全勝同士の首位攻防戦となった今節、ア式は再三のチャンスを決め切ることができず、無得点に終わる。それでも、DF陣はGK雨野颯真(スポ2=群馬・前橋育英)の活躍で法大相手にクリーンシートを達成し、注目の首位攻防戦は勝ち点1を分け合う結果となった。

好セーブ連発の活躍を見せた雨野
この日のア式は序盤、ボールを握れない展開が続いた。10分、法大FW相澤デイビッド(4年)に左サイドから侵入を許すと、法大FW小湊絆(3年)にシュートを許す。これが枠外に外れて難を逃れると、その後はア式が徐々にペースを取り戻す。15分、GK雨野が低い弾道のフィードでMF高橋作和(法3=東京・国学院久我山)に付けると、これをDF伊藤稜介(スポ2=ジュビロ磐田U18)、MF山市秀翔主将(スポ4=神奈川・桐光学園)とつなぎ、インナーラップした髙橋作が再びボールを受ける。カットインしてシュートまで持ち込んだが、これは相手DFにブロックされた。17分には、山市のスルーパスに抜け出した伊藤稜介がMF柏木陽良(スポ3=鹿島アントラーズユース)の足元にドンピシャのクロスを送る。ダイレクトで合わせたシュートは枠外右へと外れ、これも得点とはならなかった。更に36分にはボール奪取から柏木がシュートを放つも、ここも防がれて先制点奪取には至らず。もどかしい展開が続き、スコアレスで前半を折り返した。

この試合でも存在感を見せた山市主将
後半に入っても、ア式ペースで試合が進む。53分には、右サイドでFKを獲得。柏木のキックは弾かれたものの、久米がこぼれ球をボレーで合わせる。ただ、これはキーパーにキャッチされてしまった。57分には柏木がサイドチェンジで高橋作にボールを供給。カットインしてシュートを放ったが、わずかに枠外に外れ、またもチャンスを逸する格好となった。すると、ペースは徐々に法大側へと傾いていく。58分には、相澤に抜け出され、1対1の場面を作られる。しかし、ここは雨野が読み切ってストップ。更に59分には、相澤にクロスからヘディングシュートを浴びたが、横っ飛びで雨野がかき出して得点を許さない。65分には右サイドから侵入を許すと、後ろから飛び込んできた相手MFにフリーでシュートを放たれるも、ここも雨野がスーパーセーブを見せて切り抜ける。法大の強烈な個の力で何度もチャンスを作られたものの、雨野が気迫のセービングで法大の攻撃を跳ね返し続けた。すると、再びア式がチャンスを作る。66分、MF久米遥太(政経2=東京・早実)が粘ってクロスを上げると、FW伊藤猛志(スポ3=ジュビロ磐田U18)がヘディングシュート。しかし、これは大きく枠外に外れてしまい、得点ならず。直後にFW鈴木大翔(スポ3=ガンバ大阪ユース)との交代を告げられた伊藤猛志は、何度も悔しそうに叫び声をあげ、無念さをにじませた。それでも78分、左サイドから侵入すると、クロスがファーサイドまで流れてDF佐々木奈琉副将(社4=新潟・帝京長岡)がシュート。この日一番のチャンスが訪れたが、このシュートは当たり損ないとなり、枠外へとボールが流れ、得点ならず。更に82分には、久米のクロスに高橋作が飛び込むも、シュートはキーパー正面を突く。こぼれ球に再び詰めた高橋作だったが、このシュートも相手GKに阻まれ、得点ならず。立て続けに訪れたビッグチャンスを逃し、最後の最後まで得点を奪えなかったア式。首位攻防戦は、痛み分けという結果に終わった。

