【連載】 早慶クラシコ前特集 第1回 GK雨野颯真×DF伊藤稜介×DF尾崎凱琉

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対談第1回はバックで活躍する2年生、雨野颯真(スポ2=群馬・前橋育英)、伊藤稜介(スポ2=ジュビロ磐田U18)、尾崎凱琉(スポ2=大阪桐蔭)の三人。

ーー昨シーズンを踏まえて、今シーズンはどういう意識を持ってシーズンに入りましたか
雨野 去年はトップチームになかなか入れなくて悔しい思いをしたので、今年はトップの試合に絡んで、勝利に貢献したいという気持ちでした。

伊藤 自分も同じようにトップに絡めなくて、一部昇格を逃す姿を目の前で見て、今年こそは1部昇格するために力になれたらと思ってました。

尾崎 自分は数試合トップで絡んだだけで継続的には出られなかったのでそこの悔しい気持ちと、目の前で一部昇格を逃した瞬間を見てたので、来年は自分が出て昇格したいっていう気持ちでした。

 

ーーそれを踏まえて個人としてシーズンここまでを振り返っていかがですか
雨野 シーズン途中の無失点を継続できた試合っていうのは、良かったと思うんですけど、結果的に点数で言うと、リーグ戦の中では失点の少なさが一番では無かったところは、守備の選手としては良くなかったと捉えていて、強いチームは絶対失点少ないと思うので、失点数についてはこだわっていきたいです。 

伊藤 試合に出てチームが勝ってたのは良かったと思うんですけど、僕以外のチームメイトだったり先輩に支えられてた試合っていうのが多かったので自分自身がチームを勝たせられる選手になりたいです。

尾崎 リーグの中盤では失点が少なくて、無失点が続いてたんですけど、リーグ終盤にかけて失点が増えてきてそれは後ろで出てた僕の責任に感じていたし、やはり失点が多いと一部昇格も、後期も続けてたら叶わなくなってしまうのでそこを減らしていきたいです。

 

ーー今年プレイヤーとして成長した部分と逆にまだ課題だなと思う部分を教えてください
雨野 成長した部分でいうと速いプレースピードの中でのビルドアップだったりとか攻撃参加っていうのは去年よりもレベルの高い中でやれたので、自分のプレースピードもそうだし、プレーの質というのもより高いものにできて、逆に守備の部分はここぞの1本で止めるというところはずっと課題としてあるので、キーパー、自分がいたから勝ったっていう試合をもう少し増やして行きたいと思ってます。

伊藤 自分も去年に比べて大学のプレー感とか強度には慣れてプレーできるようになったんですけど、個人の部分でそのアシストとか得点に関わるという部分で、まだまだ力が足りたいなと思いましたし、守備の部分でも1人で守りきる力っていうのはまだまだ足りていないと思いました。

尾崎 関東リーグのプレースピードとか、強度やプレースピードに慣れてきて、その中で持ち運んで行ったり自分のところで前進できるシーンっていうのは、その落ち着きとかも去年と比べたら経験もできているので伸びてきたかなとは思うんですけど、自分はまだ前期、一点しか決めてなくてそれもこぼれを押し込んでなので直接頭で叩き込んで自分が得点するっていう場面をもっと後期は増やしていきたいです。

対談中の伊藤

ーー夏以降に向けて、自分の中で特にこだわって取り組みたいことがあれば教えてください
雨野 自分はシュートを止めるっていうのもそうなんですけど、細かく言えばキャッチングにこだわりたいです。キャッチングってところは、自分が1回シュートとか、自分が落ち着かせてやればもう少し前期よりも自分たちの流れがつくりやすくなってくると思うのでそこにこだわりたいです。

伊藤 自分は守備の時はサイドの選手だから1対1で取り切るってところだったりとか、サイドバックなので攻撃にも参加できるので、クロスとかアシストできるように頑張りたいです。

尾崎 今チーム全体で個人として意識してくことが挙げられていく中でビルドアップの時のテンポだったり事前の準備はこだわりたいです。さっきもあげた通りセットプレーの練習では自分が決められるようにこだわってやっていきたいです。

 

ーーチームとしてここまでの戦いをどう振り返りますか
雨野 最初、前期の初めから中盤にかけては、やはり去年の悔しさっていうのもあったと思うので、そういうところで戦うっていうとこが出来てたと思うんですけど、終盤にかけてそういうところはちょっと緩みがでてしまって、それが結果につながったと思うので、厳しさっていうところはもう少し必要かなっていうところは感じています。

