関東大学対抗戦最終戦の早明戦を終え、チームが大学選手権(選手権)に向けて走り出した最中、早大Cは慶大Cとの試合に挑んだ。この試合は、今季副務を務めるLO小野史裕(スポ3=東京・本郷)にとって、選手として臨む最後の試合。ゲームキャプテンを務めたCTB中谷波一土(人3=東京・本郷)が「今日は小野の最後の試合だったので、辛い時は小野を見るようにしてましたし、小野のためにという意識が強かった」と話したように、仲間も特別な想いを胸に秘めて臨んだ。試合は慶大Cの先制トライから始まり、その後早大Cが1トライを奪い返したものの、さらに追加点を奪われ、リードを許したまま後半に突入する。しかしハーフタイムが明けると、入りから果敢に攻めた早大Cがあっという間に逆転し、そのまま逃げ切り勝利を収めた。
慶大Cのキックオフで試合は開始。早大Cは序盤からセットプレーでのミスや、相手の鋭いタックルに押されて攻撃をつなぐことができず、得点までなかなかたどり着けない。一方の慶大Cは早大Cのミスを逃さず、先制トライを奪って勢いに乗る。早大Cの最初の得点は前半19分、敵陣22メートルライン付近でのラインアウトからだった。右サイドでのラインアウトから中央までパスを展開し、NO・8粟飯原謙(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が突破する。そこから左右につないでLO米倉翔(スポ1=福岡・修猷館)がビックゲインで再び前に出ると、慶大Cのペナルティーを誘って素早くリスタートし、最後はCTB仲山倫平(法2=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)がゴールポスト左へ飛び込んだ。7ー7の同点に追いつくことができた早大Cだったが、26分に自陣での慶大Cのハイパントキックを処理することができず、またもトライを許してしまう。リードを奪われたまま、7ー14で前半を終えた。
突破を図るLO小野
後半に入ると、攻勢は一気に逆転。WTB杉野駿太(政経3=東京・早大学院)のビッグゲインから慶大ディフェンスを崩しにかかると、後半3分の早大Cの先制トライまで速いパスワークでミスなく攻撃を続け、敵陣深くまで攻め入る。そのまま順調にフェーズを重ねた早大Cは、FL粟飯原がゲインを見せてLO鈴木大和(国教1=東京・早実)へパス、そしてキャリーしたLO鈴木からもう一度パスを受けたNO・8粟飯原が、自らトライラインを割った。このトライで再び同点に追いついた早大は、勢いに乗って直後の5分にも追加点を挙げる。自陣10メートルライン手前からPR勝矢絋史(スポ2=長崎北陽台)が運び、そのボールをFL粟飯原が前に持ち出し、最後はパスを受けたCTB仲山が走り込み、インゴールまで見事につないだ。後半開始早々で逆転に成功した早大Cは、この後も積極的に攻撃を仕掛けて9分にWTB杉野が左ライン際にトライ。30分には敵陣に入ったところでCTB池本晴人(社1=東京・早実)がビッグゲインを見せ、抜け出したWTB小澤ジョージィ(スポ2=千葉・流経大柏)が右ライン際を駆け抜け、インゴールまで力強いランを見せた。
後半の先制トライを挙げたNO・8粟飯原
前半は慶大Cのタックルにはばまれ、思うような攻撃を展開できなかった早大C。しかし後半に先制トライを奪ってからは、それぞれの持ち味を生かしたテンポの良い攻撃で流れをつかむことができた。さらにこの試合がラストとなったLO小野は「これまで選手として活動できていたことは、チームのみんな、特に僕の穴を埋めてくれていた学生スタッフの支えがあってこそ」と振り返り、仲間への感謝を語った。これからはまた違った視点からチームを支える副務・小野。来週に迫った選手権に向け、選手だけでなくスタッフを含めた部員全員が自らの役割を全うし、『荒ぶる』のために一つになる。
(記事 濵嶋彩加、 写真 西川龍佑)
コメント
CTB中谷波一土ゲームキャプテン(人3=東京・本郷)
――今日はどのようなテーマで試合に臨みましたか
二人目の速さと強さにフォーカスして臨みました。
――ゲームキャプテンとして何を意識していましたか
今日は小野の最後の試合だったので、辛い時は小野を見るようにしてましたし、小野のためにという意識が強かったです。
――試合を振り返ってみていかがですか
慶応さんのディフェンスが固くて、厳しい時間が続いたのですが、円陣で80分間の中で辛い時間は必ずあるから、そこは我慢しようと声をかけていたので、そこを耐えることができた点が接戦をものにできた要因かなと思います。
――後半に向けてハーフタイムにどんな声掛けがありましたか
慶応さんのディフェンスが前に出てくる中で、バックスが浅いラインで単調な動きをしてしまっていたので、ラインを深く敷いてボールを外に回すということを話し合いました。
――今後に向けての意気込みをお願いします
まだシーズンは終わっていないので、3年生以下は4年生のために頑張ることが来年につながると思うので、走り切りたいと思います。
LO小野史裕(スポ3=東京・本郷)
――選手としての最後の試合、どのような思いで臨みましたか
本来であれば、自分が副務になった時点で選手は引退するはずでした。しかし、自分がラグビー部に入るきっかけになった11月23日の早慶戦にどうしても出たいという思いで日々の練習に臨んできたので、その試合までは選手としてやらせていただくということになってました。結果的には選手として赤黒を着ることは叶わず、選手を引退しようと思っていたのですが、監督から12月9日の慶応との試合まで続けてみてはどうかと言っていただいたので、最後の試合として特別な思いを持って臨みました
――今日の試合のチームの印象はどうですか
早稲田も慶応も気持ちが入っていて、お互いの気持ちがぶつかりあったハードなゲームになったのですが、仲間たちがしっかりとハードワークしてくれたおかげで勝利できたので良かったなと思います
――今日の試合で得た手応えなどはありますか
