第40回静岡国際 5月3日 静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアム
グラウンドコンディションに恵まれた静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアム。今年もこの地で、静岡国際が開催された。早大からは7名が出場。グランプリ種目に出場した6名全員が入賞、ノングランプリに出場した権田浬(スポ2=千葉・佐倉)も含め4名が自己記録をマークするなど、約1週間後に迫る関東インカレに向けて、結果でチームを鼓舞した。

1メートル79の跳躍を成功させる矢野
女子走高跳には矢野夏希(スポ3=愛知・時習館)が登場。先日行われた学生個人選手権(学生個人)では、自己記録の1メートル76を更新すべく挑んだ1メートル78に失敗し、1メートル75という記録となった。今回は1メートル68、1メートル73を見事1回目でクリア。壁となっている自己記録タイの1メートル76に挑むこととなった矢野。「1メートル73までは自分の力で押し込んで跳んでしまった」という部分を修正し、乗り込む意識で跳んだところ、距離が近く1回目は失敗となってしまう。しかし、2回目を見事成功させ、いよいよ自己記録を超える1メートル79への挑戦権を手にした。1メートル76の2回目で良い感覚を得ていた矢野は、同じ感覚で1メートル79に挑む。結果、見事に1回目でクリアし周囲からは歓声が上がった。続く1メートル82に挑んだのは矢野を含め3人だったが全員失敗し、それまでの無効試技回数から矢野は3位で競技を終えた。1メートル79という記録は早大歴代2位であり、見事な自己新記録更新となった。来週の関東インカレでは、1メートル80を越すことが目標と語った矢野。矢野のさらなる記録更新に期待がかかる。

レースを走る権田
ノングランプリ男子400メートルには、権田が出場。2レーンでのスタートとなった権田は中盤にかけては追う展開に。後半に差しかかると、位置を前へ前へと進め、得意の「最後に差し切って前に行くレース」を見せる。3番手あたりで迎えたラストスパートでは城西大の播磨や山梨学院大の入月らに競り負けたが、46秒59でゴール。昨年のU20日本選手権以来の自己記録更新となった。森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄)が言うように、権田の自己記録更新は、4×400メートルリレー(マイルリレー)にとってもいい勢いをもたらした。関東インカレでは、400メートルとマイルリレー、両種目での権田の走りに注目だ。

レースを走る森田
グランプリ男子400メートルには森田が出場した。若干の疲労を感じつつも、「関東インカレに向けていいイメージで終われれば」と臨んだ森田。周りに遅れをとらず、好位置で前半レースを進めると、課題に挙げていた250メートルから300メートルのカーブもうまくはまり、いいかたちでラストスパートへ。学生個人では僅かに失速してしまった最後の直線もスピードを落とすことなく駆け抜け、45秒83でフィニッシュ。学生個人に続き自己記録を更新し、45秒台へ突入するとともに、早大歴代4位に入った。自身初の45秒台に「率直に嬉しい」と感じながらも、筑波大の林に勝負で負けたこと、ワールドユニバーシティゲームズの出場権が懸かった学生個人に合わせられなかったことに悔しさを述べた森田。常に自分のベストを目指す森田は「強さ」を追い求め続けていく。

ハードルを越える大川
女子400メートル障害には先日の学生個人でダブル入賞を果たした大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園)と千葉史織(スポ2=宮城・仙台一)が登場。タイムレース決勝となった今回、大川と千葉はどちらも2組に出場した。大川は序盤から滑らかな動きでハードルを跳び、レースを引っ張る。課題であった5、6台目の歩数の切り替えもスムーズに流れ、どんどんと周りを引き離す。一方千葉は序盤遅れを取ったものの、後半の強さが光った。最後のハードルを跳んだ時点で大川は先頭、千葉は3番手だったがラストの直線で千葉が追い上げ接戦となった。結果、大川はそのまま組1着の57秒66でフィニッシュ。追い上げた千葉は57秒92の2着だった。自己ベストを更新し早大歴代3位の記録を打ち立てた大川は全体3位、また自己ベストに迫り早大歴代6位の記録を出した千葉は全体4位となった。今回自己記録を更新した大川だが、関東インカレで狙うは57秒台前半、そして56秒台である。走る度に好記録を叩き出している早大ヨンパー勢。関東インカレでは、大量得点獲得となるか。

