慶大とのフルセットの激闘の末、初戦見事勝利!

男子バレーボール

東日本大学選手権大会 6月25日 富山県西部体育センター

  6月25日、大学バレーボールシーズン上半期の締めくくりとなる東日本大学選手権大会(東日本インカレ)が開幕した。シードに組み込まれた早大の初戦の相手は直前の第1試合で勝ち上がった慶大。早慶バレーボール定期戦からわずか2週間後に再戦することとなった早大と慶大は『宿敵』の名にふさわしい激闘を繰り広げた。第1セットをリベンジに燃える慶大のムードに押され落とすが、第2セットを取り返す。3,4セット目も両者一歩も譲らぬ展開で試合はフルセットに。9-13の窮地に追い込まれたが、懸命のつなぎが功を奏し、逆転。セットカウント3-2(23-25、25-20、23-25、25-18、15-13)で接戦を制し、初戦を突破した。

 慶大の先制点で幕開けとなった第1セット。序盤から拮抗(きっこう)した試合展開となる。MB菅原啓(教2=山形南)のクイックが早大初得点となると、続いて、セッター前田凌吾副将(スポ3=大阪・清風)の鮮やかなツーアタックで会場を沸かせる。その後、相手に崩される場面も見られたが、リベロ布台聖(スポ2=東京・駿台学園)による正確な二段トスからの攻撃や、リバウンドからの攻撃で立て直す。しかし、慶大の攻撃を封じ込めず、流れをつかまれると、最後はMB麻野堅斗(スポ2=京都・東山)のサーブがアウトになり、このセットを献上した。

クイックを打つ菅原

 巻き返しを図る第2セット。長いラリーが慶大の得点になると不穏な空気が漂い始めたかのように思われた。しかし、小野駿太(スポ1=静岡・聖隷クリストファー)のパイプ攻撃を中心に徐々にペースを掴むと、中盤、佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台)の左サイドからの鋭いクロス、麻野の高さのあるクイックなどで6連続得点し、流れは早大へ。その後も馬渕純(スポ4=岐阜商)や公式戦初出場となるローゼン・マーク有廉ジュニア(スポ1=茨城・土浦日大)とメンバーを変えながらも得点を重ね、最後は佐藤がストレートコースを決め切り、セットを取り返した。

  続く第3セットは、取っては取られる一進一退の攻防が続いた。中盤、前田、菅原のブロックポイントが続き、17―15とリードするも、慶大のアタッカー陣の攻撃を止められず、連続得点を許してしまう。その後も両者譲らず、23ー23と一時同点に追いつくも、最後は小野のスパイクが3枚ブロックに封じ込められ、このセットを落とした。

 後がない第4セット。序盤からミスが続き、3―8とリードを許す。流れを変えたい早大は、畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)を投入。畑がレフトスパイクを鋭くコートに刺さすと反撃の糸口を見つけたかのように、早大の猛追が始まった。菅原のブロック、佐藤の3枚ブロックを打ち抜くバックアタック、そして、長く苦しいラリーを畑が何度も断ち切り、25―18でこのセットを掴み取る。

チームに流れを呼んだ畑のスパイク

 運命の第5セット。畑、小野のスパイクを中心に得点を重ねるも、勢いに乗る慶大の猛攻はなお止まず、9-13と点差が開く。しかし、畑の鋭いバックアタックを皮切りに、怒涛の追い上げを見せる。リリーフサーバーで投入された伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)がサーブで崩すと、何度も長いラリーが繰り広げられた。粘り強く拾い続け、そして果敢に攻め立て続ける。1点も相手に渡さぬまま、最後は相手のミスを誘い、怒涛の6連続得点でこのセットを取り切った。

相手を揺さぶった伊東のサーブ

  今季初のトーナメント戦の今大会。慣れない会場に慣れない相手、そして連戦による精神的、体力的な難しさがあるだろう。その中で、春季リーグから課題として挙げられてきた雰囲気づくり。今試合は、まだその課題が残るように見受けられた。この東日本インカレも、毎度のように選手が口にしているが、「結果にはとらわれずに」、常に自分たちの100パーセントを出せる大会にしたい。

(記事 指出華歩、写真 井口瞳、町田知穂)

 

セットカウント
早大 23-25
25-20
23-25
25-18
15-13
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)
アウトサイドヒッター 小野駿太(スポ1=静岡・聖隷クリストファー)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ2=京都・東山)
ミドルブロッカー 菅原啓(教2=山形南)
オポジット 徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)
セッター 前田凌吾(スポ3=大阪・清風)
リベロ 布台聖(スポ2=東京・駿台学園)
途中出場
馬渕純(スポ4=岐阜商)
畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)
伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)
ローゼンマーク有廉ジュニア(スポ1=茨城・土浦日大)
コメント

畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)

――今日の試合を振り返って

 このチームで初めてのトーナメントということで、初戦の難しさが分かった試合だったと思います。

――難しい状況での途中出場でしたが、意識していたことは

 気持ちの面では、(試合に)出られない悔しさがあったので、「早く試合に出られないかな」と思っていて。結構難しい状況でしたけど、自分のやるべきことをやったという感じですね。

――春季リーグではミスも見られましたが、今日は修正できていましたか

  そうですね。春リーグが終わってから結構練習して、この大会に向けてきた思いも強かったので、そこはうまくできたかなと思います。

――東日本インカレを通しての目標

 優勝とか結果にこだわるより、チームとしてやってきたサイドアウト75パーセント以上取るなど、今まで練習してきた部分を出せるように頑張りたいと思います。

 

菅原啓(教2=山形南)

――今日の試合を振り返って

 先日早慶戦でも対戦させていただいた慶大との試合で、前回勝っていた部分からなのか、早稲田側から向かって行けていないシーンが多く見られました。結果的にセットを落としてしまい、最後のセットも中盤までリードされてしまう試合でした。

――序盤はブロックの吸い込みなどが多く見られましたが、完成度はいかがでしたか

 個人的にいうと、初めての会場というのもあり、セットの前半はばたついてしまっていました。ブロックもネットから離れて手を前に出せていなかったのが、吸い込みを多く出してしまった原因だと思います。

――ストレートで勝つことのできた早慶戦と今日は何が違いましたか

 先日勝てていたからこそ、精神面で安心し切っていた部分からかと思います。

――雰囲気がのまれる場面もありましたか

相手にリードを握られた場面ですとか、終盤の場面で自分たちでミスが出てしまったり、相手の盛り上がっている雰囲気の中で自分たちから向かっていけていない感じでした。

――課題は

 技術はもちろんなのですが、相手チームに向かっていく姿勢が課題かなと思います。それがないと、自分たちの力を発揮できないですし、相手のチームにのまれて自分たちのプレーを100%全部出すことができないので、そこをやっていきたいと思います。

――明日への意気込みをお願いします

 大学では珍しいダブルヘッダーの試合になるのですが、まずは、1試合目から集中して相手に向かって行って、2試合しっかりと勝ち切れるようにしたいと思います。

 

小野駿太(スポ1=静岡・聖隷クリストファー)

――試合を振り返って

 途中4、5セット目とか自分の中で負けっていう言葉だったり、焦りっていうのが出てしまって、プレーにそれが出てしまってトスを呼ぶことができなかったりとか、チームの雰囲気を盛り上げることができなかったりとか、自分のメンタルコントロールっていうところから全然甘いなって思うのと、やっぱりまだサーブだったり大事な場面で決められないところでは練習不足が多く見られるのでそういう部分ではもっとしっかり日々の練習からもっと詰めていかなければならないと感じました。

――サーブが途中から良くなったように見えましたがいかがですか

 チームの中でキープサーブと攻めのサーブがあって、自分はキープサーブをする時に入れにいってしまうサーブという風に考えてしまっていたのがよくなかったのかなと思っていて。打ててる時はしっかり決めて行こうっていう気持ちでいるんですけど、やっぱりキープサーブは少しマイナスの考え方でサーブを打ってしまっていたので、それはゆるいサーブを打つんじゃなくてしっかり相手を狙って打つという意識をやっていけてないのは問題だと思ったので、そこはしっかり次からやっていこうと思います。

――早慶戦との違いはありましたか

 早慶戦では会場の人が多くて結構雰囲気も自然と良くなってくれたので自分達はプレーに集中することができたんですけど、早慶戦で勝ったっていう気の緩みもあったのか分からないですけど、それで相手を少しちょっと下に見てしまっていた部分がチーム全体としてあるかもしれないと思ったので、次はしっかり改善して初心を忘れずにやっていきたいと思います。

――明日以降の試合の意気込みをお願いします

 今日の1、2、3セット目はしっかり打てていたと思うので、それをこれからの決勝が終わるまでしっかりずっとキープしたいです。早稲田は春リーグで負けてしまったんですけど、東日本インカレで1回優勝して、いい雰囲気で次の舞台に持って行けるようにしたいと思います。