チームの応援を力に CONSOLATIONトーナメント準優勝

ラグビー男子

 まだ少し肌寒さが残る東京・秩父宮ラグビー場。早大ラグビー蹴球部にとっては春シーズンの幕開けとなる、東日本大学セブンズ大会が行われた。初戦の流通経大戦は、前半から両者譲らずシーソーゲームに。惜しくも1トライ差で敗れた早大は、CONSOLATIONトーナメントに進んだ。このトーナメント1回戦は立大と対戦し、快勝。続く準決勝は慶大とあたり、駆け付けた仲間の応援を励みに、無事に決勝進出を決めた。迎えた法大との決勝戦では、相手の攻撃について行くことができず、後半一気に突き放されてしまった。トーナメント優勝を逃し、準優勝で大会を終えた。

 

流通経大戦で相手をかわしトライを狙う粟飯原謙(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

 初戦の相手は流通経大。開始早々、前半2分に最初のトライを奪われてしまう。しかし、早大も細矢聖樹(スポ3=國學院栃木)と西浦剛臣(社3=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)らが素早いパスワークでゲインしていく。右に展開し、最後は粟飯原が相手を振り切ってインゴールへ。早速、逆転に成功した。さらに後半4分、相手のディフェンスに絡まれながら、なんとか敵陣22メートルライン付近までパスをつなぐと、金子礼人(法2=福岡・西南学院)がディフェンスのギャップを突きトライを挙げた。しかし、直後の攻撃で流通経大が自陣に入ってくると、早大のディフェンスラインは乱れ、軽々とトライを決められてしまう。最終的にこれが決勝点となり、21-24の3点差で敗北。この結果、1回戦敗者同士が戦うCONSOLATIONトーナメントに進むことが決まった。

立大戦でトライを決める西浦

 CONSOLATION1回戦は立大戦。先制点こそ奪われてしまったものの、その後は早大が連続でトライに成功した。最初のトライは相手のペナルティーから。西浦が素早くリスタートして右に展開すると、粟飯原がゴールライン付近まで運び、再び中央にボールを戻す。最後に細矢へボールが渡るとそのままインゴールへ飛び込んだ。2つ目は後半に入った直後。グラウンドを左右に大きく使い、中央付近で粟飯原がディフェンスを引き寄せる。ボールは左に展開し、最後は溝井颯太朗(スポ3=北海道・函館ラサール)のトライで得点。その後も岡本大輝(スポ4=東京・本郷)と西浦がトライを決め、大差で勝利を収めた。

 続く準決勝は慶大と対戦。この試合から早大ラグビー蹴球部のメンバーも応援に駆けつけ、早慶戦を見守った。キックオフ後、すぐに木村晴(スポ4=北海道・函館ラサール)が先制点を挙げ、早大は幸先の良いスタートを切る。その後、前半5分にも細矢がディフェンスを上手く切り抜けると、最後に金子がパスを受け取りグラウンディング。続いて後半、慶大のペナルティーで三浦哲(文構3=東京・早実)が素早くリスタートすると、細矢が一気にゲインし、大外にパスを出す。それを受けた西浦がオフロードパスで上手く金子につなぎ追加点を挙げた。試合終盤に三浦もトライを決め、最終スコア24-10で順当に決勝へ駒を進めた。

慶大戦、軽快なステップをみせる細矢

 今大会4試合目となる決勝は法大と戦った。相手のキックオフで試合はスタートし、早々から早大はゴールライン付近まで攻め入る。果敢に仕掛けるが、あと一歩のところでノックオン。なかなかチャンスをつかむことができない。さらに前半2分には相手にタッチライン際を攻められ、先制トライを許してしまった。しかし、前半4分、金子が中央を大きく突破していくと、フェーズを重ね、敵陣深くに入った。ブレイクダウンから糸瀬真周(スポ2=福岡・修猷館)が飛び出し、ようやくトライに成功。前半を7-14で終えた早大は、後半すぐに追いつきたいところだったが、開始直後から点差を離される。「後半はみんな足が止まってしまって、ディフェンスが崩れた」(細矢)と、相手の攻撃にディフェンスが追いつかず、ペースが乱れてしまう。立て直すことができないまま時間は過ぎ、ついにノーサイドを迎えた。決勝の最終スコアは7-33。惜しくも昨年同様、トーナメント優勝には届かなかった。

 ゲームキャプテンを務めた岡本は今回の大会について「試合を重ねるうちにチーム内でまとまりが生まれ、やるべきことがすごく明確になった試合だったので、各自成長できた部分はあった」と振り返る。優勝とはならなかったが、試合後には応援に来ていた選手たちからも大きな拍手が送られた。チーム一丸となって挑む春シーズン、おのおのが見つけたチームの課題を修正し、次の勝利へとつなげられるか。まずは次の15人制第一試合に期待だ。

(記事 濵嶋彩加、写真 川上璃々)

 

結果

1回戦

●早大21-24流通経大〇

CONSOLATION 1回戦

〇早大22-5立大●

CONSOLATION 準決勝

〇早大24-10慶大●

CONSOLATION 決勝

●早大7-33法大〇

 

