【連載】秋季関東学生リーグ戦直前特集 第2回 鳥屋真帆×田中千秋×加藤夏海

卓球ダブルス

 この春は悔しい結果に終わった早大卓球部。その中で2年生は何を感じたのか。春の対談に引き続き、同期の田中千秋(スポ2=愛知みずほ大瑞穂)、鳥屋真帆(社2=高知・明徳義塾)、加藤夏海(社2=秋田商)の三人にこの春についての振り返りと秋に向けての意気込みを伺った。

※この取材は8月31日に行われたものです。

叱咤激励

左から加藤、鳥屋、田中

――加藤選手は前回の対談の際は緊張するとおっしゃっていましたが、2回目の今回はいかがですか

加藤 前回よりはあまり緊張していないです…(笑)。

一同 (笑)。

――春の対談ではお三方がお互いに切磋琢磨(せっさたくま)しているとおっしゃっていましたが、前半を終えて何か刺激し合うことはありましたか

田中 他学年と違ってこの二人が、例えばオープン戦で活躍して上位に上がっていったり、普段勝てなかった人に勝てるようになっているところを見たりすると、自分ももっと頑張らなきゃと思いながらやっていました。

鳥屋 一つの技の質が自分には持ってないものを持っている二人なので、それを見て自分にも特徴ある技術とか技をもっと磨かないといけないなと刺激をもらっています。

加藤 千秋(田中)が言った他の二人の試合の結果などで刺激を受けることもあるし、あと一緒に練習をしていると自分にはまだ足りない部分があるなということを結構感じるので、そういう部分で刺激を受けています。

――春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)で鳥屋選手は重要な場面での起用が多かったと思いますが、そのような場面ではどのような心持ちで試合に挑んでいましたか

鳥屋 春のリーグ戦は基本7番手か6番手が多く、中大戦では7番手で回ってきました。精神的には、それまで1番手から6番手までの人が精いっぱい戦った中で(団体スコア)3-3で回ってきたので、いろいろな意味で悔いの残らないように自分のできることを精いっぱいやって、それで勝ち負けはついてくるかなと思っていました。一本一本沈まずベンチの方を向いて、点を取ったらガッツポーズして雰囲気を盛り上げようというのは心掛けていました。それが最終的に勝利につながったのですごく自信にもなりましたし、7番手として出た選手は雰囲気などを大切にするべきだなと感じました。

――これまで7番手の経験はありましたか

鳥屋 ないです。高校の時も前半での起用が多かったので、後半はあまり経験したことはなかったです。

――他のお二人はそんな鳥屋選手から何か感じる事はありましたか

田中 (プレーする本人より)ベンチの方が緊張は100倍くらいあったと思います(笑)。でも真帆(鳥屋)がすごく明るくプレーしていて、ベンチの方を向いて「ヨーッ!」ってやってくれて、ベンチも盛り上がれました。7番手という場面でもあれだけ盛り上がれたのは、本人が盛り上げてくれたからこそ、いい結果につながったというのもあるのかなと感じました。

――春季リーグ戦のダブルスには1年生のペアが選ばれましたが、何か感じたことはありますか

田中 あの2人(阿部愛莉、徳永美子)は実力者というか、本番でもあれだけしっかり戦って勝ってくれたので良かったです。(チームの)いい結果につながっていると思っていたので。自分たちは自分たちで次また頑張ろうと思えましたし、その二人の試合を見てもっと高めていこうというやる気を持てました。

――加藤選手と鳥屋選手は関東学生選手権で5回戦まで勝ち進みましたが、振り返っていかかですか

鳥屋 自分の中ではランク決定戦まで勝ち進みながらも、ランク決定戦で勝てなかったという悔しさがあります。組み合わせが良かったこともありランク決定戦までは進めましたが、そこでランクに入れないということは、自分に何かが足りないというか勝負どころで勝ちきれない部分が課題だとわかりました。それを生かして春季リーグ戦は勝ちたいなとすごく思いました。

 

加藤 (関東学生選手権の)目標はスーパーシードに勝つことでした。(スーパーシードの)相手が左利きだったので、練習でも左対策は結構取り入れていました。本番ではやっぱり緊張もしましたが、結構思い切ってプレーすることができました。最後は負けていましたが、挽回することができて良かったなと思った反面、次の試合で相手との実力の差が見えて簡単に負けてしまったので、もっとレベルアップしなくてはという感じですね。

――団体戦の7番手での勝負どころと、個人戦での勝負どころというのはまた違う緊張なのでしょうか

鳥屋 例えばゲームカウント1-1の第3ゲーム、9-9の場面で、そのセットを取れば第4ゲームを有利に思い切っていけると攻められることもあります。でも仮に2点差で負けていても、そこで思い切ってやれば相手が押されて、そこから逆転できるという場面もあります。(個人戦は)団体戦とはまた違う個人の中での勝負どころがあるので、そう思えるかは結構勝利には大きいと思います。

