【連載】『令和2年度卒業記念特集』第24回 加藤結有子/女子卓球

卓球女子

新たに得たもの

 「チームでやるだけのことはやってきた。悔いはない」。今年度、女子主将を務めた加藤結有子(スポ=東京・エリートアカデミー)は、コロナ禍で活動が大きく制限された1年間を含め、大学入学からこれまでを笑顔で振り返った。JOCエリートアカデミーを拠点に国内外の試合で経験を積んだ中高時代の環境とは一転、早大卓球部で過ごした4年間から加藤が新たに得たものとは。

 7歳の頃からラケットを握る加藤は「高いレベルで文武両道をしたい」との思いから早大進学を決めた。卒業を前に振り返ると、卓球では着実に結果を残し、並行して勉学にも力を注いで教職課程を履修し、初志貫徹。しかし、大学入学当初は、中高6年間を過ごしたJOCエリートアカデミーと比べて自主性が問われる部の練習環境に戸惑いを感じたそう。結果が伸びず「どうしようかと思った」と当時を思い返した。それでも「試合に勝ちたい」という思いが揺らぐことはなかった。課題を見つめ直して、練習メニューやトレーニング方法を工夫した。指導者からアドバイスを受ける機会は減ったが、「自分の頭で考えるという意味では上のレベルに進めたのかな」。

  練習環境の変化に加えて試合環境の変化も経験した。個人戦が主だった大学入学前に比べて、入学後は団体戦に出場する機会が増加。加藤は、チームのために、チームのみんなで何か1つの目標に向かって努力していくことに「(卓球の)新しい楽しさ」を実感したという。

大学3年時、秋季リーグ戦でプレーする加藤

 だからこそ、チームづくりに対する思いは強かった。主将として迎えたラストイヤー、加藤は、早大卓球部女子の良さである「お互いがお互いを思いやるチーム」を受け継ぎ、部員全員にとって居心地の良いチームづくりを心掛けてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、首位奪還が期待された関東学生リーグ戦(リーグ戦)や4連覇のかかった全日本大学総合卓球選手権大会団体の部(インカレ)など、予定された団体戦は軒並み中止に。「試合をしたかったという思いはある」。物足りなさは否めないが、「自分が1番しっかりしなきゃいけない」と、練習からチーム全体の士気を高めた。さらに試合を想定した、万全の準備も怠らなかった。その一方で、加藤は「私1人だけだったらこのチームは上手くいかなかったと思う」と振り返る。とりわけ、共にチームの状態に目を配り、アドバイスをくれた同期に対する感謝は大きい。「お互いがお互いを思いやるチーム」の存在に支えられて、主将としての責務を全うできた。

 卒業後は実業団チームで卓球を続けることを決めた。大学4年間で得た、チームのみんなでやり遂げる、チームのみんなと協力するという経験は、卓球にも仕事にも大いに役立つと確信している。リーグ戦優勝やインカレ4連覇の夢はチームの後輩たちに託した。卓球と仕事の両立、そして全日本社会人卓球選手権大会優勝。加藤は新しい環境でのさらなる飛躍を誓う。

(記事、写真 鬼頭遥南)