伊藤 雨野が言ったように、前期は連勝して良い流れで行けたんですけど、後半になってから勝てなかったりうまくいかない試合とかもあったので、ずっといい状態でいるっていうのは難しいと思いますけど、難しい状況でも勝ち切るっていうのは意識してやるべきかなって思いました。

尾崎 2人と一緒ですね。後半になって負けが続いたっていうところで勢いのまま勝ち続けるっていうところがあったので、前期のその経験を踏まえて後期はやっていきたいです。

 

ーー今季ここまでで印象に残ってる試合があれば教えてください
雨野 自分は法政戦です。勝ちはしなかったですけど、厳しい状況で攻められていた中で守り切れたのでキーパーとしての仕事を果たせた試合だったと思います。ああいう試合をもっともっと増やしていこうっていうのを同時に思いました。

伊藤 拓殖戦です。そこまでずっと試合に出れてましたけど、その試合はスタメンを外れて途中出場の試合で、前半ベンチで見ていてチーム的にも苦しんでいて、そういう試合で自分が出れずに力になれていないっていう不甲斐無さを感じたり悔しい思いもあったりで、印象に残っています。

尾崎 自分は山学戦です。自分のリーグ戦初ゴールもあるし、自分のゴールで1点取って無失点に抑えられたので印象に残ってます。

山梨学院大戦にて得点を決めて喜ぶ尾崎

 

ーーここまでのお互いのプレーっていうのはどう見えてますか
雨野
 稜介は鋭いクロス。そこが攻撃の起点になっているって感じていますし、対人とかも頑張ってやってくれてるので非常に助かります。

ーー点数をつけるなら?
雨野
 60点ですね。(笑)

ーー40点は、どういう部分ですか
雨野
 もっとゴールに絡んで、実際に点も取って欲しいですし、たまに抜けてるところもあるので、そこをなくしてって感じですね。

ーー尾崎選手的に伊藤選手はどうですか
尾崎
 自分が左のセンターバックをしていて、稜介は左サイドバックをしてるんですけど、雨野が言っていた通り良いクロスを持ってますし、自分がビルドアップで左に付けた時に、詰まってる時も返してくれるので、助かってます。

ーー点数つけるなら
尾崎
 65で。(笑)

ーーどういうところに期待をしてますか
尾崎
 良いクロス持ってるのでもっと大量にアシストをしてほしいのと、何回か点を決められるシーンがあったと思うので、得点に絡んで欲しいっていう期待を込めてです。

ーー聞いてどうでしたか。
伊藤
 その通りだと思います。(笑)

ーー次に尾崎選手はどう見えてますか
伊藤
 尾崎は身長もあるし、スピードもあります。自分の右側にいるんですけど、競り合いも強いし、カバーリングの範囲も広いのでチームとして助けられているなって思いました。

ーー点数をつけるなら
尾崎 緊張してきた。(笑)

伊藤 70点で。自分含めてですけど、最後の方、失点が続いてしまって、尾崎ぐらいの能力があるなら1人で全部止められると思うので期待を込めての70点です。

 

ーー雨野選手的にはどうですか
雨野 身体能力はすごい長けていると思うし、守備の部分で体を張って守ってくれてる部分とかもあるので助かってます。点数は75点で。

伊藤 ちょっとずつ上がってる(笑)

雨野 セットプレーとかで触るんですけど、点に繋がらないので点を取って欲しいっていうのと、センターバックとキーパーっていうところで協力して失点を減らしていこうっていう点数です。

 

ーー雨野選手はどう見えてますか
伊藤 さっき本人もあげていましたけど、法政戦とかチームを救うセーブがあったので助かっているなという感じです。

ーー点数は
伊藤 80点です。

雨野 5点ずつなんだよな。(笑)

伊藤 理由は法政戦とか0で抑えてくれた試合とかクリーンシートが続いたりもしたので良かったなっていうのと、前期の最後の方は失点が多くなってしまったので、もっと止めて欲しいなと思ったからです。

ーー尾崎選手的には
尾崎 自分も普段近いポジションでやってて大事な時に止めてくれるし、ビルドアップでも間を通してくれて、キックも正確なので攻守において助かっているので早稲田の守護神になりつつあるなって。点数は75点で。後半の失点で自分と雨野のところで防げたのもあるからもっと減らしていこうっていう思いです。

対談中の雨野

ーー次にお互いのことを人として、選手として紹介してください。まずは雨野選手に対してお願いします
尾崎
 さっきも言ったんですけど、選手としては攻守においてキーパーっていうのもあって大事なところを止めてくれるし、キーパーにしては足元もあるしボールを繋げるので、言葉で言うなら攻守において存在感のあるキーパーですね。普段はいじられる時もあるし、人をいじる時もあるしでバランスが良いなって、コミュニケーション能力もあって色々な人と話してるのも見るのですごいなって。

