日本選手権リレー 7月12~13日 岐阜メモリアルセンター長良川競技場
東京・国立競技場が熱狂に沸いた日本選手権から、早くも1週間。興奮冷めやらぬ中、岐阜にて日本選手権リレーが開催された。早大は女子4×100メートルリレー(4継)、女子4×400メートルリレー(マイル)、男子4×400メートルリレーに出場。女子マイル、男子マイルが決勝の舞台へと進んだが、男女ともに4位と、表彰台へ届かなかった。

松田にバトンをつなぐ河野
まず、1日目初めに行われたのは女子4×100メートルリレー予選。1走・上島周子(スポ3=東京・富士 )、2走・山越理子(人4=東京・富士)、3走・河野桃々(商1=京都橘)と、1〜3走までは、日本インカレ同様のオーダー。4走には大学入学後初の4継出走となった松田晏奈(スポ1=長崎日大)が入り、早大は2組7レーンからスタートを切った。1走・上島は組トップのリアクションタイムでスタートすると、トップスピードでカーブへ飛び出し、2走の山越に良い位置でバトンパス。山越はすぐ外側のレーンを走る選手との差を縮めていく。2走・山越から3走・河野へのバトンパスが滑らかに決まると、河野は勢いよくコーナーを回っていく。しかし、1レーンの甲南大、5レーンの立命館大の追い上げがすさまじく、最後のバトンパスは混戦に。アンカーの松田は3・4番手あたりでバトンを受け取り、懸命に力を振り絞る。結果は5着で、決勝には進むことができなかった。しかし、記録は46秒24と、早大歴代8位の好タイムでフィニッシュした。今年の主要大会はフレッシュなメンバーで挑んできた女子4継。成長曲線はまだまだ上昇中だ。来季以降、未知なる強さを秘めた早大女子4継の可能性に出会えることを心から楽しみにしている。

上島にバトンをつなぐ木下
女子4×400メートルリレー予選には、早大3組目に出場した。オーダーは1走から千葉史織(スポ2=宮城・仙台一)、清水奈々子(文構4=北海道・札幌南)、木下晏里(商1=徳島文理)、上島の順。1走の千葉から3・4番手でバトンを受けた清水奈が福岡大に次ぐ2番手へ浮上。3走の木下はほぼ同じタイミングでバトンを受け取った青学大に先行され、3番手につけるが大きく離されることなく、上島へつないだ。上島は走り出した直後に青学大を抜き、そのまま2着でフィニッシュ。早大は着順で決勝進出を決めた。まだまだ暑さが残る2日目の夕方に行われた決勝。予選からオーダーの変更はなく、千葉が7レーンからスタートを切った。1走の千葉は4・5番手で2走の清水奈につなぐと、清水奈はすぐさま3番手へ。メインストレートの直線に入り、順位を2つ落としたが、大差はなく、3走・木下へ託す。木下は必死に前を追いかけるが、1~3番手を走る大学とは差が開いていった。4番手争いが混戦状態でバトンは最終走者へ。上島は4番手に単独で出ると、表彰台ラインとの差を縮めにかかる。その差は詰まったものの、追い抜くことはできず、4位となった。タイムは3分39秒73で、早大歴代8位を記録した。

