第61回定期演奏会 12月16日 練馬文化センター
今年もこの時期がやってきた。そう、定期演奏会の時期が。毎年4年生の引退間際に開催される定期演奏会。総勢80名の大所帯で、たくさんの苦労と努力の中1年間歩んできた。シンフォニックステージ、ポップスステージ、ドリルステージによる3部構成で様々なことに挑戦してきたこの代だからこそできる、とっておきのステージとなった。
開演前には部員それぞれの想いが詰まったメッセージが放映される。始まる前に行われたプレコンサートでは、エプロンと三角巾をつけた姿で「吹奏楽団のお母さん」4年生9名が登場。リコーダー9重奏で『呼び込みくん』『ピタゴラスイッチのテーマ』を披露。会場が温まる。第1部のシンフォニックステージでは、演奏会の開幕に相応しい『プロローグ・ワン』から始まった。力強いファンファーレで始まり、明るくノリの良い曲調は、これから始まるコンサートへのワクワク感を観客に提供する。続く『エアーズ』は冒頭のグロッケンソロから穏やかで優しい曲調へ展開し、ゆったりとしたメロディで見る人を包み込む。そして、SFロボットアニメ「ジャイアントロボ」の劇中歌を吹奏楽アレンジした、『「GR」よりシンフォニック・セレクション』、『早稲田大学校歌』の計4曲を演奏した。応援席では分散してしまう音も、ホールで聴くと壮大さが違う校歌は観客を圧倒した。
第1部の様子
赤い照明に包まれ、第1部とはガラッと雰囲気が変わり、第2部に突入。スタジオジブリの名作アニメ映画から厳選された音楽を交響組曲として編曲した『交響組曲「シネマ・トリロジー」〜スタジオジブリ・コレクション〜第1楽章「SkyーFlight」』を始まりとし、ジブリ作品の名シーンが蘇る美しい音色が会場全体に響き渡る。続いては『昭和アイドル・コレクション』。昭和を彷彿(ほうふつ)とさせる制服を身にまとった部員も登場。可愛らしいダンスと共に昭和の名曲アイドルソングで明るくポップに盛り上げる。最後は『ディズニー・ファンティリュージョン!』。クリスマス前ということで、サンタ帽や、ディズニーのカチューシャをつけた部員たちが登場し、まるでディズニーのパークにいるような気分にさせてくれる場面だった。そして、サプライズで今年度の十八番である『オーメンズ・オブ・ラブ』を披露した。揃った動きと演奏に観客も拍手で応じた。
『オーメンズ・オブ・ラブ』を披露
第3部はドリルステージ。演奏の前に小野玲々菜副将 兼 吹奏楽団責任者 兼 インスペクター(国教4=東京・かえつ有明)が挨拶に立つ。『吹奏楽団として挑戦の広がった一年』と最終学年としての一年を振り返った。そしてドリル用の衣装を身につけ、『Montana Fanfare』、圧倒的な音量で始まりを告げる。続くチアリーダーズ曲『プリキュア5 スマイルGo!Go!』。隊形移動やメリーゴーランドのような動きのあるフォーメーションで明るく元気なステージを披露した。カラーガードステージ『What Makes You Beautiful』では、軽快なリズムとポップなメロディーに「自分らしさが一番」というメッセージのもと、エネルギッシュな演技を見せた。キュートな踊りと、色鮮やかな旗を使い、しなやかな動きが魅力的だった。代わって、バッテリーパートの『Anaconda』では、力強いドラムなど迫力あふれる演奏で大蛇アナコンダを表現した。ドリルステージのメインは『サウンド・オブ・ミュージック』。不朽の名作ミュージカル映画を壮大なアレンジで届けた。カラーガードを中心に取り囲む隊形や両手で旗を持ち、体を存分に使った演技などステージを目一杯使った演出、そして美しい旋律で視覚、聴覚の両方に訴えかけてくるステージだった。ダンス曲の『September』はディスコの名曲。ソウルフルなメロディが特徴で、動きの揃ったダンスで見るものを魅了した。
綺麗に揃った隊形を見せた
カラーガードパートのステージ
最後はお待ちかねの『応援曲メドレー/応援曲ドリル』。ミラーボールを使った演出に、全パートの4年生の全てが詰まったステージとなった。リーダーパートの4年生もチアリーディングに挑戦し、各パート同士の仲の良さやこれまでの想いが伝わるものだった。
応援部全パートが集結
学生注目を披露した星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)