伊藤 サッカーはさっき言っていた通り攻撃もできて、ビルドアップもキックが上手くてつなげで、法政戦みたいに何本も決定機をセーブしてチームを救ってくれる頼もしい選手で、普段はいじりもいけるしいじられもするしで面白いまではいかないですけど、ムードメーカー的な存在になれるので良いキャラクターだなって思います。

ーーお二人から伊藤選手をお願いします。
雨野 選手としては黄金の左足まではいかないですけど

一同 笑

雨野 去年林(DF林奏太朗、スポ2=サガン鳥栖U18)が使われてたんですけど、稜介も負けてないですね(笑)。左のキックの精度とか良いものを持ってるなって思います。普段は難しいな。色んな人に突っかかって絡んでるなって。色んな人と関わりがある人ですね。

 

尾崎 選手としては左足のクロス、良いものをもってるし、守備でもサイドからはやられないから対人能力高いなって。普段は、結構いじられている印象です。度がすぎちゃうと稜介怒っちゃうんですけど、林とかが同部屋なので結構イジるんですけど、そこだけ気をつければ面白いです。

 

ーーでは最後にお二人から尾崎選手を紹介してください
雨野 身体能力おばけっていう感じですかね。フィジカルテストをやって、ものすごい数値を出したんですけど、自分では謙虚ぶって、俺足りないよみたいな。本心なのか分かんないですけど、結構向上心があります。私生活はいじる側で、稜介もそうですけど、野田(DF野田隼太郎、商2=静岡・藤枝東)とか神田(MF神田拓人、スポ2=福島・尚志)とかでわちゃわちゃしてるのが廊下にちょっと響き渡ってるのは感じますね。結構うるさい感じではあります。

伊藤 サッカー面は本当に怪物っていう感じですね。身体能力がすごくて、背が高いのに機敏に動けて本当に能力が高い。私生活は良く人のことをイジるんですけどふと優しい一面を見せてくれる。

尾崎 よく言われます。

伊藤 直春(GK斎藤直春、スポ2=神奈川・日大藤沢)がよくいじられてるんですけど、ふとした優しさにやられて直春はトリコになっちゃってますね。その塩梅が本当にうまいですね。

ーー意識して使い分けている?
尾崎 素ですね。素が優しいので。

対談中の尾崎

ーー1年前から考えて心境の変化などありますか
雨野
 簡単に言えば、大人になったなって。それこそ早慶戦であるとか、携わる中で色々な大人の人と直接関わる機会が増えたっていうところもそうですし、早稲田っていうのは人間性の大事にしている組織ではあるので、そういう中で1年間生活してたら人としてもサッカー選手としての実力でもそうですけど、両方の面で上がったかなって思います。

伊藤 大学に来て学生が作りあげるのが、人としてやることが増えて大人に近づいたかなと思います。サッカー面では去年は全然試合に絡めなくて、今年はトップチームで出れることも多くなって1年間で変わることができたなって。これが4年間あると考えると、時間もあるので努力次第でもっと成長できるなって思いました。

尾崎 去年の早慶戦は運営をしてたんですけど、学生主体でやっていく中で実際本番の試合を上から見た時にここまでできるんだって思ったし、それを見て感動したというか学生という大人に近づいていく段階ですけど学生主体であそこまで作りあげられるのかと思いました。自分の時間は大学生になって増えて、人間としても選手としても自分に向き合う時間が増えたので、そこも成長できたかなって。

好セーブを連発した法大戦の雨野

ーー早慶クラシコに話が移りますが、改めて皆さんは昨年の早慶クラシコではどこで何をされていましたか
雨野 自分はOB受付で、色々とお話をしました。

伊藤 自分は、来賓の方とかの誘導と警備をしていました。

尾崎 自分も人の流れを整備したりしていました。

 

ーー昨年の早慶クラシコは、外から見ていてどうでしたか
雨野 あの舞台に立ちたいっていうのはあったので、悔しい気持ちがやはり一番に来て、その中でも仕事をやらないといけないという、サッカー選手として仕事に貢献しないといけないけど、試合に出れなくて悔しいという複雑な気持ちがありました。

伊藤 自分も一緒で率直に試合出たかったので出られなくて悔しかったのと、警備の仕事が忙しくて、悔しい中でもその仕事をやらないとチームとしても早慶戦としても成り立たないって思ったのでやっていました。単純にすごい盛り上がっていたので試合を見たかったけど警備で見られないっていうのが難しかったです。

