第60回全日本学生女子王座決定戦 6月14・15日 静岡・つま恋リゾート彩の郷
アーチェリーの大学日本一を競う全日本学生女子王座決定戦が聖地・つま恋で開催された。早大女子は14日の予選ラウンドを5位で通過すると、15日の決勝ラウンドでは、準々決勝で強豪・同志社大をシュートオフで下し、準決勝も突破。昨年に続き挑んだ決勝で日体大と対戦。一進一退の接戦となったが、第4エンドを1点差で勝ち取り、6-2で勝利した。創部初となる王座制覇を果たし、歓喜に沸いた。

王座制覇を果たし、笑顔の選手たち
14日の予選ラウンドは4人が72射を射ち、上位3人の合計点で順位が決まる。それにより決勝ラウンドのトーナメントが組み合わされる。早大は渋谷樹里女子主将(スポ4=エリートアカデミー)、髙橋梨杏(スポ3=神奈川・横浜)、浅田陽香(スポ2=東京・昭和)、五関晄子(スポ1=エリートアカデミー)の4人で挑む。雨の降る中、渋谷は641点と高得点で予選を全体1位で終え、五関が14位、髙橋が27位、浅田は大学から始めたメンバーながら10点に12回中てる活躍を見せ33位となった。早大は1852点を獲得し、4位で翌日の決勝ラウンドへ臨む。

予選ラウンドで行射する浅田
決勝ラウンドは予選ラウンドの上位3名が出場し、5ポイント先取のセット戦となる。渋谷、髙橋、五関が出場し、浅田はスコーパーとして参戦した。東北大との1回戦に問題なく勝利し、準々決勝で当たったのは昨年3位の同志社大。第1セットを先取されるも一進一退の攻防を見せる。第4セット終了時点で4-4の同点となり、勝敗はシュートオフで決することとなった。3人が1射ずつ射ちその合計点で勝敗を決める緊張の場面だが、早大は全員が8点を射ち3点差で同志社大に勝利。「それぞれができることをやりつくした一射ができた」と渋谷女子主将は振り返る。立教大との準決勝は第1、第2エンドを同点で終え接戦に。しかしいつも通り射つことを意識し、「思い切り射てた」という髙橋の言葉通り、第3、第4エンドは立教大に大きく差をつけ6-2で快勝。決勝へと駒を進めた。

試合前、気合を入れる選手たち
昨年は決勝で敗れ2位に終わり、悲願の王座制覇は持ち越しとなった早大。先輩たちが目指してきたが、一度も果たすことのできなかった王座制覇に向け、日体大との決勝に挑む。第1セットでは渋谷女子主将が9点と10点を射つ活躍で勝利するが、第2セットは点数を伸ばしきれず敗北。しかし続く第3セットでは渋谷、髙橋が10点に中て、51-46と大差で勝利をつかんだ。第4セットを獲れば早大の優勝が決まるが、先攻の日体大が51点の高得点で早大にプレッシャーをかける。緊張の場面だが、ここでも早大は持ち前の明るさを忘れず笑顔があふれた。第4セット、1人目の五関が9点に2回中て良い流れをつくり、髙橋も安定して8点に中てる。残るは2射、あと18点取れば早大の優勝が確定する。命運を託された渋谷女子主将の1射目は8点。「最後はどこに飛んだとしても、自分の満足できる思い切った射ち方ができるように」と思いを込めた2射目を見事10点に中てた。1点差で第4セットを獲得し、早大は創部65年目にして初となる王座を手にした。選手たちはガッツポーズをして抱き合い、応援に駆けつけた部員たちの歌う「紺碧の空」がつま恋に響いた。

1番手として臨んだ五関

経験を活かし、2番手でチームを支えた髙橋

主将としての意地を見せた渋谷

優勝が確定し、抱き合う選手たち
「王座で優勝することだけを目標に」練習してきたと語った渋谷女子主将。1、3年生では2位に終わったが、最後の年にその悔しさを晴らした。「王座準優勝までしか行けなった早稲田の壁を破れた」とうれしさをにじませる。来年が最後の王座となる髙橋は、「終わりではなくスタート」と語り、2連覇に向けて思いを込める。創部初の優勝を手にし、早大アーチェリー部は新たな歴史をつくった。しかしそれに満足することなく、さらなる目標に向け一丸となり、再びその歩みを進めていく。

