TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 0 | 7 | 6 | 17 | 30 |
法大 ORANGE | 0 | 12 | 0 | 6 | 18 |
関東大学秋季リーグ戦もついに最終節。早大BIG BEARSは関東制覇をかけて、昨年敗れた法大との全勝対決に臨んだ。激しい雨が降る中で試合序盤は一進一退の攻防が続く。それでも第2QにRB花宮圭一郎(文構3=東京・足立学園)のTDランで先制すると、その後は攻守共に早大がスクリメージを支配する。試合終了まで着実に追加点を重ね、30ー18で見事勝利。関東王者の誇りを胸に、東北大との甲子園ボウルをかけた一戦に挑む!
入場前のBIG BEARS戦士
法大レシーブで試合開始。相手の注目RBである星野に対してLB大蔵泰斗(スポ4=東京・西)がナイスタックルを決めると、直後にDL山田琳太郎(商4=神奈川・川和)とDL坂本崇(スポ4=東京・城北)のプレッシャーで相手QBがファンブルしたボールをDB植田昂志郎(人科4=埼玉・川越東)が抑えてターンオーバーに成功。RB花宮やRB安村充生(文構3=東京・早実)のランで好機を演出し、QB國元孝凱(社3=東京・早大学院)からWR佐久間優毅(政経4=東京・早実)へのTDパスを試みるも、得点につながらず。その後は互いに堅守が光る展開が続き、第1Qを両校ともに無得点で終える。それでも第2Q中盤、試合が動く。OLがこじ開けた走路をRB花宮が抜け出すと、次のランプレーでQB石原勇志(スポ4=東京・足立学園)がゴール目前に迫る。最後は再びRB花宮がエンドゾーンを駆け抜けてTD。先制に成功し、横浜の空に『紺碧の空』が響き渡る。しかし、その後の法大オフェンスでTDを許すと、直後のキックオフでファンブルしたボールをリカバーされ、再び攻撃権を与えてしまう。立て続けにランとパスを許し、猛攻を止めきれずTDを献上。2ポイントコンバージョンは防いだものの、ミスから逆転を許して7―12で前半を折り返す。
堅守を見せたDB陣
後半は早大レシーブで再開。一進一退の攻防が続く中で展開を打開したのは、WR佐久間だった。自身のランアフターキャッチで好機を演出すると、最後はQB國元のパスを両手で丁寧にキャッチしてTD。13―12となり、逆転に成功する。その後はセンターのOL永田直野(創理4=埼玉・早大本庄)をケガで欠く苦しい展開となるも、変わって入ったOL横田皇紀(政経4=東京・早大学院)を含むOLユニットが見事なブロッキングを見せる。時間を使いながらランで効果的にゲインを重ねると、42ydのFGをK/P曽木聡(スポ3=東京・国学院久我山)が見事に沈め、点差を放す。ディフェンス陣も法大オフェンスにアジャストし、追加点を許さない。第4Q中盤、敵陣深くでのオフェンス。TDが決まれば勝利がグッと近づくという展開で痛恨のインターセプトを喰らってしまう。それでも、法大の4thダウンギャンブルでDL若原碧飛(社4=東京・早実)が見事なロスタックルを決め、嫌な流れを完全に断ち切った。そして、ここから早大が一気に勝負を決めにかかる。試合時間残り5分、RB萩原奎樹(政経4=東京・早大学院)が25ydのTDランを決めると、終盤にはRB安村のTDランで試合を決定づける。直後にTDを許すも、最後はオフェンス陣がフィールド上で円陣を組み、30―18で試合終了。3年越しに歓喜の瞬間が訪れた。
表彰式の様子
タレント豊富な法大に対し、持ち味のランプレーをベースにしながら要所でQB國元とWR佐久間のホットラインが炸裂する得意のオフェンスで勝利を収めた早大 BIG BEARS。ディフェンス陣も闘志あふれるプレーで法大を見事に封じ込めた。3年ぶりの関東制覇は喜ばしいが、これは道の途中に過ぎない。悲願の甲子園ボウル初制覇へ。その挑戦権を得るべく、東北大との一戦に挑む。
(記事 安齋健、写真 田部井駿平)
担当記者のPICK UP PLAYER
リーグ戦MVPに選出されたOL亀井主将
髙岡監督が今日の勝因として真っ先に挙げたのはランオフェンス。事実、強力な法大ディフェンスを相手に、早大は3つのTDランを奪い、合計261ydをゲインした。勝利を大きく手繰り寄せたこのランオフェンスの立役者は間違いなくOL亀井主将だろう。主将という立場だけでなく、絶対的なOLとしてもチームをけん引し、3年ぶりの関東王者に導いた。試合後の記者会見、一言目に「素直に嬉しい」と安堵の表情を見せたが、その後の表情はこれまで以上に引き締まっていた。目標とする日本一のOLと日本一の主将まであと2勝。亀井はようやくスタートラインに立った。
担当記者からのお詫び
第4Q終盤にカメラが故障するというアクシデントが発生し、歓喜の瞬間をカメラに収めることができませんでした。深くお詫び申し上げます。甲子園ボウルでの歓喜の瞬間はしっかり収めます!
