優勝への正念場となる秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ戦)4日目は、春季2位の中大、春季覇者の明大と対戦した。山本勝也(スポ3=石川・遊学館)らが実力者相手にも勝ち切り、団体戦スコア4-1で中大に快勝する。続く明大戦では、上村慶也(スポ1=福岡・希望が丘)が明大のエース・丹羽孝希を見事に抑えるが、後が続かず惜敗。今季通算2敗を喫した早大は、秋季リーグ戦優勝の可能性が消えた。
エース大島が最後に試合を締めた
それぞれが実力通りの快勝を収めた。第1試合の初戦を任された上村は、第2ゲームから徐々に相手のサーブに対応すると、幸先の良いスタートを切る。2番手の山本勝は実力のある選手に対し「同年代の選手なので負けたくない」と意気込み、強い気持ちをドライブに込め相手を抑え込んだ。1年半ぶりのリーグ戦出場となる3番手・坂口紳悟(社3=東京・早実)は惜しくも敗れるが、ダブルスは息の合ったラリーで圧倒。続けて出陣したエース大島祐哉(スポ3=京都・東山)は相手が繰り出すピッチの速い攻撃にも競り勝ち、ストレートで中大との勝負を決した。午後の明大戦へ、優勝の望みをつなぐ。
上村が世界の丹羽を相手に、大金星を挙げた。第2試合はここまで無敗を守り、通算40回目の優勝へ向け疾走を続ける明大。積極的な攻撃で健闘しながらも敗れた1番手・藤原康明(社3=埼玉・狭山ケ丘)に続く2番手は、きょう好調の上村。「失うものは何もない」(上村)と、格上の丹羽との対戦にも臆する様子はなかった。世界レベルで戦う丹羽の緩急を付けたラリー技術にも互角に対応し、持ち前のパワードライブが炸裂。2ゲームを奪い迎えた第4ゲームを10−7と追い詰めると、息をのむロングラリーの末にネットに阻まれたのは、丹羽が打ち返したボールだった。この勝利がベンチを大いに盛り上げたが、思わぬ失速が待ち受けていた。勝負を決めるはずの大島はフォアドライブが浮き、精神的にも立て直せないまま敗れるなどまさかの3連敗。またしても、打倒・明大はかなわなかった。
丹羽との対戦でポイントを取りガッツポーズする上村
明大との敗戦で秋季リーグ戦優勝の可能性は消滅したが、上村の勝利など大きな収穫があった第4日目。あすで連日の秋季リーグ戦も最終日を迎える。「2点絶対に取れるように」(大島)、「勝って2位を死守したい」(山本勝)との言葉通り、最後までうつむくわけにはいかない。4年生を含むこのチームの集大成を勝利で飾るため、強豪・専大を迎え撃つ。
(記事 村上夕季、写真 谷口武、加藤万理子)
結果
対中大 ○4―1
○上村3―1大野泰士
○山本勝3―1徳永大輝
●坂口1―3定松祐輔
○大島・上村組3―0鈴木将幸・大坂亮輔組
○大島3―0大坂
対明大 ●2―4
●藤原1―3松下海輝
○上村3―1丹羽孝希
○山本勝3―1岡田峻
●大島・上村組1―3平野友樹・有延大夢組
●大島1―3町飛鳥
●竹岡0―3平野
コメント
大島祐哉(スポ3=京都・東山)
――きょうの試合を振り返って
明大に勝てるチャンスを自分で2点落としてつぶしてしまったので、すごくみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――午前中の中大戦はシングルス、ダブルス共に快勝でしたが手応えはいかがでしたか
勝ってはいたんですけど自分としてはあまりいい状態ではないかなと思っていたので、そこが明大戦では響きましたね。
――明大戦の前にはチームでどのような話をされて試合に臨まれたのでしょうか
僕のところで最後町(飛鳥)君と勝負して4-1で勝ちに行こうというオーダーだったので、そのシナリオ通りで2-1でリードしてきてくれて僕のダブルスで負けてしまって、シングルスも負けてしまったというところが痛かったですね。
――明大戦では大島さんの前にチームで2勝を挙げていましたが、その際のベンチの雰囲気はいかがでしたか
すごいいい雰囲気で、とても僕の背中を押してくれていたんですけど。後半に勝つというプレッシャーを正直あまり味わってなかったので自分の経験不足であったり、弱さであったりというようなところが出た試合でした。
――チームメイトのプレーはどのようにご覧になられましたか
上村君が丹羽(孝希)君に勝ったり、(山本)勝也(スポ3=石川・遊学館)が岡田(峻)さんに勝ったりとてもいいプレーが出来ていたと思います。
