個々の成長が感じられる試合に 帝京大Cとの接戦を制す

ラグビー男子

 早大・上井草グラウンドにて、早大Cと帝京大Cの試合が行われた。夏合宿での対戦時は、前半にミスから大量失点を許してしまった早大Cだが、本試合では、夏からの成長を見せることができるか、期待の高まる一戦となった。前半は、序盤に2トライを献上したが、展開プレーやモールで確実に得点へ結び付け、同点の17ー17で折り返した。後半、帝京大Cのフィジカルと展開に翻弄され、一時リードを許すものの、ゲインラインを切るプレーでトライを量産し、最終スコア48ー41で見事勝利を収めた。

 試合の入りは帝京大Cに主導権を握られる。帝京大Cの得意とするフィジカルと相手のミスを逃さない決定力に圧倒され、2トライを奪われてしまう。しかし、前半11分にキックカウンターを仕掛けたFB高栁壮史(創理2=東京・早大学院)がビックゲイン。アンストラクチャーの状態で、素早く右へ展開し、ラックに相手を密集させる。大外に数的有利をつくった早大Cは、着実にパスを回して最後はFL西浦剛臣(社3=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)がインゴールへ飛び込んだ。このトライを皮切りに、早大はモールやオフロードパスでチャンスをつくるなど、BKとFWがともに貢献して、2トライを獲得。17ー12でリードするが、ペナルティーから自陣深くまで入り込まれた早大は、帝京大Cの強靭な体躯を生かしたモールを止めきれず、後半30分に失点。その後は、攻守拮抗(きっこう)した状態で試合が進み、17ー17で前半を折り返した。

力強いキャリーで何度も好機を生み出していたCTB中谷

 同点のまま迎えた後半。開始3分に、スクラムのペナルティーからチャンスを与え、帝京大Cにモールで押し込まれ、得点を奪われる。しかし、その直後、高柳がディフェンスラインを突破し、相手を寄せつけないステップでインゴールへ走り込み、すぐにスコアを取り返す。このまま勢いに乗りたい早大Cだが、大外のディフェンスの隙を突かれ、連続2トライを献上。9分の時点で、22ー36と大きくリードされてしまう。追い上げを図りたい早大Cは、BKとFWが一体のアタックでゲインを重ね、15分、20分にトライを獲得し、同点に追いつく。続く25分、ハーフライン付近でディフェンスラインのギャップを突いたCTB京山秀勇(人4=福岡・東筑)から、最後はWTB杉野駿太(政経3=東京・早大学院)が相手をかわし、インゴールへ飛び込んだ。逆転に成功すると、その後も敵陣深くのラインアウトからFWが気迫のモールで押し込み、HO真田稜大(教2=東京・早実)がトライ。集中力を切らさず、全員で身体を張り続けた結果、早大Cは、帝京大Cに48ー41で劇的勝利を収めた。

相手を振り切りインゴールまで走り切ったWTB杉野

 「夏合宿を経て大きく成長できたと思います」とLO松下慶伍ゲームキャプテン(教4=東京・早実)が語るように、本試合は、早大Cの選手の成長が大きく顕現したものとなった。上のカテゴリーの選手たちにとっても刺激的な試合になったことに違いない。選手層の厚い帝京大に対して、フィジカルでも引け目をとらず、ゲインラインをきることができたのは、大きな収穫であろう。一方で、試合の入りや「外側のDFの連携がうまくいかなかった」(高柳)と、改善しなければならない部分が明確になった。修正を重ねて成長し、チームに勢いをもたらす早大Cの躍動に期待したい。

(記事 長野恵治、写真 西川龍佑)

コメント

LO松下慶伍(教4=東京・早実)ゲームキャプテン

――まず、今日の試合のテーマを教えてください

 今回は特に具体的なワードを決めたのではなく、日頃から取り組んでいることを80分間やり続けようと声を掛け合いました。

――今試合のチームとしての課題と収穫をお願いします

 課題としては試合の入りに2連続で相手に得点を許してしまったことだと思います。『WASEDA FIRST』というスローガンを体現するためにも今後修正していきたいです。 収穫としては試合の中で相手のペースになりそうな時もチーム内で修正点を指摘し合いながら改善できたことです。春までは相手にペースを握られるとそのまま相手ペースで試合が終わってしまうことが多かったですが、夏合宿を経て大きく成長できたと思います。

