最終回を飾るのは、高校日本代表として世界に挑んだお二人。WTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)と明大で主将を務めるWTB石田吉平主将(明大)だ。ライバルとして戦ってきたお二人は、今週末に学生最後のマッチアップを迎える。代表での懐かしい思い出話や最後の対戦に向けた意気込みを伺った。
※この取材は12月17日に行われたものです。
関西の石田、関東の槇
――この対談が決定した時の心境を聞かせてください!
槇 他の人の対談ペアを見てみると、同じ学校であったり、一緒にやってきたという感じだったのですが、高校ジャパンでやっていたというだけで対談を開いていただいて僕はうれしかったです(笑)。
石田 瑛人(槇)と一緒ですが、関わりないっちゃないので(笑)。対談決まった時は仲いいっちゃ仲いいので、うれしかったです(笑)。
――互いに他己紹介をしていただけますか
槇 石田吉平です。高校の時とかはFWとかいろいろなポジションをやっていて、大学からはWTBをやっている選手です。特徴的なプレーは、やっぱりステップにあるなと思っていて、彼のステップで早稲田は苦しめられたこともありますし、ステップを切れるだけでなく、体も強いので、そこが彼の強みだと思います。
石田 瑛人は体強くて、足も速くて、ディフェンスもできますね。万能型プレイヤーというか、プレーの特徴はランがすごいので、足腰強いですし、倒れないというところで、明治は何回もトライを取られているので、そこが瑛人の一番の強みかなと思います。
――プレー面以外では何かありますか
槇 吉平(石田)は、高校ジャパンの時もそうだったのですが、全員に対してフレンドリーで、すごく接しやすかったなというのはありますね。
石田 僕は関西で、瑛人は関東なのであまり関わりもなかったですし、高校ジャパンの時も関西と関東で分かれていたのですが、全員からいじられるタイプの人で、一番話しかけやすかった人でした。関西と関東でわかれていても話しかけやすいオーラがあったので、その抜けている感があるなという感じですね。
――第一印象と今の印象はいかがですか
槇 吉平は第一印象通りにフレンドリーなのは変わっていないですね(笑)。
石田 ラグビー以外で遊んだことも一回くらいしかないので、第一印象は身体能力お化けというか、動物みたいな感じでした。僕はもう動物やと思ってたのですが、知的で考えるプレイヤーとして引っ張ってくることもあるので、そこは変わりましたね。
――普段試合とかで会って話したりするのですか
石田 会ったら話しますよ。別に僕が思いっきり胸ぐらつかんだりとかはしないんで(笑)。
一同 (笑)。
槇 吉平は、僕のことを見つけると飛んできます。試合後とかはたまに、どっちが今日の試合は良かったなとか、そういう今日は吉平の勝ちだなとか、今日やられたなという話したりしますね(笑)。
――お互いにキャッチコピーをつけるとするなら何がふさわしいでしょうか
槇 吉平はポケットロケットって言われていて、それはまさにその通りだなと思うけど… 吉平なんかある?(笑)。
石田 『筋肉ゴリラ』で(笑)。
槇 おい(笑)。
石田 それでお願いします。
槇 じゃあ吉平は、『走るゴムまり』で(笑)。
石田 フッ(笑)。
――性格面とかで互いに羨ましいところありますか
槇 吉平は、明治の人のインスタストーリーとか、SNSで楽しそうに踊っている動画とかがたまに出てくるので、いつも楽しそうでいいなと思いますね。
石田 僕はあまり後輩とかにも話しかけづらいオーラがあると言われるので、瑛人は誰とでもフレンドリーにいけるタイプだと思うので、そこは羨ましいなと思います。
槇 フレンドリーというか、なめられてるだけです(笑)。
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――逆にプレー面ではいかがですか
槇 僕はステップが切れないので、吉平みたいなステップ切れればいいなと思ってたまに練習したりするのですが、できないですね(笑)。僕も出来るようになりたいですね。
石田 ディフェンスのところで体張れますし、スピードで躊躇なくいけたりするので、そこは僕にはできないところなので羨ましいです。気持ちの部分とかもあるので、その強い気持ちとかも尊敬しているなという風には感じます。
高校日本代表での思い出
――高校日本代表でのお二人の思い出は何かありますか
槇 最初の2試合は吉平がスタメンで僕がリザーブで出ていたのですが、吉平がケガをして最後の試合は僕がスタメンで出るというかたちになりました。最終戦で使ったジャージーを持って帰れたのですが、僕がその時スタメンだったので、11番のジャージーを持って帰れたことがとてもうれしかったです(笑)。
石田 ケガをしたというか、僕がその前の試合でイエローをもらったのが響いてたのかなと思っていて。(ジャージーを)飾っても番号を見せなきゃいいと思っていました。
槇 (笑)。
石田 なんか一緒に(街を)回らんかったっけ?
