今週月曜日に開幕した全日本選手権(全日本)も折り返し地点となる4日目を迎えた。早大からは男子シングルスに藤原康明(社3=埼玉・狭山ヶ丘)と大島祐哉(スポ3=京都・東山)、女子シングルスに佐藤風薫(スポ2=岡山・就実)、男子ダブルスに大島・上村慶哉(スポ1=福岡・希望が丘)組、そして女子ダブルスに学生王者である小道野結(スポ3=神奈川・横浜隼人)・高橋結女(スポ3=新潟産大附)組が出場。しかし藤原、佐藤風、小道野・高橋組はいずれも4回戦で姿を消すこととなる。そのなかで男子シングルスの大島、男子ダブルスの大島・上村組は見事4回戦を突破し、あすへと望みをつないだ。
今大会スーパーシードの大島は4回戦でシングルスに初登場。ラリーを得意とする社会人選手を相手に1ゲーム目こそ落としたものの、その後は得意のフォアハンドに加え、強化しているバックハンドで攻め切りながら徐々に得点を積み重ねていく。フォア強打者同士の激しいラリー戦を制し、ゲームカウント4-1で勝利した。試合後「あれだけのラリー戦ができたので、ラリーは問題ない」と語った大島。今後への自信にもつながった。また、上村とペアを組む男子ダブルスにも出場。3回戦は、互いに一歩も譲らない接戦となりフルゲームにもつれこむ。しかし最終ゲームでは持前の勝負強さを見せつけ3回戦を突破すると、勢いそのままに4回戦はストレート勝ち。順調にあすへと勝ち進んだ
激しいラリー戦を繰り広げる大島
女子シングルスでは佐藤風が早大に進学予定の阿部愛莉(四天王寺高)と対戦。未来の先輩・後輩対決が実現した。しかし阿部の前後左右へ揺さぶる攻撃に上手く対応しきれず、この勝負は阿部に軍配が上がった。小道野・高橋組のダブルスは序盤、普段使い慣れていない種類のプラスチックボールに苦戦。大差で2ゲームを奪うなど健闘する場面もあったが、落ち着いて対応してくる相手から流れを奪いきれずにゲームカウント2-3で負けを喫した。また、きのうの1回戦から着実に白星を重ねてきた藤原は、4回戦で全日本学生選手権での優勝経験もある強敵、上田仁(協和発酵キリン)を迎えた。「できるだけ向かっていこう」(藤原)と意気込んで挑んだが、相手の両ハンドドライブを前に反撃のチャンスをなかなか与えてもらえず力負け。それでも、自身初となった全日本での4回戦進出を「普通にうれしい」(藤原)と満足げに振り返った。
スーパーシードとして4回戦に臨んだ小道野・高橋組
大島はあす、シングルスとダブルスの5回戦に挑む。ランク入り(※)を懸けた、大一番だ。しかし表彰台を目指す大島にとっては、それすらあくまでも通過点にすぎない。「何としても表彰台に登りたい」(大島)。誰よりも強い勝ちへのこだわりを胸に、快進撃はあす以降も続くことだろう。
※ダブルスではベスト8以上、シングルスではベスト16以上を『ランク入り』と呼ぶ。
(記事 稲満美也、写真 豊田光司)
結果
▽男子シングルス
3回戦
○藤原3-0中村廉(普天間高)
4回戦
●藤原0-4上田仁(協和発酵キリン)
○大島4-1水野裕哉(東京アート)
▽女子シングルス
4回戦
●佐藤風0-4阿部愛莉(四天王寺高)
▽男子ダブルス
3回戦
○大島・上村慶哉(スポ1=福岡・希望ヶ丘)組3-2徳永大輝・定松祐輔(中央大)組
4回戦
○大島・上村組3-0藤田雄輔・藤本海統(日鉄住金物流)組
▽女子ダブルス
4回戦
●小道野・高橋組2-3土井みなみ・宋恵佳(中国電力)組
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コメント
小道野結主将(スポ3=神奈川・横浜隼人)
――きょうのダブルスの試合はいかがでしたか
初めてのスーパーシードで、私たちはいつも初戦あたふたしてしまうので、相手のことや全日本(全日本選手権)ということを考えずにお互い試合に臨みましたが、ボールの状況や慣れないことがあり、最後までちょっと上手くいかなかったかなという感じです。
――スーパーシードで調整面で苦戦はしましたか
そうですね。高橋は今回の全日本ではダブルスだけだったので、そういう部分でも試合の中で調整しなければいけなかったのは難しかったかなと思います。
――ボールが変わった影響は大きいですか
ボールが変わってから、全日学選抜(全日本学生選抜選手権)や世界選手権の選考もあり、だいぶ対応はできていました。今回はミックスもシングルスもバタフライのボールでやっていて、ダブルスで始めてニッタクのボールになってしまって…、メーカーによってボールが全然違いました。
――すごい変わるものですか
そうですね。全然飛び方とかも違うので、そこもまたいろんなボールに対応できないといけないという課題が残りました。
――二人自身のダブルスの調子はどうでしたか
悪くはないと思います。1試合しかしていませんが、そんなにぼろぼろというわけでもないし、ボールということもそうだし、ひとつ上に行くのに課題が見えたような…、実力といえば実力かなという試合でしたね。全日学(全日本大学総合選手権)優勝というので、あまり課題も見えていなかったのですが、今回でもうちょっと技術の幅がないとやっぱりいけないなという試合だったので良かったです。
