【連載】『春季関東学生リーグ戦直前特集』 第2回 永山健一監督

卓球ダブルス

 「打倒明治」を掲げ、春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)優勝を狙う早大男子部。入部当初から主力として活躍した選手たちが最高学年を迎えると同時に、ルーキー平野晃生(スポ1=山口・野田学園)の加入で、リーグ戦優勝はより現実味を増した。自身も早大卓球部の出身である永山健一(平12政経卒=福島・磐城)監督は、後輩たちをどう優勝へ導くのだろうか。

※この取材は4月25日に行われたものです。

「優勝をかけて明治と戦う」

取材に応じる永山監督

――リーグ戦まで残りわずかですが、現在のチームの仕上がりはいかがですか

 新キャプテン山本勝也(スポ4=石川・遊学館)に代わり、リーグ戦優勝に向けて、各選手練習に励んでいます。緊張感のある練習もできていますし、仕上がりも順調かと思います。

――今の時期は具体的にどのような練習に取り組んでいるのですか

 各自何をしなければいけないかというのは違いますので、各自の課題で試合ではどういう技術を使うのかというところを考えてもらって個人個人でそれに取り組んでもらっている状況です。

――昨年は、リーグ戦2位という結果でした。振り返っていかがですか

 目標はずっと優勝で。リーグ戦で2回、インカレ(全日本学生総合選手権)で優勝を狙っていたんですけど届かなくて。最低限である明治に次ぐ2位という結果になって。残念ではあったんですが、ノルマは達成できたかなと思います。

――昨年と比べ、チームの雰囲気という点で変わったところはありますか

 実質、去年は4年生をリーグ戦に出してあげることが出来なくて。逆に言えば出ていた3年生がそのままチームに残るわけで。経験はかなり積めていると思いますので、そこが強みだと選手も認識していて。さらに1年生。レギュラーとして出られる強い1年生が入ってきましたので、チーム力としては向上していると思います。当面の敵は明治ですけど、去年よりは明治と戦える状況がそろっているのではないかと思っています。

――4年生に実力者が集まっているということで、良い影響もあるのでしょうか

 エースである大島(祐哉、スポ4=京都・東山)が世界選手権でチームを離れていて練習に参加していないというのはあるんですけど、逆にそこをカバーしようと4年生がまとまってくれて。その気持ちのせいか、かなり緊張感があり、雰囲気としてもかなり良くなっていると思います。

――ルーキーの平野晃生(スポ1=山口・野田学園)選手も加入されましたが、戦力としては上がっているということでしょうか

 きょねん出た選手がいますので、日替わりで出ている選手もいましたが、そこに1人実力者が入ってきたということでオーダーを組むうえでもかなり組みやすくなりましたし、逆にいうとこれまで出たり出なかったりの選手は少し競争率が激しくなりますがそこもまたそういうポジションの選手も緊張感を持ってやれていますので良い方向に向いているかと思います。

――山本選手に主将として期待するところはどこでしょうか

 当然ダブルエースではないですけど、彼には勝ち点を期待していますし、主将として精神的支柱としての役割も。先日MTGを行ったんですけど、かなり彼が中心となって今の方針などを出る選手でない選手サポートの選手含めてしっかりできていましたので精神的支柱にもなりうるかなということで全幅の信頼を寄せていますのでチームをまとめています。

――永山監督から見て、どのような選手だと思いますか

 すごく寡黙なイメージがあるんですかで、当然実力もついてきて最上級生になったということもあり意見とかも言ってくれますし、寡黙に見えますけどしっかり自分を持っている選手だと思います。

――山本選手は強い選手相手にも粘って勝つイメージがあります。そこも強さの秘訣なのでしょうか

 そうですね。彼に限らず早稲田大学に入っている選手は、早稲田大学にあこがれを持って入ってきてくれているのでそこに誇りを持ってやってくれていますので最後まで諦めない選手が多いと思います。

――昨年度、大島選手は多くの結果を残しています。カギとなるところはありましたか

 彼は入学した当初から世界に出て活躍したいと言っていたので、そのために彼は練習量を重ねていた結果がかなり表れていると思いますし、きっかけとなったのは日本代表の合宿に出させていただくことがあって、そこで練習相手。当然自分の練習にもなりますのでそこからやはりより良い環境でできていたというのが彼の力が結果的にでた理由の1つだと思います。

――本人の話では、バックハンドなどの苦手分野の向上を話されていました。永山監督から見てその点はいかがでしたか

 彼はフォアが力のある選手でしたが、バックハンドは苦手だったり、振れないという意識を持っていましたのでやはり練習を重ねていって試合でバックを使って得点をするということもできてきて結果として良い循環についてきたのではないかなと思います。