槇 回ったね。
石田 一緒にウェールズの街を回って買い物をした記憶があります。
――何を買ったのですか
石田 ウェールズのキーホルダーとかですね。
槇 買ったわ(笑)。
石田 いろんな種類があってみんなでキャッキャッしてましたね(笑)。
――ちなみにまだそのキーホルダーは持っていますか
石田 持ってないです(笑)。 持ってる?
槇 持ってないね(笑)。
――ウェールズで美味しかったものはありますか
槇 ウェールズの料理が基本的に味薄くて、しょうゆとかをかけて食べていましたね。あと中華料理とか食べに行ったよね?
石田 そうだ。一番辛い唐辛子料理が僕に当たったのは覚えていますね。へたを食べてはいけないのに、(へたを)食べて泣いたみたいな感じです。人生で一番辛かったですね(笑)。
石田 あ、でも朝ごはんは美味しかったイメージがあります。朝はジャンキーな味でした。昼、夜は味が薄かったので、ふりかけやソースを使って食べていました。
――高校日本代表の時は誰と同じ部屋だったのですか
石田 僕は帝京大の二村莞司(帝京大)と同じ部屋でした。WTBで分けられていて、もう一人のWTBが外国人だったのですが、その人が瑛人と同じ部屋でしたね。
槇 そうね。僕がスピーカーを家から持参して、部屋で音楽をかけていたのですが、その音楽があってなかったみたいで。スピーカーを奪われて、知らない曲を流されていた記憶があります(笑)。
――高校日本代表で同じだったメンバーで、もう一度同じチームでプレーしてみたい選手はいらっしゃいますか
石田 槇瑛人でお願いします(笑)。
槇 (笑)。僕も吉平と両WTBでやりたいですね。
石田 本当だったら、オールスターの時に一緒にプレーする予定だったのですが、できなくなったので。それを楽しみしていた分、残念だったのでもう一回組みたいなと思います。
槇 オールスターもできなかったですし、高校ジャパンの時も僕が吉平の裏に入る感じで、一緒にやっていないので、組んでみたい気持ちがありますね。
――高校日本代表から何年か経って、お互いから見てプレー面であの時から進化したなと感じる部分はありますか
槇 高校ジャパンの時は、(石田は)どちらかというか声とかより、プレーで引っ張っていくタイプなんだなと思っていました。今の明治を見ていると、吉平が主将としてリーダーシップを取ってやっているところを見るので、そういうところで成長したのだなと感じました。もちろん吉平の強みとしてランやステップ、腰の強さとかもありますが、それだけじゃなくてSHからのボールのもらい方もうまいなと感じているので、そういうところがさらに進化したなと感じています。
石田 高校の時は、瑛人はタテという感じで、当たりに行くプレースタイルだったイメージでした。大学に入ってから、足が速いので外で勝負したり、いろんなところに顔を出したりだとか。僕たち明治も苦しめられているので、大学2年生からずっとトイメンでプレーしているのですが、対決する度にすごみが増しているので、そこは脅威だなと思います。「早稲田の警戒するプレーヤーは」と聞かれた時に、毎回瑛人の名前を挙げるほど、個人的には一番警戒しているプレーヤーです。高校の時から全体的に、ランでもディフェンスでもすごみが増しているところが成長を感じた部分かなと思います。
――それを聞いて槇選手はいかがですか
槇 うれしいですね(笑)。石田吉平くんからそんなことを言ってもらえるとは。
石田 (笑)。
高校日本代表合宿中の時のお二人(本人提供)
――ぶっちゃけると、ライバル意識はありますか
石田 はい!
槇 ほんとかよ(笑)。
石田 してます!
