優勝を懸けた大一番。対したのは、春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)で団体戦スコア0-4と完敗し、唯一敗北を喫した中大。最終戦を前に、この両校は6戦全勝で並んでいた。7月に行われた全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)では、団体戦スコア1-3で撃破。しかし春季リーグ戦2位の悔しさを晴らして栄冠をつかむためには、絶対に負けられない戦いだった。田中千秋女子主将(スポ4=愛知みずほ大瑞穂)が幸先よく先制すると、後輩たちもその流れに乗る。途中、意地を見せた中大相手に2つ落としたが、終わってみれば団体戦スコア4-2。春季リーグ戦の雪辱を果たし、悲願の優勝を手にした。
主将対決を制した瞬間、ベンチに向けて渾身(こんしん)の笑顔を見せた田中
1番手のシングルスは、いきなりの主将対決になる。同カードだったインカレでは、田中がフルゲームの熱戦を制した。この日も、田中が試合の主導権を握り、圧巻のストレート勝ち。チームを勢い付けた。2番手の阿部愛莉(スポ3=大阪・四天王寺)も白星を手にし、団体戦カウントは2-0。ここで3番手には、鎌田那美(スポ2=北海道・駒大苫小牧)・金子碧衣(スポ2=愛知みずほ大瑞穂)組が登場した。第1、2ゲームは共に序盤に相手を突き放す展開で奪取。しかし相手もそう簡単には勝たせてくれなかった。第3ゲームを5-11で落とし、第4ゲームも高速ラリーで体勢を崩されて11点目を献上。ゲームカウント2-2になった。第4戦の専大戦でも、ファイナルゲームのチェンジエンドの後大逆転を収めたこの二人は、この日も後半で粘り強さを発揮。激しいラリーに食らい付き、最後は3球目攻撃をものにして、早大ペアに軍配が上がった。
優勝に王手をかけた早大だったが、中大もこのまま白星を渡してくれるような相手ではない。4番手、5番手で敗れ、団体戦カウントは3-2になった。6番手には、徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)が出場。夏の期間に強化したというチキータのようなレシーブで得点するなどし、シーソーゲームをものにする。優勝まであと1ゲーム。同時に行われた7番手の金子が隣の台でも激闘を繰り広げており、両校の応援で会場の熱気は最高潮だった。徳永は第3ゲームも接戦になり、ゲームスコアは9-8。ここで山本笙子の力強い球を冷静に抑え、左右に揺さぶり得点する。一点を返されたが、最後はサービスエースで仕留めた。そしてこの瞬間、早大の4季ぶり5度目の優勝が決まった。さらに、田中が殊勲賞、阿部と徳永がそれぞれ優秀選手賞、阿部・徳永組が最優秀ペア賞を獲得。これは秋季リーグ戦での早大勢の活躍ぶりが、高く評価されたことの表れだ。
最後は徳永が優勝を決めた
「全員で力を合わせて優勝することができた」と徳永が振り返ったように、この秋季リーグ戦でも、早大はチーム力が光った。現体制で最後の団体戦は、4年生はもちろん、下級生の思いも強い。それは、「4年生も喜んでくれてよかった」という鎌田の言葉からもうかがえる。優勝といういいかたちで締めくくったが、この一年間主将を務めた田中は「来年こそは『グランドスラム』を達成してほしい」と語った。インカレ、秋季リーグ戦で頂点に立ったことしのチームでさえ、達成できなかった『グランドスラム』。その夢は、後輩たちに託された。
(記事 橋本望、写真 本田京太郎、吉田寛人)
集合写真
優秀選手賞と最優秀ペア賞を獲得した阿部(左)と徳永
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結果
▽女子 最終戦
VS 中大 ◯4―2
◯田中千秋3―0山本怜
◯阿部愛莉3―1瀬山咲希
◯鎌田那美・金子碧衣組3―2秋田佳菜子・森田彩音組
●鎌田那美0―3森田彩音
●阿部愛莉・徳永美子組2―3山本怜・明神佑実組
◯徳永美子3―0山本笙子
コメント
田中千秋女子主将(スポ4=愛知みずほ大瑞穂)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか
素直にうれしいです。
――全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)と同カードになりました。対策はありましたか