優勝に歓喜する、応援に駆け付けた選手たち

表彰式後の選手たち
(記事 神田夏希、写真 飛田悠那、神田夏希)
結果
▽予選ラウンド
渋谷 641点 1位
五関 616点 14位
髙橋 595点 27位
浅田 578点 33位
早大 1852点 4位
▽決勝ラウンド
1位 早大
コメント
渋谷樹里(スポ4=エリートアカデミー)
――優勝して今の気持ちは
これまで王座で優勝することだけを目標に部活としては動いてきたので、それを達成できたというのは素直にうれしいです。
――1,3年生では準優勝、今年4年生で3度目の正直を果たした形ですが、思いは
これまでの王座は先輩たちについていく、先輩達のために、本当にチームのために中てるんだという一心で頑張っては来たんですけど、やっぱり自分自身に頼りないところはあって。私は最上級生として、メンバーもみんな学年が違くてみんな学年が下なので自分がしっかりしなきゃいけないし、チームの雰囲気とかいろいろ考えながら進められたので濃い試合だったと思います。
――同志社大戦はどのように勝ちきりましたか
風が少しあったのもあって、中てるというよりはいかに攻めるかというところをチームで話し合って声掛けも大事にしていて。みんな8点ではあったんですけど、それぞれができることをやりつくした一射ができた試合でした。
――予選ラウンドは1位通過でした。振り返って
ここ3,4日がすごく感覚が良くて、ただテンポよく射てば中たるような感じがしてたので、ルーティンみたいなことを意識して試合に臨んでいました。でも雨が降ってたので、怖いものなしというか、攻めの気落ちで最後まで行けたのは良い点を取れた要因だと思います。
――対談でミスが大きく響いてしまうことが課題だとおっしゃっていましたが、試合ではどうでしたか
ミスはなかったとは言えないし、大きなミスは自分もしてしまったんですけど、それ以上にカバーできる空気感というか、つくってきたチームの雰囲気が試合で出せたので、それが勝てたポイントというか。良いチームでした。
――最後は渋谷さんの10点で優勝が決まりました。6点を射ってしまう場面もありましたがどのように立て直しましたか
決勝で弱気になって、怖くなってミスしてしまうのは自分も嫌なので、最後はどこに飛んだとしても、自分の満足できる思い切った射ち方ができるように、真ん中だけ見てしっかり強く射ちました。
――ほかのメンバーとはどんな声掛けを
一番声掛けで多かったのは「笑顔で」ということでした。私自身が中学校とかずっとアーチェリーをしてきた中で、いろんな人から笑顔、笑顔といわれてて、自分が笑顔で試合を進められたときは気持ち的にも前向きにできましたし良い結果が得られることが多かったのでそれをメンバーにも共有して、勝ち進められるようにということを意識してました。
――次の試合への意気込み
次はインカレ(全日本選手権)なんですけど、それぞれの試合が本当に最後なので、自分として満足いくように、思い切って自分の出し切れるものを出し切って試合できたらと思います。
――後輩の皆さんにメッセージをお願いします
王座準優勝までしか行けなった早稲田の壁を今年破れたと思うので、これからどんどんその壁を広げていって、今度は男女で王座制覇してくれることを期待してます。
髙橋梨杏(スポ3=神奈川・横浜)
――優勝して今の気持ちは
うれしいです。本当にうれしい限りです。
――三度目の王座でしたが、思いは
1年生の時結構良い状態で王座に出て、自分のミスで3決に進むことになってしまって。3決でも大きなミスをしてしまって、調子は良かったけど本当に悔しい思いで終わってしまってしまいました。それを晴らそうという強い気持ちで、1年生の王座の後から調子悪くなっちゃったんですけど、辛かった時期を乗り越えて迎えた去年の2回目の王座は決勝に行くことはできたけど満足のいく結果にはならず、2位で終わってしまって。本当に今回3度目の正直ということもありましたし、3年連続で王座選手になれたというプライドもありました。今の4年生は一番お世話になった先輩たちですし、最後ということで、お世話になった4年生と、高校生の時からお世話になった遠藤監督に最高の贈り物として、優勝をプレゼントとして王座制覇して恩返しできたらなと思っていたので、それがかなえられたのが良かったと思います。
――ゴールドメダルマッチでは高得点を射っていましたが、チームではどんな声掛けを
行射中も座ってる時も、みんなで「いつも通りでいい」って言ってて。練習の時から射ってる点数が射てれば勝てる感じだったので、雰囲気も早稲田一色だったと思いますし、いかに自分たちのいつも通りを発揮できるかというのを声掛け続けてたかなと思います。
