【連載】新体制特集『愚直』【第2回】DB対談 DB岸野友哉×DB宮崎恭輔 

米式蹴球

ディフェンスの最後の砦(とりで)となりチームを救うタックルを決めたりパスをインターセプトして試合の流れを呼び寄せるDB。歴代のBIG BEARSのDB陣は幾度となく窮地を救ってきた。今年度はどのようなDBユニットを見せてくれるのか。今回はDB岸野友哉(政経4=東京・早大学院)とDB宮崎恭輔(国教4=東京・早大学院)にお話を伺った。

  

※この取材は4月3日に行われたものです。

助け合っていけるようなユニットにしたい

質問に答える岸野選手と宮崎選手

――まずはお互いの印象を教えてください

宮崎 岸野とは同じポジションでアメフトを始めて7年目になるのですが、高校からずっと仲良くさせてもらっています。本当に熱意のある人間で、アメフトに対して一番真っすぐ向き合っているという印象ですね。

岸野 僕も宮崎とは7年目の仲なので、ほぼほぼ家族ぐらいのイメージです。最初の印象と言われるとあまり思い出せないのですが、今はもう7年間一緒にやっているのは宮崎だけなので、相棒みたいな感じです。

――プライベートでもお二人で遊びに行かれるのですか

宮崎 そうですね。最近はコロナもあり外には遊びに行けないのですが、岸野の寮に行ってみんなでワイワイ過ごしていますね。

――ここからはご自身のポジションについてお聞きしたいのですが、DBについての説明をお願いします

岸野 DBはCB(コーナーバック)とセーフティという2つのポジションに分かれていて、僕はセーフティで宮崎がCBを担当しています。セーフティはディフェンス全体の統括係のような感じで、一番後ろから冷静に状況を見て臨機応変に対応する必要があります。なので、前のフロントの人たちを動かしながらディフェンスが立ち回れるように頭を使うことが求められるポジションです。

宮崎 CBもセーフティと同じでディフェンスの最後の砦(とりで)と呼ばれているポジションです。セーフティと違うのは内側ではなく外側を守ることで、サッカーでいえばサイドバックのような役割を行っています。位置的に全体を後ろから見ることができるので冷静沈着さが求められ、パスをカットしたり後ろからタックルしてランを止めたりするポジションとなっています。

――DBの魅力はどこにあると考えていますか

岸野 セーフティの魅力は頭脳戦にあると自分は思っています。僕自身はそこまで身体能力が高いわけではないのですが、ここまでやってくることができたのは頭を使って、相手チームのスカウティングから得た知識を活用することに力を入れてきたからだと考えています。今後、新入生の子たちにも言いたいのですが、(セーフティは)誰でも活躍できる可能性がある場だと思っているので、そういった意味でもすごく魅力的だと思います。

宮崎 CBは良くも悪くも目立てるのがいいところだと思っています。相手が主にレシーバーとなるのですが、その前に立っているのは常にコーナーバックで本当に1対1の勝負が多いので、レシーバーに勝ったらすごく目立ちますし、負けたら悪く目立ってしまうところが魅力だと思っています。

――昨シーズンは前例のないシーズンとなりましたが、振り返っていかがでしたか

岸野 昨シーズン、自分は3年生ながらキック主任という役職をやっていて、大好きな1個上の先輩たちと日本一になりたいと思っていたのですが、(日本一になれず)非常に悔しかったという一言ですね。

宮崎 僕は大学2年から1年間留学に行っていたので、(留学から)帰ってきてアメフト部に復帰した中でとりあえず試合に出るという目標を立てました。結果的にそれは達成できたのですが、岸野も言った通り大好きな先輩と甲子園にも行けなかったので非常に悔やまれるシーズンでしたね。

――昨シーズンのチームと比べて、今のチームの雰囲気はいかがですか

岸野 今のチームは自分の代ということもあり、なかなかうまくいかないところが目に付いたりするのですが、みんなそれぞれ新体制になってから忙しい中でも奮闘していると思います。全体の意識としては昨年の雪辱をはらすためにも甲子園に行かなければならないという使命感を持って、今年こそ日本一になるという目標に向かってみんな頑張っています。

宮崎 岸野が言ったようにまだまだ実力的には例年に比べて低いと思います。ですが、その分すごく伸びしろもあると思っていて、自分自身や4年生は最上級生として後輩やチームのことに焦点を当てて主体的に行動できていると思うので、これからが楽しみなチームになっていますね。

――今の期間、DBユニットが特に取り組んでいることはなんですか

宮崎 今年は僕が主任というかたちでDBユニットをまとめさせてもらっているのですが、僕自身が下級生の頃に対等な目線でお互い意見を言い合って成長できたという面があるので、学年関係なく全員が主体的に自身の意見や考えを発信できるような環境にしたいと思っています。また、後輩に対して圧をかけることや無理をさせることはなるべくしないようにしていて、距離を縮めながらアメフトのこともそれ以外のことも助け合っていけるようなユニットにしたいと思っています。

岸野 DBだけに限らず、今年のチームの色として下級生の主体性という部分が例年と比べて大きくて、それこそリーダーを3年生が務めてくれることもあります。そういった意味では僕ら4年生はふがいないところばかりなのですが、下級生たちに支えられているというのがチームの現状だと思っているので、それはDBに限らず全体としてそういった状態ですね。宮崎が言ったことももっともですし、下級生の主体性が現在のチームの支えとなっているので、彼らと一緒にどうこれから戦っていくかを僕たち4年が考えなければいけないという状況にあると思います。

