北海道で春の早慶戦 前半にリードを奪った早大が逃げ切った

ラグビー男子

招待試合 5月25日 対慶大 北海道・札幌月寒ラグビー場

 5月の終わりとは思えない冷たい雨が降りしきる北海道・札幌月寒ラグビー場で春の早慶戦が行われた。早大は新鮮な顔ぶれで臨んだ今試合だったが、慶大の守備が整う前に得点を一気に追加し、3本の連続トライを挙げた。重なる反則で1トライを返されたが、巧みなキック戦術でスコアを伸ばすと26ー7で前半を終えた。後半は開始から中盤での攻防が続き、少しずつ慶大を押し込みつつあった早大だがアタックのミスで一気に陣地を奪われ、そのままトライを献上。雨の中でのプレーに苦戦しつつも、流れを渡さなかった早大は前半のリードを守り切り、33ー14で春の早慶戦を制した。

ラインブレイクするFL野島

 早大は2分、ラインアウトのアタックからFL野島信太郎(教3=東海大大阪仰星)がゲインすると、攻撃を加速させて慶大陣内に襲い掛かる。SO田中大斗(教2=東京・早実)からフラットなパスを受け取った野島がインゴールまで走り切り、早くも先制のトライを挙げた。続く5分、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)の力強い前進から積極的なアタックを仕掛けた早大は田中大からの正確なクロスキックを取ったWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がインゴール目前まで走り込み、最後はフォローに走っていたFB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)がグラウンディング。さらに9分には中盤での慶大ボールラインアウトをNO・8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がプレッシャーをかけてターンオーバーするとボールを繋がれた福島がブレイク。タックラーの裏に出たところでオフロードパスを放り、WTB田中健想(社2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込んだ。ここからは雨の影響でボールが落ち着かない場面が続き、セットプレーが多くなっていく。29分、早大は度重なるペナルティーで慶大にゴール前まで侵入を許すと、FWにトライラインを叩き割られてしまい失点した。しかし32分には転がったボールに素早く反応したPR平山風希(スポ1=大分東明)のナイスセービングから攻撃に転じた早大が巧みなキックでトライを生み出し、26ー7と19点のリードで前半を終えた。

インゴールへ走るWTB田中健想

 後半は開始から中盤での攻防が続く中、少しづつ慶大陣内に攻め入っていた早大。しかし10分、敵陣深い位置でアタックを継続していた早大はミスでボールをこぼしてしまい、そのまま慶大に一気に攻め込まれてしまう。そのままインゴールを明け渡し、スコアは26ー14に。早大はメンバーを入れ替えながら試合の流れを渡さないように緊張感のある試合運びを見せる。19分には慶大ゴール前ラインアウトとチャンスを得るが、慶大の強烈なディフェンスでトライラインを割ることができない。しかし21分、マイボールスクラムの3次攻撃でSH平塚英一朗(法3=東京・早実)が逆目にパスを展開すると、BKで細かくパスを繋ぎながら最後はWTB池本晴人(社3=東京・早実)がインゴール左隅にグラウンディング。スコアは33ー14。早慶戦らしい激しいコンタクトの応酬で北海道の寒さを忘れるほど熱い戦いを見せた両校。慶大のアグレッシブなアタックでピンチを迎えそうな場面もあったが、連結したディフェンスでタイガージャージーの前進を許さなかった。19点という点差を守り切り、春の早慶戦は早大が制して見せた。

ゲインするWTB池本

 意地と意地がぶつかり合う伝統校同士の一戦は独特な緊張感に包まれる。今試合も歴史ある一戦として北海道の地で行われた。これまでの春シーズンで様々な相手と戦ってきた早大だが、この早慶戦でしか得られないものもあるだろう。遠征先での試合経験、多くの観客の前でプレーする感覚、そしてタイガージャージーと身体をぶつけ合う記憶。対抗戦でしのぎを削り合う関係であると同時に、大学ラグビーとしての伝統を作ってきた両校。これからも互いを意識し、切磋琢磨しあう関係として早大、慶大両チームの今後の成長に期待せずにはいられない。

