全日本学生選抜選手権で優勝した大島祐哉(スポ3=京都・東山)が、2015世界選手権蘇州大会(個人戦)男子日本代表選考会に出場した。早大卓球部OBである松平健太(人通=現JTB)や幾度の代表経験を持つ岸川聖也(ファースト)ら20名の国内トップクラス選手が集結する。まずは10名ずつに分かれて2日間に渡る予選リーグを行い、各リーグ上位2名が決勝トーナメントへ進出。優勝者1名が、来年度の世界選手権(個人戦)代表選手に内定する。大島は快進撃で予選リーグを2位で通過すると、代表を懸けたトーナメントへ。吉田雅己(愛工大)との準決勝では互角に渡り合うが、ゲームカウント2―4で敗戦。惜しくも世界選手権への切符はつかみ取れなかった。
世界選手権日本代表選考会の準決勝に挑んだ大島
大島が属するAグループには、岸川や森薗政崇(明大)、町飛鳥(明大)ら強敵が名を連ねている。苦戦を強いられたのは、実績・経験共に豊富な岸川との試合だ。ゲームオールまで粘るが、わずかに及ばず1敗。また吉村和弘(野田学園高)に対し、ジュースにもつれ込んだ2ゲームを勝ち切ることができず、手痛い敗戦を喫する。しかし、ITTFワールドツアー・グランドファイナルU21男子シングルス優勝を果たし勢いのある町や、明大のスーパールーキー森薗を抑え込むと、2敗を守り抜いた。岸川に続くAグループ2位で決勝トーナメントへ駒を進める。
準決勝で対するは、ITTFワールドツアー・スウェーデンオープンU21優勝の実績を持つ吉田。普段からナショナルチームで練習を共にしており、ことしだけで3度目の対戦となる。互いに知り尽くした相手との試合は、得意とするフォアドライブで白熱したラリー展開へ。大島は相手の振り切ったドライブや、正確で技術のあるサーブに苦戦を強いられる。1ゲームをそれぞれ奪った後の第3、4ゲームを続けて落とし、ゲームカウント1―3と後がなくなった。第5ゲームでは11―8で巻き返すが、第6ゲームではシーソーゲームの末、9―10の場面で大島のボールがわずかにアウト。あと1点が届かず、悔しさを隠し切れない表情で天を仰いだ。
吉田(愛工大)との試合に惜しくも敗れ、天を仰ぐ大島
並み居る実力者の中で、見事ベスト4へ勝ち残った大島。代表内定はならなかったが、日本のトップ選手に肩を並べる強さを示した。次戦は1カ月後に迫る全日本選手権。選考会に出場した選手たちとの再戦には、今回の対戦経験が生きてくるだろう。さらに力を蓄え、目標である自身初の表彰台へ駆け上りたい。
(記事 村上夕季、写真 加藤万理子)
★松平が惜しくも代表内定を逃す
選考会決勝では振るわず、代表を逃した早大卓球部OB松平
早大卓球部OBの松平は予選Bグループを2位で通過し、決勝トーナメントへ臨んだ。準決勝の岸川との対戦は、互いに技術の高さを印象付ける試合展開の中でもリードを保ち、ゲームカウント4―1で勝利。決勝では予選リーグで唯一黒星を喫した吉田と再戦する。得意とするブロックやカットなどを駆使し変化のあるプレーから崩そうとするが、吉田のスピードがあるドライブに押される場面も。怒涛(どとう)の攻めを繰り広げる吉田に対し、調子を出し切れないまま惜敗。現時点で国内3位のランクを有する松平がこの選考会では代表内定を逃す結果となった。残る代表選出のチャンスは全日本選手権(全日本)での優勝。全日本シングルス悲願の初優勝へ向けて、立ち止まることはできない。
結果
▽第1ステージ リーグ戦
大島 2位
●3―4岸川
○4―1森薗
○4―3町
○4―0松平賢二(協和発酵キリン)
○4―1酒井明日翔(JOCエリートアカデミー/帝京高)
●2―4吉村和
○4―0森本耕平(協和発酵キリン)
○4―1出雲卓斗(城南中)
○4―0田中佑汰(愛工大付中)
▽第2ステージ 決勝トーナメント
準決勝
●2―4吉田
コメント
大島祐哉(スポ3=京都・東山)
――吉田雅己選手(愛工大)との試合を振り返っていかがでしたか
もうことし(対戦するのが)3回目なので、いろんなことをあちらも考えてきましたし、僕も考えてきたんですけど。相手の方が思っていたより調子も良かったですし、僕の方が少し凡ミスが多かったかなというふうに思います。やはり、そこの差が最後は出たかなと思うので。もっともっと練習をしていかなければ駄目だなと思いました。
