立ち上がりに苦しみ日本経済大に完敗 少数精鋭で戦い抜いた新人戦が幕を閉じた 

男子バスケットボール

第3回全日本大学新人戦 7月9日 東京・大田区総合体育館

 前日の試合ではわずか5人で関西大に勝利し、グループステージ突破へ王手をかけた早大。決勝トーナメント進出を懸け、1勝同士で並ぶ日本経済大との決戦を迎えた。試合は序盤の立ち上がりに苦しみ、0-19のランで開幕する苦しい展開。第2Qに反撃を見せて一時は5点差に詰めたものの、後半の入りに連続失点で再度引き離された。最後まで日本経済大の背中を捉えることができず、62-85で完敗。早大の全日本大学新人戦(新人インカレ)は幕を閉じた。

 「逃げのプレーが続いた」F藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)は試合後、第1Qを悔しそうに振り返った。早大がオープンショットを落とし続け、相手に連続得点を許す苦しい立ち上がり。ターンオーバーを連発した早大は開始6分間得点がなく、0-19のランという最悪のスタートとなった。G羽鳥景親(創理2=東京・早実)がオフェンスリバウンドとルーズボールから得点して相手の流れをくい止めるものの、第1Qは7-28の21点ビハインドで終了。クオーター間のベンチでは倉石平ヘッドコーチ(昭54教卒=東京・早実)による熱い指導がくり広げられた。

 すると第2Q、早大は生まれ変わる。この日チームハイとなる19得点を挙げたG木佐貫凌汰(社1=東京・早実)が反撃ののろしとなる3Pシュートを沈めると、藤山が驚異の4連続得点。ディフェンスでも本来の強度を取り戻し、留学生相手にもチーム全員で懸命にリバウンドをもぎ取った。このQで点差を14点縮め、32-39の7点ビハインドで前半終了。試合の行方は一気に分からなくなっていった。

フリースローを放つ木佐貫

 しかし後半、早大はまたもや試合の入りに苦戦した。いきなり3Pシュートを被弾すると、相手のトランディションについていけない時間が続く。集中力を増した相手のディフェンスを前にターンオーバーも相次ぎ、点差は再度20点を超えた。わずか5人の選手たちは万全なコンディションと言えない中、休むことなく二日連続でフル出場。少数精鋭でも懸命な戦いを続けてきた早大であったが、もう反撃の力は残っていなかった。第4Qは互角の戦いをで食い下がった、62-85で敗戦。試合後に藤山は「最後にああいうプレーしてしまったら、今まで積み上げたものが一気になくなってしまう」と唇を噛んだ。

パスを出す藤山

 最後の試合こそ悔しい結果となったが、関東大学新人戦からここまで全7試合を戦ってきた新人戦は数多くのドラマにあふれていた。記録的パフォーマンスを見せたF松本秦(スポ1=京都・洛南)の衝撃。まさかの結末となった帝京平成大戦の劇的勝利。絶対的エースを欠き、選手5人ででつかみ取った山学大戦、関西大の白星。人数の余裕が一切ない危機的状況ながら躍進を続けた早大の若武者は、新人戦の歴史と見る者の心に確かな爪痕を残したと言えるだろう。次なる公式戦は8月末に開幕する関東大学リーグ戦。どの大学よりも濃密な新人戦を戦い抜いた選手たちが、今度は関東1部のコートで躍動する姿に期待したい。

(記事:石澤直幸 写真:高津文音)

第3回全日本大学新人戦 7月9日(vs日本経済大)

 1Q2Q3Q4Q合計
早大25121862
日本経済大2811301685

◇早大スターティングメンバー◇

#8 G小泉広翔(商2=京都・東山)

#9 F藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)

#10 F今村優志(スポ1=東京・東海大高輪台)

#24 G木佐貫凌汰(社1=東京・早実)

#26 G羽鳥景親(創理2=東京・早実)

 コメント

藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)

ーー攻守でチームを引っ張る活躍を見せました。試合全体を振り返って

 得点やリバウンドはチームの中では取れていたと思いますが、ここまでの試合では入っていて、今年は自信を持っていた3Pシュートをあまり決めることができませんでした。そこで流れが相手に行ってしまったと思うので、そういうところで自分の責任は大きいと思います。チームとしては自分たちはサイズがないので、リバウンドのボックスアウトのところを意識しようとしていました。それでもあまり徹底できていなくて、そこで点数を取られてしまいました。あまりチームとして早稲田のプレーを体現できてなかったのかなって。結構反省というか、そういうところが大きいです。

ーー第1Qの入りで大きく離されてしまいましたがその要因を挙げるなら

 相手のサイズに臆してしまって、自分たちの攻め気が足りませんでした。逃げのプレーが続いて、相手に「自分たちができる」と思わせてしまったことが点差が開いてしまった要因かなと思います。

ーー第2Qは早大が良い流れでプレーしていました。その要因は

 第1Qが終わった時に倉石さんから「もっと攻めろ」ということを言われました。アタックで点を決めたり、リバウンドも絡むことができて、相手に流れを渡さなかったことが点差を詰めることができた要因かなと思います。

ーー関東新人戦から合わせると全7試合を全てフル出場しました。大会全体を振り返って

 個人としては、リバウンドは全試合を通してよく取れたのかなと思います。それでもシュートの波とか、体のコンディションという課題がありました。この新人インカレが1番大切な試合でしたが、そこで自分の最大限のプレーができなかったことが悔しいと思います。チームとしては5人という少ない中でここまで来れたことは、胸を張ることができることだと思います。よくやったと思いますが、最後の最後であのようなプレーをしてしまったら今まで積み上げてきたものが一気になくなってしまうと思います。これからはまたAチームとBチームに分かれての活動になると思いますが、その中で自分たちのスキルアップとか、体を強くしたりすることに励んでいきたいと思います。