日米大学選手権 7月8日〜13日 神宮球場ほか
2年ぶりの開催となった日米大学選手権。早大からは伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)と宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)の2選手が侍ジャパン大学日本代表に選出された。また、スタッフとして北嶋晴輝主務(スポ4=早稲田佐賀)も帯同。北海道・新潟・東京で全5試合を戦い抜いた。
第1戦 ES CON FIELD HOKKAIDO
日本6ー1アメリカ
今大会、松下歩叶主将(法大4年)が「5連勝」を掲げた大学日本代表。堀井哲也監督(慶大)は、初戦のマウンドに早大のエース・伊藤樹を送り出した。初回を無失点で終えた伊藤樹だったが、2回、先頭に死球を与えると、その後安打を浴びて1死一、三塁のピンチを背負う。次打者には三遊間に痛烈な打球を浴びたものの、これを松下主将が滑り込んで好捕。二塁、一塁と渡って併殺を奪い切り、一打先制のピンチを切り抜けた。
3回の守りを三者凡退で終えると、その裏に打線が4番・立石正広(創価大4年)の適時打などで3点を先制。援護点をもらった伊藤樹も、4回、5回と走者を背負ったものの、二塁は踏ませず、アメリカ代表に付け入る隙を与えない。6回に内野ゴロの間に1点を失った伊藤樹だったが、6回被安打4奪三振4与死球1自責点1と、盤石の内容で試合を作り、チームを勝利に導いた。

第2戦 ES CON FIELD HOKKAIDO
日本8ー1アメリカ
大学日本代表は、第2戦も序盤から牙をむく。3回に榊原七斗(明大3年)の適時二塁打で先制すると、4回には松下主将の適時二塁打、榊原の本塁打で4点を奪った。5回には大塚瑠晏(東海大4年)の犠飛、松下主将の適時二塁打で更に2点を追加し、一気に試合を決定付けた大学日本代表。各大学の主軸打者をそろえた強力打線が、存分にその威力を見せつけた。
大学日本代表の先発・中西聖輝(青学大4年)が6回被安打3奪三振8与四球5自責点1の投球でマウンドを降りると、7回には宮城が登板。先頭打者をスプリットで空振り三振とすると、次打者には高めの釣り球を振らせて2者連続三振を奪う。2死として打席に迎えたのはリッチ・チョロウスキー。世界最高クラスのプロスペクトに対してもフォークを低めに決め切った宮城。空振り三振を奪い、3者連続三振でマウンドを降りた。上々の大学日本代表デビューとなった。

堀井監督は、8回に毛利、9回に齋藤汰直(亜大4年)をマウンドに送り出す。両投手が危なげなく試合を締め、大学日本代表が8-1で完勝した。2連勝とした大学日本代表が、早くも日米大学選手権制覇に王手をかけた。
第3戦 HARD OFF ECO スタジアム新潟
日本2ー0アメリカ
舞台を新潟に移した第3戦、初回、2回を三者凡退で終えた大学日本代表だったが、3回に松下主将が右翼への適時打を放って先制。5回にも1死一、三塁の好機を作ると、松下主将が放った内野ゴロの間に三塁走者が生還し、追加点を奪った。
先発の毛利は初回、2回とピンチを背負いながらも切り抜けると、その後は盤石の投球。5回を投げて被安打4奪三振4与四球0自責点0の好投を見せた。毛利の後を受けた佐藤、鈴木も安打を浴びながらも三振を量産。共に2回を投げて4奪三振を奪い、アメリカ打線を封殺した。試合は2-0で大学日本代表が勝利。3連勝で日米大学選手権優勝を決め、大会初の3連覇を達成した。
第4戦 HARD OFF ECO スタジアム新潟
日本6ー5アメリカ
優勝を決め、メンバーを大幅に入れ替えて試合に臨んだ大学日本代表。2死満塁で打席には今大会初先発となった谷端将伍(日大4年)が入る。この場面で左翼への適時打を放った谷端は、3回にも適時打を放つなどこの日3安打3打点の大活躍。また、2回に松下主将が左翼席中段へ特大の一発を放つと、5回には共に今大会初先発の前嶋藍(亜大3年)の適時打、緒方漣(国学院大2年)の内野ゴロで2点を挙げるなど、12安打6得点の猛攻を見せた。
この日の先発は、第2戦の最終回に登板した齋藤汰直(亜大4年)。4回を投げて7奪三振を奪ったものの、2回に適時打と犠飛を浴びて2失点。確かな実力は見せたものの、不運な安打も絡んで得点を許す、やや不本意な登板となった。5回に登板した山城京平(亜大4年)が1死も奪えずに降板する中、櫻井頼之介(東北福祉大4年)が無死一、二塁でマウンドへ。ここをピシャリと抑えた櫻井は、続く6、7回を走者を背負いながらも無失点でしのぎ切る。
8回には宮城が登板。しかし、この日の宮城は制球に苦しんだ。先頭打者にストレートの四球を与えてしまうと、次打者こそ空振り三振に斬って取ったものの、その後もカウントを作ることができずに、安打と四球で1死満塁のピンチを招く。何とか粘りたかった宮城だったが、この場面でもストライクを取ることができず。3ボール1ストライクから左翼への適時打を浴び、走者2人が生還。その後、2死とした後にまたも四球を与え、再び満塁のピンチを招いたところで降板が告げられた。自身の持ち味を存分に発揮した第2戦の登板とは対照的に不安定な投球に終始し、2/3回被安打2与四球3自責点1という結果に終わった。

