9年ぶりの国立決戦 立ち上がりに課題を残し明大に敗北

ラグビー男子

 舞台は東京・国立競技場。早大はこの地では実に9年ぶりとなる関東大学対抗戦(対抗戦)の最終節、明大戦に臨んだ。試合開始早々から失点し、3連続トライを許す苦しい立ち上がりに。反撃を試みた早大はWTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)、FB小泉怜史(文構4=東京・早実)が得点を挙げ、7点差に迫って前半を終える。一転して後半は開始から早大ペースの試合運びを見せた。しかし、後半3分にインターセプトを許し、流れをつかみ切れない。24分にWTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)のトライで追い上げを図るが、終盤に失点し万事休す。最終スコア21ー35で敗北し、対抗戦を3位で終えた。

 明大のキックオフで始まった前半、いきなり均衡が破れる。前半2分、自陣22メートル付近での相手ボールラインアウトから個々にゲインを許し、3フェーズで先制トライを献上した。9分にも明大の速いアタックに対応しきれずに被トライ。11分で14点のビハインドを負う苦しい展開になった。その後も敵陣に攻め込むものの、相手の前に出るディフェンスに苦戦し、チャンスを生かしきれない。ようやく点を取ったのは、28分。敵陣右でのマイボールラインアウトから左に展開し、数的優位を作って最後は松下が22メートルライン付近から左際を走り切ってフィニッシュ。その後も敵陣5メートルでのマイボールスクラムを獲得し、12フェーズに及ぶ攻撃を見せるがターンオーバーされ得点には結びつかず。だが44分、敵陣左5メートルスクラムから展開後、SO野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)のグラバーキックに反応した小泉がグラウンディング。CTB吉村紘(スポ4=東福岡)が難しい角度からのゴールを成功させ、14ー21と7点差に追い上げて前半を折り返した。

 

初の赤黒スタメンで、攻守で体を張ったフランカー永嶋

 後半は序盤から早大がコンテストキックを有効に使い、主導権を握ると思われた。しかし、後半3分に野中のロングパスがインターセプトされ、点差を14に広げられる。失点はしたものの、早大は敵陣でプレーする時間帯が続いた。何度も敵陣22メートルまで攻め込むが、あと一歩で取りきれない。次にチャンスをつかんだのは24分だった。早大らしい速い展開ラグビーで数的有利を作り、大外にいた槇が10メートル付近からインゴールを駆け抜けた。再び7点差にまで追い上げ、その後も攻勢を続けた早大であったが、終盤にトライを奪われ試合はノーサイド。21ー35で敗北を喫し、対抗戦最終戦を勝利で飾ることはできなかった。

 

右サイドを好走しトライを挙げたWTB槇

 今試合の敗因は、「最初の10分間で圧力を受けてしまった」(大田尾監督)ことと、22メートルに入ったときの決定力だといえる。前半の中盤以降から後半の立ち上がりにかけて、早大らしい展開ラグビーを見せた。だからこそ、序盤の連続失点には悔いが残る。ただNO・8相良昌彦主将(社4=東京・早実)という核を欠き、BKが奮闘しトライを取りきった点は収穫だろう。来週からは、いよいよ全国大学選手権が始まる。一度でも負けたら『荒ぶる』への道は途絶えてしまうトーナメント方式。来たる25日、明大にリベンジを果たすためにも、まずは来週の東洋大戦で確実に勝利を挙げたい。

 (記事 森田健介、写真 谷口花)

コメント 

大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)

――今日の試合を振り返って

 最初の10分間で圧力を受けてしまったことが、試合の主導権をにぎられてしまった原因だと思います。今週は自分たちがどこにボールを運ぶか、どこにどういうふうにゲームを組み立てるかということを共通の認識として、みんなで意思統一して臨みました。ブレイクダウンに関してもかなり修正が見られたなと思います。自陣から中盤の戦い方については対抗戦をかけて非常に精度の高いものが出てきているので、22メートルの中に入ったときのスコアする術をどう持てるかが選手権に向けてのカギになると思います。

