日本学生氷上競技選手権 1月5日 古瀬スポーツ公園アイスアリーナ
1月初旬、今年も日本学生氷上競技選手権(インカレ)が開催された。早大からは、今回が初めてのインカレとなる1年生から最後となる4年生まで、計7名が出場。部を背負い、それぞれがベストをつくした。大会初日となる1月5日は、6級女子の競技に今年度主将を務める千葉紫織(文構4=東京・筑波大付)と小林遙佳(政経1=埼玉・早稲田大学本庄)、3、4級男子の競技に坂﨑愛介(基理2=東京・早大学院)が出場した。
★3・4級男子
両足に痛みを抱えつつも滑りきった坂﨑
早大勢最初に登場したのは坂﨑。昨年から引き続き、2年連続でのインカレ出場となった。しかし、演技直前に右足をつってしまうアクシデントが発生。「5分間練習から時間が空いたので、足が完全にオフモードになってしまった」という。足をさすりながらスタート位置に向かい、リンクサイドからも「(足を)伸ばして、伸ばして」と声がかけられた。顔を伏せるようにしてポーズをとり、音楽がかかると、ふわりと右手を上げて滑り出す。しかし演技を始めて3ターン目で今度は左足をつってしまう。振りを間違えるほど焦っていたというが、冒頭のジャンプはしっかり回転を締め2回転サルコウを着氷。トゥ系のジャンプは難しいと判断し、その後のフリップを1回転に減らすなど冷静だったが、本来の実力を発揮することは難しかった。それでも、今大会に向け磨いてきたスケーティングを発揮し、柔らかに『ヴァイオリン協奏曲』を演じる。コレオシークエンスでは、笑顔を浮かべ、腰に手をあて手を差し伸べるような仕草をしたり、音楽に合わせて次々とポーズをとったりと、勢いを落とさずに滑っていった。リンクサイドからの「がんばれー」という応援を背に、最後のスピンを終えると、フィニッシュポーズと同時に倒れこむ。結果は35・36点で8位。両足に痛みを抱えながらも最後まで演じ切ったが、演技後には「情けないです」と振り返るなど、悔しい試合になった。それでも、「来年は勝ちたい」と前を見据えた。
★6級女子
優雅な滑りを見せた小林
6級女子の試合には、早大から2名が出場した。一人目は、今回が初めてのインカレとなる1年生の小林。「ずっと目指してきた、一番大きな大会」と、気合は十分だ。氷に片膝と片手をついた姿勢でスタートポジションにつく。音楽がかかり歌声が流れ始めると、天に手を伸ばし見上げるようにして滑り出した。冒頭の3回転トーループは着氷が乱れダウングレードの判定に。直前の6分間練習でも調子が上がっていなかったジャンプに、本番でもミスが出た。続く2回転アクセルも転倒と、難しい入りとなったが、2本目の2回転アクセルは成功させ意地を見せた。得意とするスピンは今日も安定感が光り、確実に加点を獲得。後半のジャンプは、転倒こそなかったものの、両足着氷になるなど細かいミスが続く。終盤のコレオシークエンスは、音楽も大きな盛り上がりを見せる場面。スパイラルなど多彩な動きを盛り込み、全身を大きく使って『Titanic』のドラマチックな世界観を存分に表現し、出来栄え点でも高い評価を得た。ジャンプでミスが相次いだことに悔しさを見せ、演技後は小さくうつむいたが、丁寧にあいさつをしてからリンクを降りた。結果は61・91点で11位と伸び悩む。大きな大会に「自分の中の不安が出てしまった」と涙を見せたが、リンクサイドの「友達とか先輩とかの声援が本当に私の支えになった」と、インカレならではの空気感をかみしめた。
終始笑顔の絶えなかった千葉
今年度フィギュア部門の主将を務める千葉紫織(文構4=東京・筑波大付)にとっては、今回が最後のインカレ。「スケートにかなり真剣に向き合うことができた」という今シーズン、東日本学生選手権(東インカレ)に続き、この大舞台でも好演技を披露した。冒頭の2回転ルッツを軽やかに決めると、降りたいと目標に挙げていた2回転ルッツに挑戦。惜しくもダウングレードの判定となってしまったが着氷し、プログラムの流れを切らさず、続くコンビネーションジャンプを次々と成功。晴れやかな笑顔を見せながら披露した最後のコレオシークエンスでは、出来栄え点で1点の加点を得るなど、上質な滑りで『Exogenesis Symphony』を表現。ラストイヤーに選んだ特別なプログラムを、大きなミスなく演じ切った。千葉の点数は66・49点。2年前のインカレの64・01点を2点以上上回る点数を叩き出し、個人では見事5位入賞。団体では小林とともに1位に輝き、好成績で最後のインカレを終えた。「自然に滑っていて笑顔になれて、楽しく滑れた」と晴れやかな表情で演技を振り返った千葉。残り少ない競技生活、そして集大成となる3月の早稲田オンアイスが千葉にとって充実したものとなるよう願いたい。
千葉の得点発表を待つ部員たち
(記事、写真 吉本朱里、荘司紗奈)
結果
▽6級女子
千葉紫織
5位 66・49点
小林遙佳
11位 61・91点
団体 1位
▽3、4級男子
坂﨑愛介
8位 35・36点
コメント
千葉紫織(文構4=東京・筑波大付)
――最後のインカレでしたが、今大会の目標を教えてください
2回転アクセルを降りることなど具体的な目標も決めてはいたのですが、緊張とかも含めて全部、その瞬間を楽しむということを心がけてやっていました。
――今大会に向けての練習での調子はいかがでしたか
今シーズンは就活などがあっても、スケートにかなり真剣に向き合うことはできていたかなと思うので、その成果もあって、あまり崩れることがありませんでした。それが自信にも繋がって、今日の演技にも繋がったかなとは思います。
――改めて、今日滑ってみていかがでしたか
