【連載】ラクロス部 関東学生リーグ戦前特集『CHASE VICTORY』第1回 AT水野文萌×AT八澤百子

特集中面

 第1回は、AT水野文萌(創理4=埼玉・早大本庄)、AT八澤百子(スポ4=東京女学館)のATコンビ。チームを勝たせる活躍が期待される2選手に、ラクロス部での4年間を振り返って頂きながら最後のリーグ戦に向けた思いを伺った。

※この取材は6月3日に行われたものです。

笑顔で質問に答える選手たち

――まずは、お互いに他己紹介をお願いします

水野  4年の八澤百子さんです。コートネームはももで、ポジションは同じなんですけど、アタックです。私生活でいうと、よくドラマを見ていたり、就活も終えて、またバイトに励んでいます。すごく家族と仲が良くて、弟さんとすごく仲が良いというのが、私と違ってなんかいいなと思っています。 プレーとしてはショットを決める役割が多かったり、フィジカルの強さを活かした1on1が特徴的で、その今年のアタックのキーポイントとなる選手だと思います。

八澤 4年の水野文萌さん、コートネームはノアです。同じアタックで、彼女はラクロスをしている時としてない時で結構別人です(笑)。まあ基本はラクロスの人で、していない時はずっとNetflixを見てます。しかもそのスピードもすごくて、この間はドクターXも全部見終わったみたいで、いつ見てるのかなみたいな、ちょっと疑問です。基本プライベートの時も多分ずっと頭の中にラクロスがあって、ラクロスをするとなったら戦術幹部などの役割があるので、練習を引っ張ってくれます。あとはアタックの要というか、エースとして今シーズン始まってから大事なところでたくさん得点を決めてくれて、本当に頼りにしている選手です。

――ラクロス部に入ったきっかけは何ですか

水野 私は付属校なんですけど、高校の同じ部活だった先輩がラクロス部に入っていて、そこでラクロスという競技を知りました。「これ」って決めたら、それ以外の選択肢がなくなるタイプなので、来た時にはここに入るんだっていう謎の錯覚を起こしてしまって、ここなんだろうなって直感的に思って入りました。

八澤 私は、大学で何かスポーツは絶対やりたいなって思って、体育会で大学から始められるものは限られているので、そこの中で最初にそのラクロスが浮かびました。タイプが本当に一緒なんですけど、1回体験に来たら、もうここだって思っちゃって、1番目(水野)と3番目とかで誰よりも早く入って、気づいたらラクロスをやっていました。

――4年間をともに過ごされましたが、お互いの最初の印象などは覚えていますか

水野 百子はちょっと分かんないですけど、結構同じな感じはして、お互い人見知りだし、負けず嫌いだしってところがあって、最初私たちが思っている初期メンが4人くらいいたんですけど、本当一言も話したことが数週間なかったです。人見知りが発動していたんだと思います。本当に喋らない子、私もお互いなんですけど、大丈夫かなという感じでした。

八澤 今よりも髪色がちょっと明るくて、前髪もなくてみたいな感じだったんですよ。だから最初は結構陽キャなのかなみたいな感じで。私は本当に人見知りだから、私よりも(水野が)ちょっと早く入ってて、もう上手くて。まだクレードルとかも出来ないのに、ネットにすごい向かってて、もうどうしようって。そんな感じで人見知りを発動しちゃって、話しかけるのに数週間かかったんですよね。だから、第一印象はあんまり良くないとかなと思います。

水野 あんまり良くないよね(笑)。

――今の関係性になったのはいつ頃からですか

水野 まず、カテゴリーが長い間ちがって、結構私はトップでやらしてもらってて、でも百子はずっとサブの中心メンバーとしてやっていました。これが2年生まで続いて、同じチームでラクロスをやったのがちょうど1年半前ぐらいだったから、そこからラクロスもプライベートも親密な関係になったなって思います。2年までミッドフィルダーだったんですけど、アタックになって同じポジションになったので、本当に特別長くいる気がします。