槇 僕もしてます(笑)。
――仲も良いのですね
一同 仲は良いですね(笑)。
石田 僕がラグビー以外で下に見てます(笑)。
槇 おい(笑)。確かに舐められている感じはありますね(笑)。
――普段は石田選手が上下関係だと上なのですね
槇 なんかそんな感じで来てますね。
石田 確実にそうです。
一同 (笑)。
槇 舐めらやすいんだよな俺が(笑)。
一同 (笑)。
――二人で遊びに行ったことはありますか
石田 ないですね。
槇 2人ではないです。一回1年生の時に何人かでご飯に行ったくらいですね。
石田 2人で遊ぶのはちょっときまずいので…。
槇 おい(笑)。そういうこと言うな(笑)。
一同 (笑)。
石田 うそです(笑)。
――二人で行ってみたい場所はありますか
石田 僕はディズニーランドですね。あんまり行ったことがないので、関東住みの瑛人に案内してもらいたいなと思います。
槇 僕はイルミネーションとか行ってみたいですね。
一同 (笑)。
石田 付き合ってるみたいやん。
槇 嘘です(笑)。僕も大阪にあまり行かないので、おいしいご飯とか教えてもらいたいですね。たこ焼き食べたいね。
石田 案内します。
印象に残るトライシーン
――お互いに相手のトライシーンで印象に残っているものはありますか
石田 僕が一番印象に残っているのは、トライじゃないのですが…。2年生の時の早明戦でマッチアップして、僕がディフェンスで瑛人がボールキャリーをしたところです。(瑛人が)強すぎて僕がふっとんでしまったので、それが一番印象に残っていますね。トライで言うと、春の早明戦です。僕たちがリードしていて勝てるかなと思ったところで、(槇に)2トライを奪われて同点にまで迫られたので、そこが一番印象に残っていますね。
槇 今までに吉平が(ディフェンスを)抜けてきて1対1になってトライされる場面が結構あって。2年生の時に吉平がショートサイドを攻めてきて、僕がタックルしにいったら、タックルを外されてトライを奪われたところです。結果的にハイタックルにもなってしまって、そこが一番印象に残っていますね。
石田 あ~覚えてる。
――逆に自分が取ったトライで気持ち良かったなって思ったトライシーン振り返っていただけますか
槇 さっき吉平が言ってくれた春の早明戦のトライだとかは、自分の強みを生かせたトライだったと思うので、それはうれしかったですね。
石田 僕は2年の時の瑛人が言ってくれたプレーです。結果的にトライも取れましたし、ペナルティーも取れたのでそこですかね(笑)。
――石田選手にお伺いします。早稲田が、BKが伝統的に強みだと注目される中で、今季の明治BKはここでは負けないというポイントがあれば教えてください
石田 僕たちも春からフィジカルを鍛え直して強化してきたので、早稲田の横に展開する力、大外で取るというところには劣るかもしれないですが、明治の前へ出る力、ゲインする力は強みかなと思っています。前に出るというところは、早稲田BKに負けたくないポイントですね。
――それを聞いて早稲田BKとして明治BKに負けたくないポイントはありますか
槇 外への展開力は早稲田の強みとしてこれまでやってきていることなので、スペースにしっかりボールを運びたいです。あとは80分間を通しての運動量のところで、相手に走り負けしないように、気合とフィットネスで頑張ろうと思っています。
――この前の東洋大戦でもトライを取られていましたが、今の調子はいかがですか
槇 多分、良いと思います。
筑波大戦で試合を決定づけるトライを挙げたWTB石田
お二人のプライベート
――最近の趣味について教えてください!
石田 僕はサイクリングですね。オフとかは、基本的に1時間以内で行けるところであれば、自転車で行こうと思っています。東京駅や高尾山とかまではサイクリングするのが趣味です。マウンテンバイクではなくて、ママチャリで行くのが好きですね。
槇 まじかよ(笑)。
――上井草にも自転車でいらっしゃるのですか
石田 行きますね!
槇 上井草よくみんなでチャリで来てるよな。
石田 試合前でも自転車を使いますね。アップみたいな感じです。40分くらいで着くので。
――槇選手はいかがですか
槇 YouTubeを見ることですかね。きまぐれくっくか釣りのやつを見ていますね。
――釣りの魅力はどんなところですか
槇 僕は自分で捕った魚を食べるのが好きなので、それが一つ楽しいです。あとは魚が針にかかった時の引きがとても楽しいですね。それはやったらわかると思います。
――ちなみに石田選手は釣りをやらないのですか
石田 僕はやったことないですね。船?
槇 船じゃない。船だったら無理?
石田 船酔いが…。船じゃなければいけます。お願いします!
槇 (笑)。うん、今度行こうや!
石田 はい、お願いします!
一同 (笑)。
石田 朝早い?
槇 朝は3時起きとか。
石田 うわ(笑)。行く行く全然。
一同 (笑)。
――マイブームは何ですか
石田 最近は部屋のみんなとNetflixをよく見ます。
槇 『First love』でしょ?