リーグ戦7番手起用に、見事応えた鳥屋

――団体戦と個人戦で気分の違いというのはありますか

加藤 個人戦の方が気持ちとしては楽です。団体戦だと勝たないといけない気持ちが結構大きく出て緊張してしまうので。

田中 私は逆です。だから団体プレーヤーなんだと思いますが(笑)。後ろにみんながいる方が盛り上がるから楽しいです。私としては、団体戦は楽しくて個人戦は苦しいです(笑)。

鳥屋 個人戦だと自分との戦いになるもんね(笑)。その分、なっちょ(加藤)みたいに楽っていうのはある。自分で責任をとれるから。 

田中 確かに。責任と言う意味では個人の方が楽だけどね。

――専大が春季リーグ戦とインカレ(全日本学生総合選手権団体の部)を優勝しましたが、専大はどのような相手ですか

田中 もう秋季リーグ戦では全力で止めに行くしかないなという感じです。

鳥屋 全力で阻止したいです。

田中 専大の選手は勝負どころで強いです。最初の方の格下の大学とやるときは簡単に(白星を)落とさずにしっかり勝ってどこよりも早く終わらせます。強い大学とやっても勝負どころで負けない強さを持っているので、そこが(他大とは)一つ抜けていると思います。

鳥屋 精神的に強く、どんな相手がきてもどんと構えていますし、ぶれないです。自分たちが押しても(専大は)受け身にならず、どんなに自分たちがリードしていても挽回されるのではという不安も与えてくるような大学です。その大学を倒すのは大変だと思いますが、勝ちたいと思います。

――専大の特にすごいなと思う選手はどの方でしょうか

鳥屋 安藤(みなみ)さんと鈴木(李茄)さんが強いです。

――この前半期は1年生の活躍も多く見られましたが、どのように感じましたか

加藤 1年生にとっては最初のリーグ戦でしたが、最初から序盤で起用されて、気持ち的にも責任を感じることもあったと思いますが、1年生らしくフレッシュに戦ってくれました。逆にそのことが自分たちの安心感につながってしまい、リーグ戦は駄目だったのかなと思います。1年生はどんなときでも向かっていくプレーですごいなと感じましたし、それを見て自分も刺激受けて頑張らなくてはと思いました。

鳥屋 1年生の二人は高校時代の成績も全国レベルで、リーグ戦で起用されてもどんな相手にもすごくいい試合して勝つか負けるか最後までわからないです。そこまでできる実力を持ってはいますが、やはりまだ(大学のリーグ戦の)空気や雰囲気に慣れてない感じが春季リーグ戦ではおそらくありました。秋季リーグ戦ではその雰囲気にも慣れていると思うので活躍してくれると思いますが、1年生の活躍に負けないように自分たちの代ももっと頑張ろうと感じています。

田中 自分たちが1年生の時は本当に1年生らしく元気なプレーをする印象が強かったです。ことしの1年生は高校の時から実力を持っていたこともあり、結構どっしりと構えているというか、他の1年生よりも貫録を持っているなと感じます。インカレの時に阿部が団体スコア1-2で負けていて4番手で回ってきた場面がありました。3番手のダブルスが終わって負けてきたにもかかわらず、自分の世界をつくって入っていたというか、場に左右されずに自分のプレーをして勝ってきたことがすごく印象的でした。1年生でここまでしっかり勝てるのは本当に尊敬していて、自分たちもそういうところを見習わなければいけないなと思っています。

――では改めて前半全体を振り返っていかかでしたか

鳥屋 良い時は自分の納得いくような試合や思ったプレーができました。でも少しうまくできなかったり、流れを変えたいときに変えられなかったりなど、相手が自分の弱点を攻めてきたときに戦術を早く変えられることができなくて負けてしまう試合がありました。そういう場面で(流れを)変えられるようにする事と、もう少しレシーブからの展開を秋季リーグ戦ではよくできるようにいまは練習しているので、その成果が秋季リーグ戦で出せるように頑張りたいです。

加藤 自分の得意な展開がうまくできているときは結構勝ちにつながっていますが、それがちょっとできなくなったときに自分でコース変えるなどの発想の転換ができなかったです。いまも発想を変えることに苦しんでいるので、それをしっかりできるようにすることがこれからの課題だと感じています。ちゃんと持っている技術を結果として残せるように、細かいところを練習していきたいなと思っています。

