2か月後に迫った世界選手権クアラルンプール大会(団体戦)の出場権をめぐる選考会が3日間にわたって開催された。早大からは世界ランキング24位の大島祐哉(スポ4=京都・東山)と、ことしの全日本学生選抜選手権チャンピオンである上村慶哉(スポ2=福岡・希望が丘)の2名が出場した。国内のトップ選手20名が集結したこの選考会は、10名ずつに分かれて予選リーグを行い、それぞれ上位2名が決勝トーナメントに進出。そして準決勝、決勝を勝ち抜いた優勝者1名のみが代表権を獲得できる。初めて選考会に参加した上村は、予選リーグ2勝7敗と振るわず、第1ステージで姿を消す。一方で大島は8勝1敗の好成績を収めグループ2位で決勝トーナメント進出を決めたが、準決勝で早大OBの松平健太(人通=現JTB)に敗れ、代表権獲得とはならなかった。
2年連続で、世界選手権選考会に出場した大島
大島と上村が入ったBグループは現・社会人チャンピオンの上田仁(協和発酵キリン)や、ことしの国体優勝者である御内健太郎(シチズン)など強豪が名を連ねる。またカットマン3人が同グループに入ったことで、ポルトガルで行なわれたワールドツアー・グランドファイナルから先週帰国したばかりの大島は、体力面でも厳しい戦いが予想された。しかし「気持ちでいこう」(大島)と自らを奮い立たせ、熾烈(しれつ)な予選リーグを2位で突破した。他方、上村は格上選手を相手に苦戦を強いられる。それでも、同士討ちとなった大島との試合では1ゲームを奪うなど確かな成長も見せた。決勝トーナメント進出は叶わなかったものの「強い選手とやる良い機会だった」(上村)と振り返るように、敗戦から得るものは大きかったようだ。
世界選手権出場のために絶対に負けられない準決勝で大島が対するは奇しくも早大OBの松平。ナショナルチームでも普段から共に練習を重ねる両者だが、公式戦では初対戦となる。「攻め方を間違えたらすごく強力な球が返ってくる」と大島を警戒する松平に、序盤から強みであるフォアハンドを徹底的に封じられた。バックサイドにボールを集められ第1ゲームを落とす。だが第2ゲームでは徐々に持ち味のラリー勝負に持ち込む場面も目立ち始め、試合をイーブンに戻した。その後第3、4ゲームを互いに奪い合い、ゲームカウント2-2として迎えた第5ゲーム。松平が多用するしゃがみ込みサーブに対してレシーブミスが相次ぐ。相手のサーブで崩され、自分の得意な攻撃につなげることができなかった。そして流れは一気に松平へ。第5、6ゲームを続けて落とし、ゲームカウント2-4で敗戦。2年連続の世界選手権出場を決めることはできなかった。
苦しい試合となった準決勝
先日のグランドファイナルではダブルスとU-21シングルスで二冠を達成し、国際的に注目度が上がっている大島。しかし同時にライバルから研究される対象にもなっていることも事実だ。今回は松平の緻密な戦術で、自分の得意なかたちに持ち込めず涙をのんだ大島だが、既にその目は来月に控える全日本選手権を見据えている。「優勝して自分の力で(世界選手権の代表権を)勝ち取れるように」(大島)。リベンジに燃えるこの男の戦いに注目だ。
(記事 稲満美也、写真 橋本望)
結果
▽男子決勝トーナメント
準決勝
●大島祐哉2-4松平健太(JTB)
コメント
松平健太(人通=現JTB)
――準決勝は早大の後輩でもある大島選手との対戦でしたが、意識したことや作戦はありましたか
初対戦だったので、練習はしていましたけど、手の内は試合と練習では違うので、初めは様子を見ながらやっていました。最近すごく強いですし、1本目から全力で戦いました。
――一緒に練習されていた頃との違いはありましたか
バックハンドがうまくなっていました。元々フォアハンドと足は速くて、それにバックハンドがプラスされていました。攻め方を間違えたらすごく強力な球が返ってくるので、そこを注意しながらやりました。
――戦ってみた印象はいかがでしたか
やっぱり強かったです。戦術さえ間違わなければ僕にも勝機はあったので、そこを間違えなかったから勝てたのだと思います。ちょっとでも間違えていたら危なかったです。
大島祐哉(スポ4=京都・東山)
――準決勝は早大OBの松平選手が相手でしたが、戦いにくさはありましたか
