大混戦を制し3連勝

男子アーチェリー

 『接戦』とはまさにこのことだ。ことし1部に昇格したばかりながら、ここまで強豪相手に2連勝と勢いのある男子部。第3戦となる対明大戦は、わずか7点差で最終エンドを迎える大混戦に。最後の得点発表まで、会場全体が息を止めたかのような緊張に包まれた。結果は3861-3853でワセダが辛勝。『接戦』をものにし、目標の全日本学生王座決定戦(王座)に向けさらなる弾みをつけた。

 いつものワセダではなかった。部員による盛大な応援で常に会場の空気を支配し、部全体で勝利をつかんできたワセダ。しかしこの日、『紺碧の空』は何度もかき消された。2倍はいようかというメイジの応援団。それでも、応援が選手を支えていることは変わらなかったようだ。「逆にその中でいつも以上に応援を頑張ってくれているのが見えていたので」、そう語ったのは、3年目にしてリーグ戦レギュラーの座についた東郷大地(教3=埼玉・春日部共栄)である。昨年は出場するも実力を発揮できず、2度の参戦にとどまった東郷。ことしはここまで2試合とも上位6人に入り、勝利に貢献している。今回も634点を記録し、チームを王座へと後押しした。

王座に向け前進を続ける男子チーム

 8点差で終えた前半50メートル。後半で大きく引き離すのがいつものワセダだ。しかしこの日、差が広がることは最後までなかった。常に数点差という油断を許さない展開。最後に勝ちを手繰り寄せたのは、平井大介(政経4=東京・早大学院)だった。不調の鈴木淳志主将(創理4=東京・早大学院)に代わり、前回から1的1番でチームを引っ張る平井。前半の50メートルでは287点と記録を伸ばせずにいたものの、後半の30メートルで大きく挽回。上位6人に滑り込み、ワセダの合計得点を引き上げた。また昨年に続き安定したスコアでチームを支えるのが、同じく最終学年の中川裕太(スポ4=岐阜・大垣西)だ。「ただただ楽しい」と、1部で戦う最初で最後のリーグ戦の感想を語る。それでも、「今3的(山本周平、スポ3=山梨・甲府一、寺澤紀彦、スポ3=東京・足立学園)がツートップでチームを引っ張っている感じなので、あと2戦は引っ張られる側ではなく引っ張る側になりたい」と上級生としての意地ものぞかせた。

最上級生としてチームを支える平井

 久々の1部で3連勝と快進撃を続けるワセダ。次の相手は、唯一、ワセダと同じく3連勝の専大だ。来週が大きなヤマ場となることは間違いない。「今までの中で1番いいパフォーマンスが発揮できるように」(中川)。ワセダの真価が試されるときがきた。

(記事 建部沙紀、写真 谷田部友香)

結果

男子○早大3861-3853明大

コメント

平井大介(政経4=東京・早大学院)

――いまの感想

自分が30メートルで挽回できて、チームの点数に貢献できて良かったと思います。それで勝てたので、いま自分的には一番嬉しい状況です。

――先週から主将のポジションで射っていらっしゃいますが

一応点数で上の8人は決めていて、ちょっといま鈴木(淳志主将、創理4=東京・早大学院)の調子が良くないので。まあそのうち出てくると思うんですけど。僕も負けずに、来週以降もどんどん出ていこうと思います。

――射つ場所が違うと精神的にもいつもと違いますか

そうでもないです。やることは変わらないので、射つだけなんですけど。ただやっぱりチームとして一番偉い立場なので、それはちょっと意識してます。いま射ってる8人の中では絶対に一番声を出すとか、雰囲気を盛り上げるとか、点数でいいものを射つとか、そういう意識は一応もっています。

――見えるものも違いますか

右射ちで一番左端ってことで、結構選手が見えるんですよね。だから色んな様子が見えて、それで当たってない人のケアとかがやりやすいかな、と思います。あんまりしなかったんですけど(笑)。

――ご自身の点数は30メートルに入ってから伸びましたが、何か50メートルと変えた点はありますか

元々50メートルも感覚は良かったんですけど、それで30メートルを射ってみてもあまり当たっていなくて、照準器をちょっと左に出したら以外と上手くいきました(笑)。それだけで上手くいったので、あとは調子にのれば当たる競技なので、のらせて頂きました(笑)。

――技術的に今後改善していきたい点は

以外と矢を放った後の(体の)形がバラバラになりやすいのでそこを一定にしたいです。

――今後の意気込みを

ブロック全勝して、王座(全日本学生王座決定戦)に行くのでよろしくお願いします!