八澤 去年からだね。私は2年生までずっとサブチームでやっていて、(水野は)トップでやっていたからもうリーグとかも出ていて、普通に話す機会もないというのはありました。でも3年生になってからはポジション一緒で、チームも一緒になって話す機会も増えたし、4年生というのを見据えた時に、一緒にやっていく同じポジションの同期だっていうところもあったので、そういったところから結構話すことが増えたと思います。

対談中の水野

――アタッカーになった経緯を教えてください

水野 私は本当は1年生からミッドフィルダーでやりたくて、走るのも苦手ではないからコートを走り回りたいなとか、ディフェンスもオフェンスもどっちもできるし、関われるから本当はそっちでやっていきたかったです。ですが自分の強みを考えた時にアタック1本に絞って、チームの攻撃の面で支えられたらなって思ったのでアタッカーになりました。

八澤 私は1年生の新人戦からずっとアタックで出ていました。でもディフェンスも一応頑張りつつ、ちゃんとなったのは2年生になってからです。正直、ディフェンスあんまり得意じゃなかったというのはあるんですけど、ゴール裏から攻めるアタックのプレーが好きだったし、自分の強みかなというところがあったので、そういうところを活かすためにもアタックになった方が自分の強みを出せるんじゃないかなって思って、結構早い段階でアタックにしました。

――お互いのプレーの魅力は何だと思いますか

水野 百子の魅力って言ったらやっぱりゴール裏からの攻めが本当にすごいなって思っています。これまで早稲田はゴール裏が使えていなかったり、うまく活用できていなかったところを、今年は裏の起点から始めるアタックだったり、百子とか、アタックのメンバーがそれができることによって攻撃の幅が広がってるので、裏からの攻撃が魅力的だなって思います。あと最後のショットもダイナミックにバンって打つから、会場も湧くし、百子がショットするとみんなが「わー」って盛り上がる感じがすごいいいなと思うので、百子は裏からの攻撃と最後のショットのところが魅力的だなと思います。

八澤 ノアのプレーの魅力は、アタックとして起点になる1on1の強みはチームの中で誰よりもあるんですけど、そこに留まりません。しっかり視野が取れていたり、あとは逆にノンボールマンの時もボールマンに合わせてカットしたりしています。ノアがそのセットにいるかいないかで結構変わってきちゃうというくらい、エースとしていろんな役割をしてくる。そういうアタックとしてのオールマイティーさがあります。あとは、2年生までミッドフィルダーをやっていたというのもあるので、ライドがすごい上手いなって思っています。ライドも今年チームとして強みにしていきたいという風に思っているんですけど、そこはアタックの中でも頭1つ抜けて上手いので、ライドの面で奪うことも出来るというところはすごく魅力だなと思います。

対談中の八澤

――昨シーズンは創部史上初の全国制覇を果たしましたが、率直にどんな1年間でしたか

水野 今思っていることと去年思っていたことが全然違うなって印象があります。去年1年間で思っていたことは良い方向しかなくて、史上初がいっぱい続いたり、自分も得点に色々絡んでたり、組織で色々なことに悩みながらもいい方向に全部進んでいきました。日本で一番いい形で終わっているシーズンなので、それは本当に率直に良かったなというか、良いシーズンだなって去年は思っていました。今年は、去年が優勝だったからプレッシャーがあると最初の方は思ってたんですけど、今はそのプレッシャーとかっていうよりは、チームがどうしたら日本一になれるんだろうという方が強いです。今年とのギャップというわけではないけど、まだシーズン序盤だから、うまくいくこともいかないことも結構半々くらいであって。上手くいかない方に目が行ってしまうからこそ、昨シーズンがなんであんなに上手くいっていたんだろうっていう気持ちが強いです。

八澤 私は、個人的な目線になっちゃうんですけど、去年は日本一を人生で初めて取れたので、そういう経験ができたことが率直に嬉しかったです。あとは、初めてリーグ戦やトップチームの試合に出ることが出来たので、そこで成長できた部分は大きいのかなと思います。でもアタックの先輩の層がすごい厚かったので、そこを超えるというのがなかなかできなくて、試合をベンチで見ている時間が長いという悔しさもありました。個人としてはやっぱりこの3年間の中では一番成長できたシーズンなのかなとは思います。

