でも、身体能力がものすごく高くて、足も速いし、競り合いやジャンプ力もすごくて、大学から始めたとは思えない動きをする選手です。性格的には、アメフトに向いている性格でありながらも、後輩の面倒見もよくて、同じチームメイトとして本当に頼れる存在です。
ーー松野さんは高校時代サッカーをされていましたが、米式蹴球部に入部したきっかけは何ですか
松野 高校は早大学院だったのですが、珍しくアメフト部があって、クラスにもQB船橋(怜、政経4=東京・早大学院)やLB安藤(龍生、法4=東京・早大学院)などアメフト部に入っている人が5人くらいいたんです。高校時代からずっと勧誘を受けていたので、サッカーをしながらもアメフトをやってみたい気持ちがありました。大学では体育会で何かに挑戦したいと思って、新しいことにチャレンジしようとアメフトを始めました。
ーーサッカー経験が生きていると思うことはありますか
松野 サッカーではFWだったので、ヘディングで飛んできたボールをジャンプして取る感覚は少し生きているかもしれません。サッカー以外にもラグビーや水泳など色々なスポーツをやってきて、習字もやっていました(笑)。見たことをすぐに試すことは得意かもしれません。
ーー今のWRはどのようなユニットですか
中原 学年を超えて仲が良いですね。1年生はまだこれからですが、2年生以上は例年以上に仲が良いです。休みの日に集まることもありますし、人数が多いので個性豊かなメンバーがそろっているのも特徴です。それに、コーチの宜本さん(潤平WRコーチ)の存在も大きいです。関西出身で面白いボケもしてくれるし、締めるところはしっかり締めてくれるので、和やかで引き締まった雰囲気で活動できています。
ーーWR主任としてまとめる上で大変なことはありますか
中原 そこまで大きな苦労はないですが、早稲田は自分から前に立って発言したり、自分がというタイプが少ないので、言わないといけないことは自分が前に立ってしっかり言うようにしています。
ーーWRの魅力を教えてください
吉規 パスプレーの最後を決めるポジションなので、キャッチできればパスプロテクションをしてくれたOLや投げてくれたQB、作戦を考えてくれたASやコーチの努力がすべて報われます。その分、落としたら全部台無しになってしまうので、責任感が強く求められるポジションです。でも、それが逆に楽しいし、やりがいのあるポジションだと思います。個性を出せるポジションでもあります。背が高い選手もいれば、僕のように小柄でスピードが武器の選手もいます。色々なタイプの選手がそれぞれの強みを生かせるのがWRの魅力です。
ーーボールをキャッチする瞬間は、どのような気持ちですか
吉規 ボールが抜いた時ぐらいから歓声が上がるので、それでキャッチしてからさらに歓声が上がると気持ち良いです。「落としたら仕方ないな」と思うようにしているので、プレッシャーはあまりありません。
松野 僕は、プレッシャーしかありません。
中原 僕は、試合中はあまり歓声などは気にしていません。試合が終わった後に動画を見て、沸いているのを見るとすごく良い気分になります。
ーー今年のBIG BEARSはどのような雰囲気ですか
松野 荒木さん(荒木延祥ヘッドコーチ、平10人卒=大阪・高槻)がコーチに加わったことが大きいです。それと、主将がチームの色を作る存在でもあるので、今年は全体的に「ピシッ」とした雰囲気があります。「やるときはやる」「楽しむときは楽しむ」とメリハリがしっかりしていて、意味のないルールがないのも特徴です。荒木さんからは「お前らはアスリートだ」ということを常に言われていて、その意識がチーム全体に浸透しています。主体性を重んじた雰囲気の中で、全員が規律を持ちながら主体的に動けているチームだと思います。
「『やっぱりレシーバーだな』と言われるような、目立つ活躍を」(松野)
対談中の松野
ーー春季シーズン、ご自身のプレーを振り返って
松野 春シーズンは僕2試合しか出ていなくて。正直「何やったっけな」という感じで、あまり手応えはなかったシーズンでした。タッチダウン(TD)を振り返ると、春シーズンのチーム初TDということで、チームを引っ張れたかなと思っています。ただ、もう少し目立つような活躍をするのがレシーバーだと思っていて。特に立命大戦は、レシーバー全体としても僕個人としても厳しい結果になってしまったので、そこを反省して夏やってきました。秋は「やっぱりレシーバーだな」と言われるような、目立つ活躍をしたいと思っています。