相手が前に出てきても、しっかり自分たちもコンタクトの場面で負けずに戦えました。ミスの多さが課題とはなりますが、コリジョンでは良い所がたくさんあったので、ミスを減らしていければいいと思います
――これまでとは別の形でチームに関わっていくことになりますが、チームへの思いや意気込みをお願いします
今日の試合に出られたこと、そしてこれまで選手として活動できていたことは、チームのみんな、特に僕の穴を埋めてくれていた学生スタッフの支えがあったからこそだと思っています。今後は選手を支える立場として精一杯戦っていきたいです
NO・8粟飯原謙(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――今日の試合はどのようなことをテーマに挑みましたか
今日はとにかく目の前の相手に勝つということをイメージして、80分間戦おうと思っていました。
――アタックで何度も突破するシーンが見られましたが手応えはいかがでしたか
とにかく一人一人が良いボールキャリーをしてくれて、そのボールを自分が受け取るという形でゲインできたので、チームメイトそれぞれのゲインする力が光ったゲームだったかなと思います。
――セットプレーの感触はいかがでしたか
明日の4年早明戦がある中で、メンバーが抜けたところがあり、そこが修正しきれず慶応さんにユニットで飲み込まれてしまったと思います。
――シーズン終盤に差し掛かっていますが、最後に今後の意気込みをお願いします
多彩なプレーヤーがいる中で自分の強みがどこなのかというところを色々模索できたらなと思います。
FL田中勇成(教2=東京・早実)
――今日の試合はどのようなことをテーマに挑みましたか
リハビリ期間に今日の試合が決まってから、この試合をターゲットにやってきて、自分の強みを出せば、赤黒に食い込むことができると思っていたので、自分の強みを出すことを意識していました。
――今日の試合が復帰戦になりましたがいかがでしたか
シーズン中の3ヶ月間のリハビリだったので、復帰からチームにどう還元していくかということを考えていて、そういう部分ではいいところはあったのかなと思います。
――アタックとディフェンスについてそれぞれいかがでしたか
タックルの部分では自分でもよかったと思いますが、アタックではミスもありましたし、オプションが使えるところで前が見えてない時もあったので、そこを課題として次に生かしていきたいと思います。
――今日のチームのよかったところはどこだと感じていますか
前半食い込まれる部分があったのですが、後半修正することができて、コリジョンの部分は勝っていたので、そこにどう繋げるかを考えて後半に臨んで、試合中に改善できたところがよかった点かなと思います。
――個人的にセットプレーに関して手応えはいかがでしたか
スクラムは後半に食い込まれるところが課題だと感じました。ラインアウトではモールディフェンスでトライを取られなかったところが成長だなと感じました。
――シーズン終盤に差し掛かっていますが、最後に今後の意気込みをお願いします
一回一回の練習で全力で準備して、全力で自分の強みをぶつけて、選手権に自分が出るんだという強い気持ちを持って取り組みたいと思います。
冬季オープン戦 | ||||
---|---|---|---|---|
早大C | スコア | 慶大C | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
1 | 4 | T | 2 | 2 |
1 | 3 | G | 2 | 1 |
0 | 0 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
7 | 26 | 計 | 14 | 12 |
33 | 合計 | 26 | ||
【得点】▽トライ 仲山(2T)、粟飯原、杉野、小澤 ▽ゴール 大賀(4G) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 勝矢 紘史 | スポ2 | 長崎北陽台 |
2 | 真田 稜大 | 教2 | 東京・早実 |
3 | 下村 勇貴 | 文3 | 東京・早実 |
4 | 小野 史裕 | スポ3 | 東京・本郷 |
5 | 米倉 翔 | スポ1 | 福岡・修猷館 |
6 | 折戸 健介 | 法3 | 東京・早実 |
7 | 田中 勇成 | 教2 | 東京・早実 |
8 | 粟飯原 謙 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
9 | 堀越 敬太 | 法1 | 埼玉・城西大川越 |
10 | 大賀 雅仁 | スポ1 | 神奈川・桐蔭学園 |
11 | 三浦 哲 | 文構3 | 東京・早実 |
12 | 中谷 波一土 | 人3 | 東京・本郷 |
13 | 仲山 倫平 | 法2 | ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ |
14 | 溝井 颯太朗 | スポ3 | 北海道・函館ラサール |
15 | 髙栁 壮史 | 創理2 | 東京・早大学院 |
リザーブ | |||
16 | 佐々木 柊 | スポ3 | 東京・本郷 |
17 | 竹内 晴 | 文構1 | 東京・早実 |
18 | 蜂谷 謙介 | 基理2 | 東京・早大学院 |
19 | 小松 輝也 | スポ1 | 大阪・常翔啓光学園 |
20 | 鈴木 大和 | 国教1 | 東京・早実 |
21 | 深堀 雅聡 | スポ3 | 福岡・東筑 |
22 | 野島 信太郎 | 教1 | 東海大大阪仰星 |
23 | 原田 恒耀 | スポ1 | 福岡・修猷館 |
24 | 平塚 英一朗 | 法1 | 東京・早実 |
25 | 北田 琢麿 | スポ2 | 埼玉・川越東 |
26 | 池本 晴人 | 社1 | 東京・早実 |
27 | 丸橋 怜央 | 商1 | 埼玉・早大本庄 |
28 | 杉野 駿太 | 政経3 | 東京・早大学院 |
29 | 小澤 ジョージィ | スポ2 | 千葉・流経大柏 |
30 | 山下 一吹 | 教2 | 東京・早実 |