ハードルを越える盛岡
男子400メートル障害には、盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰)と渕上翔太(スポ2=東福岡)が出場。3組のタイムレース決勝で行われたこの種目。1組目に登場した盛岡は、序盤から素早い抜き足で順調にハードルを越え、レースを進めていく。ホームストレートに差しかかる頃には4名の選手に先行を許していたが、得意のラストスパートによってゴールライン直前で先頭に立ち、49秒84の1着でゴールした。対する渕上は3組での出走。同じ組にはパリ五輪代表の豊田兼や東洋大の小川大輝など、レベルの高い選手らが集まっており、「日本選手権の予行」と捉えて臨んだと言う。渕上はスムーズに障害を跳び越えていったものの、後半で抜け出すことができず、組4着でのフィニッシュ。「前半抑えめに行ったが、そこでスピードも落としてしまった」、「もっと圧倒的な抜き出し方をしたい」と、レースを振り返って課題を見出しており、関東インカレへの気合は十分と見えた。最終結果は渕上が5位、盛岡が6位と、両者とも入賞を果たしてまたひとつ経験を積んだ。
本大会では、グランプリ種目に出場した6名全員が入賞した上に、複数の選手が自己記録を更新した早大。今回の結果はチームを景気づけるきっかけのひとつとなったに違いない。いよいよ来週に迫った関東インカレ。チームはこのまま上り調子で総合優勝に向かう。
(記事・写真 會川実佑、佐藤結、髙杉菜々子)
男子結果
▽グランプリ200メートル
予選(3組2着+2)
髙須楓翔(スポ3=千葉・成田) DNS
▽ノングランプリ400メートル
権田浬(スポ2=千葉・佐倉) 46秒59(4着)自己新
▽グランプリ400メートル
タイムレース決勝
森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄) 45秒83(2組2着/全体5位)自己新
▽グランプリ400メートル障害
タイムレース決勝
渕上翔太(スポ2=東福岡) 49秒60(3組4着/全体5位)
盛岡優喜(スポ4=千葉・八千代松陰) 49秒84(1組1着/全体6位)
女子結果
▽グランプリ400メートル障害
タイムレース決勝
大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園) 57秒66(2組1着/全体3位)自己新
千葉史織(スポ2=宮城・仙台一) 57秒92(2組2着/全体4位)
▽グランプリ走高跳
決勝
矢野夏希(スポ3=愛知・時習館) 1メートル79(3位)自己新
コメント
森田陽樹(創理3=埼玉・早大本庄)
ーー連戦が続いていますが、体の調子はいかがでしたか
先週の学生個人にピークを合わせていたということもあって、疲労度は全くないと言ったら嘘になる状態ではありましたが、来週の関東インカレに向けていいイメージで終われればいいかなと思って臨んだ大会ででした。そんなに悪くなかったです。
ーー本日の目標は何でしたか
僕がこの場所で走るのは初めてだったのですが、かなりグラウンドコンディションがいいということで有名な大会でもあるので、自分のやりたいレース展開をして、自己ベストで走れればいいかなというふうには思っていました。
ーーご自身の走りを全体的に振り返っていかがですか
終始風が走りやすいコンディションではありましたが、自分のやりたいレース展開ができましたし、そういった面では良かったのかなとは思います。ただ、内側の筑波大の林くんに負けてしまって、やはり勝負という面で負けてしまうというのは、インカレに向けて、一つ改善しなければいけないところなのかなと思うので、そこはインカレに向けて改善すべき課題かなと思っています。
ーー学生個人後に課題として挙げていた250メートルから300メートル間の走りは、特に振り返っていかがですか
今回は後半のために250メートルから300メートルのカーブをうまく走れればというところだったのですが、その部分がうまくはまったかなという感じはあります。学生個人の反省点はまずまず悪くないかたちで体現できたかなとは思いますが、まだまだ改善する余地はあるかなと思っています。
ーー学生個人に続き自己ベストをマークしました。タイムについてはどのように感じていますか
45秒台を狙っていましたし、率直に嬉しいのは嬉しいのですが、このタイムを1週間早く出せればなというのはあります。狙ったところできちんと出すというのもアスリートとして求められる能力だと思うので、その辺を追い求めて頑張っていこうかなと思います。
ーー関東インカレに向けてどのような部分を調整していきたいですか
かなり連戦ということもあるので、きちんと疲労を抜きつつ、あとは今日いいタイムが出せた展開というのを振り返りをして、良かった点、悪かった点を洗い出して調整していこうかなと思います。あとはマイルリレーもあるので、そこできちんと走り切れるようにしたいです。権田もベストを出せましたし、メンバーもそろっているので、そこも含めてもう一つチームとして士気を高めて挑戦していければなと思います。
渕上翔太(スポ2=東福岡)
ーー3週連続で大会がありますが、今大会はどのような位置づけでしたか
自分のグランプリシリーズでの標準にもなってくるかなと思ったので、上位を取りたいなというところと、最近噛み合っていない部分を噛み合わせるということを考えていました。ハイレベルな組だったので、ある意味日本選手権の予行練習みたいな感じに、という位置づけでした。
ーーコンディションはいかがでしたか
