【連載】 早慶クラシコ前対談 第8回 谷村峻副将

特集中面

対談第8回は今季ア式蹴球部の副将を務める谷村峻副将(スポ4=FC東京U18)。

――前半戦の総括をチームとしてお願いいたします

昨年は前半戦が終わった段階で昇格圏よりも下っていうところで、昇格に向けて非常に厳しい立ち位置でした。今季上位にいて、昇格や優勝が見えていることはチームとしてはポジティブな要素かなと思っています。ただ、前半戦の終盤はなかなか勝ち切ることができなかったり、負ける試合も多かったので、そこは反省点です。

――個人としては

最初スタメンで出ていて、途中からスタメンじゃなくて、今はちょくちょくスタメンで出る時もありますけど。そういう意味では、なかなかチームに貢献できない時間が続いたかなと思っています。その中でも自分なりにチームのためにやろうとする姿勢を少しは持ち続けられましたけど、そこの基準が低かったのも事実なので、今後は自分のこと以上にチームのことを考えて貢献できたらいいなと思っています。

――副将という立場がついた今季、これまでのシーズンと違うものはありますか

副将という立場は1番あやふやな立ち位置かなと思っています。今年は山市秀翔(スポ4=神奈川・桐光学園)が主将で自分と佐々木奈琉(スポ4=新潟・帝京長岡)が副将ですけど、どうしても客観的に見て山市1人が頑張っていると見られがちな状況です。自分としても山市をサポートするっていう意識が強かったこともあって、なかなか先頭に立ってチームを引っ張っていくところは出来ていなかったと思います。副将という役職がついたからこそ、自分の中で戸惑ったりする場面もありますが、今後どうするかは考えられています。

――前半戦は昇格圏でターンすることができましたが、チームとしてうまくいっている部分はどこでしょうか

今年から「球際・切り替え・運動量」の3原則を掲げています。その部分については、チームとして去年よりも1段階、2段階上がったので、そういったところで相手を上回れた試合で勝てたかなっていう印象です。最近は特にテンポのところ。早く準備してボールを回すっていうところは、間違いなく良くはなってきているので、そういったところについては、チームとして目線が昨年よりも同じ方向を向けている印象はあります。

昨年の早慶クラシコでの谷村

――5節の法大戦以降、ボランチに加えて、トップ下でも起用されるようになりました。攻撃面では出し手から受け手に、守備面では刈り取る側から限定する側に変わったというところで、難しさはありましたか

高校の時にトップ下はやっていたので、ある程度対応できたかなとは思います。ただ、ボランチという特にボールを触る回数が多いところから、トップ下に移って、ボールが入ってくる回数が少なくなってくる中で、いかに違いを出すのかっていうところはまだまだだったかなと思います。守備のところは特に難しさを感じていなくて、前プレをかけたり、できる限りのことはやれたかなと思っています。自分が普段ボランチをやっているからこそ、中盤が前線の選手にして欲しいプレスのかけ方を頭の中で整理できた状態でプレーはできていたので、守備のところはそこまで苦労はしなかったです。ただ、1つの緩みで間を刺されたり、裏へのロングボールを蹴られたりだとか、そういったところはあったので、そこの難しさっていうのは多少ありました。

――1年時の部員ブログではボランチへの拘りをつづっておられました。4年生となって、ボランチとしての自分をどのように評価していらっしゃいますか

自分の中で間違いなく成長はしているとは思うんですけど、納得したプレーができているかっていうと、そうではないっていうのが現状です。リズムを作るところは、1年生の頃から引き続きできてはいるんですけど、攻撃の面ではゴール前で違いを見せられる選手になっているかっていうとそうではないですし、かといって守備のところでも圧倒的に奪える能力もないので、自分の理想とするボランチ像にはなれてはいないです。ただ、学年を重ねるごとに少しずつ考えも整理されていって、やれることも増えてはきているのかなと思います。

――谷村選手はFC東京U15むさしからFC東京U18に昇格し、大学でも早稲田でプレーと、世代の第一線でプレーされてきました。今後就職されるということで、第一線でプレーされるのは、今シーズンの後半戦がラストになるかと思いますが、最後に積み上げていきたい部分はどこですか
チームとしては、全国優勝が消えて、2部優勝して昇格するっていうことが第1目標になるので、まずはそこに向かっていきます。夏合宿もありますし、今後早慶戦っていうところもあるので、今掲げている習慣化っていうところをチームとしてところを徹底していくことで、後期に向けていいスタートが切れればいいかなとは思っていますね。個人としては、昨年と比べると出場時間が減っているので、本気でやれる最後の期間、もう1度ピッチに90分立って、チームの勝利に貢献したいっていう思いはあります。