気持ち的にはあまり緊張していないつもりだったのですが、やっぱりスタートポジションに立ったら結構足が震えていたり、そこから動き出しも「おお、大丈夫か」って思いながら滑っていたりもしたのですが、最初に言ったその瞬間を楽しむじゃないですけど、緊張も含めて今しか味わえないものをかみしめながら、東インカレもそうだったのですが、自然と滑っていて笑顔になれて、楽しく滑れたかなと思います。
――インカレは4回目ですが、今までのインカレと違ったと感じる部分はありますか
自然に笑顔が出るというのは、今シーズンの試合は結構できていて、今までは本当に苦しいじゃないですけど、もう耐え抜くみたいな感じで滑っていたのが、今シーズンはかなりゆとりを持てていると思います。今までお世話になった人たちへ恩返しする演技、そういう意味合いがあるのは今シーズンならではかなと思います。
――今日の点数についてはいかがですか
点数が出た瞬間、あまり見えていなかったのですが、多分大学2年生の時のインカレで結構点数が出ていて(※2023年インカレ64・01点)、それが今までで一番良かったのを塗り替えられたのかなとパッと見て思ったので。ポロポロ取りこぼしているところは、まだちょっとスコアは見れていないのでわからないのですが、あると思うので、そこは2月の中旬に1個公式戦が残っているので、そこで挽回できたらいいかなと思います。
――早稲田オンアイスまでの残りの競技生活をどう過ごしていきたいですか
本当にこのインカレが終わるともう2カ月切っていて、早稲田オンアイスは自分の引退の場であるとともに、やっぱり部員全員で作り上げる大事な舞台でもあるので、本当に引退生と現役生関係なく、みんなが楽しんで、お客さんの皆さん、見てくださる方に見て良かったと思ってもらえるようなものを作り上げられるように、今みんなかなり頑張っているので、それをしっかり出せたら良いなと思います。ぜひ、お越しください!
小林遙佳(政経1=埼玉・早稲田大学本庄)
――今日の演技を振り返っていかがですか
悔しい思いでいっぱいです。東インカレから成長できた部分も少しは出せたかなと思います。悪かった部分が目立ってしまいましたが、声援がすごくて、声援が助けてくれました。
――どういった部分に力を入れて練習してきましたか
前回(東インカレ)は、小さなミスが積み重なって点数が上がらなかったのと、のびのび滑れなかったなという思いがありました。今回もものすごく緊張したのですが、少しは切り替えてのびのび滑れたのはよかったかなと思います。ただ、ジャンプなどで小さなミスは出たので、そこはまだまだ課題だなと思います。
――初めてのインカレでしたが、心境は普段と違いましたか
ずっと目指してきた舞台で、私にとっては一番大きな大会なので、大きな大会への緊張感もありましたし、自分の中の不安が出てしまったかなと思います。ですが、大学生の大会ならではの、友達とか先輩とか応援してくれる人がリンクサイドにいて、その人達の「がんばれ」という声援が本当に私の支えになりました。
――今大会で得た課題や収穫をふまえ、今後に向けてお話しいただけますか
来年もこの舞台に立てるように、そして今大会よりも良い演技ができるように、地方大会もそうですし、何より来年のインカレに向けて、練習を積んでいきたいと思います。
坂﨑愛介(基理2=東京・早大学院)
――足を押さえていましたが、どうされたんでしょうか
つってしまいました。演技が始まる前の待っている時間に右足のふくらはぎをつって、いけるかなと思ったんですけど、演技始まって最初の3ターンで左足をつって、両足のふくらはぎをつった状態でずっと滑っていました。もう、情けないですね。
――演技中ずっと足が痛い状態だったということですか
ずっと痛かったです(笑)。もう今すぐ(演技を)辞めたかったんですけど、気合で滑りました。
――今日の演技全体を振り返っていかがですか
今日は初めて7番滑走ということで、5分間練習から時間が空いたので、足が完全にオフモードになってしまいました。その間の時間が反省です。両足つった状態で最後まで滑ったのは、よくやったなとは思いますが、まあ、悔しいですね。
――それでも2回転サルコウも跳んでいました
トゥをつくジャンプは跳べないなというのは分かっていたので、サルコウは2回転に締めました。降りた後トーループを付けられるかなとも思ったのですが、痛すぎてそこまでの気合はなくて(笑)。やはり難しかったですね。今考えるとフリップ+ループを跳んでおけば良かったなと思いますが、(演技中は)焦っていたので…。実は最初の振りを間違えたりもしてしまって。逆にそこで落ち着いた部分もありましたが、もう少しできることはあったかなと思います。
――ジャンプ以外のスケーティングなどについてはどうでしたか
実際(の演技について)は何も言えることはないんですけど(笑)。(山田)琉伸に伊香保の一般滑走に連れて行ってもらったりして、今回はスケーティングにかなり力を入れてやってきました。ジャンプの調子があまりよくなかったのもあり、今回はスケーティングとスピンを頑張ろうということで、うまくなったスケーティングを披露しようと思っていたのですが(実際は)それどころではなくて。足を延ばせる状況ではなかったので姿勢は悪かったですが、スピンは東インカレよりはよかったかなと思います。
――3月にはWASEDA ON ICEもあります。今大会をふまえ、今後どのように練習していきますか
1位の人の演技を見て、やはりスケーティングを鍛えるだけでは勝てないなと思いました。来年はあの子に勝ちたいので、2回転アクセルや3回転を用意したいです。理想はWASEDA ON ICEまでに準備出来たらなと思います。