連戦の割には、自分の中ではコンディションは良かったです。競技場のコンディションも、バックストレートは若干風が吹いていたのですが、全体的に良かった大会でした。
ーー学生個人の疲労も特に残っていなかったのでしょうか
そうですね。あまり感じていなくて、調整もできたかなと思います。
ーー本日はどのようなレース展開を想定していましたか
先ほども言った通り、結構レベルの高い組だったので、そういった中でラストの部分でしっかり抜け出すこと、また、前半の部分でも置いていかれすぎずに勝負できる位置というところを、目的としてプランを立てていました。
ーー実際のレースを振り返って、収穫や課題があれば教えてください
アップの時にかなり調子が良かったので、行きすぎないようにというところで前半は抑えめにしたのですが、そこでスピードを落としてしまって、さすがに置いていかれすぎたかなと思います。後半の部分に関しては、抜け出すことはできたかなと思っているのですが、やはり最後に上位を取ることができていなくて。圧倒的な抜き出し方というところがまだできてない印象だったので、そういった反省点が見つかったところは良かったです。逆にレースの中で良かった点は今日はあまりなかったかなと思っています。
ーー来週には関東インカレがありますが、1週間でどのような部分を調整していきたいですか
今日失敗してしまった前半部分の練習をしっかり積むことと、ラストの部分は自分の持ち味でもあるので、そこはしっかり生かしたうえで、全体的に圧倒的なレースを展開できるようにあと1週間練習していきたいなと思います。
大川寿美香(スポ4=東京・三田国際学園)
ーー本日のコンディションはいかがでしたか
まずこのスタジアムは風もとても良いコンディションだったので、記録を狙いたいなという気持ちがありました。少し学生個人の疲労が残っている中での試合だったので、何か1つでも得られたらいいなという思いで挑みました。
ーー今大会の位置づけはどのように考えていましたか
来週に関東インカレがあるので、そこに向けて、先ほどと重なるんですけれども、関東インカレにつながるような、失敗してもいいから何か1つでも得ようという心構えで挑みました。
ーー本日のレースプランはどのように考えていましたか
ずっと(風が)追っている良いコンディションだったので、前半で自分の強みを生かしながら、そこで力を使わずに本当に楽に速くテンポ走で行くことを考えていました。また、最近の課題であった5、6台目の切り替え、歩数の切り替えのところで力感なくうまく1歩増やすということを意識して今日は走りました。
ーー自己ベスト更新となりましたが、タイムについて振り返っていかがですか
自分にとって約2年ぶりの自己ベストだったのでとても嬉しい反面、やはりまだ自分の課題点である後半で他の選手に詰められてしまったので、そこをうまく修正することが関東インカレの目標です。まずは57秒台前半、そして56秒台を目指して頑張ろうと思います。
ーー結果について振り返っていかがですか
タイムは出るという感覚ではあったので、まず57秒66でまとめられたのは1つ評価していいポイントだと思います。
ーー全体3位となりましたが、心境を教えてください
やはりシニアの選手の方々と走れる機会というのが本当にあと数少ないので、その中でしっかりと3位という結果を残せたのは1つ良かったのですが、ここで終わることなく、日本のもっとトップレベルで戦えるような選手になりたいと思います。
ーー最後に、女子主将として関東インカレに向けて部の雰囲気はどのように考えていますか
やはり今こうやって自己新記録を出している部員が多いので、関東インカレの1週間前という今にとって本当に良い流れでこれているのではないかなと思います。総合優勝を狙っているので、この勢いのまま挑めたらいいなと思っております。
矢野夏希(スポ3=愛知・時習館)
ーー本日のコンディションはいかがでしたか
学生個人選手権が先週だったので、この1週間は練習を積むという感じではなくて感覚練習ばかりでした。なので気持ち的にも結構いいイメージがあって、体もそこまで悪くなかった感じです。
ーー最近の練習で重点的に取り組まれていることはありますか
私自身、高さを出すのが結構得意なのですが、クリアランスの部分で他の選手より劣っている部分が多くて、高さが出ていても跳べないという試合が結構続いていました。なのでクリアランスと、バーに向かう軸の取り方を結構重点的にやっていました。
ーー1メートル76の跳躍の1回目から2回目までに何か修正して挑んだ点はありましたか
(1メートル)73の時までは、自分の力で押し込んで跳んでしまっていて、76に入る時にその乗り込む意識で飛んだら、1回目は近くて跳べませんでした。踏み切り位置を少し調整して挑んだら跳ぶことができました。ーー1メートル79を跳んで自己ベストを更新されましたが、その瞬間の心境を教えてください
(1メートル)76を結構いい感じで跳べたので、そのままの意識でいけば跳べると思って挑んだので、実際に跳ぶことができて嬉しかったです。
ーー3位入賞となりましたが、振り返っていかがですか
(1メートル)79を1回目で跳んで、(1メートル)82に挑戦しました。3本とも惜しかったのですが、1本目が終わった後に踏み切り足のふくらはぎをつってしまって。そういう部分がなかったら結構チャンスがあったのかなと思ったので、悔しいというか、少し残念だなと思います。
ーー関東インカレへの意気込みと目標などがあればお願いします
今日(1メートル)82が跳べなかったので、関東インカレでは80超えで自己ベストを狙うことと、しっかり勝ち切って早稲田に貢献していきたいです。