――シングルス、ダブルス共に1ゲーム目を取りながら逆転を許しましたが、相手やご自身に何か変化などはありましたか
ダブルスはやっぱり1ゲーム目大きかったのですけど、その後相手も思い切ってきたりこっちの戦術が読まれて、戦術の変更がうまく出来なかったというところが敗因ですね。シングルスは町選手にはこれまで負けたことがなかったので、1ゲーム目を取って相手もいつもと違うなというプレーはしていたんですけど、相手がさらに変えてきたのに対して僕が対応できなかったというところが大きかったかなと思います。
――シングルスの町選手、ダブルスの平野(友樹)、有延(大夢)両選手とは春のリーグ戦でも対戦していますが相手の変化や成長は感じられましたか
僕も伸びていますがあっちもやっぱり伸びているというところは感じたんですけど、僕が精神的にいっぱいいっぱいだったというのが1番大きい敗因なので、技術的にどうこうというよりはまだまだ練習が足りなかったり、自分の精神状態をどうコントロールするかというところがこれからの課題になるのではないかと思いました。
――秋リーグもあしたが最終日ですが、あしたに向けて
勝たないことには2位は死守できないので、きょうのことはなるべく早く忘れてあしたに備えてあしたは2点絶対に取れるように、チームに貢献できるようにしたいと思います。
坂口紳悟(社3=東京・早実)
――今季リーグ戦初めての試合でしたが、試合前の意気込みは
1年半ぶりにオーダーに名前が書かれて、緊張はしてたんですけど他のチームメイトが心強いので思い切ってやろうと思いました。
――ご自身の試合を振り返っていかがですか
格上の相手に自分のプレーは出し切れていたという感じはします。ただ、相手の方が戦術とかそういう作戦面で上な部分が多かったのでその点で反省するべきところはたくさんあったと思います。
――2ゲーム目を大差で失った後、3ゲーム目を奪い返しましたが転機はありましたか
サーブを切り替えて、作戦を変えていったらうまくいったので、それで3ゲーム目は取ることができました。
――きょうのチーム全体の結果については
結果としては、やっぱり優勝ができなかったので残念だと思うんですけど、でもチームの雰囲気としては良かったので、あした専大戦でも勝って二位を取りたいと思います。
藤原康明(社3=埼玉・狭山ヶ丘)
――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか
出だしは良かったのですが、2ゲーム目に少し問題があったかなというか9-9のときにもう少し冷静にプレーできれば良かったと思います。
――明大戦ではトップでの起用となりましたが
とりあえず盛り上げていこうという感じで、1番だからというわけではないですが声を出していこうという感じでした。
――3ゲーム、4ゲーム目は大きく点差が離れましたが
得点パターンを徹底していなくて、いろんなことをしようとしてミスしたりとか多かったのでそこのところをちゃんとやればよかったと思います。
――きょう見つかった課題はありますか
サーブのバリエーションというか、大事なところでどういうサーブを出すかを考えるべきだと思いました。
――チーム全体の結果についてはいかがですか
負けてしまったので悔しいです。
――あしたへの意気込みをお願いします
もう一度気持ちを整理して頑張っていきたいと思います。
山本勝也(スポ3=石川・遊学館)
――きょうの2試合を振り返って
中大戦で負けてしまっていたら優勝はなくなっていたのでその中大戦をみんなでの乗り越えられたのは良かったです。でもメイジには負けてしまって、優勝はなくなってしまいました。でも個人個人は良い戦いができていたので全体的にそんなに悪かったという印象はないです。
――中大戦ではきょうも攻めの姿勢が印象的でした
相手の選手はすごく強い選手で、同年代の選手なので負けたくないという気持ちがすごく強くて、それが攻めにつながったと思います。
――メイジとの試合を前にチームで話したことは
前半で頑張って取って、ダブルスを取って、最後に大島(祐哉、スポ3=京都・東山)で締めるというふうにみんなで話していました。その良い展開で回ったんですけど、ダブルスで相手が開き直ってすごく良いプレーを何本も何本もしていたのでそこで差が開いてしまったかなという印象です。