尾崎 自分も上から見てて、悔しいっていうよりはすごいなって思ってました。選手入場のときとかも鳥肌が立ったし、シンプルにこういう早慶戦でプレーしたいなって思いました。

 

ーー今は早慶クラシコっていう舞台はどういう舞台だと感じてますか

雨野 去年と違ってプレーをする可能性が高い中で、実際に直接慶應とぶつかり合うと思うので、より早稲田を背負う責任感っていうのは高まってるのは自覚しています。

伊藤 昔から伝統のある一戦だし、入学した時から早慶戦はみんな言ってるイベントだったので、去年までは慶應も2部でしたけど、今慶應は1部で早稲田が2部で、歴史的に見ても状況的に考えても負けられない試合だなって思います。

尾崎 去年までは、早慶戦っていうものをあまり知らなくて、実際に目で見て、準備とかしていく中で、本当にたくさんの人が関わってるんだなっていうのを去年初めて知って、去年は出られない立場で、裏で動いている人とかを見たので、今年は伝統の一戦でもあるし、裏で動いてくれてる人のためにも負けちゃいけない試合だなって思います。

 

ーー早慶クラシコに出場した際にここを見てほしいというプレーなどを教えてください
雨野 キーパーなので止めるっていう部分を良く見られますけど、キックで前にいる早い選手、例えば久米(MF久米遥太、政経2=東京・早実)とかに攻撃の糸口を作って攻守共に存在感を出したいと思っているのでそこを見てほしいです。

伊藤 自分は左足のキックとか、クロスでFWに強い選手がいるのでしっかり合わせてアシストしたりして、守備でもサイドで抜かれたりせずに競り合いでも一回も負けないくらいの気持ちでやりたいです。

尾崎 自分は守備の選手なので能力を活かしたカバーや競り合いの対人の守備のところ、攻撃も好きなので持ち運ぶところとか、コーナーから点を決めたりしたいという気持ちがあるので攻守両面で見てほしいです。

 

ーー早慶戦での見どころや注目選手を教えてください
雨野 注目選手は久米ですね。一人で打開する力を持っているのでそこは注目してほしいです。

伊藤 主将の山市選手(MF山市秀翔主将、スポ4=神奈川・桐光学園)です。本当に気迫溢れるっていうかパッションがすごくて、一人でボールを奪い切る力だったり一人剥がす動きもすごいですし、プロ内定もしていて大学トップレベルが見られると思います。

尾崎 自分は伊藤猛志さん(FW伊藤猛志、スポ3=ジュビロ磐田U18)ですね。理由は最近試合に出ていて、大事なところで決めてくれるし、練習とかでも点をかなり決めていて、自分もマッチアップをしててすごい嫌だなって思います。

 

ーー最後に早慶クラシコと後半戦に向けて意気込みをお願いします。
雨野 さっき攻撃について述べたんですけど、キーパーなのでまずは失点しないというのは守備陣と一緒に目標として掲げたいです。なので早慶戦は無失点で行くっていうところと、後期に向けては守備でゴール前で体を張るところとか個人としてはここぞの一本っていうところにこだわりたいです。

伊藤 自分も守備の選手なので、まずは無失点に抑えるというところと、サイドバックなので相手のウィングとの1対1で負けない、競り合いに負けないっていうところと、その前提の上でプラスアルファ攻撃参加でクロスからアシストとかでチームを助けていきたいです。

尾崎 早慶戦も後期のリーグも目の前の1試合1試合にこだわって、自分の長所をだしてゴールとか守備の部分で貢献していきたいです。

雨野颯真(あまの・そうま) 写真左

2006(平18)1月15日生まれ。185センチ。群馬・前橋育英高校出身。スポーツ科学部2年。安定したセービングで何度もア式のピンチを救ってきた。ムードメーカな彼が見せるセーブは早慶戦でもチームを助けるだろう

 

伊藤稜介(いとう・りょうすけ) 写真右

2005(平17)5月2日生まれ。176センチ。ジュビロ磐田U18出身。スポーツ科学部2年。左足のクロスからチャンスを生み出し勝利に貢献してきた。今年の大一番ではチャンスメーカーとなれるか

 

尾崎凱琉(おざき・かいる) 写真中央

2005(平17)年4月27日生まれ。186センチ。大阪桐蔭高校出身。スポーツ科学部2年。抜群の身体能力と高身長や強いフィジカルを持ち合わせたDF。優しい一面をもっており、今年の大一番では優しさとは裏腹に強さでア式の壁を担う!

 

(取材 和田昇也  編集 林朋亜)