【連載】早慶レガッタ直前特集「To Win」第4回 齋藤智規×佐藤淳平×岡部秀磨

特集中面

 第4回に登場するのは、第二エイトに出場する齋藤智規(先理4=東京・早大学院)、佐藤淳平(法3=埼玉・早大本庄)、岡部秀磨(社2=宮城・仙台ニ)の3名。最後の早慶レガッタ、唯一の第二エイト経験者、初めての早慶レガッタ、と異なる立場から決戦への思いを伺った。

※この取材は3月11日に行われたものです。

「早慶レガッタで勝ちたいという思い」でボートを続けた(齋藤)

質問に答える齋藤

――自己紹介をお願いします

岡部 宮城県仙台第二高等学校出身の社会科学部2年、岡部秀磨と申します。

齋藤 早稲田大学高等学院出身の先進理工学部4年、齋藤智規です。

佐藤 早稲田大学本庄高等学院出身の法学部3年、佐藤淳平です。

――漕艇部に入ったきっかけを教えてください

岡部 元々野球をやっていましたが、大学では違うスポーツをやりたいと思ったからです。両親が元々大学でボートをやっていたので、それをきっかけにボートに興味を持ちました。漕艇部なら4年間をすごく充実したものにできると感じたので入部しました。

齋藤  自分は元々戸田市に住んでいて、ボートコースの存在も小さい頃から知っていました。小学5年生の時にワセダクラブ(早大主催のボートスクール)に入って、その時からボートを続けています。大学でもボートをするか迷いましたが、早慶レガッタで勝ちたいという思いがあったので、大学でもボートを続けようと思って入部しました。

佐藤  自分も岡部と同じように高校までは野球をしていたのですが、一昨年の早慶レガッタを見に行って、自分もこの舞台に出たいと思い早慶レガッタへの憧れで入部しました。

――お互いの印象はいかがですか

齋藤 (岡部は)場を盛り上げてくれるムードメーカーみたいな人です。けれども、やる時はしっかりやるし、オフの時はみんなを盛り上げてくれる存在なので、二つ下ですが頼りがいのある存在です。佐藤については、自分が2年生の時新歓があまり上手くいかなくて、未経験者も佐藤だけで同学年で漕手が2人しかいない状態でしたが、その中でもしっかり3年生として次の代から部を引っ張っていく意識っていうのがすごく分かるので、佐藤も頼りがいのある存在です。

佐藤 (岡部は)第一印象は背が高いなという感じでした。その身長を活かして、まだ1年目ですがすごく伸び伸びやっているように感じます。齋藤さんは何年もボートを続けていて、本当にボートが好きなんだという印象です。後は自分もですが、身長が低い中でも諦めずにやっている感じがして、二人で身長低い同士切磋琢磨できていると思います。

岡部 (佐藤)淳平さんは入寮当時の同部屋の先輩でした。すごく面白い先輩で、練習がない時も色々外に遊びに行かせてもらっていました。特に先輩の中でも仲良くさせてもらってて、とにかく面白い人です。斎藤さんは入部前から新歓担当として色々と面倒を見てもらっていたので、入部当初からボートという未知の世界の中で、先輩方も知らない中で唯一知ってる方という感じでした。その時からとにかく優しい先輩の印象が強いです。

「1つ下の代には負けられない」(佐藤)

質問に答える佐藤

――昨シーズン全体を振り返っていかがですか

岡部 ボートを始めて1年目で、本当に右も左も分からないところからのスタートでしたが、インカレ(全日本大学ローイング選手権)という大きな舞台に立たせてもらって、先輩の姿見ながら一生懸命頑張ってついて行く一方で、冬の練習は自分が想像してた以上にきついものでしたが、それを乗り越えた1年でした。自分にとってすごく得られるものが大きかったシーズンでした。

齋藤 去年は早慶戦のメンバーに選ばれなかったり、試合で負けたりなど悔しい思いをした年でした。けれどもその分1年生が多く入部してきて、先輩としていい手本になれるように意識をしていました。後は1つ上の先輩が引退した後の冬の練習も自分の中で頑張れたと思う1年でした。

佐藤 去年の早慶レガッタで第二エイトに出場した際は自分以外が全員先輩で、とにかくがむしゃらについていくだけという感じでしたが、全日本(全日本選手権)とインカレでは後輩とも同じクルーになることがあったので、そこからは自分のことだけではなく、ボートを考えながら漕ぐようになったように感じていて、また1年生に対するアドバイスも考えていました。また昨年は新入部員が多かったので、1つ下の代には負けてられないなっていう思いが強くあったので、自分としては成長できたと感じています。

――昨年の早慶レガッタを振り返っていかがですか

岡部 部が主催する早慶戦ツアーに参加していました。早慶の応援部が大迫力で応援する中で、特に対校エイトは接戦を演じていて、自分もその舞台に立ちたいって強く憧れを抱きましたし、とてもかっこいいなという印象を受けました。 実際にその早慶戦ツアーが入部の最後の決め手となったので、本当に憧れを抱いた場でした。

齋藤 自分は中学、高校時代に早慶レガッタの中学の部と高校の部で出場したことがあって、大学でも隅田の舞台に立って勝ちたいっていう思いがありましたが、なかなか実力的に届かなかったのでその意味でも悔しかったです。対校エイトでは勝利しましたが第二エイトでは早大が負けてしまったので、来年は自分がどっちの艇に乗ったとしても、勝利に貢献したいと思っていました。