インカレのときの試合を振り返って、こういう風に戦っていこうというイメージはありました。
――その後の応援ではどのようなことを意識していましたか
選手がいつも通り楽しくできるように、笑顔で応援するように意識していました。
――個人賞を受賞したことについてはいかがですか
自分が獲れるとは思っていなかったので、驚きの気持ちが強いです。
――この一年振り返っていかがでしたか
なかなか難しい時期もあったんですけど、みんなでつくったチームが最後こういうかたちで終われて、とてもうれしいです。
――後輩に向けてメッセージをお願いします
来年こそはグランドスラムを達成してほしいです。
阿部愛莉(スポ3=大阪・四天王寺)、徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか
阿部 春季リーグ戦(春季関東学生リーグ戦)で優勝できなかった分、秋季リーグ戦(秋季関東学生リーグ戦)で優勝したいという思いも強かったので、うれしいです。
徳永 秋季リーグ戦はインカレ優勝後ということもあって、厳しい試合になると思っていました。でも全員で力を合わせて優勝することができて、とてもうれしいです。
――まずそれぞれのシングルスを振り返って、いかがでしたか
阿部 前半戦から接戦の試合が多かったのですが、中大戦ではもっと強い相手と対戦することが予想されていました。なので不安もあったのですが、そこで何とかして勝つことができて、チームに貢献できたので良かったです。
徳永 苦しい試合が多くて打たれることも多かったのですが、粘って自分のいいところを出すことができたと思います。最後も勝てて、優勝の一点になれたので良かったです。
――ダブルスでは、阿部選手のサービスから徳永選手の3球目で決めるというパターンがはまっていましたね
阿部 相手も緊張していたので、サーブから仕掛けて狙いにいくパターンを主に取り入れていました。
――最上級生になりますが、どんなことを意識していきたいですか
阿部 4年生になったらもっと責任を重く感じると思いますし、プレッシャーも大きくなると思います。でも今まで通り、試合に出させていただいたときには自分のプレーができるように、これからまた練習していきたいです。
徳永 4年生になったら、これまでの三年間とはまた違う思いもたくさん出てくると思います。試合に出させていただけたら、4年生になっても変わらず、元気を前面に出して思い切って向かっていく試合をしていきたいです。
鎌田那美(スポ2=北海道・駒大苫小牧)・金子碧衣(スポ2=愛知みずほ大瑞穂)
――入学して以来、初めてのリーグ戦優勝はいかがですか
鎌田 嬉しいです。4年生も喜んでくれて良かったなって思います。
――きょうのダブルスは強豪ペアが相手でしたが、なにか対策を立ててから臨んだのですか
鎌田 チーム全体で相手のダブルスの分析とかに取り組んでいたのでそれをうまく出せたかなと思います。
金子 良い時は自分たちから攻めていけるんですけど、相手から打たれた時にもしっかりつなぐということを2人で意識して臨みました。
――リードしてから追い上げられるという展開でしたが、心境はどうでしたか
鎌田 そんなに簡単にはいかないと思っていたので、(ゲームカウント)2-2になっても、ここから、という感じでいけたのでメンタル的には良かったかなと思います。
――お二人は春季リーグ戦では思ったように力を発揮できなかったと思うのですが、今回のリーグ戦で活躍できた要因は何だと考えていますか
鎌田 シングルスもダブルスも春の反省があったので、思いきったプレーがしっかりできたのは良かったです。
金子 春はシングルスには出れなかったんですけど、今回出させていただいて、緊張する場面もあったんですけど、後ろでたくさんの人に応援していただいたおかげでいい試合ができたのではないかと思います。
――新体制では上級生となりますが、どのようにチームに貢献していきたいですか
鎌田 これまでは下級生だったので、上級生に引っ張ってもらって元気よくやっていたんですけど、これからはもっと周りを見て後輩のことも見ていかなければいけない立場になるかなと思います。
金子 来年は4年生が3人と少ないので4年生のサポートをしながら、1、2年生にもしっかり声をかけてチーム全体を見ていければいいなと思います。