中川裕太(スポ4=岐阜・大垣西)

――きょうは8点差と接戦になりましたが、試合を振り返っていかがですか

結構メイジは騒がしい大学なのですが、その中でも(ワセダの)力強い応援がすごく聞こえていて、いい雰囲気でできた試合だと思います。

――チームの3861点という点数と、ご自身の638点という点数についてはいかがですか

あまりチームの点数は考えていなくて、自分の点数ばかりで。きのう調子が悪かったので、きょうこれくらい点数が出たことはとりあえず褒めたいです。でもまだもっと(点数は)出るので、あと2戦で頑張りたいと思います。

――ご自身の調子はいかがですか

きのうはあまり良くなかったのですが、きょうの試合で良くなっていい調子にあるので、この先さらに高めていきたいと思います。

――きょうは相手の応援の人数が多かったですが、やりにくさはありましたか

本当に(ワセダの)応援の人たちが頑張ってくれて、自分の射に集中できる試合だったので、特には無かったですね。

――今回が最後の関東学生リーグ戦(リーグ戦)になりますが、今までのリーグ戦と気持ちに違いはありますか

自分にとっては最後なので、楽しいです。ただただ楽しいので、最後まで楽しんで終わりたいと思います。

――リーグ戦は残り2試合と少なくなってきましたが、今後どのように戦っていきたいですか

今3的がツートップでチームを引っ張っている感じなので、あと2戦は引っ張られる側ではなく引っ張る側になりたいと思います。

――きょうの勝利で全日本学生王座決定戦出場に近づきましたね

まだ残り2戦終わらないことには分からないので、あまりそこを考えずに1戦1戦集中していきたいと思います。

――次戦への課題と意気込みをお願いします

来週が1番強い大学との戦いになると思うので、選手になるか応援になるかはまだわかりませんが、今までの中で1番いいパフォーマンスが発揮できるように今週調整したいと思います。

東郷大地(教3=埼玉・春日部共栄)

――いまの感想

なんとなく雰囲気から競る試合だなというのは感じていて、その中で8点差で勝てたので、かなり良かったです。でも一昨日自己ベストの688点出して、きのうも660点でいいイメージでこれていたので、きょうもそれくらい射つつもりでいたんですけど、結果が出せなくて個人的には不本意ですね。

――緊張からですか

自分でもよく分からないですね。たぶん緊張してたのかな、と思います。

――きょうを通じての収穫は

きのう、一昨日の練習でできていた射形がきょう上手くできなかったので、そのイメージが固められればまた出せるんじゃないかな、と思います。イメージを変えたときにベストが出たので。そのイメージをもう少し固めて、来週と再来週につなげられるようにしていきたいです。

――昨年のリーグ戦から点数をあげてこられましたが、1年間どのような練習を

1年生も2年生も夏は点数が出て、でも冬が出ていなくて。リーグ戦もきょねん2回出たんですけど点数を出せなくて。授業期間中にいつも点数が落ちていってしまうので、授業期間中の練習不足なのかな、って思っていたんですけど…何でなんですかね(笑)。ことしは冬のインカレインドア(全日本学生室内個人選手権)で1回点数出せて、そこからだんだん調子があがってきて春合宿と春練でいい感じにあがってこれました。射形のイメージが、きょねんと比べてしっかりしたもので日々練習を積み重ねてこられたからかな、と思います。

――きょうは珍しく応援でワセダが圧倒されていました

メイジは六大学なんですけど、六大学の応援ってやっぱりすごかったです。きょうは紺碧(の空)も何度か歌ったし、応援もしてくれていたんですけど、応援がメイジと重なるとワセダが聞こえなくて(笑)。でも逆にその中でいつも以上に応援を頑張ってくれているのが見えていたので、とても励みになりました。

――今後の意気込みを

東日本(全日本学生東日本)にどうしても行きたいので、あと2回で660点以上出して東日本に行くことと、王座に出て、そこに選手として出ることが直近の目標です。あとはインカレターゲットの雪辱を果たすことですね。