田中 春は団体戦が結構多く、自分の力を出す機会が少なかったです。関東学生(選手権)でもあまり思うような結果が出ませんでしたが、自分自身としては結果こそ駄目でしたがプレー自体は良くなってきていると思っています。そこはしっかりと自信を持って、秋はいままで出せなかった分もしっかりと出し切っていけるようにもっともっと頑張っていきたいです。

シーズン後半での飛躍を誓う田中

――みなさんにとってこの春、一番印象深い試合を教えてください

鳥屋 私は中大戦で7番手出場したことです。あんなに緊張することめったにない(笑)。それも最後に(試合をしている台が)1台しかなくて…。

田中 私たちもその100倍緊張していたから(笑)。

鳥屋 ごめんね。フルゲームの試合になったしね。

田中 私は全日本選手権ダブルスの東京都予選で専大のペアに勝ったことです。すごく小さな試合ですが。春季リーグ戦も全勝して関東学生も優勝した鈴木李茄・安藤みなみという専大のエースダブルスがいて、ダブルスで初めて自分たちが勝ってそのペアに初めて黒星を付けたことがすごく自信になりました。結局自分たちも予選で負けてしまいましたが、向こうの大学にも刺激を与えられたかなと思います。

加藤 関東学生の中大の富田真凜さんとの試合です。あの試合が自分らしいプレーをたくさん出せた試合かなと感じていて、すごく印象深いです。最後に8-10で負けていたところからレシーブの展開で、自分としては嫌な状況でしたが、そこから挽回できたことが自分の自信につながりました。

田中 なっちょのあの時のプレーはすごかった。迫力があった。

鳥屋 見たかったなあ。

――この夏の練習の追い込み具合はいかがですか

鳥屋 トレーニングの成果で体が引き締まっています(笑)。

田中 結構追い込んでいるよね。

鳥屋 バービートレーニング、ダッシュ、腕立て伏せなどをしています。

――まとまった夏休みはありましたか

鳥屋 同期で東京ドームシティに行きました。アトラクションに乗って、ストレスを発散しました。ストレスを発散しないとやっていけないので(笑)。

田中 そういうのも大事だよね。夏休みだし。

――田中選手と加藤選手のお二人は帰省されましたか

田中 帰ってないです。秋季リーグ戦後の一週間のオフに帰るつもりです。

加藤 帰れないです…。(秋季リーグ戦後に)国体の遠征が入って帰れなくなってしまいました。

奮励努力

――秋季リーグ戦に向けて、どのようなことに取り組まれていますか

田中 チームとして、コーチの方たちにレシーブが課題だと言われています。練習の中にも、自分の苦手なレシーブからの展開を取り入れたりしています。

鳥屋 自分自身としてはサーブに特徴があるのですが、自分が得意なものでない以外のサーブからの展開も練習しています。あとラリーに必然的になってくるので、緩急を付けられるように意識しています。

加藤 この前の強化期間では対策の仕方を変えて、他大のビデオを観たりしました。試合に出る人もベンチからアドバイスをしてみたり、声をかける人も気持ちを共感できるように、いろいろなことを確認し合いました。

――少し話は変わりますが、秋季リーグ戦は神奈川のとどろきアリーナと代々木第二体育館で行われますが、プレーしやすい体育館などはありますか

鳥屋 自分は(ボールの)弾み具合や音を気にするタイプです。打っている感じが出るので、音がポンポン出るのが好きです。とどろきアリーナは行ったことないですね。代々木第二体育館と所沢市民体育館だったら、代々木第二の方が好きです。

田中 私は音とかはあまりわからなくて、雨か晴れか天気しか気にしないです(笑)。でも代々木第二は他の体育館と違って台が4台しかないので、独特な雰囲気があります。フォア打ち(の練習)をしている時に放送が流れるのは代々木第二だけで、そういうのを聞いていると緊張感が漂ってきますし、やはり特別な感じのある体育館です。

鳥屋 代々木第二で校歌を歌うのは結構緊張する(笑)。

田中 歌い出しで(音程を)外したら結構恥ずかしいしね(笑)。

――インカレの行われた愛媛県武道館はいかがですか

鳥屋 自分は中高が四国だったので何回か行ったことはありますが、(愛媛県武道館は)嫌な思い出しかなかったので嫌いです(笑)。

――全日本大学総合選手権個人の部(全日学)も控えていますが、意気込みを教えてください

鳥屋 きょねんの全日学のランク決定戦ではゲームカウント3-2の7-5で途中まで勝っていました。でもそこから逆転負けした苦い思い出があるので、ことしの全日学ではそういう場面が訪れても思い切って自分のプレーを貫きたいです。そしてランクに入ることを目標に頑張ります。

加藤 私はおそらく初戦から緊張してしまうと思うので、とりあえず自分が思いきりプレーできるように(相手に)向かっていくことを頭に入れて、一戦一戦大事に試合していきたいです。そろそろ結果も出したいので、ランクに入れるよう頑張っていきます。