――22メートル内で決めきる力に関しては

 いろいろ考えなければいけないと思います。22メートルに入って、ストラクチャーでない部分でどのようにアタックしていくかを考えなければいけないと思います。

――ケガで欠場している選手の復帰の見込みは

 今日出た選手でも気になる選手がいますし、相良やSO伊藤大祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)に関してはまだまだなのかなと思います。

――東洋大の印象と、対抗戦の次週に試合があるということに関してはいかがですか

 東洋大さんのイメージは夏合宿で対戦したときに、規律が高いイメージがありました。外国人留学生のボールキャリーや自分たちのやるべきことが明確でいいチームだと思います。非常に強敵で、手ごわい相手だと思います。早明戦が終わった次の週ということは僕も経験がなく、コンディションやスケジュール的な部分でどれだけ整えられるかなということで難しさを感じています。

――スクラムとラインアウトの現状と今後の方針は

 スクラムについては最後トライを取られた起点はスクラムのペナルティでしたが、総括的には昨年度の弱点が弱点ではなくなったのかなと思います。ラインアウトの精度は悪くないので、スローアーの部分かなと思います。ただ、そこでゲームが大きく崩れてしまう要因ではなくなったのかなと思います。

――フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)の交代は

 コンディションがあまりよくなかったことと、パフォーマンスがあまりよくなかったので交代させました。

――後半再獲得を狙ったコンテストキックを多用していたように思いますが、どのような指示だったのでしょうか

 ハイボールのコンテストは早大のバックスリーの強みの部分なので、それを友好的に使う話をしましたし、コンテストボールのルーズボールを取ることを話していたのでそこを選手たちはよく対抗してくれたと思います。

――SO野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)とフランカー栗田文介(スポ1=愛知・千種)の二人の1年生の評価をお願いします

 二人とも課題はありますが、非常によくやってくれたかなと思います。チームの中での存在感ということも学年関係なく感じているのではないかなと思います。

――今年のチーム作りに関してと、ここからさらに跳ねていく要素は

 内容的にはここの数試合で内容はよくなっていて、ブレイクダウンの寄り方やモールの壊し方などもよくなっています。自分たちの目標は『荒ぶる』を取ることなので、そこに向けて選手も一生懸命やってくれていますし、いい準備はできていると思います。うちはケガ人が戻ってくるタイミングが一つのキーだと思っています。そのコンディションが重要かなと思います。

――準備は整っているというかたちでしょうか

 今日は明らかに帝京大戦、慶大戦からの課題はクリアしている状態なので、あとはここだけだという思いもありますし、はまってくれるのではないかと思います。

CTB吉村紘副将(スポ4=東福岡)

――今日の試合を振り返って

 すごく悔しいです。最初の10分で圧力をかけられてスコアを重ねられて、そこから巻き返せるところまで持っていきましたが、結果としてこういうスコアで負けてしまいすごく悔しいです。

――最初の10分はどのように感じていらっしゃいましたか

 最初のキックオフから相手の思う位置でのプレーにしてしまったなという印象があります。セットプレーから失点してしまっていて、そこで起点を作らないようにコンテストキックを増やしてうまく修正できたと思いますが、最初のキックの選択でミスしてしまったかなと思います。

――対抗戦の早明戦を国立競技場で行えたということに関していかがですか

 率直にうれしいです。僕以外の早明の選手に関しても、国立での早明戦に関しては非常に幸せに感じていると思います。

――再び早明戦を行う可能性がありますが、いかがですか

 もちろん勝ちます。

フランカー永嶋仁(社3=東福岡)

