延長の末、中大下す 1次リーグ首位通過で勝負の2次リーグへ!

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 延長 TOTAL
早大 BIG BEARS 10 17(6)
中大 RACCOONS 17(0)

 ここまで3戦3勝の無敗で迎えた1次リーグ最終節。対する中大 RACCOONSは開幕戦こそ東大に敗れたものの、連勝中で勢いに乗るタレント豊富なチームだ。前半終盤、中大に先制タッチダウン(TD)を許してビハインドで折り返す。それでも後半には歯車がかみ合い、RB花宮圭一郎(文構3=東京・足立学園)の2つのTDランとK/P曽木聡(スポ3=東京・国学院久我山)のFGで逆転。終盤ピンチに陥るもDB間瀬琢巳(法4=東京・早大学院)のインターセプトやDL山田琳太郎(商4=神奈川・川和)のQBサックが要所で決まり、踏みとどまってタイブレークへ。相手の攻撃を堅守で阻んだ後の攻撃、チームの思いを乗せたボールはRB花宮によってエンドゾーンに運ばれて見事勝利。1次リーグを首位で通過し、再来週から勝負の2次リーグに挑む!

パスプロテクションが光るOL亀井主将

 中大レシーブで試合開始。ファーストシリーズでDL山田のQBサックが決まるなどし、早々と攻守交代。その後の攻撃では、RB安村充生(文構3=東京・早実)の4連続ランプレーで敵陣に侵入するも、続くランプレーでファンブルしたボールをリカバーされ、ターンオーバー。守備ではその後もDL山田のQBサックやDL坂本崇(スポ4=東京・城北)のロスタックルが飛び出すなど、粘り強く守りきる。それに応えたい攻撃陣だが、あと一歩のところでインターセプトを食らうなど、要所で噛み合わない。前半終了間際、中大に連続してパスを決められてTDを献上する。早大は今季のリーグ戦で始めて前半をビハインドで折り返すこととなった。

ロスタックルを決めて雄叫びをあげるDL坂本

 後半最初の早大の攻撃をパントに抑えられると、続く中大の攻撃で再びTDを許す。それでも直後の攻撃で、QB國元孝凱(社3=東京・早大学院)からWR佐久間優毅(政経4=東京・早実)のへのパスが決まると、最後はRB花宮がOL陣のこじ開けた正面を突破し見事にTD。反撃ののろしを上げる。4Qに入り、相手ディフェンスのプレッシャーに苦しみながらも、K/P曽木のFGで4点差に迫る。次の攻撃では3つのランプレーでRB花宮が50ヤード以上獲得し、再びTDを決めて逆転に成功。試合終盤、FG圏内まで攻め込まれるもDB間瀬が値千金のインターセプトを決め、絶体絶命の危機を脱する。その後の攻撃でフレッシュを獲得できず、パントリターンで自陣30ヤード付近まで侵入を許して再びピンチを迎えたが、DL山田の今日3つ目のQBサックが決まるなど、なんとかFGに抑えて再逆転は許さず、試合はタイブレークに突入した。

タックルを受けながらゲインするRB萩原

 敵陣25ヤードから互いにプレーが始まるタイブレークは中大の攻撃から開始。ディフェンス陣が奮闘し0点に抑えると、直後の攻撃では、RB花宮とQB石原勇志(スポ4=東京・足立学園)のランで一気にエンドゾーンに肉迫。最後はRB花宮が相手ディフェンスを振り切り、今日3つ目のTDを決め、手に汗握る試合を制した。

 早大BIG BEARSは1次リーグを全勝で終え、再来週から勝負の2次リーグを迎える。2次リーグの対戦相手は立大、明大、そして昨年敗れた法大と実力あるチームが待ち受ける。初戦の立大 RUSHERSは1次リーグ最終節で日大相手に残り3秒からヘイルメリーパスを決めて逆転勝ちした勢いに乗るチームだ。チーム一丸となって勝利を掴み取り、関東リーグ制覇、そして悲願の日本一へ弾みをつけたい。

(記事 有川隼翔、安齋健 写真 谷地星)