――ご自身のシングルスの直前には上村慶哉選手(スポ1=福岡・希望が丘)が丹羽孝希選手を破りましたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか
上村が勝ったことによって少し自分の気持ちも楽になって相手がすごく動揺しているというのが分かったので自分は落ち着いて試合に入ることができました。
――序盤は競った場面も多かったですが、粘って勝つことができた要因は何でしょうか
相手がサーブのうまい選手だったのでそこの部分でなかなか合わずに返すことができなかったんですけど、後半勝負になれば自分の方がサーブを取れるようになるので有利だと思って頑張りました。
――結果としてチームはメイジに敗れました。チームとしての課題は何でしょうか
メイジの選手は6人全員が強いんですけど、僕たちワセダは6人全員が強いかというとそうではない部分があるので、やはり6番手までの強化が必要だと思います。
――最終戦への意気込みをお願いします
あした勝てば2位なので、専大に絶対勝って2位を死守したいと思います。
上村慶也(スポ1=福岡・希望が丘)
――きょうの試合を振り返って
中大戦は1番手で出させてもらって、僕の役割としてはチームに勢いをもたらすプレーをすることだったので、思い切って向かっていったところ勝つことができました。明大戦も前半で使ってもらって、相手は丹羽さん(孝希、明大)ということで、僕は失うものは何もないという気持ちで向かいました。コーチの時吉さん(佑一、平19スポ卒=京都・東山)からもひたすら打ちまくって、それで負けても仕方ないと言われたので、その通りにしたら自分でも意外なほどうまく(ボールが)入ってくれて勝つことができました。ダブルスについてはこちらのプレーも悪くはなかったのですが、相手からも良いボールが来ていて。でも最後に勝ち切れなかったのは悔しいです。
――中大戦は第2ゲームのジュースを制した後から勢いに乗ったように思えましたが、切り替えた部分があったのでしょうか
とてもサーブが上手い選手だったので、第1ゲームは対応することができなくて落としてしまいました。2ゲーム目から徐々に対応できるようになっていって、3・4ゲーム目は慣れて、自分の思い通りに打てるようになりました。
――第2試合について、明大の丹羽さんと対戦するのは初めてですか
いえ、高校2年生のときに対戦したことがありますね。そのときはもう、完敗していたので、それもあってきょうは思い切っていけました。
――改めて戦ってみてどういった選手でしたか
やはり世界選手権にも出ているような選手なので、そんなにこの試合にモチベーションが高くはなかったなとは思うのですが、1人の丹羽さんという選手に勝てたことは、思い出になりました(笑)。自信にもなりました。
――具体的に勝因は何だったと考えますか
バックハンドを前で振れて、良いボールが入ったことと、レシーブが思い切って打ち切れたこと。結構全ての面で良かったと思います。普段は入らないようなボールも入りましたね。
――ダブルスについて、1試合目はストレート勝ち、2試合目は1−3という結果でしたが、この2試合にはそれぞれどのような変化がありましたか
1試合目の相手はそんなに積極的に打ってくる相手ではなくて、上手くかわしていくタイプで、僕はそういうタイプの相手は結構得意なので。2試合目の相手はがんがん打ってくるタイプでした。10―10になったときに、レシーブやサーブの質が落ちたりミスが出たりしてしまい、相手の方が上回っていたことが敗因だと思います。
――あすの専大戦ではどのような戦いをしたいですか
もう優勝はなくなってしまったのですが、4年生のために、最後勝って笑って終わりたいなと思います。頑張ります。
竹岡純樹(スポ1=青森山田)
――プレッシャーのかかる場面での試合だったと思いますが、試合前はどのような心境でしたか
緊張していました。
――立ち上がりに苦しみましたが、いかがでしたか
自分が思い切らなくてはいけない場面でしたが、相手に追い込まれて強いボールにやられました。最初は自分のプレーができませんでした。
――第2ゲームはいかがでしたか
サーブに苦しむことが多くて、相手サーブの時にもっと自分から攻めることができていたら、勝てていたと思います。
――第3ゲームは追い上げるもあと一歩及びませんでした
力不足でした。
――あすに向けて一言お願いします
2位になって代々木体育館で明大と戦いたいので、しっかり頑張って勝ちたいと思います。