宮城の後を受けて登板した佐藤は圧巻のピッチング。2死満塁という絶体絶命のピンチでは場内表示で159㌔を計測するなど持ち前の球威を前面に押し出した投球で空振り三振を奪い、ピンチを脱出。最終回には犠飛で1点を失ったものの、最終打者を空振り三振に仕留めて試合を締めた。結果的に、6-5で大学日本代表が勝利。大会前から目標としていた全勝優勝に王手をかけた。
第5戦 神宮球場
日本6ー5アメリカ
伊藤樹は第1戦に続き、最終戦にも先発。慣れ親しんだ神宮のマウンドでの快投が期待された。しかし、初回こそ三者凡退で終える上々の立ち上がりを見せたものの、2回に適時打を浴びて1点を失うと、3回にも四球なども絡んで同点打を浴びてしまう。この日の伊藤樹は、3回を投げて2失点。連戦の疲れもあったか、本調子とはいかなかった。

伊藤樹と共に投手陣の軸として期待された中西も2失点を喫するなど、これまで通りの投球を見せることができなかった大学日本代表投手陣。それでも、打線が築いたリードをなんとか守り切り、6-5で接戦を制した。この日の勝利で大学日本代表は、2004年以来21年ぶりとなる日米大学選手権全勝優勝を達成。史上初の3連覇に花を添えた。
(記事 林田怜空、写真 林田怜空、飯塚咲)
※写真は早スポ野球班の公式X、インスタグラムでもご覧いただけます。
コメント
◆伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)
ーー今回の活動を振り返って
本当に良い経験が出来ましたし、練習含めてレベルの高い環境でプレーすることができました。
ーー特に刺激を受けた選手は
中西(聖輝、青学大4年)ですね。同じようなタイプの投手ですし、どのような意識を持って投げているのか、意見交換も出来て良い刺激を貰いました。
ーー本日の投球を振り返って
悔しいの一言です。こういった大舞台で試合を作れなかったことは僕にとってはとても厳しい状況だと思うので、この悔しさを大事に秋のリーグ戦も頑張ります。
ーー疲れもあるかと思いますが、秋に向けたプランをお聞かせください
もう一段階全体的にレベルアップして行かないと力のある相手には通用しませんし、もう一つ力強くなるために何ができるか考えていきます。
宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)
――5連勝で日米大学選手権を制しました。大会全体を振り返っていかがですか
終始投打で圧倒できたと思います。個人的には北海道ラウンドで良いピッチングができましたが、新潟ラウンドで少し悔しい結果になってしまいました。良い部分と悪い部分がどちらも出た大会だったと思います。
――ご自身がアメリカ代表相手に通用したと思う点、逆に課題と感じた点は
変化球の部分は自分自身も通用するなという手応えがありました。ですが真っすぐの力不足というものはアメリカ相手にあったと思います。そこは秋に向けて自分で上げていかなければならないと思うので、今後の課題になっていくと思います。
――リーグ戦に向けてこの夏伸ばしたい面を教えてください
もっと自分に自信をつけたいです。そしてこの期間で学んだ多くのことを、どんどん自分に落とし込んでいきたいと思います。