――きのうでのシングルス敗退について
来年入る子というのもありましたが、あまり意識せずやってみて…、一回また1からやり直さなきゃいけないと思う敗戦でした。
――新主将として、きのう小道野選手を破った徳永(美子、希望が丘高)選手やきょう佐藤風薫(スポ2=岡山・就実)選手を破った阿部(愛梨、四天王寺高)選手がらいねん同じチームメイトになることをどう見ていますか
二人の存在はいまのワセダ女子にとってすごい大きくなると思います。もちろん戦力になると思いますし、らいねんに向けて良い方向に向かってつなげてくれる二人だと思います。私と佐藤も負けている状態なので、気を引き締めてというか、もう一回チームとして上に行けるような状況ではないかなと思います。
――全日本がきょうで終わってしまいましたが、全体を振り返ってどうでしたか
ボールにも多少慣れてきたし、実力は出せた試合でした。(ここ最近)いろいろな試合で、良い結果が出ていましたが、今回はこういう感じなので、自分の課題に取り組める良い機会だったのではないかなと思います。やれることはできたので、これからにつながれば良いなと思います。
――世界卓球の選考会はどうでしたか
その選考会の3日前ぐらいにボールについてすごく悩んでいて、いままで使っていたラケットを変えたり、イメージとかも捨ててちょっとやってみようと思って…、結果はぼろぼろでしたが、ちょっとつかめたというか、これからどういうふうにやっていかないといけないかというのが分かった試合でした。それでこの全日本があったので、・・・ここから一つ一つ積み重ねて、来季からまた頑張れれば良いかなと思う時期かなと(笑)。
――東京選手権に向けての意気込みを
学生の試合とかでは勝たなきゃと頑張れるのですが、こういう規模が大きくなってしまうとどうしても気持ちが緩くなってしまうので、東京選手権はしっかり狙って、準備して勝ちにこだわる試合ができれば良いかなと思います。
大島祐哉(スポ3=京都・東山)
――シングルスで対戦した、水野裕哉選手(東京アート)とは過去に対戦経験はありましたか
水野さんとは(対戦したことは)ないですね。ナショナルトレーニングセンターで練習をすることはあるんですけど、試合はやっていないですね。
――何を意識して、シングルスの試合に臨まれましたか
まず(シングルスの)一戦目なので、自分のプレーができないと勝負にならないのでそこをまずはすごく意識して。そこから、相手の弱いところを突こうと思っていました。
――激しいラリー戦となりましたが
そうですね。水野さんはすごくラリーが得意な選手なので、ラリーになることは分かっていたので、僕がどれだけミスしないかが勝負だと思っていたので、なんとかミスなくいけたので良かったです。
――ラリー戦を制したことは自信につながりましたか
そうですね。あれだけのラリー戦ができたので、ラリーは問題ないかなと思っていますね。
――あすは村松雄斗選手(JOCエリートアカデミー/帝京高)との対戦になりますが
1年くらい試合を(村松選手と)していないので、勝ちたい気持ちはありますけど、(村松選手が)カットなので冷静に自分が打ち崩せれば勝てるはずなので、冷静に試合ができるかどうかがあしたはポイントになると思います。
――肩を痛めているとお聞きしましたが
そうですね、肩を少し痛めていて、試合をやっている時は集中しているので痛みはあまり感じないんですけど、終わった後とかに冷えたりすると少し痛むので、そこはテーピングなり試合後のケアをして。日に日に(痛みが)良くはなっているので、あしたどれぐらい痛いかっていうのはまだ分からないんですけど、試合ができないほどではないので、大丈夫です。
――今大会でのシングルスの目標は
表彰台に登ることを、僕はことしは目標にしてきているので、何としても表彰台に登りたいと思ってます。
――ダブルスについてお聞きします。1試合目の序盤は連続失点する場面も見受けられましたが
ダブルスはやっぱり2人のことなので、コミュニケーションをとりながらやっていかなきゃいけなかったんですけど、僕の肩の痛みだったりとかで最初は自分のことで精一杯になってしまって。上村君(慶哉、スポ1=福岡・希望が丘)にあまり良いアドバイスをしてあげられなかったので、それで上手く噛み合わなかったなっていうのがあるので、そこが1試合目は良くなかったですね。
――それでも、フルセットを制したことで2試合目へ勢いづきましたか
2試合は相手もきょう初めてのダブルスの試合で、僕たちは(試合を)やってきているので、勢いのままに勝てたかなと思います。
――試合が続きますが、体力面はいかがですか
やっぱり最後は体力が勝負だと思っているので、しっかりケアをして、あしたに備えなきゃいけないなと思ってます。
――あすに向けて意気込みをお願いします
あしたはランク決定がまず朝一にあるので、そこをなんとしても勝って、勢いにのって勝ちたいと思います。
高橋結女(スポ3=新潟産大附)
――1ゲーム目はネットに引っかかる様子が見られましたが、振り返っていかがでしたか
相手の選んできたボールが苦手なやつだったので。いままでそれで練習していなかったので、足が出てなかったり距離が出ていたことでネットにかかることが多かったです。