※掲載が遅くなり、申し訳ございません

担当記者のPICK UP PLAYER

QBに襲いかかるDL山田琳太郎。2メートル近い身長は一際存在感を放つ

 今節で最も会場を沸かせた選手は、間違いなく山田だろう。オフェンスが波に乗れない展開が続く中で、山田のQBサックやロスタックルがチームに勢いを与えた。中大のサイドラインには山田が1・2年時にお世話になったコーチがいたそうだが、その恩人を前に成長した姿を十二分に見せつけることができただろう。
 過去に監督が「NFLにチャレンジできるような選手」と絶賛するほどの山田だが、その恵まれた体格だけが魅力なわけではない。BIG BEARSは大学からアメフトを始める選手が多いが、山田もそのうちの一人。大学アメフトに順応するべく、“HARD WORK”というユニットのポリシーのもと、涙が出るほど厳しい練習を乗り越え、ヒットを磨いてきた。そして迎えたラストシーズン。目標は名実ともに日本一のDLになることはもちろん、後輩の育成に尽力して日本一のDLユニットを作り上げること。再来週から始まる2次リーグでは、山田率いるDLユニットのビッグプレーが勝利を大きく手繰り寄せるだろう。

コメント

髙岡勝監督 (平4人卒=静岡聖光学院)

――緊張感のある締まった試合になりました。振り返っていかがですか

疲れました(笑)。危なげのない試合をこれまでの3試合ではしていたので…。

――今季のリーグ戦では初めて前半をビハインドで折り返しました。その振り返りとハーフタイムで選手にどのような声をかけたか教えてください

これまでの中大さんとの戦いの中で、入りの2シリーズでリードすることが大事だということで取り組んでいて、キッキングもディフェンスも仕事をきちんと果たしてくれましたが、オフェンスがファンブルと被インターセプトという最悪の結果になって。ファーストダウンは更新できていたものの、ボールのポジションが非常に悪いところで戦っていたのが、波に乗れなかった一番の要因だと思います。ですので、ハーフタイムには、「自分たちならできるんじゃないか」とか「実力があるはずだ」というのを捨てて、自分たちのできることで攻め続けるという我々の目指しているところに立ち返って一人一人がプレーしようという話をしました。

――後半はラスト2ミニッツまで痺れる展開になりました。振り返っていかがですか

ラスト2ミニッツでの集中力ということで、間瀬がインターセプトをしてボールを持ってきてもらった後のオフェンスでファーストダウンを取りきれなかったことが、今日の試合を一番象徴しているプレーでしたし、その後にディフェンスが集中してTDパスをカットしたりしたというところが、今日のオフェンス・ディフェンスとの差なのかなと思います。

――タイブレークを振り返っていかがですか

後半チョイスがセオリーで、亀井がくじ運良く(後半を)取ってきてくれて。そこでディフェンスがきっちり止めてボールオンを下げてくれたおかげで、相手のキックのミスではありますが、相当プレッシャーもかかっていたと思いますし、(0点に抑えたことで)すごく楽になりました。

――再来週からの2次リーグに向けた意気込みをお願いします!

次の立大さんは前の試合で残り3秒で勝利してきたチームなので、歴史もあるチームですし、今年は特にディフェンスが素晴らしいということなので、うちのオフェンスがどれだけやり切れるか、ライン戦で勝ち切れるか、パスを投げられるか、全てにおいて1からまた取り組んでいきたいと思います。

OL亀井理陽主将(法4=東京・早実)

――今日のゲームスローガンや意気込みについて教えてください

ゲームスローガンは『荒ぶる』というものにしていて、早大ラグビー部と被る部分はありますが、意味はそれとは異なっていて。荒々しく、ハードなプレーを求めるためにこのようなスローガンにしました。(中大戦は)これまでの3試合よりも厳しい試合になるとは思っていましたし、これからより一層厳しい試合が続いていく中で、自分たちの戦いをどれだけハードにやれるかということで、『荒ぶる』にしました。

――前半はあと一歩のところで攻めきれず、0点ビハインドで折り返しましたが、振り返っていかがですか

自分たちの中で、やっていることは通用していると話していたのですが、結果的には思うようなドライブができていなかったというのがあって。そこで気持ち的に落ちてきてしまっているメンバーもいたので、そういったことが原因で0点に終わってしまったのかなと思います。

――後半の振り返りをお願いします

オフェンスとしてやっていることは変わっていなくて。これまでの3試合は正直危なげない試合をしてきたので、(今回の試合で)より気持ちが引き締まって、全員で荒ぶる激しいフットボールを体現できたのかなと思います。

