1年時からワセダのダブルエースとしてチームを引っ張ってきた大島祐哉(スポ4=京都・東山)と山本勝也主将(スポ4=石川・遊学館)。そんな二人がワセダを背負って出場する試合も秋季リーグ戦(秋季関東学生リーグ戦)が最後となる。共に準優勝に終わった春季リーグ戦、インカレ団体戦(全日本大学総合選手権・団体の部)を振り返りながら、秋季リーグへの思いを伺った
※この取材は9月3日に行われたものです。
「ワセダとしての団体戦は特別なもの」(大島)
左から山本主将、大島
――まずシーズン前半での戦いについてお伺いします。春季リーグは2位という結果でしたが、この結果をどのように受けとめていますか
山本 2位という結果は今のチーム状況だと最低ラインだと思います。2位という結果にはもちろん満足していなくて最低ラインは達成できたのかなという風に感じたのですけど、メイジとの試合では全然点数が取れなくて、相手もかなり余裕を持っていたので、もっともっと食い下がらなければいけないという風に感じました。
大島 メイジに勝てなければ優勝はない中で、2位というのは最低限の結果だと思いますし、その中でメイジとの春季リーグでの差というのはみんなが感じたことだと思うので、そこに関しては逆にメイジとの差がはっきり出たので、みんなが練習を頑張るきっかけになったかなと思います。
――春季リーグ戦は5日間連続の過密日程でしたが、その中でコンディションを整えるのはやはり大変でしたよね
山本 そうですね。
大島 ぼくは世界選手権が終わってすぐのリーグ戦だったので、気持ち的にも体的にもかなりキツくて、駒沢戦で2点落とすこともありましたし、春季リーグでの試合というのは自分の中でもかなり難しい試合だったかなと思っています。
――7月のインカレ団体戦では春季リーグで敗れた明大、駒大を破っての準優勝でした。インカレでの戦いを振り返って
山本 準々決勝で駒沢、準決勝でメイジという春でチームとして負けている2校に勝つことができたので、春季リーグに比べてチーム全体としてかなりいい状態にきているのではないかという風に感じています。
大島 やはり駒沢戦を3ー0で勝てたのは大きかったと思いますし、メイジに対しても勝てたというのはチームの状態が春から比べるとかなりよくなっているのではないかという風に感じています。
主将としてチームをまとめ上げた山本主将
――決勝の愛工大戦はあと一歩というところまでいきました。決勝での戦いを振り返って
山本 決勝の相手は普段やっていない相手で、メイジはかなりやっているので対戦前からすごくイメージがしやすいのですが、なかなかイメージがつかない中で大島が1番でせっかく取ったのですが2番でぼくが負けてしまったので、そこでチームとしての波に乗れなかったのかなという風に感じています。
大島 決勝に関して言えば、ぼくと吉村(真晴、愛工大)のエース対決で勝ったというのはチームとしてはすごく大きかったですし、オーダーを見ても2番と5番のどちらかが勝たないと勝てない中で2番もやはり相手も強いですし、その中でダブルスで1ー1から2ー1にリードできたというのはチームとしても大きかった。5番の藤村(友也、愛工大)と上村(慶哉、スポ2=福岡・希望ヶ丘)の試合は2ー1、ファイブラブリード、そこからの展開というのは精神的な部分でよくなかった。少し勝ちが見えましたし、相手の方は逆に思い切ってきましたね。ほんのすこしの差ですけど、そこが最後出たかなと思うので、技術的なところも課題はありますし、経験の差もありますけど、精神的な部分で相手の方が少し(上だった)、最後そこが出たかなという風に思いますね。
――インカレでの戦いは、リーグでの戦いと違う点がありますか
山本 インカレの方が大事な全国大会なので、まわりの方はすごく大事な試合という風に思っていると思うのですが、ぼくたちの中ではリーグ戦は雰囲気が違って、リーグ戦の方が重要だというのがあるので、春優勝できなくて、インカレは2位で少し嬉しい部分はあったのですけど、秋で優勝しなければ気持ちよく終われないので、最後の秋にすごく集中していきたいと思っています。
大島 インカレは日本一を決める試合なのでぼくとしてはすごく日本一を取りたかったですし、最後手に届くところまではいったんですけど負けたというのはやはり何か原因がありましたし、それが何なのかというのを一人一人ミーティングもして確認はできていると思うので最後秋にがんばりたいと思います。
――シーズン前半を振り返って、1番印象に残っているシーンを教えてください
山本 なんでもいいんですか(笑)。
――なんでも大丈夫です(笑)
山本 なんだろう…(笑)。やっぱりインカレの準決勝と決勝でぼくは両方前半で出て落としてしまっているので、そのイメージが今でもすごく強く残っていて。自分が勝てば両方ともすんなり勝てた試合だと思うので、2試合とも負けたというのがすごく印象に残っています。