――2、3ゲームは流れをつかんだように見えました
レシーブを結構強気でいけていたのと、サーブがちょいちょい良いところに決まって甘く入ってきたりしていたので、それで3球目でいけたりとか先手の取れる場面が多かったかなと思います。
――きょうの戦略は
回転とかで影響されてレシーブが甘くなってしまったので、相手に打たせて、カウンターから狙うというパターンはあったんですけど、大学生なら3、4本目で決まるものが何本も入ってきたりしていて自分たちが焦ってしまいました。
――最終セットは惜しくも落としましたが、いかがでしたか
最後は、2人とも点数を取りにいき過ぎていたかなというのがあって。相手が余裕を持ってゆっくりゆっくりやってきているのに対して自分たちはちょっと早くいってしまって凡ミスが続いてしまったというのがあります。
――課題はどこにありますか
やはり、サーブレシーブと。レシーブでいろんなことをやられて崩れてしまって自分たちの中で3球目への待ちとかが不十分だったかな。3球目が上手くいけないとリズムとかが崩れてしまうという感覚はあるので。もともと私と小道野は戦型が違っていて、崩れてしまうこととかもあるんですけど、それを合わせるためにどっちかがどっちかに合わせることも試合の中でできていたんですけど、それが相手に上をいかれたかなという感じです。
――今後はどこを詰めていきますか
3球目までのパターンでしっかりコースをつけるまでやりこむことと、ゆっくりなボールへの展開の時にラリーで点数を取れていないので、自分たちがどういうボールを送ってラリーでポイントを取っていくかを考え直したいです。
――最終学年となることしの目標はなんですか
強い後輩も入ってくるので、リーグ戦(関東学生リーグ戦)で連覇することはもちろん、インカレ(全日本大学総合選手権)で私たちの学年は優勝したことがないので、充分狙える位置にいるので、団体でリーグ戦、インカレを優勝して。個人的にはダブルスで連覇して終わりたいなと思います。
藤原康明(社3=埼玉・狭山ヶ丘)
――3回戦を振り返っていかがですか
きょうの1試合目は相手がどういう人かわからなかったので、とりあえず自分のプレーをすることに集中してできたかなと思います。
――4回戦を振り返っていかがですか
相手がすごい強いので、とりあえず振っていこうとは思っていたのですが、なかなか振るチャンスが無かったという印象です。
――対戦相手はスーパシードの選手でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
できるだけ向かっていこうという気持ちでやりました。
――試合中の鼻血の影響はありましたか
鼻血の影響は特になかったです(笑) 。
――今大会の結果について率直な感想は
全日本で4回戦までいったことがなかったので、普通にうれしいです。
――今大会の収穫はありましたか
ラリーになればそれなりに点はとれるのかなと思いました。
――見つかった課題はありますか
課題は台上プレーの強化をちゃんとしなければと思います。
――東京選手権に向けて意気込みをお願いします
頑張って全日本より良い結果で終わるようにします。
――ことし一年の抱負をお願いします
ことしがラストの一年なので、一日一日無駄のないように練習して頑張りたいと思います。
佐藤風薫(スポ2=岡山・就実)
――きょうの試合を振り返って
相手の方がストップとか技術がうまくて、けど自分なりに結構きょうは後悔しない試合だったので良かったかなと思っています。
――相手の前後左右の揺さぶりに苦しんだように見えましたが
やっぱりストップとドライブの前後が上手くて、でもいつもより立ち位置を前にするのを意識してやっていたので。あとはもう少し変化とかをつければ良かったかなと思います。
――前回の取材の際に攻めるカットに変えているといったお話がありましたが、その点はどうでしたか
効いているボールもあって、けどそれは全部ではなかったので。まだまだ練習不足だなと思いました。
――きょうの試合で次につながるところは何かありましたか
今までは試合の中で緊張してできなかったということが多くて。けどきょうはやりたいこともやれましたし、ただ相手の方が上手かったからこのスコアは認めて次につなげたいと思いました。
――対戦相手の阿部選手(愛莉、四天王寺高)は春からはワセダの一員となる訳ですが、そこは意識されましたか
いや、意識していないです。カット打ちがうまいというのは分かっていたので、思い切ってやろうと思っていました。
――全日学後、ここまではどのようなことに重きを置いて練習されてきたのでしょうか
とりあえず変わらないといけないと思っていて。なので立ち位置を前にするのを意識するのと、攻撃とかを今まではナックルとかを主体にしていたのですけれど、結構切るのも多めに最近はしたりしています。
――その点できょうは成果は出ましたか
半分半分だったと思います。
――いよいよ大学も3年目となりますが、今季の目標は
今季は新入生も入って来て、その後輩のお手本となるように。あと自分自身の思い切ったプレーも出していきたいなと思います。