石田 うん。めちゃくちゃ良かったで。
――普段はどういう作品を見るのですか
石田 男4人で恋愛ものを見ますね(笑)。
槇 かわいい(笑)。
石田 かわいいな。『First love』とか『糸』とか、あとは『花束みたいな恋がしたい』も見ましたね。感動するやつを見て泣いていますね。
――槇選手に勧めるとしたらなんの作品ですか
石田 それは『First love』ですね。
槇 『First love』か(笑)。
石田 見た後、1週間は『First love』が頭の中で流れるで(笑)。
槇 (笑)。確かにみんな聞いてる(笑)。
石田 明治の寮でも一生(『First love』が)流れてる(笑)。
――槇選手はハマっていることありますか
槇 最近はクリスマスが近づいてきているので、クリスマスの曲を聞くことですかね。マライアキャリーの曲とかを聞いていますね。聞いて気分を高めています。
学生最後のマッチアップへ
春の早明戦で同点トライを挙げたWTB槇
――お二方にとって早明戦はどんな舞台ですか
槇 とても人が入るので、そういった意味では伝統の一戦ですし、注目度も高い。OBの方の話とかを聞いていてもお互いに本当に負けられない試合だなという印象はあります。すごく緊張するというか、早明戦という言葉を聞くと、身が引き締まるというか。そういう舞台です。
石田 小さい頃からテレビで見た早明戦ですし、僕は、お互いの学校のプライドをかけながら戦うのに憧れて明治に入りました。そういう小さい頃から見てた舞台に立てるというイメージが強いので、早明戦は憧れの舞台というのが一番大きいですね。
――今お互いに対して聞いてみたいこと何かありますか
槇 吉平のステップは練習してできるようになったものなのか、元からできたものなのか聞いてみたいです。
石田 小さい頃はFWでプロップをやっていたので…
槇 プロップ!?
石田 そうそう。体重も小学校の時と変わらんのよ。
槇 マジ!?
石田 モテそうというだけで、華麗なタイプに憧れて頑張ってやせたっていう(笑)。
槇 WTBに近づこうとしたのね(笑)。
石田 そうそう。後ろの番号の方に行きたかったから(笑)。
槇 ハハハ(笑)。
石田 サッカーとかも始めたりして、ステップも練習したという感じかな。
槇 女の子にモテるためにステップ練習してたってことな。
石田 華やかになるために。
一同 (笑)。
槇 そういうモチベーションがあるのか。じゃあ俺もそっちで頑張ろうか。
一同 (笑)。
――それでは互いにメッセージをお願いします
槇 こうやって高校ジャパンから大学4年間をしてきて、本当に次の早明戦が最後のチャンスになると思うので、お互い本気で勝ちに行くと思うけど、そういう舞台の中で楽しくプレーができれば最高かなと思うので、頑張りましょう!
石田 やっぱり僕ら4年生は最後ですし、しかも人がたくさん入って、最高の舞台で一番良いライバルと戦えるのが最後です。たくさんの人が入るプレッシャーを楽しみながら、瑛人とマッチアップできるのも学生最後なので、しっかり楽しんで、試合に明治が勝てるように頑張りたいと思います!
――最後に早明戦への意気込みをお願いします!
槇 春の早明戦と対抗戦で、まだ明治には今年入って一度も勝てていないので、チャレンジャーの気持ちで、明治に挑むつもりで、今までやったきたことを思いっ切りやって必ず勝ちたいと思います。個人的には僕のボールキャリーとトライでチームを前向きにできるように、ラストイヤー悔いが残らないように全力でプレーしたいと思います!
石田 明治と早稲田は2回やったらどっちかが勝つと言われているので、その歴史を塗り替えたいです。僕が主将なので明治の歴代主将に恥じないようなリーダーシップを取って、しっかりチームを勝たせて日本一を獲りたいと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 戸祭華子、谷口花、山田彩愛)
早明戦への意気込みを書いていただきました!
◆槇瑛人(まき・えいと)(※写真左)
2000(平12)年10月18日生まれ。176センチ。88キロ。東京・国学院久我山高出身。スポーツ科学部4年。石田選手のいじりに鋭いツッコミを入れ、対談を盛り上げてくださった槇選手。強みである力強いボールキャリーと圧巻のランで、チームに流れを呼び込みます。ライバルである石田選手とのWTB対決も、早明戦で最後。石田選手との駆け引き、そしてフィニッシャーとして「トライを取り切る」姿から、ひとときも目が離せません!
◆石田吉平(いしだ・きっぺい)
2000(平12)年4月28日生まれ。167センチ。75キロ。大阪・常翔学園高出身。明治大学。文学部4年。槇選手へのいじりを楽しみ、場を明るくしてくださった石田主将。自身の役割は『チームを日本一に導くこと』。責任感ある石田主将は、仲間からも「誰よりも努力家」だと評されます。そんな彼特有の鋭いステップと粘り強いディフェンスには見どころ満載。前に出るプレーで『Ahead』を体現し、フィールドを駆け回る姿に注目です!