(記事 村上結太、安藤香穂、伊藤文音、写真 大林祐太、堀内遥寿)

コメント

◆LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)

ーー今日のチームとしてのゲームコンセプトを教えてください
 大きくメンバーが変わっている事もあり、「コミュニケーション」をゲームテーマにしていました。

ーー本日はゲームキャプテンとしての出場でしたが、何か意識したことはありますか
 ハドルで選手の意見をまとめ、ゲーム中の修正をスムーズにする事を意識していました。しかし、あまり上手くまとめることが出来ず、試合展開にも大きく影響してしまったと思っています。しっかりと反省して次は改善します。

ーーチーム全体のディフェンスを振り返ってできたことや反省点はありますか
 前に出る意識は良かったのですが、反則が多かったので修正していきたいと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 ここから天理、明治、帝京とタフなゲームが続くので、今日出た反省を活かしてしっかりと3試合とも勝ち切りたいと思います。

◆PR平山風希(スポ1=大分東明)

ーー今日の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
 今日のゲームのコンセプトは、スクラムとボールキャリーです。

ーー初めての赤黒でしたが、どんな気持ちで試合に臨みましたか
 初めての赤黒で早稲田プライドをもち責任と覚悟を持って挑みました。

ーーゲインする場面が何度も見られましたが、コンタクトの手応えはいかがでしたか
 コンタクトの手応えは、通用する部分もありましたが、まだまだ磨きをかけないといけない部分が見つかった試合でした。

ーー今後の意気込みをお願いします
 今後の意気込みは、もっと試合に出れるように自分の強みと改善部分を伸ばしていきたいと思います。

◆NO・8粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

 

ーー今日の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
 素早いセットスピードです。

ーーMIPにも選出されていましたが、今日の自身のプレーを振り返っていかがですか
 なかなかうまくいく場面は少なく、セットプレーでもあまり主導権を握れませんでした。

ーーセットプレーの出来栄えはどうでしたか
 相手のサインがシンプルなのに対してそこへのプレッシャーをかける際、自分たちの細かな精度のところがまだまだ伸び代だと感じました。

ーー今後の意気込みをお願いします
 次戦の天理戦も応援よろしくお願いします

◆CTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)

 

ーー今日の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
 テーマはゲインラインバトルで、アタックでもディフェンスでも絶対に引かずに前に出ることを意識していました。

ーー雨の中でのプレーでしたがなにか意識していたことはありますか
 ディフェンスはとにかくプレッシャーをかけることと、アタックはシンプルに強くいこうと話していました。

ーー12番での出場でしたが、収穫や反省点はありますか
 久しぶりの12番で、あまり番号にとらわれず自分の強みを出してチームを前に出すことを意識していました。アタックでは接点に近いところでボールを捌くスキルだったり、深さや幅の感覚はまだまだだと感じました。上井草でそこを意識しながら練習したいです。

ーー今後の意気込みをお願いします
 最後の決勝で自分が13番を背負って優勝するために、一つの試合、一回の練習に拘って努力し続けます。

◆FB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)

ーー今日の個人としてのゲームコンセプトを教えてください
 今日の個人としてのゲームコンセプトは、初めてのスタートからの出場だったので、リラックスして、いつ通りのプレーをすること、攻守共に体を張ることの二つでした。

ーーBKのアタックで意識していたことはありましたか
 BKのアタックで意識したことは、雨が降っていたので、特に縦にきっていくプレーを心がけることと、キックなどを有効に活用してスペースにボールを運ぶことでした。

ーー今後の意気込みをお願いします
 今後も、メンバー争いに絡み続けられるように、日々の練習から常に全力で取り組み続けたいと思います。

写真ギャラリー

表彰を受けるNO・8粟飯原

トライを喜ぶFL野島とCTB金子

ラインブレイクするCTB福島

キックパスをするSO田中大

モールからボールを出すSH大賀

メンバー表