リーグ戦初スタメンとなった神田
ア式、法大共に幾度となくチャンスを迎えたものの、ミスや相手GKのセーブによってスコアレスドローに終わった首位攻防戦。試合後に山市は、「ポジティブにもネガティブにも捉えられない」と、一定の充実感は漂わせつつも、満足した様子は見せなかった。まだ22試合中の5試合が終わったばかりだ。厳しいゲームを終え、中2日で迎える産能大戦にこそ、チームの真価が問われるだろう。
(記事 林田怜空、写真 和田昇也、安田直樹)
試合後インタビュー
兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーーこの試合に向けてどういう準備をしてきましたか
個々の力がしっかりとあることや、相手のビルドアップの仕方もサイドバックを結構高く上げてくるっていうところを踏まえて、少しはめ方含めて整理しました。あとは戦うベースの部分もう一度上げようとした1週間でした。その中で今日のゲームは今までの中で一番戦うところだったり、粘り強さがしっかりと出たゲームだったのかなと思います。
ーー試合を振り返っていかがでしたか
お互いに得点チャンスがあって、そこを決めきれなかったところは、トレーニングをもっと強調してやらないといけないなと思う部分もありますし、今日の試合をベースにして積み上げられれば、もっともっと良くなるなっていう兆しもしっかりと見えた試合でしたね。やっぱり簡単に1位にはさせてはもらえないですし、今日勝ちきれなかったのはまだまだ何かが足りないというところが提示されたと思うので、全員で整理しながらやりたいなと思います。
ーー強力な個を誇る法大攻撃陣ですが、守備で気を付けていた点はありますか
相澤(法大4年)は195cm超えてるので、物理的には絶対に勝てないので、そこに勝ちに行くっていうよりも、ヘディングをされた後の準備の方が大事で、だからこそより小湊(法大3年)に気を付けようっていうところは全員で統一してトレーニングでもしっかりとやった中で、全員そこに対してしっかりとプレイしてくれたかなと思います。まだ向こうも個の力が組織化されてない部分も多少あったと思うので、相手も間違いなくここからもっと良くなってくると思いますし、うちらももっと良くしないといけないし、組織としてもチャンスの回数を作るだったり、失点を減らすっていうところに対して、向き合ってやらないといけないなと思ってます。
ーー0対0の引き分けという結果についてはどう捉えてますか
なかなか無失点に抑えられてなかった中で2試合続けて無失点できてるのは、守備に対して僕が就任してからの期間の中で今まで以上にやってるので、そこのところは少しずつ結果として出てきたかなと思います。攻撃も別にチャンス作れてないわけじゃないので、あとはそこの質ですね。チャンスになりそうなところでの一つのミスでチャンスに繋がらなかったシーンもまだありましたし、最後の最後シュートだけっていうところも点を取りきれなかったところもあるので、そこはまたトレーニングから一本にこだわる・質の部分をもっともっと追求したいなと思います。
ーー中2日で迎える次節への意気込みをお願いします
もう中2日なので色々考えながら行かないといけないなと思ってます。コンディション面や相手の戦い方を見てメンバーも少し変更があるのかなと。ただ、全員で向かっていくっていうことがベンチに入ってる選手も、入れなかったメンバーもできてるので、準備ができてるやつをしっかりと使ってしっかり勝っていきたいなと思います。
MF山市秀翔主将(スポ4=神奈川・桐光学園)
――本日の試合を振り返って
守備陣に本当に助けられたゲームだったと思っています。中盤とオフェンスはもっとゴール、結果を残さないといけないゲームだったと思っています。
――プロ内定者が多く在籍している法政大学との対戦でしたが、この勝ち点1はどう捉えていますか
ネガティブにも捉えてはないですけど、ポジティブではないなっていう気持ちですね。(我々は)勝ち続けないといけない大学だと思いますし、2部なので絶対に勝ち点を落とせないというところで今日の勝ち点1っていうのは、正直もったいなかったなっていう風に思っています。自分は個人的に勝てた試合だと思っています。
――今季ここまで4勝1分けと負けなしが続いています。要因は
原理原則をみんなが理解しているっていうところが要因だと思っています。上手いチームはありますけど、切り替え、運動量のところで今年の早稲田は絶対譲らないっていうところをプレシーズンから積み上げてきているので、そこが負けないチームになってきている要因だなと思っています。
GK雨野颯真(スポ2=群馬・前橋育英)
――本日の試合を振り返って一言
守備陣としてはしっかりゼロに抑えることができたっていうところで、良いゲームっだったのかなと思います。
――2試合連続のクリーンシートとなりました
徐々に試合重ねていくごとに守備の強度だったりとかも上がってきましたし、開幕から何試合か失点が続いたっていうことがあったので、優勝するためには失点を減らさなければいけない事は分かっていましたし、チームとしても危機感を持っていたので、その成果が徐々に出始めてきてるとは思ういます。ただ、まだまだ満足できないんで、これからもしっかり無失点の試合を続けていきたいと思います。
――相澤選手との1対1は読み切っていましたか
落ち着いてコース切って、最後に空いているコースに誘って、そこに誘い込めたっていう形だったので、落ち着いて対応できたのはよかったかなと思います。自分がファー寄りに立って、最初はニアを開けておいて、シュートのタイミングでニアに体を投げ出して、うまく面に当たってくれた感じです。
――法大オフェンス陣は強力でしたが、どういったことを心掛けていましたか
まずはリスクテイクし過ぎないっていうところと、センターバックのチャレンジ&カバーを徹底して、良い状態で競らせないっていうところを意識しました。前半と後半の途中までは守備陣、センターバック陣が頑張ってくれていたので、最後疲れてきたところは自分が役割を発揮するところだったので、最後は自分が体を投げ出して守ることを意識しました。
――この試合、全勝対決となっていましたが、勝ち点1を得る結果になりました
この勝ち点1はポジティブな面の方が大きいなと思いますし、この1が今後を左右してくると思います。まず負けなかったこと、そして0で終えたっていうことは本当に次につながる勝ち点1だったかなと思います。
――次節に向けた意気込みを
まだまだ続いていきますし、隙を見せて負けたらほんとに去年、一昨年みたいにあと一歩で2部優勝、昇格にすら届かないっていうことにもなると思うので、1試合に全力で、全てを捧げる気持ちで臨みたいと思います。
神田拓人(スポ2=福島・尚志)
ーー初スタメンとなりました。どういう準備をして試合に入りましたか
自分自身、初スタメンって中でまずは自分の特徴でもある守備のところを出さないと、自分で出てる意味がないと思ったのでそこは特に意識してました。
ーー前節の山学大戦は後半頭からの起用でしたがそこの手応えはありましたか
だいぶあの試合で自分はやっていけるなと再確認できました。後半自分が入って前から行くっていうところ、チームとして火が付いた部分ありましたし、結構自信がついたゲームでした。
ーー試合振り返っていかがでしたか
非常にタフなゲームになりましたし、その中でも自分個人の感想ですけど、もっとボールを受けて展開するというのは取り組んでいかなければいけないなと感じました。その中でも守備の部分で自分の特徴を発揮することができたので、それは大きな収穫でした。
うん、
ーー中2日で迎える次節に向けて
まずしっかり明日リカバリーして、またすぐ試合があるので気持ち切り替えて、今日の勝ち点1に意味があったっていう風に思えるように勝っていきたいです。

日本代表でも共闘経験のある小倉(左、法大2年)と神田(右)