――後半最後のオフェンスでダウンを更新できず、ラスト2ミニッツの厳しい展開を作り出してしまったのかなと思います。振り返っていかがですか

あの場面はオフェンスとしては出し切らなければいけない場面なので、ラスト2ミニッツの嫌な流れを作ってしまったのはオフェンスの責任だと思います。向こうのディフェンスが攻めてくることは分かっていた中で、あのようなオフェンスをしてしまったので、結果的に勝ちはしましたが、次に繋がる反省ではあります。

――タイブレークを振り返っていかがですか

0―0の状態に戻って逆に吹っ切れたというか、全員でハードに臨めたのかなと思います。

――全勝で臨む再来週からの2次リーグに向けた意気込みをお願いします

今日の試合で勝ちきれたことが一つ大きなことで、自分たちの目標は日本一という中で2次リーグでは厳しい戦いが続いていくと思いますが、今日出た課題を2週間で潰して、必ず立大に勝ちたいと思います。

DB間瀬琢巳(法4=東京・早大学院)

――ディフェンスとしての今日のゲームプランや目標について教えてください

ディフェンスとしてはいつも通りにボールを狙っていくことはそうなのですが、チームとしてのゲームスローガンが『荒ぶる』ということで、ハードにタックルもヒットも最初からやっていこうと話していました。

――ロングパスを許す場面が多くあったと思いますが、そこも含めてディフェンスとしての課題を教えてください

DBとしては課題しかない試合だと思っていて。中央のパスユニットに精度の面でも1対1の面でも圧倒されたので、チームの弱点やこれからどうしていかなければならないのか、明確になったと思います。

――ご自身のインターセプトの瞬間を振り返っていかがですか

前半の最後に松岡選手(中大)にボールをもぎ取られて、やり返したいなと思っていたので、そのプレーは良かったのですが、反省も多いです。

――ラスト2ミニッツ振り返っていかがですか

FGを想定しきれていなかったのは自分たちのミスだと思います。課題として見つかりました。

――タイブレークについていかがですか

自分は初めてのタイブレークだったので緊張しましたが、がむしゃらにやりました。

――2次リーグへの意気込みをお願いします

ディフェンスでビッグプレーを連発して勝ちたいと思っているので、応援よろしくお願いします!

DL山田琳太郎(商4=神奈川・川和)

――今日の試合はどのような意気込みで臨まれましたか

1・2年生の頃にDLコーチだった方が中大にいて、成長した姿を見せられたらいいなと思っていたので、とにかくビッグプレーを起こせるようにと思って臨みました。

――これまでの試合で「記録にこだわりたい」というお話をされていた中で、今日は3つのQBサックを決めました。振り返っていかがですか

そうですね…、良かったですね(笑)。この後は相手がもっと強くなってくるので、精進して頑張ります。

――後半終盤からタイブレークにかけてディフェンスとして痺れる展開が続いていたと思います。振り返っていかがですか

ずっと緊張感のある展開だったのですが、その中でサイドラインでも中でもとにかく上げて、チームとして落ちないように気持ちを保ったまま粘っていけました。

――2次リーグへの意気込みをお願いします

全部が苦しい戦いになるとは思います。その中で層の薄さが課題なので、後輩を育てて強いDLユニットを作っていきたいと思います。

RB花宮圭一郎(文構3=東京・足立学園)

――今日の試合に対するオフェンスとしてのゲームプランや意気込みについて教えてください

チームとしてはランもパスも調子が上がってきたので、この中大戦では大差で勝つというのが目標でした。個人的にはデプスのところで前半は試合に出れず、悔しいところがあったので、後半からしっかりやってやろうという気持ちがありました。

――その後半から2TDの活躍ということで、それぞれの場面を振り返っていかがですか

どれも個人技ではなくて、毎日の練習でやってきたことなので、OLやレシーバーのブロックを信じて走ることができてよかったと思います。

――試合を通しての課題が見つかっていたら、教えていただきたいです。

落ちてしまう場面で、いかに声を出して雰囲気をあげるか、ゲームチェンジャーになれるかが今後の課題になってくると思います。

――2次リーグに向けての意気込みをお願いします

オフェンスとしては、前半は自爆でうまくいかなかったところがあるので、次節は最初の1プレーから力を発揮して、早稲田のオフェンスを見せつけていきたいと思います。