このままでは終われない。春シーズンでは、相手選手からの対策や最上級生という重圧により、思うようなプレーができず苦しんだ小道野結主将(スポ4=神奈川・横浜隼人)、高橋結女(スポ4=新潟・新潟産大附)の二人。大学最後の団体戦として迎える秋季関東学生リーグ戦(リーグ戦)では意地を見せたい。今シーズン前半戦の振り返りと共に、最後の秋季リーグ戦への思いを伺った。
※この取材は9月1日に行われたものです。
「みんなの温かさを実感しました」(高橋)
左から小道野主将、高橋
――お二人だけの対談は初めてだと思いますがいかがでしょう
高橋 いつもふうふう(佐藤風薫、スポ3=岡山・就実)いたっけ。三人だよね。
小道野 変わらない(笑)。
――優勝を目指して臨んだ春季リーグで3位という結果に終わってしまいました。今思うことなどありますか
小道野 春季リーグ戦はもちろん優勝を目指していましたが、自分がキャプテンとして初めて臨んだリーグ戦だったし、自分たちがチームを作っていくうえで初めてのリーグ戦で、たぶん私たちが一番訳もわからず、戸惑ったじゃないですけど、難しかったリーグ戦でした。
高橋 …最上級学年だよね?(笑)。すごいいままでより考えることも多くなっていて、自分の試合以外にも目を向けないといけなくなって、戸惑っていた部分も私自身もあったと思うのですが、その経験を経て、いまはそんなことないです(笑)。
――春季リーグ戦での個人の戦績は振り返ってみていかがでしょう。
小道野 全然良くなかったです(笑)。対戦相手の分も悪かったですし、いま思えば自分の調子も良くなかったかなと思います。
高橋 自分は最初シングルス出たり、出なかったりしていたのですが、ダブルスではきょねん優勝した時はダブルスでたくさん勝てていたので気持ち的にすごく盛り上がってたんですけど、(ことしは)ダブルスでも結構負けちゃってて、負けてから立ち直るのにリーグ戦の中で時間がかかってしまいました。
――落ち込んでいたというような感覚ですか
小道野 戸惑った。
高橋 そう、どうしようみたいな。
小道野 負けたんだ、って。
――全日本大学総合選手権・団体の部(インカレ)では昨年と同様に淑徳大に敗れました。当時じゃ気付けなかったような敗因などいま思うことはありますか
小道野 4年生でも何回か話したのですが、あの時はチームの状態も1人1人の状態も良かったんですけど、結局最後勝てなかったのはことしのチームは層が厚いと思うんですけど、層が厚いからこそ最後高橋が出て、ベンチが勝つのではないかと安心した部分があって、敗因は誰が出ても落ち着く場面はあってはいけないし、誰が出ても選手もベンチも向かっていく気持ちじゃないといけなかったねという話で落ち着きました(笑)。どうですか、高橋さん。
高橋 その通りだと思います(笑)。私が2点も落としてしまったので。試合後チームのみんながフォローしてくれたので、みんなの温かさを実感しました。
――インカレで淑徳大の敗退後、小道野主将が「チームの意識が足りてない」と厳しめのコメントをしていました。振り返ってみていま感じることはありますか
小道野 インカレで負けたあとはそれを感じたのですが、いまインカレ負けて、私と高橋がすごい泣いているということもあったし、最後だしもっと「がんばろう」と言いました。そしたら後輩たちもそこからすごく頑張ってくれていて、そういう姿が良く見えて、いまの状態は結構いいんじゃないかと思います。
――インカレ終了後チームとして取り組んだ課題はありますか
小道野 対策?
