第100回日本選手権 3・4日目 3月22・23日 東京アクアティクスセンター
池江璃花子(横浜ゴム)、鈴木聡美(ミキハウス)らが登場した日本選手権3日目、会場は満員の盛り上がりを見せ選手たちを後押しした。3日目は多くの選手が決勝、B決勝に進出し、自己ベスト更新者も多く見られた。原空輝(スポ3=東福岡)は予選、決勝と自己ベストを更新して銅メダルを獲得。さらに加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)は、200メートル平泳ぎで世界選手権への切符を掴んだ。最終日の4日目は松本信歩(スポ4=東学大付)が50メートル自由形で銅メダルを獲得したほか、松﨑りん(人2=東京・日大二)が800メートル自由形で自己ベストを更新し、表彰台に迫る活躍を見せた。
★原が自己ベストで銅メダル
50メートル自由形で世界選手権代表に内定している松元克夫(ミツウロコ)や、昨日の200メートル自由形で優勝した新星・村佐達也(中京大中京)ら注目選手のそろう、花形の男子100メートル自由形。その予選で自己ベストを更新し、松元、村佐に次ぐ3位で決勝へと駒を進めた原。決勝はさらに自己ベストを更新し、48秒台に乗せ銅メダルを獲得。世界選手権の派遣標準記録まであと0.65秒という好タイムだ。「自分の持っている力を出せた」と振り返り、「まだまだ改善の余地はある」とさらなる進化への意欲を示した。

表彰式後の原(写真右)
★悔しさをバネに、加藤が世界選手権内定!
昨日の100メートルは悔しい銅メダルとなった加藤が、200メートル平泳ぎでリベンジを果たした。一番練習を積んできたというこの種目。予選を1位で通過し決勝に臨んだ。最初のひとかきひとけりから抜け出すが、鈴木聡美(ミキハウス)に次ぐ2位でレースを展開していく。100メートルを過ぎてから3番手を泳ぐ楠田夢乃(藤村SS)が迫り一時3位に後退するが、得意とするラストの追い上げで楠田を突き放す。鈴木にはわずかに及ばなかったが、2分24秒24と自己ベストを更新するタイムで、見事世界選手権の派遣標準記録を突破し銀メダルに輝いた。「優勝と2分23秒台を狙っていた」ため悔しさはあるが、初となる世界選手権の代表入りに喜びを見せた。7月に開催される世界選手権に向け、「出場権だけで満足せず、決勝に残れたら良い」と意気込む。世界の舞台でどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。

鈴木とともに世界選手権代表に内定した加藤(写真左)
★背泳ぎは飯田が快泳を見せた
男子200メートル背泳ぎ決勝に、早大から村上汰晟(スポ3=兵庫・明石南)と飯田光達(スポ2=東京・八王子)の2人が登場。予選で1秒も自己ベストを更新した飯田は、前半の100メートルを5位で折り返すと、テンポを崩すことなく大きな泳ぎで順位を一つ上げ、4位でフィニッシュした。表彰台には惜しくも届かなかったが、決勝でさらに自己ベストを塗り替える好調ぶりに驚いたと振り返る。400メートル自由形は予選落ちという結果だったが、この種目でその悔しさを晴らした。

スタートで飛び出す飯田
★松﨑、青木が800メートル自由形決勝へ
3日目の女子800メートル自由形予選を突破し、松﨑りん(人2=東京・日大二)と青木虹光(スポ1=群馬・明和県央)の2人が4日目の決勝へ。1500メートルで銅メダルを獲得している青木が序盤で3位につけるが、徐々に先頭との差が開いていく。中盤からはペースの落ちない松﨑が青木の前に出て、3位の選手を追う展開に。わずかに届かず4位となったが、自己ベストを更新した。松﨑の後を追った青木は6位。タフなレースだが、ともに予選からしっかりとタイムを上げた。