――今日の試合を振り返っていかがですか

7番を着て試合に出たのに、それで勝てなかったのはやっぱり悔しいですね。

――体を張ったプレーやゲインが目立ちましたが、何か意識したことはありますか

 コンタクトの部分で負けたら今日は勝てないなと思っていたので、そこは自分でずっと意識していました。

――セットプレーに関してはいかがですか

 スクラムラインアウトはFWが一体となってみんなで声を出してできていたので、全然負けてはいなかったと思います。

――初めて赤黒を着てのスタメンでしたが、いかがでしたか

 やっぱりリザーブの時と違って方針も変わりますし、ゲートも作らないといけないっていうのもあって緊張しましたが、出れたことはすごく嬉しかったです。

――来週に向けて意気込みをお願いします。

 来週から負けたら終わりという試合が続くので、練習から体を張ってまた次のゲームでも勝てるように頑張りたいです。

NO・8村田陣悟(スポ3=京都成章)

――今の気持ちを聞かせてください

 勝てる試合を勝ち切れなかったというのが、第一の感想です。監督もおっしゃっていたのですが、アップから100%の全力で取り組んでいくことが勝利に繋がっていくと思うので、そこの部分をこれから一人一人が見つめ直して、来週の東洋大戦に向けて頑張るしかないですね。

――試合全体を振り返っていかがですか

 コリジョンのところであったりは、負けていなかったなと思っています。細かいところに課題が見えましたし、FWのセットプレーの部分が最初ダメでした。修正できたところは良かったですが、最初から押し勝てるようにしていきたいと思います。

――個人のプレーを振り返って良かった点はどんなところにありますか

  コンタクトプレーで、相手より前に出られたところですかね。

――チーム、個人それぞれの課題を挙げていただけますか

  チームの課題は、自分たちの今のラグビーに対して、これまでやってきたことを試合で100パーセント発揮できるかというところで、そこで監督もおっしゃっていたように、一秒でも先に相手より前に出ることにつながると思うので、そこをもっと心がけていきたいです。個人的には、誰にも負けないコンタクトプレーで、チームを勢いづけられるような選手になるために強化していきたいと思います。

――春ぶりの明治戦だったと思いますが、本日のセットプレーの手応えは

  セットプレーはラインアウト、スクラム共に修正できたところは良かったです。このままセットプレーを勝ち切って、(相手に)プレッシャーを与えるとチームもいい流れになると思うので、これから帰って修正したいと思います。

――最後に来週初戦に向けて意気込みをお願いします

 大学選手権初戦になるので、今は先を見据えずに一つ一つの試合をしっかりとこなして、成長を重ね『荒ぶる』近づいていきたいと思います。

WTB槇瑛人 (スポ4=東京・国学院久我山)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 全体的に今までやってきた部分では良いところも見られたのですが、結果負けてしまいましたし、入りのところの失点が大きかったかなと思います。

――今日のゲームテーマを教えてください

 『セイムビジョン』です。

――トライもありましたが、ご自身の状態はいかがですか

 外側で振り切るというのは、僕のやりたかったプレーで、意識してきたプレーでもあるので今回そのプレーができて良かったです。僕だけの力ではないですが、いいBKラインで僕にボールが回ってきたので良いトライができたのかなと思います。

――今日の収穫点を教えてください

 コリジョンの部分で体を当てるところや、ディフェンスの上がりの出だしの部分を日頃からやろうというふうに言っていて、今日の試合でできていたので、そこは次の試合に生かせるかなと思います。

――次戦は来週になりますが、コンディション面はいかがですか

 個人的には痛いところもないですし、割といい状態できてるのではないかなと思います。

――チームとしてはいかがですか

 まだ、昌彦(NO・8相良主将)がちょっと傷んでいるのですが、それも含めてラグビーなので、そういうのを言い訳にせずに今いるメンバーで戦うことが大事かなと思います。

――今後の意気込みをお願いします。

 来週から選手権が始まって、負けたら終わりになる試合が続きます。このチームは4年生のチームだと思うので残りの1週間は、4年生がチームを声でもプレーでも練習中から引っ張って行けるようにしていきたいです。

 