高橋 あー。インカレ後は他の大学の試合ビデオを全員で見て対策をしたり、あと練習に後輩が提案したものを組み込んだりして、合宿に入れるようにしました。
キャプテンとして、エースとして活躍してきた小道野主将
――夏に個人の課題として取り組んだことはありますか
高橋 インカレでレシーブできず崩れてしまった場面があったので、自分の苦手な回転をレシーブする練習をしていました。それだけだとレシーブできるのでいろいろなサーブを交えても取れるように、練習を試合のような状況に近づけてラリーになる前の段階の練習を重点的にやりました。
小道野 私はレシーブを重点的にやって。いまは打ち込む練習が増えているので、レシーブからのオールの練習で、ひたすらフォアを打っています。最近はスマッシュを結構打つようにしているので、スマッシュとドライブを考えながら取り組んでいます。
――お二人とも春のシーズンでは自分の思うようなプレーができてないように感じました。原因はあるのでしょうか
高橋 対策されているのが試合中にわかるから、前と違う戦い方をされているのがわかって、それでミスをしてしまうと、私はですけど(笑)。「うわっ対策されている」、「ミスしている」って試合の中で修正できなかったりすると自信がなくなっていくということはありましたね。
――相手の術中にはまっているような感覚ですか
高橋 結構点の取られ方が、一気にそのままの流れで取れられてしまうので。こっちが有利な場合が多くて、相手は向かってくるし、それを真に受けちゃって、小さくなってしまっている部分はあったので、…勝手に決め付けちゃったね(笑)。
小道野 なんだろうね(笑)。ことしは結構迷宮入りしたよね(笑)。気持ちの面だったり、戦術の面だったり、だめなところばかりやってもいままではこういう特徴があったから、また別にこうした方が良いのかっていろいろ二人で考えて案を出しながら、秋はどうなるかわからないですけど、最後だしなるようになるかなって感じでやることを1つずつやってきました(笑)。
――先ほどお話にもありましたが、今回の合宿で何か変えた部分はありますか
高橋 合宿の場所がいつものタマスの建物でやっていたのですが、試合ではニッタクのボールが使われることが多かったので、どっちの球も使えるこの練習場でやるように変えました。
「盛り上がるだけ盛り上がってやろう」(小道野)
――そのような夏を通して、いまのチーム状況はどう感じていますか
高橋 みんなモチベーション高くない?
小道野 一人ひとりがすごいちゃんと自分のことを考えて、結女(高橋)が言ったように、モチベーションも高いし、それがチームとして良い雰囲気になっているのかなと思います。
高橋 Me too.
一同 (笑)。
――リーグ一週間前で、春のときのリーグ前と比べて何か違う部分はあったりしますか
高橋 1年生の2人(阿部愛莉、スポ1=大阪・四天王寺、徳永美子、スポ1=福岡・希望ヶ丘)も春よりも秋の方が一回見ているので、イメージは付きやすいだろうし、ダブルスもあるので二人で残って練習していて心強いです。
小道野 1年生が春よりもなじんでくれていたというのもあるし、この間の全日学(全日本大学総合選手権個人の部)予選が終わって、レギュラーじゃない子たちもいっぱい通ってくれたので、そのレギュラーじゃない子たちもモチベーション高くやってくれているし、1年生たちもなじんで、春よりは楽しそうだよね。そう思います。
――1年生の印象は春季リーグ戦、インカレを通して変わりましたか
高橋 印象は変わらないかな。春からなじむのも早かったよね
小道野 そのままの印象でなじんでくれた感じ。
高橋 どんだけなじむんだよ。
一同 (笑)。
小道野 確かに。
――最後のリーグ戦ですが、いままで以上の緊張感などはありますか
小道野 ある?
高橋 この前同期の渡辺(由佳、スポ4=静岡東)が女子のモチベーションビデオを作ってくれて、みんなで見たんですよ。それで最後なんだというのを実感して、そういう感情が湧き出てきて、いままでは思い切ってやればいいやと思っていたけど、本番をイメージしたら緊張するんだなって思ったので、心構えはいまからしておかないといけないんだなと思いました。
小道野 私はなんだろうな(笑)。最後だし緊張するというのもあるんですけど、春のときはあまりにもキャプテンだったしリーグ戦に身構えすぎて全然駄目だったので、逆にいまは最後だし緊張してもというのもあり、楽しみというのもあり、春よりは良いだろう(笑)、というのもあり。
高橋 確かに。春が苦しすぎた。
小道野 だから秋はなんだろう。最後で緊張するのもあるんですけど、いまはその緊張をどうしようというよりは楽しみだし、どうなるのかなというのが大きいです。
――春すごく苦しかったというのは試合に臨む前の気持ちの部分ですか
高橋 あったよね?