大島 数多く試合は出ていますし常に試合はしているんですけど、やはりワセダとしての団体戦はぼくの中では特別なものがありますし、インカレの準決勝、決勝でエースにあたって勝てたあの2試合はぼくの今の調子を逆に復調させてくれたきっかけの試合かなという風に思っています。
――個人戦で吉村選手などにあたるのと、団体戦でエースとして1番手であたるというのはまた違うものがありますか
大島 そうですね。チームを背負っての戦いで、みんなが期待をしたエース対決らしく出ているので、そこで勝つ負けるというのはチームとしての勢いだったり流れが全然違うので、そこはやっぱり個人戦とは違いますね。
――シーズン前半のご自身の戦いぶりを百点満点で表すと何点くらいになりますか
山本 うーん、ぼくは30点ですかね。
一同 (笑)。
山本 3年の夏からすごくいい成績を残せたんですけど、4年になっていい成績が1つも残せていなくて。結果もそうなんですけど、プレー自体もなかなか思うようなプレーができていなくて。練習ではできていて、試合ではできていないという部分がすごくあるので、そういう意味で30点という点数をつけました。
――プラスチックボールに苦しんでいる場面も見られましたが
山本 そうですね。プラスチックボールになってからまだ思うような成績を残せていないので。夏休みにすごく練習をやりこんでそこですごく自信をつけられて、最近は自信を持ってできているのですごくいい状態できていると思います。
大島 ぼくは80点くらいはつけられるかなという風に思っています。でもあと一歩。インカレもそうですしユニバーシアードもそうですし、常に銀メダル。やっぱり何かが足りない。その20パーセントが優勝できていない部分かなって思うので、やっぱり今回はなんとしても優勝にこだわりたいという部分はありますね。
――シーズン前半の戦いから、それぞれ何か課題は見つかりましたか
山本 課題は数多く見つけることができて、その中で夏休みにすごく集中的に取り組むことができたので、この前あったドリームマッチという試合とその前のミニ国体(地方の国体)の試合でその技術が存分に発揮することができたので、今の状態はすごくいいと思います。
大島 ぼくはここまで試合をかなりこなしてきているのでやっぱり体もキツイですし、精神的な部分でかなりキツイんですけど、そこの部分をクリアしていかないとこの先試合の中で勝っていくことができないので。技術的な課題もありますけど、精神的な部分というのもぼくの中では大きいかなと。やっぱり折れれば簡単に負けることができますし、でもそこを折れずにチームとして、エースとして頑張らなきゃいけないというのは自分の中ですごく大切なところじゃないかなという風に思っています。
――そこはもう自分の中でしか克服できない
大島 そうですね、やっぱり自分の中で克服しなければいけないですし、相手も向かってきている中で自分が受けに回ることなくできれば絶対に勝てると思うので。受けに回ってしまう弱さというのがどこかで出たら負けにつながるので、それを出さないようにしたいと思います。
――チームについてですが、シーズン前半の戦いを終えてチームの雰囲気はいかがですか
山本 チームの雰囲気でいうと、春から夏休みの前までにかけてはガラッとした変化があまりなかったんですけど、夏休みに入ってみんな一緒にいる時間も長くなって、練習もすごくやりこめるようになって、みんながすごく前向きになってきているかなという風に感じています。
大島 ぼくは4年生になってからワセダに練習に来ることがかなり少なくなって。チームのことは勝也(山本)にすごく任せっきりなので、試合の前に3、4日来て試合に行くという形なんですけど、逆にチームの状態というのは分かるかなと思います。普段見ていないので、久しぶりに来たら「あ、みんなちょっと変わったのかな」とか「ここがダメだな」という風に感じることができるので、その分では逆にいいかなという風にぼくは思っています。ぼくは外部じゃないですけど常に(チームを)見ているのではなくて、ちょっと違う目線で見ることができるので、その分ではいいかなという風に思うんですけど、やっぱりぼくが少しいないというのはどうなのかなって。それは正直分かんないですけど。でもやっぱり来ることは少し難しいので、そこは本当に勝也に任せっきりという感じです。
――4年生という立場から、下級生の戦いぶりをどのようにご覧になっていますか
山本 うーん…。下級生全体でいうと、技術レベルとしては上がっているなと普段の練習を見ていて感じているんですけど、実際の試合になったときになかなか自分の持っている技術を発揮できなかったり、メンタルの部分でちょっと足りない部分が…。少し弱気になってしまったり、最後置きにいってしまったりという部分があるので。そこの部分を克服することができればみんなかなりいい結果をもっともっと出せると思うので、そこの壁を乗り越えてほしいなという風に感じています。