中原 個人としては、早慶戦と関大戦ではレシーバーとパンター、パントリターナーをやっていて、ある程度の結果は出せたので良かったです。でも立命大相手にオフェンスが0点だったのは本当に悔しかったです。自分自身もそうですし、このパスユニットがもっと機能していれば0点はなかったと思いますし、試合の流れも変えられたと思います。関西の大学や法大など強い相手が来た時に、苦しくても自分やユニットが流れを変えられるように成長しないといけないと思います。この夏で成長できた自信はあるので、それを秋には見せたいです。
吉規 僕は目立つタイプではないので、(早慶戦で)MⅤPをもらえたのは初めてでうれしかったです。関大戦でも解説で僕の名前を呼んでもらったり、際どい球を取れたりして、レシーバーの醍醐味を試合で出せたのは良かったなと思います。ただ、2人が言っていたように、立命大戦では今までやってきたことが全くできず、0点に終わってしまい、壁を感じたのは春シーズンの課題です。
ーー成長の理由はどこにあると感じていますか
吉規 最後の年ということも大きいです。高校から始めて、3年生までは正直、遠慮などもあってメンバーに譲ってしまうこともありました。ただ、4年生になってからは「自分がいきたい」と思って積極的に出るようになりました。そして大きく変わったのはQBの存在です。昨年はQBが八木さん(義仁、令7政経卒=東京・早大学院)という素晴らしい選手でしたが、今年からQB船橋くんに変わりました。彼とは7年間ずっとQBとWRの関係を続けてきました。何も言わなくても「ここに投げてほしい」「ここを走り込んでほしい」と分かり合える信頼関係があって、それが試合に出ていると思います。
ーーやはりWRとQBとの関わりは大切にしていますか
中原 特に今年からは、プレーごとにQBと意見を共有するようにしています。良かったら「良かった」、悪かったら「もっとこうしてほしい」ということを伝えています
ーー特に関西2校との対決についてどのように振り返りますか
中原 立命大、関大ともに、僕たちのフィジカルが圧倒的に足りなかったです。体重もスピードも、フットボールIQもチーム全体で低かったと思います。
ーー春シーズンを終えて、夏合宿などを含めて強化してきた部分はありますか
松野 個人としては武器を伸ばそうと思ってきました。LB功能(誠也主将、教4=東京・西)が「個性を武器に」という裏スローガンを掲げていて、自分の個性は足の速さだと思ったので、下半身の筋トレや体重増加に取り組みました。その結果、プレーのスピード感は上がったと実感しています。キャッチする前もキャッチしてからも、特に関西の強い相手にスピードを試してみたいです。
中原 パスユニット全体では、プレー理解度を高めるということを意識してきました。「全員が同じ認識でいる」ことが大事で、プレーの意図やタイミングを全員が共有できないと良いプレーはできないと思っています。合宿などでは24時間一緒にいて、たくさん話して認識を深めたので、最近は認識の齟齬(そご)がだいぶ減ったと感じています。
「『日本一のレシーバーユニットだ』と全員が思えるチームに」(中原)
対談中の中原
ーーまもなく秋季リーグ戦がスタートします。目標を教えてください
松野 僕はオール関東に選ばれたいです。2年生の頃から試合に出させてもらっているのに、目立った活躍ができていないのが引っかかっています。出るからには「松野のおかげで勝った」と言われる活躍をしたいですし、それを続ければオール関東につながると思っています。また、僕が憧れていた佐久間さん(優毅、令5政経卒=東京・早実)も4年生の時にオール関東を取っていたので、それも理由の一つです。
中原 抽象的にはなりますが、今年はレシーバーをストロングポイントとしてオフェンスを組んでもらっているので「日本一のレシーバーユニットだ」と全員が思えるチームにしたいです。
吉規 僕は毎試合、目立つキャッチやプレーをしたいです。春の関大戦でのキャッチはとても気持ち良かったので、そういうプレーを続けたいです。
ーーご自身の注目ポイントを教えてください
松野 僕の注目ポイントはロングパスを取ることです。2年生の頃からずっと期待されてきたことなので、そこをやらなければ期待に応えているとは言えません。僕がロングパスで走りそうな時は注目してください。
中原 球際とキャッチ後のランアフターキャッチに注目してほしいです。パンターやリターナーもやると思うので、レシーバー以外も含めて全部で良い選手として活躍したいです。
吉規 僕は船橋くんとの連携に注目してほしいです。僕たちの7年間の集大成を見せられるように頑張りたいと思います。船橋から僕へのパスに注目してください。
ーー意識している対戦相手はいますか
松野 立命大です。昨年の秋から立命大のコーナーバックにやられているので、個人的にもチームとしても意識しています。勝ちます!
