善戦も万事休す。日体大相手にリーグ戦初黒星

男子アーチェリー

 やはり日体大は強かった。全勝同士で迎えた関東学生リーグ戦(リーグ戦)ブロック最終戦。日程決定時から大一番と見込んでいた試合に臨んだ早大は、各選手とも軒並み高得点をマークする。しかし健闘も及ばず、3941-3994で今リーグ戦初の黒星を喫した。

 「どこまで食らいつけるかを意識していた」(池田亮主将、人4=東京・国際)。ブロック優勝を懸けた第5戦は、関東屈指の強豪校、日体大との全勝対決だ。昨年は全く同様の展開で迎えたこの一戦で敗れており、早大はまさにチャレンジャーとして臨むこととなった。落ち着いた入りを見せた早大は、50メートル序盤で抜きつ抜かれつの接戦を繰り広げる。しかし、矢を放つごとにペースをつかんでいく日体大に対し、「無声応援で尻すぼみになってしまった」(池田)という早大は、ギアを上げ切れない。徐々に差を広げられ、1882-1914で前半を折り返した。

チームを引っ張り続ける池田主将

 定評のある30メートルで巻き返しを図りたい後半。ここで目立った活躍をみせたのが、リーグ戦絶好調の野村翼(スポ3=愛知・岡崎北)だった。野村の放つ狙いすました矢は見事に中心へと飛んでいく。第3エンドまで10点を射抜き続ける“180金”を記録するなど、6エンドで積み重ねた得点は356点。わずか4点しか落とさず、「もう(点数が)出るところまで出ている」と本人も納得の試合新記録であった。その他の選手も各エンドで50点台後半を連発し、実力を発揮する。しかし、さすがは日体大。出場選手全員が30メートルで340点以上を記録する驚異的な強さで、早大勢のさらに上を行く。終わってみれば3941-3994。またも日体大の前に涙をのむ結果となった。

野村は30メートルで無類の強さを誇る

 「自分たちが思っている以上に強かった」。試合後、池田は日体大をこう評した。自分たちの射の感覚が良かっただけに、力の差をまざまざと見せつけられてしまった試合となった。しかし、昨年は約150点という大差で敗れており、その差は縮まりつつあるだろう。実際に試合後の円陣では、応援に駆け付けたOBから「もしかしたら勝つのではないかと期待させる内容だった」といった声が多く聞こえた。今後は2週間後の3位決定戦を経て、いよいよ全日本学生王座決定戦(王座)に挑む。王座では70メートルの射になるため、長距離の改善が必要となってくる。全ては昨年あと一歩届かなかった王座制覇のため。まだまだこんなものでは終われない。

(記事、写真 吉田優)

結果

▽男子
●早大3941-3994日体大

コメント

池田亮主将(人4=東京・国際)

――きょうは日体大との大一番でしたが、1週間どのような気持ちで練習してきましたか

先週が結構勝てる試合だったのでしっかり抜いてもらって、今週に合わせてもらおうというかたちで練習は取り組んできました。

――いままで立ち上がりの不安定さを課題にあげていたと思いますが、50メートルの序盤は接戦を繰り広げていました

こっちとしてはいつもの落ち着いた雰囲気で入れて、あっちが少し落としていたから若干勝っていたかなと思いますがやっぱり後半あっちが伸びてきましたね。こっちとしては無声応援で尻すぼみになってしまったところが相手との違いかなと思いました。

――やはり無声応援だといい雰囲気をつくるのは難しいですか

そうですね。やっぱり声があると一体感が出やすいところがあるんですけど、声が出せないとどうしても意識が的の方に向かないで逸れてしまうので、一体感みたいなのはつくりにくいと思います。

――30メートルは各選手とも高得点をマークしていましたが、30メートルは引き続き感触としては良いですか

早大は30メートルが上手いという定評がある大学なので、そこでしっかり点数を出せたのは良いと思います。ただ50メートルであれだけ点数が離れてしまったのはやっぱり日体大との違いだというのを強く感じました。

――やはり日体大は手強い相手でしたか

そうですね。絶対勝てるって思ってたわけではないですけど、どこまで食らい付けるかってところを意識していました。それでも自分たちが思っている以上に強かったので、もっとしっかり相手を見ていかなければと思いました。

――今後日体大に勝つために必要なものは見えましたでしょうか

うーん、そうですね…

――正直カベを感じたといったところでしょうか

自分たちの感触は良かったので、それでも50点差を付けられるっていうのは本当に予想外というか。やっぱり強かったです。

――リーグ戦全体を通して得られた収穫はありましたか

一番は試合でも点数を落とさずに応援と選手が一体となっていけるというのを今回のリーグ戦では強く感じました。ただ5戦もやってくると、メンバーは変わるんですが疲れが溜まってきて(点数を)落としてしまうのでまだまだ強豪校とは言えないかなって感じですね。

――次回は3位決定戦となりますが、意気込みをお願いします

相手が誰であろうとこちらとしてはしっかりフルメンバーで臨んで、王座につなげられるようなチーム感っていうのを大事にして練習していきたいと思います。


野村翼(スポ3=愛知・岡崎北)

――5戦を通してずっと好調をキープしていましたが、何か要因はありますか

ことしのリーグ戦で調子を保てたのはきょねんの経験が生きているからかなと思います。きょねんは4戦、5戦くらいで点数を落としてしまったんですけど、ことしは調整の仕方をしっかり考えて後半戦に臨めたのでそれが良かったのだと思います。

――具体的にはどのような調整をしたのでしょうか

日曜日に試合があるのでそれに向けて本数の調整をしました。月曜日は少し休んで週の半ばに本数を増やして週末にかけてまた本数を減らすといった感じで射ちました。試合に疲れを残さないようにというところですね。

――さらに点数を伸ばしていくために強化していきたいところはありますか

50メートルの点数を伸ばしたいなと思っています。30メートルに関してはもう(点数が)出るところまで出ているかなという感じなので、あと伸ばすところは50メートルですね。

――きょうは無声応援ということで雰囲気のつくり方が難しかったと思いますが、どのように試合に臨んでいましたか

無声応援ということで声は出せないんですけど、スコーパーや応援の方々とアイコンタクトをするなどしてしっかりコミュニケーションをとって前向きな雰囲気をつくっていこうと思っていました。

――これから王座制覇という目標に向けて必要なことは何でしょうか

個人としては70メートルの練習があまりいまの時期できていないので、しっかり王座に向けて70メートルの練習をしていこうと思っています。チーム全体としては点数を上げていかないと勝てないということが分かっているので、自分だけじゃなくてしっかり周りの選手のサポートもしてみんなで点数を伸ばしていけたらいいなと思っています。