――キャプテンとして、ご自身のプレーを振り返って

 キャプテンとしては常にチームを鼓舞することを意識しました。結果的に相手ペースになっても落ちることなく戦えたので良かったと思います。

――点差を付けられた要因とその改善策はなにかありましたか

 細かなミスやコミュニケーションミスを続けてしまい、相手に簡単に得点を許してしまったのが要因だと思います。改善策としては練習の中からチーム内でミスに厳しくお互いに指摘し合いながら、ミスを減らしていきたいと思います。

――逆転したと気の心境をお聞かせください

 とにかく責める姿勢を継続して、たたみ掛けようと声をかけました。

――今後の意気込みをお願いします

 一試合一試合を大切にしながら、勝利に貪欲に取り組んでいきたいと思います。

FL西浦剛臣(社3=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)

――ご自身とチームのプレーを振り返っていかがでしたか

 接点の部分で勝つことを意識して、今日の試合に臨みました。チームとしてはコンタクトの場面で前に出れることが多かったですが、個人としてはディフェンスの際に受けてしまったシーンが多かったので、次に向けて修正しなければいけないと思いました。

――モールを押し切ってのトライシーンについて振り返っていかがでしたか

 今年は特にモールなどのセットプレーで勝てるよう練習してきたので、トライを取りきれたのはとても嬉しく思います。しかし、トライを取りきれなかったモールも多かったので、全てのモールでトライを取れるよう頑張っていきたいと思います。

――夏合宿の自分と比較していかがですか

 自分に少し余裕ができたと思います。まだまだ十分なレベルではありませんが、セットプレーの質も上がってきてるので、もっと成長できるように練習していきます。

――同点に追いつくなど、接戦でしたが、本試合の良かった点を教えてください

 今日は特にチームの雰囲気が良かったと思います。誰一人、集中を切らさず、一体感を持ってプレーできたと思います。特に、折戸(LO折戸健介、法3=東京・早実)がプレーや声で盛り上げてくれて、チームがより一層まとまった気がします。

――今後の意気込みをお願いします

 今日は応援ありがとうございました。いち早くAチームで試合に出れるよう日々の練習を大切にしていきたいと思います。次の試合も応援よろしくお願いいたします。

FB高栁壮史(創理2=東京・早大学院)

――ゲインするシーンが多く見られましたが、コンタクトの場面で意識していたことはありますか

 今日の試合では、ゲインラインをきることを意識してプレーしました。その結果、コンタクトの場面での強気な姿勢につながったと思います。

――BKの課題と収穫を教えてください

 個々が一対一の勝負で勝ち、それをオフロード等につなげることができました。一方で、外側のディフェンスの連携が上手くいかず、ラインブレイクされてしまう場面があったので、そこは修正する必要があると思います。

――後半に逆転できた要因はどのように考えていますか

  ゲインラインを意識したプレーと全員が体を張り続けたことが引き寄せた勝利だと思います。

――現時点の夏合宿 の収穫を教えてください

  この合宿中ハードな練習を行ってきているので試合の最後までしっかりと走って勝負できるということを実感しました。

――今後に向けて意気込みをお願いします

  今回の結果に甘んじることなく、次の試合に向けて日々精進していきます。

 

ジュニア秋季オープン戦
早大C スコア 帝京大C
前半 後半 得点 前半 後半
17 31 17 24
48 合計 41
【得点】▽トライ 西浦(1T)、真田(2T)、杉野(3T)、高柳(1T)、中谷(1T)▽ゴール 京山(4G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
杉本 安伊朗 スポ1 東京・国学院久我山
真田 稜大 教2 東京・早実
新井 瑛大 教1 大阪桐蔭
折戸 健介 法3 東京・早実
◎松下 慶伍 教4 東京・早実
西浦 剛臣 社3 ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール
野島 信太郎 教1 東海大大阪仰星
山本 竜大 教2 東京・早実
井上 泰志 スポ3 福岡・東筑
10 糸瀬 真周 スポ2 福岡・修猷館
11 杉野 駿太 政経3 東京・早大学院
12 京山 秀勇 人4 福岡・東筑
13 中谷 波一土 人3 東京・本郷
14 溝井 颯太朗 スポ3 北海道・函館ラサール
15 高栁 壮史 創理2 東京・早大学院
リザーブ
16 佐々木 柊 スポ3 東京・本郷
17 下間 元貴 スポ4 秋田
18 下村 勇貴 文3 東京・早実
19 岡村 圭悟 スポ3 東京・本郷
20 山田 凜太 法1 茨城・茗渓学園
21 清水 翔大 文3 東京・早実
22 大賀 雅仁 スポ1 神奈川・桐蔭学園
23 黒川 和音 人2 茨城・茗渓学園
24 仲山 倫平 法2 ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ

※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)