――昨年のチームの強みは何だったと感じていますか

水野 プレー面での強みはやっぱりスピードとか身体能力が高い選手が多かったので、他のチームにはないフィジカルとかスピードで勝つというのが去年の強みだったかなって思います。

八澤 オフェンス面で言うと、得点をとれる選手がたくさんいたのかなって思っていて。アタックもミディーもスタメンで出る選手だけじゃなくて、途中から出てくる選手も点を取っている選手が多かった印象があるので、そういう層の厚さみたいな部分が昨シーズンの強みだったかなと思います。

――ここまでのシーズンについて伺います。新体制になって先輩が抜けたときのチームの感触はいかがでしたか

水野 率直に言うと、チーム始動がまず2月っていうところで、まず他のチームよりも何ヶ月も遅れを取っている焦りとかはすごくありました。去年も4年生が中心となって出ていたところがあって、今年は試合慣れしてない選手が多かったり、下級性が中心になっていたり、そこら辺ののバランスが結構難しかったです。やばいな、大丈夫かなって、自分にも不安だったし、チームとしても勝てるかなみたいな不安は最初の頃すごいありました。

八澤 自分自身も昨シーズンはそんなに試合に出ていたわけじゃないのに、さらにその下級生とか、初めてトップチームに上がるような選手が結構多かったので、自分にもまだ自信とかがない中で引っ張っていく立場になるという不安とか焦りが大きかったです。全然今もあるんですけど、そういう焦りみたいなものが、シーズン始まった当初は一番大きかったかなと思います。

六大戦でプレーする水野

――六大戦全体を振り返っていかがですか

水野 六大戦はチーム始動から1か月というところでの試合だったので、戦術っていうよりは、個人がどれだけ成長できるかっていう場だったかなって思っています。チームとしては結果的には例年と同じ位置で終わったというか、4位とかで、毎年同じ感じなんですけど、そこで今シーズンの課題がいっぱい見えたなっていう六大戦でした。

八澤 結果としては、やっぱり強いって言われるような大学には、あと1歩のとこで勝ちきれなかったところがあったりしたんですけど、シーズンが始まってから1ヶ月ちょっとで迎えた大会としては、下級生とかも積極的に試合に出て、実際にリーグ戦で当たるような大学と実際に試合して、経験とか相手のレベル感みたいなのを知れたという意味では、すごく意味のある大会だったなと思います。

――早慶戦へ向けて個人・チームで何に取り組まれましたか

水野 戦術が個人技に加えて入ってきたというのはチームとしてあって、しっかり各局面で戦術をもとにやっていました。それでも時間的制約もあったし、そこで詰めきれないまま早慶戦に挑んでしまったなという感覚もあります。でもチーム感、トップチームだけではなくて、早稲田としてのチームとして団結できた早慶戦だったのかなと思います。

八澤 チームとして意識したこととしては、六大戦までは個人技術みたいなところを磨いて、それは継続しつつも、人数を増やした攻め方だったりとか、あとはフルコートの攻撃と守備というところにも注力して早慶戦に挑みました。そこはまだリーグ戦に向けてもっと磨いていく部分ではあると思うんですけど、チームの仲間でコミュニケーションを取るというところは、できる限り意識しました。

早慶戦で得点を挙げ、喜ぶ八澤

――その早慶戦を振り返っていかがですか

水野 結果として負けてしまったのがまず第一にすごく悔しいのと、逆にこのチームで戦う感覚というものが分かったなと思います。正直言うと早慶戦は自分にも自信がなかったし、自分もチームを信じきれない部分が大きかったです。それでも早慶戦を通して、このチームで今年戦っていくんだっていう覚悟や、楽しみだなみたいなそういう感覚、やってやるぞって思えた早慶戦だったかなと思います。個人としては、早慶戦は今まで3回プレイヤーとして出ているんですけど、一番悔しかったです。過去に戻ってやり直したいなと、いつもは思っていたんですけど、今年はもうやりたくないって思うくらい苦しかった早慶戦でした。この苦しさとか悔しさは絶対リーグで晴らしたいと思っています。