――習慣化とは

中断期間からこの夏休み期間でチームとして掲げているところで、個人としてはコーチング、他の選手に情報を入れる、テンポを出す、準備をするっていうところを意識しています。チームとしても、攻撃ではラストの局面でクオリティをアップさせる部分や、ビルドアップの再現性を高めること、守備ではブロックでの守備だったり、原理原則の徹底であったり、ハイボール対応の処理能力のアップだったり、そういったところを掲げているので、ここを個人としてもチームとしてもやれれば、間違いなくこの夏のタイミングで1段階、2段階成長できると思っています。

――シーズン後半への意気込みをお願いいたします

個人として試合に出場することはもちろんですけど、1番はチームが1部昇格するっていうところが1番なので。今までは自分の不甲斐なさだったり、就職活動もあってなかなかチームに対して貢献できなかったっていうところも感じていますし、もう1段階、2段階、個人としてチームを引っ張っていって、そこの目標に貢献できたらいいなって思います。

関東大戦の谷村

――ここからは早慶クラシコについて伺っていきます。早慶クラシコという試合は、谷村選手にとってどういう試合ですか

自分としてはそこまで特別な一戦っていう思いはなくて。公式戦と変わりない1試合だとは思ってはいるんですけど、やはり慶應が相手っていうところで、今までの歴史もありますし、ただの1試合じゃない重さは感じているので、普段の公式戦と変わりないとは言いつつも、特別な感情を持ってやる試合かなとは思っています。

――FC東京のアカデミー時代、ヴェルディ戦や川崎フロンターレ戦は意識しましたか?

相手がどこっていうのは気にするタイプではないので。ダービー、クラシコがあるっていう事実は見てきていますけど、だからといってこれまでも意識はしていないですね。

――早慶クラシコは、4年生が運営の主体を担う一戦です。同期の活躍なども目にしているかと思いますが、同期に見せたい姿などはありますか?

本当に感謝の言葉しかないですね。早慶戦は自分も本当に軽くではありますが、運営にも携わっていて、同期のマネジャー、下級生や、OBの方々も含めて、色々な人が関わって作り上げてくれている舞台です。そういった人たちに感謝の気持ちを込めてプレーして、勝利っていう形で、恩返しってわけじゃないですけど、やってよかったって言われるような早慶戦にしたいと思っています。

――昨年の早慶クラシコにも先発出場されましたが、その試合の印象はいかがですか

4対0で勝ちはしましたけど、最初入りが良くて1点取れて、そのあとは決められてもおかしくないようなシーンが何シーンもあったので、結果として快勝はしましたけど、快勝したっていう実感はなくて。たまたま自分たちがやるべきことをやったから勝てたっていう印象ではあるので、今年同じことが起きるとは思いません。

――普段東伏見に来られない方々、一般の学生もそうですし、OBの方々も等々力に来場されるかと思います。谷村選手として、そういった方々に見てもらいたい部分はありますか

個人としては、ボールをたくさん触ってチームのリズムを作るっていうところは自分の強みなので、試合を通してあの選手から攻撃のリズムが生まれているなとか、そういったところを感じてもらえたら嬉しいです。
――チームとしては

チームとしては今年掲げた3原則。「球際・切り替え・運動量」っていうところを前面に押し出した試合をするので、早稲田って迫力あるなとか、隙がないチームだなって思ってもらえるような試合にしたいです。あとはチームとして特にテンポを出すっていうところを意識しているので、早稲田がボールを持つとリズムもいいし、簡単にゴール前まで持ってくなみたいな、そういった印象も持ってほしいですね。

――注目選手を1人挙げるとしたらどなたですか
注目選手は森田大智(スポ4=熊本・大津)です。個人的に仲が良いっていうのもありますし、それこそ大智が今まで苦労してきたのも1番知っているからこそ、早慶戦の舞台で多くの人にプレーを見てもらいたいっていう気持ちが強いです。間違いなく1番上手い選手ではあるので、自分も期待していますし、多くの人に大智のプレーを見てほしいなと思います。

――最後に早慶クラシコへの意気込みをお願いいたします

自分が1年生の頃から3連勝と来ていて、今年勝てば4連勝っていうところなので、最後の大学生活の思い出と言いますか、大きな1ページを勝利で飾るためにも早慶戦は絶対勝ちたいなと思っています。ここから残り1ヶ月くらいですけど、そこに向けて個人としてもチームとしても隙なく、早慶戦だけじゃなくてその先を見据えてトレーニングしていければ良いなと思います。

谷村峻(たにむら・しゅん)

2003(平15)年4月24日生まれ。164センチ。FC東京U18出身。スポーツ科学部4年。試合中でも常に冷静な副キャプテン。サッカー選手人生の最後を飾るリーグ戦後期に向けてより一層の活躍が期待されます。