中原 関東では法大です。ここ最近は「法政か早稲田」といわれている中で、法大に負けて甲子園に行けていないので、倒したいです。あとは立命大です。今一番強いといわれている立命大を倒したいということと、高校の時に引退試合で立命館宇治高に負けました。(立命大には)立命館宇治高出身の選手以外もいますが、立命大には勝ちたいという思いがあります。
吉規 関学大です。関学大は、僕がアメフトを始めた時から学生アメフト界の王者と言われていました。昨年は負けてしまいましたが、さらに強くなっているのではないかと思います。対戦できるか分かりませんが、引退前に一度戦ってみたいです。
ーー注目選手を教えてください
松野 RB田中大晴(社4=埼玉・川越東)です。4年間コツコツ積み上げてきた努力がすごいです。元から実力がありましたが、大学では基礎から真摯に向き合い続けて、今はすごい実力を持っています。大晴くんの活躍には期待しています。
中原 ⅮB吉田和真(教4=東京・早実)です。アメフト未経験で入って、留学もして、経験は少ないですが、春から試合に出て、良いプレーもありました。この夏で高い身体能力とIQを生かした良いプレーが増えているので、秋にどれだけできるか楽しみです。
吉規 2年生のWR安東純心くん(スポ2=沖縄・首里)です。昨年から活躍している大きくて速くて上手い選手です。まだ細いですが、すごいレシーバーだと思います。
ーー最後に意気込みをお願いします
吉規 合宿などで差し入れをいただいたり、試合会場まで足を運んでくれたりする色々な方々に支えられているなと感じています。まだなったことのない日本一に自分自身もなりたいですし、期待してくれる人たちのためにも頑張りたいです。
中原 僕も色々な人たちのサポートを感じています。応援してくれる人に勝って恩返ししたいです。早稲田のパスユニットが関東リーグの中で目立つ存在になって、日本一になるために頑張ります。僕は、中学の時に甲子園ボウルの前に行われる中学生の関西決勝に出場していました。そこで試合をして負けたので、甲子園でリベンジしたいです。
松野 甲子園に立ちたいです。1年生の時にベンチから甲子園を見て「かっこいい」と思いました。大学日本一の舞台に立ったことがないので、まずそこに立ちたいです。まず関東で全勝し、関西にも勝って甲子園に立ちたいです。日本一を勝ち取るために、そこで全力を出して勝つ。ただそれだけです。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 大村谷芳)
◆中原秀城(なかはら・ひでき)※写真中央
京都・南山高出身。174センチ。75キロ。スポーツ科学部4年。WR。試合前のルーティーンは、ⅮL鈴木衆和(政経4=東京・早実)選手と試合前日に「いきなりステーキ」に行くこと。今後も続ける予定だということです!
◆松野雄太朗(まつの・ゆうたろう)※写真左
東京・早大学院高出身。180センチ。80キロ。社会科学部4年。WR。大のサッカー好きだという松野選手。試合前には、欧州サッカーで使用されている「チャンピオンズリーグ・アンセム」を聴いて、気持ちを高めるそうです!
◆吉規颯真(よしき・そうま)
東京・早大学院高出身。172センチ。70キロ。政治経済学部4年。WR。高校1年生の時は、QBとしてプレーしていましたが、大きな声を出すことに苦手意識がありWRに転向。今では、WRに大きなやりがいを感じていると話してくれました!