――世界選手権が始まりますが

 試合は26日からなのですが、出発はしているようでして。そこに向けていま、どんな気持ちでいるかは分かりませんけど(笑)。やるだけだと言っていました。

――何かアドバイスはされましたか

 もうアドバイスをするというよりは、力を出し切ってほしいなと(笑)。頑張れよとしか言えなかったんですけど。先日MTGをやったときに、精いっぱい頑張って来いと声がけをしてきました。「テレビに映るんで頑張ってきます」と言っていました(笑)。期待したいなと思っています。

――上村(慶哉、スポ2=福岡・希望ヶ丘)選手、竹岡(純樹、スポ2=青森山田)選手など中堅の選手には何を求めますか

 上村に関しては大島とのダブルスには、まずダブルスできょねん勝ったり負けたりと勝ち切れないところがあったのでそのためにはまだ慣れているんでしょうけど、先輩に気おくれというか精神的にも自分の力を発揮できていないところがあるので、さっきもダブルに関しては細かい話をしていたんですけど思いっきりやってくれれば勝ちもついてくるんじゃないかと。シングルスに関しては明治の選手に勝ったり、とは言いつつも他の選手に負けたりというのもありますので、関東学生選手権でも強豪に勝って3位とかもありますので、負けることなくチームのポイントゲッターの1人として結果の残せる選手になってくれると思います。きっとやってくれると思うんですけどねえ(笑)。竹岡は個人戦では成績を残せなかった。とは言っても後輩もできましたし、きょねんの経験もあると思うので力さえ発揮してくれれば明治とやるまでは負けることなくやってくれるのではないかと思います。

――ルーキーの平野選手は、人柄としては真面目なのかなと思います。戦い方としてはいかがですか

 リーグ戦というものは初めてですので、とは言っても主力の1人として考えておりますのでやはり1勝。どのタイミングで1勝を挙げてもらうのか。先輩方の力も借りつつできれば慣れるまでは良いポジションで使ってあげてそこでできれば勝ち点を取ってもらって最終の明治の時には思いっきりやれる態勢を整えてあげたいなあと。ただ、真面目ですので負けが続いてしまうとどう気持ちを切り替えさせてあげるか、というのがありますのでどうかなと思っています。リーグ戦は特殊だと入ってきた子たちはみんな言うので早くそこに慣れて、そして勝ってほしい。やってみないと分からないところはあるのですが。

――明治戦は最後に控えていますが、最終日に行うというのは

 学生たちの中にも、最後は明治と戦いたいというのがありますので途中でやるというのも1つなのですが、やはり優勝をかけてやると言うのが1つのモチベーションになっていると思うので。やはりどう見ても強いですので、リーグ戦をそこで占めるというのは言い方がおかしいですが、明治に勝って優勝したい。明治に当たるまでは絶対に負けないという。

「ベクトルが良い方向に向いている」

自身の経験も踏まえ、卓球部について語る

――永山監督もワセダの卓球部出身ですが、ご自身の経験が生かせているところは有りますか

 やはり、勝っているときは練習中の雰囲気が違うなって。緊張感を持って取り組んだかというのが結果に出てくるかなと。そういったところが良い意味で伝わっていっているかどうかをチェックしながら。それぐらいかなあ。選手層が厚くない時でも、勝った時には、単にまとまっているというのではなく良い意味で優勝に向けて何をしなければいけないかの役割とか、ベクトルが良い方向に向いている。

――ワセダの卓球部の理念というのは

 卓球選手としてではなく、学生として一流になって世界に出てもらいたいというのは、部則として1年生の時に渡しています。具体的に言うと、挨拶をしなさいとか、感謝の気持ちを忘れないとか、ありふれているんですけど、ゴミ捨てをしっかりしなさい。子供みたいなことなんですけど、社会に出た時に恥ずかしくない人間になってほしいというのは常日頃思っていますので。他の大学も、そういったことを意識されているところはあると思うのですが、そういった中でも、ワセダは卓球界の中でも伝統があるチームで。学生として恥ずかしくない行動さえとっていれば人間としても成長できるのではないかと。意外と細かい指導をしています(笑)。人として恥ずかしくないようにして社会に出したい。

――監督として気を付けて指導しているところは有りますか

 学生主体でやってもらっているのですけど、練習の雰囲気のチェックであるとか、その辺は選手1人1人とコミュニケーションをとりながら。声をかけたりしながら、密にしていきたいと思って雑談も含めながらしていっています。私も毎日は来られないので。実はワセダの職員でして。技術的な事を偉そうに言うのもあれなので、コミュニケーションをとりながら把握したうえで言わなければいけないことだけ伝えている感じです。