ーー魂の旋律。それは彼女達がこの1年考え、そして形にしてきたものだった。今年の吹奏楽団は演奏に重きをおき、コンクールやマーチングコンテストへの参加や応援活動以外の活動にも精力的に参加してきた。また、下級生でも意見できるようにするなど組織改革にも積極的に取り組んだ。この1年でたくさんのことを成し遂げてきた吹奏楽団。4年生の集大成となった第61回定期演奏会であったが、観客を最大限楽しませた素晴らしいステージであった。来年の冬、また定期演奏会はやってくる。
※掲載が遅くなり、申し訳ございません。
※役職は当時のものです。
(記事 井口瞳、写真 土橋俊介)
コメント
手島海緒大吹連理事兼演奏会運営責任者(文4=神奈川・横須賀)
――定期演奏会全体を振り返っていかがですか
準備中は「本当にこれで大丈夫かな?」、「独りよがりな演奏会になってないかな」と心配でしたが、全て終わった今は「やってやったぞ!」という達成感でいっぱいです。
――特にこだわった部分は
大人っぽく、プロっぽく、スタイリッシュな演奏会というのが個人的な演奏会のテーマでした。その為、応援部らしからぬクラシカルな楽曲を選んだり、入退場をプロの吹奏楽団っぽくしたり等、演奏会全体から良い意味で「応援部らしさ」を払拭しようとした点です。早稲田大学応援部吹奏楽団は、コンクールで毎年良い賞を受賞する団体(所謂コンクールバンド)ではありませんが、「応援部でもこんな演奏会が出来るんだ!」という応援部の応援だけではない魅力が少しでも伝えられたら良いなと思いながら準備をしていました。
――演奏会運営において苦労した点はありますか
自身のキャパシティとの闘いです。演奏会の運営に当たって「部員にこの様にアプローチしたい」、「こういう企画案を実現したい」という欲求はたくさんあるものの、自身の容量の悪さが災いしてなかなか実現出来ない事がありました。定演の準備期間では、「ゲネプロの運営どうだった?」、「こういう事やりたいんだけどどう思う?」と同期に思いつくままに相談し、アドバイスやフィードバックをもらう事で自身が理想とする運営に近づく事が出来ました。また、この様にして色々な人と演奏会の話をした事で「みんなで創った演奏会」という印象を強く持つ事が出来ました。
山口実友演奏会企画責任者(創理4=愛知・市立桜台)
――定期演奏会全体を振り返っていかがですか
この代、このメンバーにしかできない最高のステージをお届けできたと思います!今年は早稲田スポーツが強かったり、多くのイベントに出演したりとスケジュールが過密でしたが、最高の形で集大成を迎えることができたと思います。
――特にこだわった部分は
総勢80名で盛大かつ一人一人の想いのつまった演奏会にすることです。今までにない大人数で華やかな演奏をお届けできたと思います。また、パンフレットとともに一人一人からのメッセージをお届けしたり、PVで皆の姿を放送したりと、全員が輝けるステージにしました。
――演奏会運営において苦労した点はありますか
例年いらっしゃるお客様に新規性のあるステージをお届けすることと、来年も行きたいと思えるようなステージにすることです。今年は、ポップスステージでダンサーに踊ってもらったり、PVビデオの放送などに挑戦しました。
新川真生演奏会広報責任者(創理4=千葉・芝浦工業大柏)
――定期演奏会全体を振り返っていかがですか
沢山の方々にご来場いただき、大成功の定期演奏会だったと感じております。役職柄、来場者数や終演後アンケートの内容にばかり目が向いてしまうのですが、それも含めて、これまでの集大成を飾れるような、思い出に残る演奏会を開催できたと思います。
――特にこだわった部分は
パンフレットです。パンフレットは秋頃に作成を開始したのですが、歴代の先輩たちが素晴らしいものを作り上げられてきたということもあり、密かにプレッシャーを感じていました。入稿直前まで校正作業を重ね、何とか納得のいくものを作り上げられたので、安心して当日を迎えられました。
――演奏会運営において苦労した点はありますか
広報活動では、如何に多くの方々に定期演奏会の情報を届けられるかを意識して1年間注力してきたので、野球の早慶戦をはじめとした大きなイベントの度に演奏会の広報を地道に行っておりました。また、観客の方々が憂いなく演奏会自体を楽しんでいただけるように、毎日のように予約対応をさせていただいたため、観客の方々に対する想いが人一倍強い自負があります。