――同志社大戦はシュートオフまでもつれこみましたが振り返って
緊張しました!(笑)1年生の時の王座で同志社には準決勝で負けてるので、やっぱそこもちゃんと勝ち切らないといけないし。私は今回の王座も、メンタル的にも点数的にも万全の状態ではなかったので、緊張しました。「シュートオフかー、取りきれなかったなー」と思ってました。
――立教大戦は最初接戦でしたが、どう勝ち切りましたか
同点だった点数もいつも通りだったら絶対にとれてたので、点数を見ても「いつも通りだったら全然勝てるね、大丈夫」と最初から最後までずっと貫いていたので、それで勝ち切れたのもあると思います。途中から私もやるしかないと思って思い切り射てたのでそれもよかったと思います。
――最上級生になりますが、来年の意気込みをお願いします
今年王座制覇は叶ったんですけど、それで終わりではなくスタートだと思うので、幹部代は女子が私しかいないので、責任をもって私が引っ張っていって、2連覇して後輩たちに良い雰囲気をつなげられるように、今の良い状態、雰囲気を65代として1年間もっともっとレベルアップしてここに帰ってこれるように、毎日みんなと一緒に、誰も置いていかないように頑張っていきたいと思います。
浅田陽香(スポ2=東京・昭和)
――優勝してどんな気持ちですか
私は後ろからスコーパーとして応援していたんですけど、初めての全国大会という舞台で素晴らしい景色を見せてもらって本当にメンバーのみんなに感謝したいです。
――初めての王座は
緊張はしたんですけど、それよりもこの1年間頑張ってきたので、緊張しつつも自分の中でここは決めて強く射つというのを目標にして挑んだんですけど、ちゃんとその目標を意識して射てたというところが一番良かったかなと思います。
――予選ラウンドを振り返って
前半は集中力も高くて勢いであまりネガティブなことを考えず射ち続けられてよかったです。でも後半は天気とか、良い点出せるかもと自分にプレッシャー懸けてしまったこともあって、私的には悔しい結果になったので、もっと頑張ろうと思いました。
――決勝ラウンドは、スコーパーとしてどんな気持ちで臨みましたか
樹里さん、梨杏さん、晄子なら絶対勝ってくれるだろうという安心した気持ちで、とにかくはらはらというよりは楽しむことができて、ずっとかっこいいなと思ってみてました。
――後ろでどんな声掛けを
勝ってるエンドでも負けてるエンドでも、「ナイスショット!」って明るく盛り上げるということを意識してました。
――今後の意気込み
樹里さんというエースが引退されてしまって、女子は梨杏さんを筆頭に私も先輩として、点数面でもチームの雰囲気も引っ張っていかなくてはいけないと思うので、ここで見つけた課題を今後も意識して練習して、来年も王座に出場できるように頑張りたいと思います。
五関晄子(スポ1=エリートアカデミー)
――優勝した今の気持ちは
最高にうれしいです。
――初の王座は
緊張するのかなと思いきや、全部が初めてというのもあってワクワクしました。逆に緊張感なくて、楽しみが勝っちゃって、全部の試合に楽しく臨めました。
――1番手でしたが
私的には気持ちを楽にして射てるイメージがあったので、自身をもって射てました。
――予選ラウンドは
自分の納得のいく点数ではなかったですが、団体戦につなげられるように射つリズムを早くしたりとかちょっとした工夫はして、予選にとらわれないで決勝ラウンドで力を発揮できるようにという気持ちで射ってました。
――同志社大との試合ではシュートオフにもつれこみましたが
正直あれは緊張しました。緊張したんですけど、自分一人の緊張というよりも、アーチェリーは団体戦があまりなくて基本一人の試合なんですけど、1人の緊張と団体戦の緊張ってちょっと違って、1本しかないからやるしかないみたいな感じだったので、緊張しつつ悔いのないように自信もって射とうみたいな感じで、みんなで力を合わせて射った一射ずつだったかなと思います。
――最後の日体大戦は
緊張はあまりしてなくて、感覚的には、うまくいくような感覚でもなく大外しするような感覚でもなく、ふわふわしたような感じで。正直バシッと決められなかったんですけど、3人で楽しめたし、浅田さんもサポートしてくれたので、チームワークが一番よかった1試合だったと思います。
――今後の意気込み
もちろん2連覇狙って頑張っていきます。次は2年生になって後輩も入ってくるということで、引っ張っていけるようにアーチェリーでも人間としても成長していきたいと思います。