――自身もワセダ出身ですが、他大学と違うと感じるところはありますか

 チーム力があるなと。良いか悪いかはわからないんですけど、1人1人が。それぞれが意識してくれてチームのために何ができるのかを。例えば出る選手であれば、自分が勝ち点を取ろうと思って精いっぱいやろうと思いますし、そうじゃない選手からすれば自分が何をしなくちゃいけないかを考えて行動してくれていますし。ここら辺はやっているのかもしれないですけど、うちの学生たちはそこら辺をきちんと自覚してやっているのでは。よく実力が低いなと思った時でも実力以上の力が出せたり、苦しい時でもチームとしては結果がいい方向に出せて言うのは、1人1人が結果を出すために良い方向にやっていってくれているので結果が出ているのではないかと思います。

「最高の状態で臨む」

――明治への対策は

 選手には明治の出そうな選手の映像を見て研究をしてほしいというのを伝えましたので、キャプテン、大島が4年間ずっと明治とやっていますので、個人戦でも明治の選手とより多くやっていますので、出そうな選手たちにMTGでも、この選手とはこうした方が良いというのを教えていましたので、4年生の経験を下の選手たちが理解して対策を練ってくれていると思いますので対策を実践でできれば。

――永山監督から見て特に、ワセダの選手に足りていないなというところはありますか

 やはり1人1人みると、やはり今の段階でも明治の選手の方が層が厚いと。正直、大島と山本が3人つついてやっと勝負になるんじゃないかと。大島が6人いてやっと勝負になるのかな。残り時間は少ないですけど、対策、情報をもう一度精査して、1人1人誰と当たっても同じとはいかないですけど、精査した情報をもとに自分たちの力を発揮してくれて、あとはチーム力を。やっと勝負になるかならないか。そのために良い状態になるために他のチームにも全力で向かって、挑戦者として1つ1つ頑張って雰囲気良く。最高の状態で臨んでやっと勝負になるのかなと思っています。足りないと言えばすべてが足りないと思っていますので1つでも上手くつぶしていって同じ台の上に立てるようにしたいなあと。2人抜けましたけど、2人入ってきて。まあ、同じ強いと言っても経験はまだないので。そこの経験の違いを少しでもプラスにして。

――戦う上で、ダブルスの勝利も大切かと思います。ダブルスの勝利はどのように位置付けていますか

 7点勝負の真ん中ですので、そこを取ると取らないは、その後の雰囲気とかでも変わってくると思うので。実際去年ダブルスを負けた試合はほぼ負けているので。もっとも大島はパートナーは違いますけどダブルスはずっとやっているので。上村とはタイプの違う選手と組んでいますので。なんとか直前で息を合わせてもらって。その前段階では上村にサーブレシーブは徹底してやるように言っていますので。強化ではないんですけど、確認をしてやってほしい。と言いますのも大島からはそこはぜひ。意識させてくださいと。なかなか彼、最近レシーブが上手くいかないので。出来ればダブルスも負けずに、1戦1戦やってもらって。負けないダブルスで戦いたいなと思います。

――シングルスダブルス含めて、カギとなる選手はいますか

 やはり上村ですかね。ダブルスを勝ってくれれば、ダブルスを勝ってシングルスに臨めば、気分よく。シングルスを勝ってダブルスに臨めば気分よく。彼はやはり2点取りの選手だと思いますので、やはりそれでチームの結果も変わってくるんじゃないのかなと。

――大島選手とペアを組んでいるということで、良い影響などもあるのでしょうか

 ずっと一緒にやっていますので。最近なかなか世界選手権の合宿とかでできない時はあるのですが、上村に限らず、彼の練習の姿勢などを後輩たちは見ていますのでそれがいい方向に出てくれていると思います。

――最後に、今年1年間を通しての目標は

 まずは春のリーグ戦優勝は第一目標ですが、団体戦。インカレ、秋のリーグ戦を優勝して。よく選手はグランドスラムと言ってますけど、完全制覇したいなと思っていますし、今年のチームなら明治、愛工大に勝てるんじゃないのかな。去年よりもかなり手ごたえはありますので。優勝目指して頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 久保田有紀)

◆永山健一(ながやま・けんいち)

1977(昭52)年6月1日生まれ。福島・磐城高等学校出身。2000(平12)年政治経済学部卒。対談中も、朗らかな笑顔が印象的だった永山監督。自身も早大卓球部出身ということで、選手たちのよき相談相手にもなっているそうです。