コメント(記者会見から一部抜粋)
髙岡勝監督 (平4人卒=静岡聖光学院)
――優勝した感想は
夢のような一瞬です。今年のチームは特に目立った選手はいませんが、亀井を中心に一丸となって今日という日を迎えられたことを幸せに思います。
――後半にTDを積み重ねて逆転しましたが、前半と後半で何を変えましたか。勝因のようなものがあれば
前半と後半でOLが頑張ってくれて我々の持ち味であるランが出せたことと、後半は法政さんの強いランの攻撃に対してディフェンスがきちんとアジャストして止められたことが勝因かなと思います。
――ここ数年コロナの影響もあってチーム作りが大変だったと思います。改めて、今年のチームはどのようなチームですか
先程も申しましたが、今年はエースが不在というチームで、もしかしたら皆さんの間で「早稲田は特徴のないチームだな」と思われた方も多かったのではないかと思います。逆に言えば、特徴が無いのが今年の早稲田だと思います。亀井がキャプテンになって、今年のチームのスローガンを『一丸』という、全員が目標に向かって一つになろうというものにしました。いろいろなぶつかり合いもありましたが、3年の目黒を中心に下級生をもっと『一丸』に導いていこうという意見が出て、下級生は自分たちがどのようにしてチームのためになるかを真剣に日々考えてきました。その結果が今日の結果になったかなと思います。
――法政は強いチーム、早稲田は負けないチームという印象がありますが
星野くんや平井くんを始め、フラッグで小さい頃から見ていた隼世(高津佐)、リターナーで入っていた滝沢くんなど、本当にタレント豊かなチームなので。こういったチームに対して我々のようなエースがいないチームがどうやったら勝てるのかというのを学生やコーチと考えてきて、何とか勝てました。
――これまでも優勝の経験がある中で、今回の優勝はどのような位置付けですか
毎年のチームにそれぞれの思い入れがあるのですが、今年の4年生は私が1年生の時から見てきた代です。それぞれ嬉しさがありますが、今年はさらに上を目指せるというところもあります。ここでどのように「勝って兜の緒を締める」かというところで、今まで以上にその先をどうしようかと思うような優勝になりました。
OL亀井理陽主将(法4=東京・早実)
――優勝した感想は
率直に「素直に嬉しい」という一言かなと思います。昨年法大に敗れてからこのチームが始まって、まずは法大を倒し、甲子園出場を決め、そして日本一という目標を掲げてきました。僕らはまだまだ道の途中ですが、法大に勝って関東で優勝できたということは非常に嬉しく思っています。
――法政さんに勝つためにチームスローガンとして選んだのが『一丸』だったと思いますが、主将を中心にどのように『一丸』を目指してきましたか
今年のチームの特徴として「強くモノが言えない」というのが恥ずかしながらありました。自分を中心に4年生が威厳を放つチームではなくて、下級生をしっかりと同じ方向に向かせることに注力するという意味で『一丸』というのを掲げて、一つの結果が出ているのかなと思います。
――試合中の守備の好連携というのも、チームスローガンの一丸が生きていた部分ですか
守備に限らず、オフェンスもキックも全員で最後まで集まるということは言い続けていたので、そういう意味でも一つみを結んだのではないかなと思います。
――雨の影響はありましたか
雨はシーズンが始まる前からずっと意識してきたことで、夏合宿では何十ミリという大雨が降っていた中で自分たちは精度を追求してきたので、雨はむしろ自分達のフィールドだなと思って、自分たちのやるべきことをやった結果だと思っています。