第2回は3年生サウスポー宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)が登場。昨年の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)では2季とも第二先発を務め役割を全うした。そんな宮城にオフシーズンの振り返りとさらなる活躍が期待される今季の意気込みを伺った。
※この取材は4月2日にオンラインで行われたものです。
生み出した力をリリースへいかに効率よく伝えるか
――まずはオフシーズンやキャンプでの取り組みについて伺います。オフシーズンの取り組みをご自身で総合的に評価してください
冬の間に体が大きくなり、体重も増やすことができました。出力を上げるという目標に対しては、マックス(自己最高球速)こそまだ更新できていないですが、アベレージは伸びていて、リーグ戦に入ったらいつでもマックスを更新できる状態というか、自分の中で150㌔が見えてきています。今まで遠くにあったものが現実的になってきたなという実感がありますね。
――オフシーズンに行った練習で最も効果的だったものは何ですか
ウエートトレーニングももちろんですが、ウエーブっていう、体の使い方を意識して、エネルギーや力をどのように伝えるかを覚える練習をして劇的に変わった感じがあります。生み出した力をリリースへいかに効率よく伝えるかに重点を置くようになってから、去年と比べて変わったかなと思います。
――フォームを修正したわけではなく、意識的な部分でに関してということですか
パッと見てフォームがすごく変わったわけではないと思うんですけど、自分の意識の中で、体幹からのエネルギーの流れを意識するようになって少ない力感で大きい力が出せているというか、今までの7、8割の力感で今までの10割が出せているっていう感覚になっています。
――その感覚は長いイニングを投げることにつながりそうですか
そうですね。1球1球力任せに投げる必要がなくなったので、自分のバランスやリズム感により意識を持てていて、それを意識することで楽に投げれている分、球数が増えても疲労が出にくい感じはあると思います。
(今年は)勝負の年
――先ほど球速に関してお話がありました。現在のマックスはどのくらいでしょうか
146㌔です。キャンプの目標で148㌔を出したいと思っていたんですけど、それは結局出せずに終わりました。でも146㌔を何度も計測していたので、あと一つ壁を越えられればというところです。148まで出ちゃえば、150まで行けそうな感覚がありますし、神宮ではより力が出ると思うので、まずは146の壁を越えてからかなと思っています。
――150㌔に対する意識はありますか
もともと自分は速球派ではないと自覚しているんですけど、最低限150㌔っていう数字を出せるっていうところをアピールしたいですし、この冬にスケールアップを掲げてきた中で、一つの具体的な目標が春のリーグ戦、夏の間に150㌔を投げるということでした。そこで150㌔という数字を使わせてもらいました。
――アピールというのは卒業後も見据えてということですか
そうですね。今年は勝負の年だと思っています。プロに行くにしても、そうでないにしてもこの先野球を続けるにあたって大事な1年になると思うので、上の世界で野球をしていきたいなって思うからには、自分自身がもっとレベルアップしなきゃいけないなと思っていたので、そこでの一つのわかりやすい目標というところで150㌔というのを設けさせてもらいました。
――では、変化球に関しての取り組みはありましたか
伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)さんというお手本がすぐ近くにいたので、コントロールやマウンドでの間合い、それこそ変化球を間近で観察して自分の中にたくさん吸収したつもりです。自分は総合力で勝負するピッチャーなので、あくまでも球速はプラスアルファだというのはぶれないようにやってきたつもりです。
――チームのことについて伺います。先ほど伊藤樹選手の名前も出ましたが、投手陣の中でよくコミュニケーションをとる選手は誰ですか
ピッチャー陣はみんなと同じくらいよく話しますね。香西(一希、スポ3=福岡・九州国際大付)や越井(颯一郎、スポ3=千葉・木更津総合)、田和(廉、教4=東京・早実)さんもそうですし、Aチームにいる選手たちとは同じくらい話してますね。