八澤 私個人としては早慶戦でフィールドに立つというのは初めての経験だったので、そういうところに立てたのが自分としては嬉しかったです。でも実際その試合に出る中で、後半になるにつれて、特に4クオーターで逆転された後の自分自身の決定力や判断力は、まだまだ甘さがあると痛感しました。負けてはしまったんですけど、責任感みたいなものを改めて感じられるいい機会になったので、決してこの経験を無駄にしないでリーグに繋げていきたいなっていう風に思いました。

――全国制覇・連覇に向けて足りていないと感じる部分はありますか

水野 一言で言うと得点力かなと思っています。今年はルールが変わったりして、去年よりもとにかく得点を重ねられれば勝てるゲームになるのかなと思います。今の私たちに足りてないのはオフェンス面の決定力だったり、攻撃力かなと思うので、そこをあと1ヶ月、開幕までの1か月で成長させていきたいです。

八澤 ここまで半年くらいこのチームでやってきて、それなりに信頼関係は築けてはいるけど、どう攻撃していくかみたいな共通認識がまだお互い分かりきってないところが試合や練習でうかびあがってきます。お互いを良い意味で信頼しつつ、最終的にどういう形で点を取るのか、そういうコミュニケーションみたいなものがまだ課題だなと感じています。リーグ戦に向けてはそういうコミュニケーションを取って、得点を取るために最終的にどうしたいのかという共通認識を取れるようにしていきたいです。

――リーグ戦の注目選手を挙げるとすればどなたですか

水野 難しいな(笑)。アタックのメンバーみんなに注目して欲しいです。大体他の大学のスカウティングをしていても、「この人ね」というのが分かるんですけど、私たちは去年と全く違うメンバーが出ているので、多分初めましてばっかりで。だからこそ、意表を突く攻めだったり、華麗な攻めをやっていきたいなと思います。

八澤 私は1人挙げますね(笑)。やっぱり下級生の勢いがあるチームなので、2年生のせん(MF野田千裕、政経2=埼玉・早大本庄)を挙げます。彼女はいい意味で空気を読まないプレーをしてくれる選手で、それこそ早慶戦でも先制点を取ってくれました。やっぱり上級生になるにつれて、責任感とかを感じちゃって、色々考えるとかがあるんですけど、下級生の良さというものを存分に出してくれる選手だなっていうのがすごくあります。でもそういう勢いだけじゃなくて、ちゃんとアタックで点が取れたりとか、ディフェンスの耐久力みたいなところもあるので、彼女が活躍することで、リーグ戦にいい影響があるのかなと思います。

――最後にリーグ戦に向けて意気込みをお願いします

水野  チームとしては、本当に迷いなく日本一を目指していきたいし、日本一になるので、そこの軸はぶらさず、日本一になるための組織作りはもっと必要だと思うので、早稲田という1つのチームで日本一になっていきたいです。個人としては、もう色んな迷いがあったり、色んなことを考えてる時期だったりするんですけど、もうやるしかないというか、自分が勝たせることができると思うので、チームを勝たせるために戦術も考えるし、得点とかではなく、とにかく勝つために私が何かをしていければなと思います。

八澤 1回試合が始まったら、すごいスピードで進んでいくと思うので、まずはそこに向けて万全の準備をして臨みたいと思います。あとは、リーグ戦が始まってからも、試合ごとに課題が出たり、出来たところがあると思うので、毎回毎回成長して、自分たちの自信につなげていくことで、学生王者・連覇を達成したいなと思います。個人的には早慶戦の時とか、すごい後悔するような自分のプレーが何個かあったので、そういう思いをしたくないです。アタックとして、チームを勝たせるために得点が必要になってくるので、そこはしっかり責任感を持って、熱く戦いたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 辻岡真波 写真 長屋咲希)

◆水野文萌(みずの・あやめ)(※写真左)

埼玉・早大本庄高等学校出身。創造理工学部4年。家でも頭の9割がラクロスだとという水野選手。ラクロスのことを考えないようにするため、Netflixを見ているそうです!

◆八澤百子(やざわ・ももこ)

東京女学館高等学校出身。スポーツ科学部4年。本を読むのにハマっているという八澤選手。おすすめのミステリー小説は、宮部みゆきさんの「模倣犯」だそうです!