第1回に登場するのは昨季、伝統のエースナンバー・11番を背負い、圧巻の投球でチームを春秋連覇に導いた伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)。ラストイヤーを迎える今年、早大のエースとして伊藤樹が秘める思いに迫る。
※この取材は3月31日にオンラインで行われたものです。
昨年を超える準備はできている

――先日まで行われていた浦添キャンプでのテーマや重点的に取り組んだ点はありましたか
一番のテーマとしては運動量を増やすことでした。とにかく走ること、トレーニングや野球のプレーの量をしっかり確保して、キャンプを通じて身体づくりをもう一度見直しました。ピッチングの面では、無失点で試合をつくることと、ストレートの強さや質にこだわって取り組みました。
――新体制対談の際に球速アップや質の向上について話されていましたが、その点の手応えはいかがでしたか
順調に球速も上がってきています。昨年の2、3月と比べてもかなりいい状態で4月に入れていると思います。試合でどれだけ結果が出るかは分からないですが、昨年を超えるための準備はできていると思います。
――浦添キャンプを通じての収穫や課題があれば教えてください
課題としては、ストレートの強さを長いイニング投げても維持できるかという点です。そこに今、かなりフォーカスして練習を続けています。
――新体制対談の際、投手陣とのコミュニケーションが大事だと仰っていましたが、冬季練習や浦添キャンプを通じて投手陣の雰囲気はいかがですか
順調に各選手のレベルが上がっていますし、結果も出てきていると思います。下級生には「リーグ戦中もトレーニングを怠らず、来年以降を見据えてやってほしい」と伝えています。かなり目的意識を持って取り組めているので、いい雰囲気で練習が積めていると思っています。
――ここまでオープン戦にも登板されましたが、投球を振り返っていかがですか
特に日本生命戦では、好打者が多く安打もかなり打たれた中で0に抑えることができ、長打もなかったのは成長を感じることができました。レベルの高い相手にも自分のボールをしっかり投げ切れていたという点で大きな収穫がありました。
――球速アップに加え、スライダーやカットボールの精度向上もテーマに挙げられていましたが、キャンプやオープン戦を通じての手応えはいかがですか
スライダーは監督からのアドバイスもあり、改良を進めています。まだ一級品とは言えませんが、少しずつ良くなってきています。アドバイスをもとに、試行錯誤を続けているところです。
――今年からは、これまで多くバッテリーを組んでいた印出太一選手(令7スポ卒=現三菱重工East)に代わって、同期の吉田瑞樹(スポ4=埼玉・浦和学院)とのバッテリーとなっていますが、捕手としての印象やリードの違いはありますか
配球に関しては、選手の性格や、野球に対する考え方によっても変わってきます。自分の中での印象では印出さんの方がよりリスクを考えた配球で、吉田は勝負するところ、避けるところといった意図がはっきりしていて、自分の考えも伝えてくれるキャッチャーです。リードに関しても吉田とはお互いの意図を共有して、いいコンビネーションが築けてきていると思います。
目の前の試合を大切に

―― 今シーズンはラストイヤーとなりますが、心境の変化はありますか
ドラフトイヤーでもあるので結果にこだわりたいと思っています。ただ、空回りしても意味がないので、やるべきことを淡々と続けることが大事だと思っています。ラストイヤーだからといって特別に意識することなく、1試合1試合を大切にしていきたいです。
――オープン戦では1年生の活躍も目立ちますが、どのような印象を持っていますか
2人とも本当に良い投手で、しっかりゲームを作れるピッチャーだと思っています。しっかり練習を重ねて経験を積めば、自分を余裕で超えていく存在になると思います。
――特に注目している下級生はいますか
越井颯一郎(スポ3=千葉・木更津総合)ですね。最近非常に調子がいいです。以前は厳しいことも伝えましたが、しっかり練習して結果もかなり出てきています。リーグ戦で自分たち先発が降板した後、リリーフでチームを救ってくれる存在になると思って期待しています。
――初戦は東大戦となりますが、チームの印象や警戒ポイントはありますか
まずはしっかり勝ち切ることが大事だと考えています。また、昨季は明治に勝利できましたが、優勝するには明大や慶大には確実に勝たないといけないと思っています。
――他大学で特に警戒している打者はいますか
下級生にもいい選手はいますが、木本圭一選手(明大4年)のようにずっと試合に出場し続けていて経験豊富な選手に打たれると、流れを持っていかれるので要注意だと考えています。
―― ご自身のピッチングで注目してほしいポイントはありますか
昨年を超える投球が求められているので、すべてにおいて昨年以上の結果を出さなければいけません。この4年間でチームを助けて、優勝に導いたと言ってもらえるような投球をしていきたいです。
―― 今シーズンの目標をお願いします
個人としてはまだタイトルを取れていないので、最優秀防御率など数字として見える部分はすべてトップを狙いたいです。そうすればチームの優勝にも近づくと思うので、全ての指標で圧倒的な成績を残したいです。
――最後に、春季リーグ戦に向けた意気込みを一言お願いします
全勝優勝が目標です。そのための初戦を任される投手として、しっかりゲームをつくって勝ち切りたいです。11番としてラストイヤー、いいスタートを切れるよう頑張ります!
ーーありがとうございました!
(取材・編集 植村皓大)

◆伊藤樹(いとうたつき)
2003(平15)年8月24日生まれ。177㌢、84㌔。宮城・仙台育英高出身。スポーツ科学部4年。浦添キャンプの思い出として、弊会記者との坂道ダッシュをしたことを挙げてくださった伊藤樹選手。今季もエースとしてチームを引っ張る投球に期待です!