7年ぶりの完全優勝達成!対校エイトは5艇身差をつけ慶大を圧倒!

漕艇

第94回早慶レガッタ 4月13日 隅田川

 降りしきる雨の中、第94回早慶レガッタが開催された。完全優勝を目標に、両校の意地とプライドが詰まった伝統の一戦だ。練習では経験し得ないほど荒れたコンディションの中、女子エイトは圧巻の35連覇、第二エイトは4年ぶりの優勝、さらに対校エイトは5艇身差の圧勝で7年ぶりの完全優勝を達成した。

ラストスパートをかける女子対校エイトクルー

 先陣を切ったのは、昨年に続きエイト種目となった女子。例年に比べて実力差のない中でのレースとなった。女子は1000メートルのため吾妻橋からのスタート。両クルーとも安定したスタートを切り、勢いに乗って漕ぎ進めていく。しかし言問橋地点で早大がわずかにリードを得ると、後半もその差を縮めさせることなく、安定感のある漕ぎで先にフィニッシュ。圧巻の漕ぎで35連覇、そして早慶レガッタ通算50勝を達成した。

 次に行われたのは、ここ数年慶大の後塵を拝していた第二エイト。男子種目は3750メートルの長距離レースで、アウトコースの早大はスタート時点での1艇身差をどこまで守り切り、終盤に臨めるかがカギとなる。早大の第二エイトは佐藤淳平(法3=埼玉・早大本庄)を除く8名が大学で初めての早慶レガッタ。さらに、選手の体調不良により急遽ストロークが変更するというアクシデントを抱えながらレースに臨んだ。勢いよくスタートを切った両校だったが、スタート直前まで屋形船の往来があったことで、序盤は波の高い状態でのレースを強いられる。オールを取られながらも、ピッチを落とさず懸命に漕ぎ進める両クルー。900メートル地点では完全に横並びとなったが、川のコンディションが落ち着き始めると、早大は慶大より高いレート(1分間に何回漕ぐかの指標)を維持し、1450メートルの蔵前橋地点で先行。2550メートルの吾妻橋地点ではわずかに差を縮められるも、早大はさらにレートを上げ、ラストスパートをかけた。最後までペースを落とさず、慶大との差を広げて堂々の1着でゴール。9名中6名が2年生というフレッシュなクルーが、4年ぶりの優勝をつかみ取った。

勝利を喜ぶ第二エイトクルー

 最終種目は対校エイト。女子エイト、第二エイトと勝利をつないできた中で、早慶レガッタの目玉でもあるこの対校エイトで、圧倒的な勝利を収めて完全優勝を成し遂げたいところだ。多くの観客がラストレースを観に足を運ぶ中、雨はさらに激しさを増していく。大荒れのコンディションの中でレースがスタートしたが、開始直後にアクシデントが発生。アウトコースの早大とインコースの慶大が互いに引き合うように接近し、なんと接触。レースは中断され、再スタートとなった。仕切り直しのレースでは、両校とも真っ直ぐな動きでレースを始める。フィジカルの強さを武器とする早大クルーは、スタートから高いレートで漕ぎ進め、元々の1艇身の差をぐんぐんと広げていく。蔵前橋地点で約8秒の差をつけると、後半には川の状態も落ち着き、気持ちよくラストスパートをかける。慶大を大きく引き離し、文句なしの大差でレースを制し、対校エイト2連覇、さらに完全優勝を達成した。

勝利を喜ぶ対校エイトクルー

 小山知起主将(創理4=東京・早実)は、早慶レガッタでの完全優勝を目標に掲げて練習に取り組んできたものの、前例のない中でどのような施策を講じるべきか迷うこともあったという。しかし、目の前の課題を一つ一つ潰していくことで不安を自信へと変え、チーム全体で勝利への思いを共有しながら突き進んできたことが、この快挙へとつながったのだ。チームを率いる阿二真樹監督(平4理工卒=東京・早大学院)も「クルーとしてだけでなく、漕艇部全体として戦うことを意識した結果」と、チームの一体感を強調した。シーズン最初の大舞台・早慶レガッタで最高の結果を残した早大。5月に行われる全日本ローイング選手権(全日本)、そして集大成となる全日本大学ローイング選手権(インカレ)に向けて、弾みのつく結果となったことは間違いない。チームスローガン「To Win」の言葉通り、勝利のためにすべてを懸けてボートに取り組む選手たちは、今シーズン、どんな景色を私たちに見せてくれるだろうか。