小道野 どういう立場で試合して良いのかわからなかった(笑)。
高橋 ね。それはある(笑)。
小道野 いまは自分のことをやれば良いんだなって。チームのことよりも、まず自分がしっかりすることだなって思えたので。
高橋 自分たちがチームをどうしようって言っていてもどうにもならないことがわかって。
小道野 そうそう(笑)。
高橋 みんな一人ひとりがやってくれればまとまるんですけど、春は余計なことを考えすぎましたね。
小道野 あとは、いま後輩がしっかりしてくれているので、だから私たちが全然心配する必要ないなって思えたので…下が頑張ってくれています。
――春季リーグ戦とは違いとどろきアリーナと代々木第二体育館の二会場でやりますが、プレー面での影響などはありますか
小道野 代々木があって良かったよね。
高橋 代々木のあの4台しかないという緊張感はね…結構好きで。
小道野 あっ好きなの(笑)。いま駄目って言うのかと思いましたよね。
高橋 代々木は好きなんだよね。
小道野 違う体育館っていうのは?
高橋 あんまり気にしてないです。
小道野 そんな感じです(笑)。
――高橋選手は代々木の方がやりやすい
高橋 やりやすいというよりは楽しい。他の体育館でやるよりもみんなの声もめっちゃ聞こえるし、応援も自分の声が通って出しやすいし。リーグ戦という感じがするね。
小道野 うん。
――気になる大学はどこですか
小道野 いつもそれ聞かれるよね。いつも全部って答えちゃう(笑)。どこですか。
高橋 淑徳大学(笑)。
小道野 それはあるね。
――インカレからの対策はしてきましたか
小道野 まあ、したね。インカレに行っていないレギュラーじゃない子たちに、ラストの高橋、高橋(美帆、淑徳大)の試合を最後のセットまで全部見て、こういう状況だったんですって(笑)。しっかり見ました。
高橋 こういう雰囲気だったんだよっていうのをチームのみんなに見せたりしてて。
小道野 あと1本というのをね。
高橋 厳しさを(笑)。
――また専修大学は春季リーグ戦、インカレを制覇してきて、何としてでも阻止という気持ちもあると思いますが
小道野 勝ちたいです。何かこう東京富士大とかは強いけど、向こうも盛り上がってくれるからこっちも盛り上がりやすいんですけど、専修大学って…。
高橋 しれっと勝って来ない?
小道野 一人ひとりが淡々とやっていて、でも技術も高いし、だからこっちが盛り上がれない状態で「負けた」みたいな感じになって、すごいやりづらいので、盛り上がるだけ盛り上がってやろう。
高橋 向かって行けるしね。
インカレの淑徳大戦では惜敗し、涙をのんだ
――東京富士大など応援合戦というか、盛り上がる試合の方がやりやすいですか
小道野 ワセダとしてはやりやすいですね。だからどう向かって行くかかなと思います。
――個人的に戦いたい選手や勝ちたい選手はいますか
小道野 絶対に勝ちたい選手?誰だろう。
高橋 その人に当たるかどうかもわからないね。
小道野 まあね。絶対に勝ちたい選手か。私の中ではやりたくない選手と勝ちたい選手がイコールなので、そういうとやっぱり専大の選手かな。鈴木(李茄)、安藤(みなみ)、山本(怜、中大)さん。すごいやりたくないんですけど、そういう選手に勝ったら自信になると思うので、その方々です。
高橋 誰に勝ちたいんだろう。
小道野 高橋さん(淑徳大)?