早大登録メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
山本 竜大 教2 東京・早実
粟飯原 謙 スポ2 神奈川・桐蔭学園
西浦 剛臣 社3 ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール
◎岡本 大輝 スポ4 東京・本郷
岡村 圭悟 スポ3 東京・本郷
木村 晴 スポ4 北海道・函館ラサール
糸瀬 真周 スポ2 福岡・修猷館
金子 礼人 法2 福岡・西南学院
細矢 聖樹 スポ3 国学院栃木
10 溝井 颯太朗 スポ3 北海道・函館ラサール
11 仲山 倫平 法2 ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ
12 三浦 哲 文構3 東京・早実
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)
コメント

岡本大輝ゲームキャプテン(スポ4=東京・本郷)

――今日の試合をどのような位置づけと捉えて臨みましたか

 準備期間は少なかったですが、各選手のアピールの場だと思っていました。すごくチャレンジできる環境が整っていたので、そこは良かったのかなと思います。

――今日の試合のテーマはありましたか

 各選手がチャレンジとアピールをするというのが大きなテーマでしたが、新チームになって初めての公式戦だったので、『WASEDA FIRST』をしっかり体現して、一発目から思いっきり行こうと話していました。

――チームのプレーを振り返ってみていかがですか

 初戦はコネクトの部分がバラバラで負けてしまいましたが、だんだん試合を重ねるうちに、チーム内でまとまりが生まれ、やるべきことがすごく明確になった試合だったので、各自成長できた部分はあったと思います。

――途中からメンバー外の選手が応援に駆けつけていましたが、応援の力はどのように感じていましたか

 みんな朝の練習が終わってから来てくれました。準決勝から本当にきつい時だったので、応援が力になったと思います。

――チームの課題は見つかりましたか

 ディフェンスのつながりや、アタックの時にどのようなオプションを選択するか、コミュニケーションの部分などがまだまだ足りていないと思ったので、そこは今後春の大会に向けて修正していきたいと思います。

――最後に15人制の試合に向けて意気込みをお願いします

 去年は大学選手権(全国大学選手権)決勝で負けてしまったので、今年は春の大会から全勝できるように、しっかり頑張っていきたいと思います。

細矢聖樹(スポ3=国学院栃木)
――今季、初試合となりましたが今大会を振り返っていかがですか
 今までセブンズの練習をあまりしてこなかったので、しょうがないと思う部分はありますが、初戦で負けてしまってやはり悔しいという気持ちです。試合を重ねるごとに内容的には良くなりましたが、最後は足が動かなくなってしまったのでそこが課題かなと思います。
――直前の体の調子はいかがでしたか
 直前まで普通の練習にプラスしてセブンズの練習をしていたので、みんなもしんどい部分があったと思いますが、そこはなんとか合わせて挑みました。
――決勝の試合を振り返っていかがでしたか
 前半は良かったと思いますが、最後の試合というのもあって後半はみんな足が止まってしまって、ディフェンスが崩れました。それが勝敗を分けたと思います。
――今後につなげたい収穫点はありましたか
 早稲田のスタンダードという所で15人制と変わらない部分、こぼれ球の反応だったり、最後まで追いかけることだったり、そういう点は今回意識できていたと思うので今後もその意識を生かせていけたらいいなと思います。
――次の15人制の試合に向けて意気込みをお願いします
 今シーズンはWTBとSHをこなすことになると思うので、どっちで出てもいいようにしっかり準備していこうと思います。

粟飯原謙(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――初めて7人制の試合に出場したと思いますが、感覚はいかがでしたか
 7人制の試合に関しては、人数が違うというところで見た目もそうなんですが、ラグビーの内容も変わっています。僕はずっと高校生の頃から15人制だったので、一言でいうと新鮮でした。セブンズにフォワードとして入るというのは機動力が求められるバックローなどが多いので、今回はそういった要因でメンバー入りさせてもらったのかな と思います。自分の弱みである前を見ること、スペースを見ることが極端に足りてないなということを今回の試合で感じることもできたので、良くも悪くもあった試合だったと思います。
――試合直前の体の調子はいかがでしたか
 体の調子はだいぶ良かったです。昨夜は少し緊張で眠れないかなと思いましたが、全然そんなこともなかったです。
――今回、チームの中でどんな役割を担っていましたか
 今日は外から2番目の立ち位置だったので、できるだけボールをもらったら前に出るという役割を担っていました。そういう面でボールを前に出すことはできていたのかなと思います。
――チーム全体で試合を振り返っていかがでしたか
 全体を通して連戦だったので体の調子などは落ちましたが、そんな中でも4年生である岡本大輝(スポ4=東京・本郷)さんと木村晴(スポ4=北海道・函館ラサール)さんが少ない人数の中でチームをまとめ上げてくれました。それに下級生もついていくことができたので、こういう形で早稲田の最終シーズンまで続いていけたらいいと思います。
――次の15人制の試合に向けて意気込みをお願いします
  直近の試合だと5月にあるので、一度セブンズのことはリセットして15人制に向けて集中して取り組んでいきたいと思います。