――新たに投手陣に加わった小松龍一選手(スポ1=岩手・花巻東)、佐宗翼選手(スポ1=石川・星稜)のそれぞれの印象を伺いたいです
見かけは静かそうなんですけど、話すと意外とよく話す面白い系でそういうギャップがあります。でもピッチングになると自分の考えをきちんと持っているので、しっかりしているなと思います。
――これまでの対外試合で印象的な登板はありますか
関西遠征最後の大阪ガス戦です。沖縄での登板は新たに挑戦していたことが結果に結びつかなくて苦しさもあったんですけど、大阪ガス戦ではある程度兆しが見えたと思います。自分の中で浦添キャンプの期間にやってきたことが関西遠征の最後の登板で出せたのは良かったかなと思います。
――新しく取り入れたというのは先ほどお話のあったウエーブのことですか
そうですね。ウエーブなど、意識的なところでフォームの改善を図っていて、実践的の中でも挑戦していたのですが、結果がなかなか出ずに気分が落ち込んでしまうこともありました。ですがとにかく一喜一憂しないように気をつけて良くなるようにってことだけ考えてやっていましたね。
(目標は)先発で投げて3勝
――ここからは今季のリーグ戦に向けての質問に入ります。開幕まで2週間を切りましたが、リーグ戦が始まる実感はありますか
4月に入ってからはいよいよだなって感じ始めています。
――チーム全体としてもそうですか
そうですね。キャンプから戻ってからはもう時間ないぞって首脳陣からも伝えられているのでチームとしてもそういう雰囲気があると思います。
――ご自身の体の状態はいかがですか
特に痛いところもなく万全です。
――ご自身の今季の起用法についてスタッフからお話はありましたか
まだないんですけど、自分としては今年も日曜日の先発としてチームの勝利に貢献したいと思っています。チーム内でのサバイバルに勝ち残って投げられるように頑張りたいと思います。
――今季の個人成績の目標を教えてください
先発で投げて3勝、もしくは負けなしっていうところにこだわりたいです。それが達成できると自然と防御率も下がって1点台、0点台っていうのが見えてくると思います。今季は特にチームの勝ちにつながるピッチングをして、そこから自然と勝ち星や防御率がついてくればいいなと思います。
――新入生へ向けてご自身のアピールポイントを教えてください
どんな場面でも淡々と投げる姿、ポーカーフェイスですね。
――対戦の楽しみな選手を教えてください
明治大学の八谷(晟歩、3年)です。レギュラーに近いところにいるので頑張ってほしいなと思いますし、対戦したら抑えたいなという思いがあります。あとは慶応の渡辺和大(3年)との投げ合いには絶対勝ちたいです。
――チームの中で注目の選手を挙げるとしたら誰ですか
ピッチャーは越井です。越井は150㌔目前に迫っています。雄たけびと直球に注目してほしいです。あとは1年生の徳丸(快晴、スポ1=大阪桐蔭)です。やっぱり大阪桐蔭は違うなって感じていてリーグ戦でも躍動してくれると思うので、皆さんにも期待してほしいです。
――大阪ガス戦では黒色のグローブを使用されていましたが、今季用に準備したものですか
そうです。今年使うものです。大学生になって高校ではできなかったカラーが使えるようになったので、1、2年生の下級生の間は派手な色にして3、4年生では渋めのグローブを使おうと入学当初から決めていました。今年は上級生の落ち着きを表したいので黒です(笑)。
――最後に意気込みをお願いします
3連覇もかかっていますが、そこはあまり意識しすぎずに、新チームとしてとにかく春のリーグ戦を制覇して、去年悔しい思いをした全日本(大学)選手権の舞台に立てるようにしたいです。そこにもう一回リベンジできるように、優勝できるように頑張りたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材・編集 石渡太智)
◆宮城誇南(みやぎ・こなん)
2004(平16)年9月5日生まれ。175㌢、80㌔。埼玉・浦和学院高出身。スポーツ科学部3年。最近食べた美味しかったものは、関西遠征中に高校時代の先輩と食べたお寿司と話してくださいました。勝負の年と意気込む今季、早大に勝利を呼び込む投球に期待です!