インタビュー

前田蓮(文4=東京・早実)

――優勝した今の気持ちを教えてください

 2年連続対校エイトのコックスとして優勝することが出来て、率直に嬉しいです。

――荒れたコンディションでしたが、どうレースを運ぼうと考えていましたか

 荒れたコンディションだからといって特別なことはせずに今まで練習でやってきたことを発揮するように漕手には指示していました。

――最初交錯するアクシデントがありましたが、その後に何か影響はありましたか

 早稲田への影響はあまりなかったと思います。慶應さんはだいぶダメージがあったとお聞きしましたが。早稲田として交錯した際は熱くなりましたが、その後すぐに冷静になることができました。

――レースを振り返っていかがですか

 自力の差を見せつけられたと思います。冬の間に我々がやってきたことが結果に現れたと思います。

――今後の目標を教えてください

 全日本大学選手権(インカレ)優勝のみを目標に昨年の9月から始動してきて、まず1つ目の早慶レガッタという通過点を越えました。全日本選手権では実業団の社会人に喰らいつき、その先のインカレで優勝できるよう、精進していきます。

加藤真奈女子主将(スポ4=静岡・浜松西)

――雨の中の試合でしたがコンディションはいかがでしたか

 雨具等で防寒対策を徹底していたので、体が冷えることもなく、普段通りのパフォーマンスを発揮できたと思います。また、天候はあいにくではありましたが、水面は例年よりも穏やかで、漕ぎやすい印象を受けました。

――レースプランを教えてください

 スタートから積極的に攻め、言問橋までに1艇身リードすることを目指していました。そしてミドルでは、一本一本大きく確実に漕ぎ、差を広げていくというレースプランを立てていました。

――レースを振り返っていかがですか

 35連覇をつなぐことができ、まずは安堵しています。レース内容としては、スタートからゴールまで9人でしっかりとまとまり、スパートやコールにも的確に反応しながら、漕ぎきることができたと感じています。ただ、スタートから500m付近までは、なかなか慶應との差を広げることができず、少し焦りを感じる場面もありました。しかしながら、そのような中でも、これまでの練習で取り組んできた「体重を使って大きく漕ぐ」という点を意識し続けたことで、後半にかけてしっかりと伸ばすことができたと実感しています。

――今後の目標を教えてください

 9月に開催されるインカレにおいて、対校女子舵手なしクォドルプル(4×)での優勝、そして女子総合優勝を果たすことです。冬トレーニングで培ってきたフィジカルを水上でのパフォーマンスにしっかりと繋げるために、部員同士のコミュニケーションをより積極的に行い、チーム全体で一丸となって力を高めていきたいと考えています。

齋藤智規(先理4=東京・早大学院)

――4年ぶりの優勝となりました、率直に今の気持ちを教えてください

 早慶戦勝利は自分がずっと夢見ていた目標だったので、実現し非常に嬉しく思っています。そして4年ぶりということで自分達に期待して下さった先輩方の期待に応えることも出来ました。

――川のコンディションはいかがでしたか

 潮の流れや風、遊覧船が通っていたので波が高くかなり荒れていました。そのためスタートでは方向が定まらず、特に総武線鉄橋まではほとんどまともに漕げないような状態でした。

――選手が当日に変更されるというアクシデントもありました、どのような気持ちでレースに臨みましたか

 直前での想定外の事態だったので焦りはありましたが、普段の練習からチームの雰囲気は非常に良くまとまりがあったので、全員が気持ちを切り替えて乗れなかったメンバーの分まで必ず勝つという気持ちで臨みました。

――勝利を確信したタイミングはありましたか

 中盤(コンスタント)での粘りがセカンドクルーの強みだったので、横に並ばれ迫られる場面はありましたが、強みを生かし冷静にリズムを刻み一定の差をあけたままラストスパート前の言問橋を通過出来たので、勝利を確信しました。

――今後の目標を教えてください

 自分のボート人生でのラストレースとなる9月のインカレでしっかり結果を残す事です。そのためにも夏のシーズンで漕ぎ込んで仕上げていきます!

(記事 長屋咲希 写真 長屋咲希 植村皓大 田中瑠花)