コートを挟んだら先輩も後輩も関係ないので、戦いづらさはなかったように感じています。
――松平選手との準決勝を振り返っていかがですか
松平選手の得意な部分で勝負してしまったかなと思います。もう少し自分の得意なボールで勝負したかったのですが、戦術的にそれが大きな敗因になってしまったと思います。
――好調の松平選手に対してどのような戦術で臨みましたか
僕のフォアハンドと松平選手のフォアハンドで勝負したい部分がかなりあったんですけど、どうしても最初のボールがバックに集まってしまって。試合を相手につくられてしまったので厳しかったです。
――いまお話にもあったように、バックサイドにボールを集められたり短いボールを返されたりしたことで、得意のフォアハンドを封じられてしまいましたか
相手もかなり考えてきていましたし、僕のフォアハンドをかなり封じられたので、ちょっと苦しい展開が続きましたね。
――松平選手のサーブについてはいかがでしたか
少し取りづらかったですけど、いつも練習を一緒にやっているので。でも試合になると少し台から出てしまったり、浮いてしまったりして点を取られることがあったので、サーブレシーブに関しては松平選手の方がうまかったかなと思います。
――グランドファイナルを終えてからわずか1週間での出場でしたが、体力的にはいかがでしたか
ファイナルが終わってからあまり練習はせずに、軽く合わせる程度でここに来て、カットマン3人と同じリーグだったのできつかったんですけど、そこを乗り越えられたので、きょうの準決勝、決勝は体はきつかったですけど、気持ちでいこうと思っていたのでそんなにきつくはなかったですね。
――事前の優勝予想では1位でしたが、プレッシャーはありましたか
出場者の中で世界ランキングが1番ということでいろんな方からプレッシャーもありましたけど、これから先僕はそうやってみんなから目標とされる選手になっていけるように頑張らないといけないですし、みんなが僕を目指して頑張ってくれると思うので、プレッシャーをもっともっと楽しめるような選手になっていきたいと思います。
――後輩の上村選手も全日学選抜の優勝者としてこの選考会に参加していました。後輩の活躍についてはいかがですか
僕は3年生の時に優勝しましたけど、上村は2年生で優勝して、僕よりも1学年下のところで優勝してるので、らいねんからは早稲田大学のエースとして頑張ってくれると思います。この試合でも勝ち星が挙げられた試合がもうちょっとあったかなと思うので、一つ一つ大事に頑張っていってほしいと思います。
――来月には全日本が控えていますが、意気込みを聞かせてください
シングルスは優勝しないと世界選手権の代表権を勝ち取れないので、優勝して自分の力で勝ち取れるように頑張っていきたいと思います。ダブルスでは上村くんと2年間組んできて、最後になるので一つでも多く勝てるように頑張りたいと思います。
上村慶哉(スポ2=福岡・希望が丘)
――予選リーグを振り返って教えて下さい
強い選手ばっかりでAグループとBグループで戦型のバラつきが大きくて、苦手とするカットマンだとか左利きの選手が多くいて、自分の苦手克服というか強い選手とやるには良い機会だったかなと思います。
――大島選手から1ゲームは奪いましたが、試合はいかがでしたか
大島さんが遠征が続いたりとかして久しぶりにやったっていうのがあってミスが目立ったりしていて、内容的には悪くなかったと思うんですけど勝ちたかったです。
――きょうの大島選手、松平選手の試合をご覧になっていかがでしたか
ラリーでは大島さんが押していたと思うんですけど、サーブとかレシーブとかの展開で松平選手の方が上だったのかなと思います。
――次の全日本選手権に向けてどのような点を調整していきますか
組み合わせも見たんですけど、強い選手と当たるので。今回はサーブとかは結構良かったんですけどレシーブとかそれ以外の部分が良くなかったのでこれから一か月少しでも良くなるように練習していきたいです。
――最後に、シングルス、ダブルスでの目標をお願いします
ダブルスでは強いところと当たるんですけど優勝を目指して。シングルスはランク入りを目指して頑張りたいと思います。