佐藤 去年は第二エイトに出場しましたが、負けてしまってとにかく悔しくて、自分がしっかり艇のスピードに貢献することができなかったなというとにかく悔しい思いがありました。

――他の大会とは違う早慶レガッタならではの特徴を教えてください

齋藤 距離が長いですね(笑)会場の雰囲気については、観客の数も多いですし、いろんなOBの方が訪れる中で、8人だけしかいないクルーを3万人、4万人が注目してくれることが他の大会と大きく違うと思います。

佐藤 相手が慶大だけなので、もう今の時期から同じ場所で練習しているので特に慶大の第二エイトは意識していますし、そこでも水上でバチバチって感じです。

フレッシュなクルーで4年ぶりの優勝へ

質問に答える岡部

――第二エイトでの自身のポジションと、特に練習で意識していることを教えてください

岡部 私は5番という船の真ん中ぐらいのポジションで、かつストフォアという前から4人のうちの一人です。ここは一番重いポジションで、艇のエンジンとなる必要があるポジションです。そういう意味で自分のパワーで艇を動かす、自分が一番艇のスピードに寄与する、自分が漕げなかったら負けるっていうぐらいの気持ちで普段から練習に取り組んでます。

齋藤 自分は後ろから2人目の2番というポジションです。このポジションはバランスもエイトの中では取りづらくて安定していないですが、後ろから漕いで前に働きかける役割なので、バランスを取りつつ前の人が漕ぎやすいように後ろからサポートするポジションです。

佐藤 自分は7番という前のストロークと一緒に艇のリズムを作るっていうポジションです。あと自分の役割としては自分以外の選手が初の早慶レガッタなので、去年の経験だったり、去年先輩から教わったことだったりを他の8人に伝えることを意識しています。

――今年の第二エイトの特徴はどのように感じていますか

岡部 下級生がとても多くて、9人中6人が新2年生と大学での経験はあまり多くはないですが、その分気持ちで絶対負けないように練習からすごく声出してやってますし、そういう点でフレッシュさもあると思います。

佐藤 大学からボートを始めた選手が4人乗っているというのも特徴的だと思います。

――仕上がりはいかがですか

齋藤 先日隅田川で初めて練習で漕ぎましたが、波が高くてオールを引っかけてしまうことも多くて、隅田川の怖さというか、漕ぎづらさを改めて感じました。

――クルー全体でもっと磨いていきたい点を教えてください

佐藤 爆発力というか、スピードのマックス値をこれからもっと伸ばしていきたいと思います。

齋藤 今年はアウトコースからのスタートなので、そこで慶大に出られるとその後の中盤とかラストも消化試合みたいになってしまうので、両国までのコース序盤で頭取ることを仕上げていきたいと思います。

岡部 波もあって不安定な中で漕ぐことになると思いますが、その中で一本一本集中して、荒れている環境の中でも漕ぎ切る力をより磨いていきたいです。

――ご自身の強みを教えてください

岡部 私はクルーの中で一番身長も高くて、体格的に有利な部分があると思います。陸上でのトレーニングでも自分はクルーの中で上の方なので、そういったところをパワーに変えたいです。

齋藤 唯一の最高学年なので、自分が後ろから大きい声出して元気づけることは、後ろに座っていることもあって自分にしかできないと思うので、本番も含めて後ろから声を出すことが自分に与えられた役割かなと思ってます。

佐藤 自分は特別パワーが強いわけではありませんが、この冬の期間の追い込みで少し掴んだものがあるので、どうすれば艇を速く進めるかっていうのをクルーに共有して、クルーに還元できたらと思います。

――最後に、早慶戦への意気込みをお願いします

岡部 自分は早慶レガッタが入部を決める最後の決め手となった場所で、すごく憧れを抱いていた場所でもあります。早慶戦というもの自体に大学入学前から憧れていて、大勢の方が来ていただける中でレースができることは本当に幸せなことだと思うので、恵まれた環境の中で絶対に勝ちたいという強い気持ちもありますし、今まで1年間、冬の漕ぎ込みをかなりやってきた自負があるので、そういった点を生かして絶対に勝ちたいと思います。

齋藤 自分は大学時代の最初で最後の早慶戦なので悔いは残したくないですが、それは勝敗というよりは自分の中でいい漕ぎができたなっていう漕ぎが本番の3750メートルでできればいいなと思っています。ボート人生の区切りだと思っているので、勝ちにこだわると同時にしっかり部を盛り上げて本番まで持っていければと思います。

佐藤 昨年悔しい思いをして、今年は絶対やってやるっていう気持ちはとにかくありますが、その中でも今年のセカンドメンバーは特に勝ちたいって思えるメンバーなので、とにかくこのメンバーで慶大に勝つことは絶対に成し遂げたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 長屋咲希、田中瑠花、植村皓大)

◆齋藤智規(さいとう・ともき)(※写真中央)

先進理工学部4年。東京・早大学院高出身。

◆佐藤淳平(さとう・じゅんぺい)(※写真右)

法学部3年。埼玉・早大本庄高出身。

◆岡部秀磨(おかべ・しゅうま)

社会科学部2年。宮城・仙台第二高出身。