田中 自分も個人としての成績が全然ないので、そういう意味でも全日学はとても特別な試合だと感じています。ことしは自分らしいプレーを出し切って、しっかり結果を残せるようにすることが目標です。鳥屋とのダブルスもあるので、ことしはダブルスも勝ち進み、目標とする小道野主将(結、スポ4=神奈川・横浜隼人)と高橋さん(結女、スポ4=新潟産大付)を超えられるように頑張りたいです。

シーズン後半戦、個人戦で好成績を残した加藤

――現在のチームの雰囲気はいかがですか

田中 練習が終わってからも必ず誰かが自主練習をしています。練習後も台が埋まっているので、すごくみんな意識が高まっていていい雰囲気だなと思います。

鳥屋 レギュラー陣だけでなく、サポート陣の方々も練習相手をしてくださり、サーブを出してもらったりしています。試合に出る人たちからすればすごくありがたいですし、その分頑張らなくてはいけないなという気持ちもすごく感じます。

加藤 リーグ戦に向かってそれぞれが自分のできないことを個人的に頑張って取り組んでいるなと思います。

――雰囲気を盛り上げる役の方はいらっしゃるのでしょうか

田中 小道野さんと高橋さんがいい雰囲気のときは、チームもいい雰囲気だと思います。あの二人は影響力があります。

――秋季リーグ戦はこのチームで戦う最後の団体戦となりますが、4年生の方への思いは何かありますか

田中 なんとしても勝ちたいです。笑顔で卒業していってほしいです。(4年生の方は)自分たちに良く接してくださったし、試合の結果もとても尊敬できる人たちなので、そういう意味でも秋季リーグ戦は頑張りたいです。

鳥屋 自分自身としてはサーブに特徴があるのですが、自分が得意なものでない以外のサーブからの展開も練習しています。あとラリーに必然的になってくるので、緩急を付けられるように意識しています。

加藤 この前の強化期間では対策の仕方を変えて、他大のビデオを観たりしました。試合に出る人もベンチからアドバイスをしてみるなど、声をかける人も気持ちを共感できるように、いろいろなことを確認し合いました。

――最後に、4年生との最後の試合になる秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

加藤 春は試合に出ませんでしたが、その分4年生を中心に試合に出た人たちの気持ちなどを考えさせられました。いろいろな面からリーグ戦を見ることができました。そのことを踏まえて、秋季リーグ戦では自分が試合に出たいという気持ちはもちろんありますが、チームのために自分ができることを精いっぱいしていきたいです。

鳥屋 今回のリーグ戦は4年生にとっては最後のリーグ戦なので、気持ちも力もすごく入ると思います。自分たちからも4年生に声をかけるなど、少しでもリラックスしてもらいたいです。自分も試合に出させていただいたら、4年生への思いを持ちつつ、自分のプレーをやり切る気持ちで、最後の一本まであきらめないよう頑張りたいと思います。

田中 4年生は最後という意味では、いままでにない緊張などもあると思うので、ベンチとしてもうまく声掛けをして常に雰囲気が硬くならないようにしていきたいです。試合をしているときでもベンチにいるときでも自分から声出しなどの明るい雰囲気づくりをしていき、最後まで明るくいられるよう頑張っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 朝賀祐菜、谷口武)

それぞれの思いを一字に込めていただきました!

◆田中千秋(たなか・ちあき)(※写真左)

1996年(平8)2月14日生まれ。愛知みずほ大瑞穂高出身。スポーツ科学部2年。右シェーク裏・表。春は個人の力を出す機会が少ない中でもプレーは良くなってきているとおっしゃっていた田中選手。そんな田中選手のこの夏驚いたことは、女優・堀北真希の結婚発表だそうです。

◆鳥屋真帆(とりや・まほ)(※写真中央)

1995年(平7)8月1日生まれ。高知・明徳義塾高出身。社会科学部2年。右シェーク裏・裏。春季リーグ戦では後半での起用が多く、中大戦では緊張の中でも明るくチームを盛り上げた鳥屋選手。対談でも明るく雰囲気を盛り上げていただきました。実はことしの夏に人生で初めてお化け屋敷に入ったそうです。

◆加藤夏海(かとう・なつみ)(※写真右)

1995年(平7)6月8日生まれ。秋田商高出身。社会科学部2年。右シェーク裏・裏。この前半期はいろいろな面からリーグ戦を見ることができたと語った加藤選手。そんな加藤選手がことしの夏一番驚いたことは、東京ドームシティアトラクションズに訪れた際に入ったお化け屋敷での、鳥屋選手の叫び声らしいです。