全国大学選手権 1月13日 対帝京大 秩父宮ラグビー場
大学ラグビーの頂点を決める最後の戦い、全国大学選手権(大学選手権)決勝。今年度、決戦の舞台となったのは東京・秩父宮ラグビー場だ。運命の一戦が行われる1月13日、関東ラグビーの聖地を彩るのは、このピッチで長年しのぎを削ってきた2色の赤。関東大学対抗戦(対抗戦)全勝優勝の早大と、大学選手権4連覇を狙う帝京大である。今季4戦目となるこのカード。戦績は2勝1敗と勝ち越している早大。長いシーズンの集大成に、最強の敵から完全勝利をつかみたい。『早稲田のプライド』が王座奪還を果たすのか、王者の意地が『赤い旋風』を巻き起こすのか。いよいよ最終決戦の火蓋が切られる。
早大は準決勝にて京産大と対戦。昨シーズン、早大をベスト8に沈めた関西の強豪との再戦だった。1年前の雪辱を果たすべく奮起した早大は、前半から完璧なパフォーマンスを見せる。圧巻だったのはディフェンス。強力なフィジカルを持つ京産大のアタックラインを自陣に寄せ付けず、後半26分まで無失点に抑え込んだ。攻撃も噛み合い得点を重ね、31点差までリードを広げる。終盤にかけて連続失点を喫するも、前半からのアドバンテージを守りきった早大。因縁の対決を見事に制し、決勝戦へ駒を進めた。
ファイナルで迎え撃つ帝京大は、今季対抗戦を2位で終えた。しかし、シーズンの深まりにかけてチームは右肩上がりの成長を見せている。準決勝では明大と対戦した。フィジカルとスピードを兼ね備えた強豪同士。力と力がぶつかり合う激しいゲームは、帝京大が王者の実力を示す展開となった。序盤から幸先よく2トライを先制。その後は明大にペースを握られ前半のうちに逆転を許し試合を折り返した。しかし、ゲームを通してコンタクトエリアで優勢に立っていた帝京大は、後半に入ると流れを引き戻す。3連続トライと1本のペナルティーゴールで一気に明大を突き放し、自力の差を見せつけた。勢いに乗ると止まらない圧倒的な推進力は、決勝の舞台でも大きな脅威となるだろう。
帝京大撃破のカギを握るのは、やはりチーム佐藤の武器であるディフェンスとスクラムだろう。鉄壁の守備網で帝京大の自由を封じ、セットプレーで主導権を奪い取る。自分たちのラグビーを最後まで貫き通せば、結果は自ずとついてくるはずだ。また、これまで磨き上げてきたスキルに加え、アタックマインドを持ち続けることも勝利への重要なポイントとなる。特に気をつけたいのは、京産大戦で見せた終盤の失速だ。王者・帝京大を相手に、一瞬でも集中を欠けば致命的な結果を招きかねない。シーズンを通して積み重ねてきた勝利の経験を信じ、80分間攻め続ける姿勢を貫くことが求められる。『Beat Up』の体現となるような圧倒的なパフォーマンスに期待したい。そして注目選手は、佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)。高校時代のチームメイトでもある帝京大のFL青木恵斗主将の名前を挙げながら、「最後はキャプテン勝負になると思います」と意気込む佐藤。リーダーとして、そして選手として、最後までチームを牽引する完璧なプレーで、早大を勝利へと導く。
いよいよ大詰めを迎えた日本一への道。シーズン始動時、佐藤が掲げた「強い早稲田を取り戻す」という力強い決意。その言葉通り、チーム佐藤は多くの勝利を積み重ね、ついには関東王者の座を奪還した。そして今、残すは大学選手権優勝という最高の栄冠のみ。歓喜の瞬間はすぐそこに迫っている。秩父宮ラグビー場に『荒ぶる』を響かせるべく、赤黒の戦士たちは最後の戦いに挑む。
(記事 西川龍佑 写真 権藤彩乃、濵嶋彩加)