高橋 嫌だよー…。でも嫌な選手に勝ったら自信になるね。淑徳大との勝率悪いからな。淑徳大戦の時に絶対勝ちます。
――その上でワセダの中のキーパーソンは
高橋 キーパーソンというよりはダブルスじゃない。
小道野 ダブルスの2点だね。
高橋 やっぱり優勝している時はダブルスめちゃくちゃ勝っているので、シングルスで4点はきついかなと。
――2年生の田中千秋(スポ2=愛知みずほ大瑞穂)・鳥屋真帆(社2=高知・明徳義塾)組は専大の鈴木・安藤組に全日本選手権の予選で初めて黒星を付けたということもあり自信になったようで、お二人のダブルスを超えられるようになりたいと言っていましたが
小道野 あの二人を見ていて、春季リーグ戦では出場の機会はなかったですけど、試合前も期間中もずっと準備してくれていたし、秋に向けてもずっと腐ることなくダブルスを結構やってくれているので、私も機会があったら出してほしいなと思うし、良いダブルスだと思います。
――2年生たちがチームの盛り上げ役はお二人と話されていましたが
高橋 まじで(笑)。やっぱりダブルスだね。ダブルスで叫ぶしかないよ。
小道野 分かってるんですけど(笑)。わかればわかるほどね。
高橋 初戦から波に乗れたら良いよね。
小道野 頑張ります。
高橋 それしかないよね。なってみないとわからない。
――そういった後輩たちとの最後の団体戦になりますが、改めていまのお気持ちは
小道野 最後の団体戦。特にことしはキャプテンなので、最近は自分のことを考えていることの方が多いし、ちゃんとみんなのことを見られていないんじゃないかという不安の方が大きいので、そんな中でも文句も言わないで付いて来てくれたので、最後恩返しじゃないですけど、崩れることなくみんなのためにも頑張れたら良いなと思います。
高橋 最後なので、なんだろう…でも緊張するよな。最近団体で勝っている気がしないので、ワセダのチームとして最後に何か優勝に貢献できたら良いなと思います。
――ずっとお二人でやってきたと思いますが、大学に入学してから変化した部分はお互いに感じたりしますか
高橋 背は伸びてない。
小道野 髪も伸びてない。
高橋 何も変わってない。
一同 (笑)。
――見た目じゃなくて
小道野 内面的な。結女(高橋)の変化したところ。難しいな。
高橋 でも結(小道野)はあれだよ。絶対自分をコントロールできるようになってきたと思う。
小道野 ああ良いことだね(笑)。
高橋 ないならないで良いんだよ。
小道野 期待した目で見てきて(笑)。元から…。
高橋 元からしっかりしている?(笑)
小道野 自分を押し殺す心が強くなりました。
高橋 (笑)。
小道野 我慢強くなりました。
高橋 やっぱり新潟県民は我慢強いって言うから。
小道野 元々、我慢強いんだけど、さらにね。何が変わったって言われると難しいね。
高橋 いつも見ているからわからないんじゃないかな。
小道野 そうね。でも二人でここまでやってきてって言われたら泣きそうになるよね。
高橋 やめてくれ(笑)。
小道野 思い出はすごい激しくなりました(笑)。
――最後の秋季リーグ戦に向けて、目標また意気込みをお願いします
高橋 目標は全勝で、いまのチームで優勝すること。
小道野 意気込みは?
高橋 自分の役割を果たせるように頑張ります。
小道野 目標は全勝優勝。意気込みは良いこと言われたからな(笑)。意気込みは…難しいな。みんな何て言っていますか。
――「4年生たちを笑って卒業させたいです」と
小道野 泣けるね。
高橋 なんて良い後輩。
一同 (笑)。
小道野 どんな状況になるかわからないですけど、全部の試合をやり切ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 豊田光司、本田京太郎)
二人合わせて「飛翔」の文字を書かれました!
◆小道野結(おどの・ゆい)(※写真右)
1993年6月4日生まれ。155センチ。神奈川・横浜隼人高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・表。夏のオフはバーベキューやプールに行って、夏を満喫したとのこと。最後のリーグ戦も良い思い出にします。
◆高橋結女(たかはし・ゆめ)(※写真左)
1993年8月4日生まれ。161センチ。新潟産大附高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。色紙の漢字は二人で一つの熟語に最後までこだわっていました。秋季リーグ戦でも二人の相性の良さが発揮されることでしょう。