800メートル自由形を泳ぐ松﨑
早大からメダル獲得者や、メダルに迫る選手が多く生まれた今大会。早大勢が日本の競泳の最前線で戦う力があることを示してくれた。夏に向けてさらに競技力を上げ、日本学生選手権(インカレ)では多くの選手が表彰台に登ってくれることに期待したい。
(記事 神田夏希、写真 土橋俊介)
結果
3日目
◇予選
男子100メートル自由形
原空輝 49秒13【3位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破、自己ベスト
松井理宇 49秒87【11位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
女子100メートル自由形
松本信歩 55秒46【3位】決勝進出、JAPANOPEN突破
船越彩椰 56秒04【10位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
柴田菜摘 57秒66【35位】日本学生選手権突破
内田さくら 57秒84【41位】日本学生選手権突破
女子200メートル平泳ぎ
加藤心冨 2分26秒14【1位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
男子200メートル平泳ぎ
松田藍青 2分15秒70【32位】
男子200メートル背泳ぎ
村上汰晟 1分59秒01【6位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
飯田光達 1分58秒91【5位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破、自己ベスト
女子200メートル背泳ぎ
水野柚希 2分14秒84【11位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
亀井涼子 2分17秒21【23位】日本学生選手権突破
女子800メートル自由形
青木虹光 8分41秒27【5位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
松﨑りん 8分42秒80【6位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
◇B決勝
男子100メートル自由形
松井理宇 49秒99【5位】
女子100メートル自由形
船越彩椰 56秒24【3位】
女子200メートル背泳ぎ
水野柚希 2分13秒30【1位】
◇決勝
男子100メートル自由形
原空輝 48秒99【3位】自己ベスト
女子100メートル自由形
松本信歩 54秒99【2位】
女子200メートル平泳ぎ
加藤心冨 2分24秒24【2位】インターナショナルC突破、派遣標準スタンダードA突破、自己ベスト
男子200メートル背泳ぎ
村上汰晟 1分59秒09【5位】
飯田光達 1分58秒41【4位】
4日目
◇予選
男子50メートル自由形
原空輝 22秒70【11位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破、自己ベスト
松井理宇 23秒17【28位】日本学生選手権突破
男子100メートルバタフライ
新開誠也 53秒13【16位】B決勝進出、JAPANOPEN突破
山口遼大 52秒85【14位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
女子50メートル平泳ぎ
加藤心冨 31秒91【5位】決勝進出、JAPANOPEN突破
女子50メートル自由形
松本信歩 25秒68【6位】決勝進出、JAPANOPEN突破
船越彩椰 26秒00【12位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本学生選手権突破
◇B決勝
男子50メートル自由形
原空輝 22秒67【2位】
男子100メートルバタフライ
新開誠也 53秒08【7位】
山口遼大 52秒95【5位】
女子100メートル自由形
船越彩椰 26秒03【4位】
◇決勝
女子800メートル自由形
松﨑りん 8分38秒33【4位】自己ベスト
青木虹光 8分40秒58【6位】
女子50メートル自由形
松本信歩 25秒39【3位】
女子50メートル平泳ぎ
加藤心冨 31秒55【3位】
コメント
原空輝(スポ3=東福岡)
ーーレースを振り返って
前半から行こうと思っていたので、そこはいけたかなと思うんですけど、後半の75から100メートルの泳ぎ方が変わってしまって、ちょっと違う筋肉とかを使ってしまって、まだまだ改善の余地はあるかなと思います。
ーー自己ベストを更新されましたがいかがですか
うれしいんですけど、やってきたことがそのまま出て納得のタイムという感じです。自分の実力以上を出せたというよりは、自分の持っている力を出せて、これが普通というくらいにしたいです。
ーー50メートルへの意気込み
決勝に行けたら良いと思っています。ただ100メートルの練習をメインにしていて、50メートルは今日の延長線上でやるので、あまり期待はしないでほしいんですけど気楽にできたらと思います。
飯田光達(スポ2=東京・八王子)
ーーレースを振り返って
疲労はあった中ですけど、思ったより良いタイムが出たので結果としては満足です。
ーー自己ベストでしたがいかがですか
6月に足の手術をして、インカレではベストとギリギリ同じくらいのタイムに戻ってきて。それよりは確実に良い練習を積めているので、ある程度良いところまで行けるだろうとは思っていたんですけど、予選で1秒ベストが出てびっくりしました。決勝もさらに上げられたので怖いくらいです(笑)。
ーー調子が良かったですか
そうですね。400メートル自由形があまり振るわなくて、その分頑張ろうという思いもあったので、取り返せたかなと思います。
ーー今後の意気込み
まだまだ上がいますしインカレもあるので一歩一歩、チャレンジャーの気持ちを忘れずに積み上げて、インカレでは表彰台に乗れたらチームにも貢献できると思うので、そのためにあとは頑張るだけだと思います。
加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)
ーーレースを振り返って
優勝と2分23秒台を狙っていたので、前半から行かないと鈴木さんには勝てないと思っていたので、前半から今までよりは速くいけたつもりなんですけど、ターンをして鈴木さんに抜かされてしまったのでそこは悔しいです。
ーー自己ベストでの代表内定でした。振り返って
2分24秒台は3回目で、安定して良いタイムを出せていることはうれしいんですけど、目標の23秒台が出なかったので悔しいです。
ーー代表内定ということについては
100メートルでの内定は叶わず悔しかったんですけど、200メートルで入ったことはうれしいです。うれしさもあるけれど今は疲れたなという気持ちです。
ーー悔しさを味わって今日臨むにあたって、切り替えた部分は
100メートルが終わった直後は悔しくて、200メートルへの自信が少し減ってしまったんですけど、練習は200メートルの方が取り組んできたということをコーチと話して、後半の100メートルに自信があるのでそこは絶対ぶらさず、ラスト50メートルで全員を抜かせるようなレースプランで行こうと思っていました。
ーーゴールした瞬間の気持ちは
ゴール直前で鈴木さんに負けていたのはわかっていたんですけど、タッチして2番というのを見て、素直にうれしかったです。
ーー次の大会への目標をお願いします
世界水泳は初めて出場するので、出場権を得て満足するのではなくて、目標はケイト・ダグラス選手(アメリカ)なんですけど、そこで目標のタイムを出して決勝に残れたら良いと思います。