大島 精神的な部分というのは試合の中で大きく勝利を左右する部分だと思うので、そこですかね、やっぱり。まだまだ試合の経験も浅いですし、ここ一本何をしたらいいのかという戦術の間違いだったりとか。それはやっぱり緊張していて頭が働いていないっていう部分もありますし、技術力がなくてそれができないっていうのもありますけど、そこは団体戦なので勢いだったり流れっていうところでカバーできる部分はあるので、まだ下級生なので思い切って声出してハツラツとやってくれたら流れがチームに出てくるんじゃないかなって思うんで。その部分は期待してますね。
――改めて今年のチームの強みとはなんでしょうか
山本 1番の強みは1年生の時からずっと(試合に)出ていたぼくらが4年生になったことで、ただチームとして1点取ってくるという訳ではなくて、自分たちが精神的な支えにもなっていると思うので、その学年が最終学年に来たというのが1番の強みじゃないかと思っています。
大島 やっぱりぼくと勝也(山本)がいるというのはかなり精神的な部分で他の人に余裕を与えてあげられているかなっていうのはあると思います。でもそこに頼りすぎている部分というのもチームの中であるので。「自分が1点取ろう、自分がエースとあたって勝とう」というのをもっともっと下級生が出してくれればもっともっといいチームになると思うので。ぼくらが勝つことも大事なんですけど、他のそういう子たちが勝ってくれることの方がチームとしてはすごく大きいので、逆に言うと今のワセダはそこが強みじゃないですけど、もっともっとその部分を出してくれればいいかなという風に思います。
「勝つ姿を後輩に見せたい」(山本)
――お二人は大きな大会でたくさん戦ってこられていますが、試合前緊張はされますか。
山本 しますけど、1年生のころに比べてたらもう全然ですね。1年生のころは比べ物にならないくらい緊張していたので、そのころに比べるとかなり緊張は薄れているかなという風に思います。
――キャプテンとしての重圧などは
山本 あんまり重圧は感じていないですね。伸び伸びやらせてもらっています。
――大島選手は
大島 ぼくは1年生のころとは違うプレッシャーがありますね。自分としてもそうですし、チームとしても負けられないですし。負けられないっていうのはかなり苦しい部分ですよね。そこの部分はぼくの克服する最大のポイントなので。そこはかなり難しいです。
――インカレでの愛工大戦のとき、1番手で大島選手自身すごく盛り上がっているように見えましたが心境はいかがでしたか
大島 吉村(真晴、愛工大)とは普段からかなり仲もいいですし、いいライバルとして、同期としてここ一番何としても勝ちたいという気持ちが強かったのでかなり気合も入ってましたね。
エース対決では、高い勝率を誇る
――試合前に自分を落ち着けるためのリラックス方法やゲン担ぎは何かされますか
山本 そういうのはあまりしてないですね。とりあえず試合前になったらいつものようにストレッチしてウォーミングアップしてというルーティーンを崩さないようにしているだけで、リラックス方法とかは特にやってないですね。いつもと同じような行動をすることを心がけています。
大島 ぼくもいつもと同じことをするようにするのと、やっぱりあとは競ったときにどうするっていうのを感じ取れるように。そこが感じ取れないときっていうのは競ったら負けますから。そこの部分を感じ取れるように頭をクリアにして試合に臨むようにしています。
――今年の夏で強化した点や集中的に行った練習があれば教えてください
山本 あまり細かくは言いたくないですけど(笑)、大雑把に言うと、サーブレシーブの部分と台上の部分ですね。そこの部分は以前からすごく心がけていた点なんですけど、また以前とは違ったような戦術をできるように心がけて練習しています。
――それについての手応えの方は
山本 この夏のミニ国体とドリームマッチですがようやく手応えをつかむことができました。
大島 ぼくはかなりサーブこだわってきたかなという風に思います。サーブで相手を崩して自分のパターンに持っていけるようなことをかなりやったかなという感じです。
――山本選手にお伺いしたいのですが、夏の合宿では主にどのような練習をされましたか
山本 夏の合宿をやったのがすごく最近で、試合直前ということがあるので常に試合を意識したオール練習というのをかなり取り入れてやりました。普段はフットワーク練習だとか動く練習をすごく取り入れているんですけど、そうではなくてチーム全体として試合ではこういう戦術をやろうっていうのを決めて、オール形式の練習をかなり多く入れたと思います。
――寺合宿などもされていると思いますが、その意図は
山本 よく知ってますね(笑)。寺合宿は精神面の強化ですね。あと非日常的なことをすることによってチームの団結力とかもすごく生まれると思うので、そういう目的があって行いました。