権田にバトンをつなぐ髙須
男子4×400メートルリレー予選では、早大は森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄)を1走に、髙須楓翔(スポ3=千葉・成田)、権田浬(スポ2=千葉・佐倉)、盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰)という盤石の布陣。森田はスタート後すぐにアウトレーンの選手を捉えると、勢い緩めずトップで髙須へバトンを渡し、髙須も積極的な走りでレースを展開した。2走・3走間のバトンパスではやや出遅れたものの、権田が200メートル地点通過後に再び先頭を取り戻す。バトンを受け取った盛岡は10メートル近くあるリードを維持したまま最終コーナーを回り、1着でゴール。早大は全体トップのタイムで予選を通過した。優勝だけを目指して臨んだ決勝。予選と変わらないメンバーで臨むと、全ての走者間において先頭でバトンをつなぎ、再び先行逃げ切りを図る展開へと持ち込んだ。4走を担う盛岡は、権田から渡されたバトンを1番手で持ち帰るために懸命な走りを見せる。しかし、4チームで形成された2位集団がじわじわと迫り、最終コーナー差しかかり並ばれてしまう。そのままラストスパートでも競り負けてしまい、悔しい4位。各自が最大限の力を尽くしたものの、またしても最終走者区間での逆転を許してしまった。
女子4継は予選敗退、男女マイルは4位という結果で終えた日本選手権リレー。関東学生対校選手権(関東インカレ)、日本学生対校選手権(日本インカレ)のリベンジを果たすことができなかったが、女子4継、女子マイルはともに早大歴代8位のタイムを記録し、収穫もあった。男子マイルも、「早稲田らしい先行するレースができた」(権田)ことは確かだ。各種目にメンバー入りをした4年生は1人ずつで、3人の後輩たちがそれぞれ残る。権田は「何かが足りなくて負けている状態が続いている。それをしっかりと見つけて、来年につなげられるようにしたい」と、レース後に話した。また1年、足りない何かを探す、険しい道のりが続いていく。ただ、その旅の先で、早大がつなぐのはーー歓喜のバトンに違いないはずだ。
(記事 佐藤結、髙杉菜々子 写真 佐藤結)
男子結果
▽4×400メートルリレー
予選(3組2着+2)
早大(森田ー髙須ー権田ー盛岡) 3分06秒42(3組1着) 決勝進出
決勝
早大(森田ー髙須ー権田ー盛岡) 3分05秒79(4着)
女子結果
▽4×100メートルリレー
予選(3組2着+2)
早大(上島ー山越ー河野ー松田) 46秒24(2組5着)
▽4×400メートルリレー
予選(3組2着+2)
早大(千葉ー清水奈ー木下ー上島) 3分41秒18(3組2着) 決勝進出
決勝
早大(千葉ー清水奈ー木下ー上島) 3分39秒73(4着)
コメント
権田浬(スポ2=千葉・佐倉)
--今大会のご自身のコンディションはいかがでしたか
日本選手権の1週間後ではありましたが、意外と悪くなく、むしろ良い方でした。この1週間は練習も良い感じで進めることができました。
--環境面はいかがでしたか
地方遠征はやはり難しい部分があると思います。そもそも移動で消耗する部分もありますし、今年は開催が夏季ということもあり、猛暑の中でのレースはアップの進め方等も難しいです。その中でもベストを尽くしていくのが大切で、氷や日傘などトレーナーさんやマネージャーさんなどサポートメンバーの支えに本当に助けられました。
--今回のメンバー編成の意図を教えてください
前半から先行していき、最後に逃げ切る、早稲田らしいレースを展開するためのメンバー編成でした。
--まず、予選のレースは振り返っていかがですか
全員非常にいい走りができたと思います。今シーズンのレースでは毎回オーダーやメンバーが入れ替わっているので、どのように取り組むかが難しい部分もありますが、早稲田らしいレースができたと思います。ただ全員さらにもう1段階上げられるという感覚は持っていたと思います。
--決勝前にはリレーメンバーの中でどのような会話がありましたか
必ず(優勝して)金のライオンメダルをゲットしようと話していました。
--決勝のレースは振り返っていかがですか
早稲田らしい先行するレースができたと思います。ただ結果としてはやはり悔しいですね。試合後、大前監督(大前祐介監督、平17人卒=東京・本郷)も仰っていたのですが、関カレ、日本インカレ、そして今回と、何かが足りなくて負けている状態が続いていると思います。そこをしっかりと見つけて、来年につなげられるようにしたいと思います。個人としては良い走りができたのではないかと評価しています。ただ、来年に向けてもっともっと成長していかなくてはならないなと思いました。
清水奈々子(文構4=北海道・札幌南)
--今大会のコンディションはいかがでしたか
日本インカレ以降練習をしっかり積めていたので、非常に暑い中ではありましたが自信のある状態で臨むことができました。
--まず、予選のレースを振り返っていかがですか
得意な前半で前に出ることができず、スピードに乗れなかったことが反省点です。しかし今シーズンはラストに失速する展開が多かったですが、予選では練習の成果もあって最後まで足を回せることができたと思います。
--決勝前にはリレーメンバーの中でどのような会話がありましたか
全員でライオンを勝ち取ろうと宣言し合いました。
--決勝のレースは振り返っていかがですか
200メートル通過地点で他大の走者に挟まれてしまい苦しい展開となりました。前半攻めの走りができたことは良かったですが、自分らしいレースが出来なかったことには悔しさが残りました。
--最後に、大学最後の日本選手権リレーが終わった率直な感想と、女子マイルの後輩選手への思いを聞かせてください
早稲田でバトンをつなげたことを幸せに思います。しかし私は臙脂(えんじ)に負けを許してしまいました。後輩達には、圧倒的な強さと威厳を誇る臙脂(えんじ)を再び蘇らせてほしいです。