GWは大学バスケ! 関東の強者を相手に早大旋風なるか/関東大学選手権展望

男子バスケットボール

 関東大学選手権(スプリングトーナメント)が4月12日に開幕した。関東1部に所属する早大は決勝トーナメントからの出場となり、4月30日に明星大との初戦を迎える。G岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)体制初の公式戦を前に、掲げた目標は1968年以来の優勝。負けたら終わりの一発勝負が今始まる。

 早大のキーマンとして挙げたいのは、まず岩屋主将だ。チームのエースとなった昨季は関東大学リーグ戦(リーグ戦)でチームトップの1試合平均15.9得点をマーク。3Pシュート成功率は38.0%、50%を超えると優秀とされるEFG%は54.9%を記録するなど、チーム1のシュート試投数ながら効率的なオフェンスを繰り広げた。今年はG下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)に代わってG城戸賢心(スポ3=福岡第一)のスタメン起用が続いているため、PGとしてのゲームメイク能力もより求められていく。チーム一番の頼れる男が早大の命運を握るだろう。同じく4年生のF堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)にも注目だ。昨年のリーグ戦では岩屋主将に及ばなかったものの、1試合平均15.7得点をマーク。今年は持ち前のドライブだけでなくポストプレーやディフェンスにも磨きがかかり、東京六大学リーグ戦(六大学リーグ戦)ではMVPを獲得した。3年生ではF三浦健一(スポ3=京都・洛南)が今季好調。フィジカルを生かしたドライブと高精度な3Pシュートを武器に爆発力を見せ、六大学リーグ戦は得点王に輝いた。昨年の入れ替え戦でも圧巻のパフォーマンスを見せた「お祭り男」に今大会も目が離せない。

主将の岩屋はチームの要だ

 新戦力にも注目だ。ルーキーのF松本秦(スポ1=京都・洛南)は高いシュート能力を持ち、六大学リーグ戦では3P王に輝いた。身長もチーム2番目の191cmを誇り、リバウンドやリムプロテクトの面でも期待がかかる。また、今シーズンから大きくプレータイムを伸ばしているのはF藤山拓翔(スポ2=新潟・開志国際)。昨年のリーグ戦ではプレータイムに恵まれない苦しい時期が続いたが、オフで成長を見せたフィジカルを武器に今季はスタメン出場が続いている。手薄なインサイドの救世主へ。2年目は飛躍の年となるだろうか。

 今季の早大はディフェンスも大きな武器だ。前からプレッシャーをかけ続けるディフェンスで、ターンオーバーやタフショットの誘発に成功している。中でも城戸は数多くのスティールを記録。「攻めるディフェンス」からの速攻を生み出せば、試合のペースをつかむことができるだろう。

大物ルーキーの松本

 早大の有力な対戦相手にも触れていきたい。初戦の相手となる明星大は関東2部に所属し、選手個人の力を重視するアグレッシブなチームだ。昨年のリーグ戦で早大は明星大を相手に2巡目唯一の敗北を喫し、入れ替え戦圏外に押し出された苦い記憶がある。実力以上の爆発力を持つ「ストリートボール」には要警戒だ。

 2戦目の相手は筑波大が濃厚だ。PGの岩下准平(4年)とFの福田健人(4年)はB.LEAGUEドラフトの有力選手。大ケガを乗り越えたこの2人の仕上がりが勝負のカギとなるだろう。他にも坂本康成(3年)や髙田将吾(1年)といったフォワード陣は強力。監督を勇退した吉田健司氏の後を受けた仲澤翔太監督が、昨年エースを務めた星川開聖(宇都宮)の穴をどのように埋めてくるかも注目だ。

準々決勝の相手は2連覇中の王者・日体大が有力視される。絶対的な大黒柱だったムトンボ・ジャンピエール(新潟)こそ卒業したものの、コネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメード(3年)のオフェンスは破壊力抜群。日本人のみで戦う早大は、対留学生のディフェンスやリバウンドが課題になるだろう。また、大学日本代表の小澤飛悠(3年)や、西部秀馬(4年)らのスコアラーも力強い。豪華メンバーを擁するだけに、早大としては厳しい戦いが予想される。

今季からHCに復帰した倉石氏の手腕にも注目だ

 関東の猛者が集まるスプリングトーナメント。2部降格から1年で1部復帰を果たした早大にとって、今大会はシーズンを占う絶好の試金石となるだろう。悲願の名門復活へ。GWに早大旋風を巻き起こす。

(記事:石澤直幸 写真:石澤直幸、辻岡真波)