――その期間は卓球をされないそうですけど
山本 そんなに期間が長くないので。夕方から入って次の日の午前中にもうあがるので、「卓球できない」とかは気にしないでいました。
大島 ぼくは試合があって夏の合宿に参加できていないのでみんなの合宿の成果に期待しています。
――大島選手はナショナルチームで海外遠征に行かれて結果を残されていますが、海外の選手と戦うことで手応えを得られましたか
大島 そうですね、外国の選手は日本選手とは違う感性を持っていますし、競った場面でも「こんなことしてくんの」っていうのもあります。対応力がないと外国の選手にはついていけないっていう部分と、あとフィジカルの面でやっぱり相手はパワーもありますし、その部分ではかなり違いを感じているところではありますね。
――その中でもかなり世界ランクも上がってきていると思いますが、自分の中で上手くいっているなと思うことはありますか
大島 やっぱり海外選手とやると、差があってのラリーっていうのはなかなか点数を取ることが難しいんですけど、前陣での台上だったりサービス、バックハンドっていう風なところでの点数を多く取れるようになったことが世界ランクを上げる、良い状態できてるポイントじゃないかなと思っています。
――続いてシーズン後半の戦いについておうかがいします。お二人が出場されるリーグ戦も秋のリーグが最後ということになりますが、最後のリーグ戦を前にした心境を教えていただけますか
山本 もうリーグ戦直前で、これが終わったらぼくらは一応引退という形なので、秋リーグがもっと先にならないかなっていう風に感じているんですけど、普段の練習で緊張感を持ってやることで秋リーグでいい成果が発揮できると思うので、最近は練習の中でもすごく緊張しながらやっています。
大島 この4年間ずっと勝つときも、負けるときもやっぱりチームのみんな、OBの方々に支えてもらったので、最後の団体戦なので最後優勝して恩を返せたらいいなと思っています。
――残り短い期間の中で後輩の方々に伝えたいこと、メッセージはありますか
山本 みんないいものは持っていて、それなのになかなか試合で結果が出せないっていうのに対して悲観的に思うんじゃなくて、あとちょっとのところでその壁を乗り越えられると思うので、前向きに、もっともっと色んな試合に出て、色んな技術を試して、試合の中でのパターンをもっともっと一人一人が確立していってほしいなという風に感じています。
大島 ぼくが1年生とか2年生のときは毎日毎日練習ばっかりしていました。できるときって限られていると思うし、社会人になったらなかなか練習だけをするっていうのは難しくなりますから、学生のうちに、最後もっとやっておけばよかったって思わないように普段の練習、試合で成果を出してほしいと思います。
――後輩の方々は4年生のプレーを目標にしていらっしゃいると思いますが、このリーグ戦を通してどのようなプレーがしたいですか
山本 プレーの内容はなんでもいいと思うんですけど、とにかく勝つ姿を後輩に見せたいなという風に思います。
大島 ぼくもチームに勝利をもたらしていくことが大事だと思うので、後輩に、最後競ってもこういう風に勝つんだよっていう姿を見せられたらいいんじゃないかと思います。
――最後にシーズン後半、秋季リーグへの意気込みを教えてください
山本 最後の大会になるので、残りわずかしかないですけど一日一日を大切にして、最終戦でメイジとあたることができるので、最終戦まで必ずいい状態で全勝して、最後メイジに勝って優勝できたらなという風に思います。
大島 やっぱり最後メイジに勝っていい状態で終われたら最高の引退ができるんじゃないかなという風に思っているので、秋リーグはそれをやり遂げたいなという風に思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 小川 由梨香、久保田有紀)
チームの精神的支柱でもあるお二人の1文字は「心」と「気」でした
◆山本勝也(やまもと・かつや)(※写真左)
1993(平5)年12月22日生まれ。石川・遊学館高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。今季はキャプテンとしてチームをまとめ上げた山本主将。これまで何度も、持ち前の勝負強さでチームを救ってきました。シーズン前半は苦しんだだけに、これから始まる後半戦での躍進に期待です!
◆大島祐哉(おおしま・ゆうや)(※写真右)
1994年(平6)3月5日生まれ。京都・東山高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。4年間エースとして活躍してきた大島選手。ことしは海外での試合が続きワセダでの練習は少なくなりましたが、チームへの思いは人一倍です。ワセダの一員として戦う最後の雄姿から目が離せません!