――吉田選手は勢いのある選手でしたが、以前の対戦と比べて相手の成長していた部分などはありましたか
やはり調子が良かったので振り切れていたというのは大きな違いですね。僕は少し下から行っていたので、下から行くのと上から行くのではボールの勢いであったり、自分が勢いに乗っていけるということもあるので。そこが大きく違ったかなというふうに思います。あとは、戦術としてフォア前に相手がしっかりとサーブを出してきて、それも普通の回転ではなく逆回転のサーブを出してきたので、それが自分としては少しやりづらかったかなと思います。
――大島選手自身のサーブも効いている印象を受けましたが、実感としてはいかがでしたか
自分の中ではサーブも効いているなというのはありましたけど、やはり相手のサーブがそれよりも嫌だったので。逆回転のサーブがずっとフォア前に出されていて、それがレシーブに困りました。そこが最大の敗因かなと思います。
――吉田選手と松平健太選手(人通=現JTB)の決勝はどのような気持ちで見ていましたか
やはりワセダで健太さんがやっていたので、健太さんを心の中で応援していたというのはありますけど、一緒にナショナルチームでやっている二人のメンバーなので、どちらが代表になってもおかしくない二人なので。吉田君が結局勝って勢いがあったなと感じました。
――決勝で自分が試合したいという気持ちはありましたか
やはり自分が決勝でやっていないのは少し悔しい思いもありましたけど、それがまだまだ自分の実力かなというところも認めなくてはいけないので。それは認めて、また全日本選手権があるのでそこで結果を残して、世界選手権に出られるように頑張りたいなと思います。
――前日までの予選リーグ全体を振り返ってポイントとなった試合は何でしたか
ポイントはやはり町選手(飛鳥、明大)とのセットオールでジュースで勝った試合です。そこで勝ったか負けたかで、大きく違ったかなと思います。あと吉村和弘選手(野田学園高)に負けたというのは、自分としては1敗でなんとか抜けたかったというのがあったので、2敗したというのは少し痛いかなと思いますね。
――吉村和選手との試合では第5ゲームが15―17、第6ゲームが17―19のジュースで落としてしまいました
そうですね。あそこの2セットをどちらも落としたということは、精神的な弱さであったり、技術の幅がないなというふうに自分でも感じましたね。
――森薗政崇選手(明大)との試合はいかがでしたか
森薗選手にはこの前もインカレで勝っていますし、良いイメージはあったので、自分の思った通りにできれば勝てるかなと思っていました。
――先日の全日本学生選抜選手権での優勝は自信となりましたか
自信にもなりましたね。こうやって優勝したから自分の名前も売れて、みんなが注目してくれて、それだけで相手にとっては優勝しているというプレッシャーになるので、それは良かったなとは思います。でも、あとはそんなに浮かれている時間もなかったので、優勝しましたけど反省もしっかりしていたので、またこうやって調子が維持できて最低限準決勝に残れたかなと思います。代表になれるのが良かったんですけど、最低限準決勝まではいけたかなと思います。
――レベルの高い選考会でしたが、改めて全体を振り返って課題と成果を教えてください
体力に関しては、まだまだいけるというところがありましたが、やはりいろいろなタイプの選手とリーグ戦をやる中で、技術の幅であったり得点パターンであったりというのがまだまだ少ないなと感じています。そこをどうやって増やしていくかというのと、もう少しサーブレシーブのところで凡ミスをしないように、自分の得意なラリーに持っていけるようなことをしないとトップの選手には勝てないなということを感じました。
――最後に全日本選手権に向けて意気込みをお願いします
やはり表彰台に上ることがことしの目標ですし、そこになんとしても上って、準決勝の舞台で勝って、決勝にいってというのがあるので。そこまでなんとしても行けるように、これから年末年始ですけどしっかり練習して頑張りたいと思います。