関東大学対抗戦
早大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
14 21 14
21 合計 35
【得点】▽トライ 松下、小泉、槇 ▽ゴール 吉村(3G) 
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
井元 正大 文4 東京・早実
後半18分交代→18川﨑
佐藤 健次 スポ2 神奈川・桐蔭学園
後半17分交代→16安恒
亀山 昇太郎 スポ2 茨城・茗渓学園
後半36分交代→17山口
前田 知暉 社4 東海大大阪仰星
池本 大喜 文構3 東京・早実
栗田 文介 スポ1 愛知・千種
後半36分交代→19藤井
永嶋 仁 社3 東福岡
後半24分交代→20粟飯原
村田 陣悟 スポ3 京都成章
宮尾 昌典 スポ2 京都成章
後半23分交代→21島本
10 野中 健吾 スポ1 東海大大阪仰星
11 松下 怜央 スポ4 神奈川・関東学院六浦
後半39分交代→23磯崎
12 ◎吉村 紘 スポ4 東福岡
13 岡﨑 颯馬 スポ3 長崎北陽台
後半39分交代→22久富
14 槇 瑛人 スポ4 東京・国学院久我山
15 小泉 怜史 文構4 東京・早実
リザーブ
16 安恒 直人 スポ2 福岡
17 山口 湧太郎 スポ1 神奈川・桐蔭学園
18 川﨑 太雅 スポ3 東福岡
19 藤井 将吾 スポ3 大阪・早稲田摂陵
20 粟飯原 謙 スポ1 神奈川・桐蔭学園
21 島本 陽太 スポ3 神奈川・桐蔭学園
22 久富 連太郎 政経3 島根・石見智翠館
23 磯崎 錬太郎 商3 徳島・城東
※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)
関東大学対抗戦Aグループ得点表(12月2日現在)
チーム 勝ち点 試合 得点 失点 得失 トライ
帝京大 35 449 74 375 67
早大 23 251 98 153 40
明大 28 367 102 265 55
慶大 20 163 167 -4 23
日体大 51 528 -477
筑波大 17 231 153 78 36
青学大 125 278 -153 17
立大 114 310 -196 14
関東大学対抗戦Aグループ星取表
  帝京大 早大 明大 慶大 日体大 筑波大 青学大 立大
帝京大

〇49―17

7T7G

〇29―13

4T3G1PG

〇57―14

8T7G1PG

〇129-6

19T17G

〇45―20

7T5G

〇52-0

8T6G

〇88-0

14T9G

早大

●17-49
3T1G

●21-35
3T3G

〇19-13
3T2G

〇102-0
16T11G

〇23-17
2T2G3PG

〇38-3
6T4G

〇31-7
5T3G

明大

●13-29

1T1G2PG

〇35-21

5T5G

〇54―3

8T7G

〇74―0
12T7G

〇33-22
5T4G

〇70-27
10T10G

〇88-0
14T9G

慶大

●14-57

2T2G

●13ー19

1T1G2PG

●3-54
1PG

〇43-8
7T4G

〇16-12

1T1G3PG

〇48―10

7T5G1PG

〇36-7

5T4G1PG

日体大

●6-129

2PG

●0-102

 

●0-74

 

●8-43

1T1PG

●5-79

1T

●12-52

2T1G

●10-63

2T

筑波大

●20-45

2T2G2PG

●17-23

3T1G

●22-33

5T4G

●12-16

2T1G

〇79-5

13T7G

〇38―14

5T5T1PG

〇43-17

7T4G

青学大

●0-52

 

●8-38

1T1PG

●27-70

2T2G2PT2PG

●10-48

2T

〇52-12

8T6G

●14―38

2T2G

●14-20

2T2G

立大

●0-88

 

●7-31

1T1G

●0-88

 

●7-36

1T1G

〇63―10

8T8G1PT

〇63-10

8T8G1PT

〇20-14

2T2G2PG

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、国立は新国立競技場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、敷島は群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場、新潟は、新潟市陸上競技場、月寒は北海道・月寒野外競技場、江戸川は江戸川区陸上競技場、秋葉台は秋葉台公園球技場、太田は群馬・太田市運動公園陸上競技場、小田原は神奈川・小田原市城山陸上競技場、大和は神奈川・大和スポーツセンター競技場、駒沢は駒沢オリンピック公園陸上競技場。