――今年はDBの要であった大西郁也氏(令3法卒)や高橋弘汰氏(令3法卒)が抜けてしまいましたが、今の状況はどのように捉えていますか

岸野 正直、厳しいというのが実際のところあります。大西さんと高橋さんはDBの要の選手で、僕自身も6年間一緒にプレーさせてもらってきて彼らから学ぶことばかりだったので、引退された時はこれからどうしようという気持ちでした。ただ、その2人はもう戻ってはこないので、がむしゃらにやるしかないと思っています。一応連絡は取れるので、いろいろとアドバイスいただきながら気持ちを奮い立たせてみんなを底上げする必要があると感じています。

宮崎 大西さんや高橋さんはもちろんなのですが、今年のDBは昨年から試合に出ていたメンバーが少なく、おのおのの試合経験が少ないのが課題だと思っています。ですが、その分みんな慢心せずにいい意味で焦っていて、自分自身の課題をDBユニットの全員が常に考えられている状況です。僕自身が期待している選手も多いので、早慶戦という場で大西さんや高橋さんがいなくなってもDBは大丈夫だよというところを見せたいです。

オフェンスとの1対1の勝負には注目してほしい

自分の強みについて話す宮崎選手

――DBユニットの中でも競争は激しくなっていますか

岸野 そうですね。僕ら2人も含めてですが、誰が試合に出るかは確定していないです。下級生たちもこういった状況を原動力に頑張ってくれているので、このままいい状態でシーズンを迎えたいと思っています。

宮崎 岸野もさっき言ってくれたのですが、今年の下級生は主体的に行動してくれる人間が多いです。みんな2年生だから3年生だからと臆せずにスタメンを狙ってきているので、競争は非常に激しくなっていると感じます。

――永山開一主将(教4=東京・足立学園)の印象をお聞きしたいのですが、いかがでしょうか

岸野 彼のいいところはそれこそスローガンにある愚直というところになるのですが、本当に真っすぐで自分の信念に従って突き進んでいるという印象があります。あとは僕たち4年生が彼の見えていない部分をどれだけ補うことができるかが今年のカギになると思うので、他の4年生や下級生でサポートをしていきたいです。

宮崎 永山は岸野も言ったようにメンタル面でもすごくいいものを持っていますし、自分が持っている信念は絶対に貫く人間です。また、2年から試合に出ていて技術的にも実力があるので、頼れる主将という感じですね。

――さきほど、今年のチームは下級生の頑張りが光るとお聞きしましたが、お二人が期待されている選手はいらっしゃいますか

岸野 セーフティはまず1個下の間瀬(琢巳、法3=東京・早大学院)で、ずっと一緒に(競技を)やってきた選手です。あとは石野(亨介、文3=千葉・渋谷教育幕張)という大学から競技を始めた子なのですが、彼も未経験ながら本当に頑張ってくれているので、石野と間瀬ですかね。1個下の選手たちは本当に身体能力が高い子が多いので、間瀬、石野に関わらず彼らには本当に期待しています。

宮崎 コーナーバックは本当に期待している選手が多いのですが、特に伸びしろがあると感じるのは2年の海老原(圭、文3=埼玉・川越東)です。本当にいいものを持っていて、彼も高校からアメフトをやっているのですが、練習でも先輩に食らいつくようなプレーが多く見られるので、試合に出たときはすごく楽しみにしていますね。ただ、海老原だけではなくコーナーバック全員が本当にいいものを持っているので、期待しています。

――お二人は高校時代から同じチームでプレーされていますが、お互いの強みやすごいと感じるところを教えてください

岸野 僕が宮崎の強みだと感じる部分は準備能力だと思っています。高校の頃はそこまで準備能力について見ていなかったのですが、大学に入ってからは入念にスカウティングをしているのだなと感じるようになりました。高校と比べて大学に入った後の宮崎の飛躍というのは、隣にいて感じてきたところがあるので、そういったところに付随しているのは日頃の準備やアメフトにかける時間というものをしっかり確保しているということを実感しています。

宮崎 岸野の強みという部分で特に感じるのは客観的な視点と熱量ですね。高校の時からすごく熱いプレーヤーで根っからの負けず嫌いなので、誰に対しても負けないという気持ちを持って1プレー1プレー臨んでいることはすごく尊敬しています。また、僕はDB主任ということもあり最近はDBユニットしか見ることができていないのですが、岸野はチームメイト全員のことを常に見ていて、DBの後輩だけではなく、同期の4年生や他のポジションの後輩のことも気にしているので、こういった周りを見る客観的な視点があるのは(チームとして)大きいですし、強みだと思いますね。

――お互いの強みについて話していただきましたが、ご自身が強みと感じている部分はどこですか

岸野 選手としてはU19の選考を受けても身体能力は低かったのであまり自信はないのですが、自分が勝てるとしたら頭の部分だと思っています。とはいっても歴代の方々に比べると至らない点ばかりなのですが、僕が勝てるとしたらいかに頭を使うかだと思っているので、その部分でアドバンテージが取れるようにこれからも努力し続けたいなと思っています。

宮崎 僕が考える自分の強みは積極性ですかね。1年生の時から率先して先輩に質問をしていて、そのおかげで学ぶことは大きかったですし、1年生の目線で4年生に指摘した際はすごく4年生の方に感謝されました。やはり受け身になりすぎてしまう人も多いかと思うのですが、そこでいかに主体的に動けるかで自分自身も相手自身も成長できると感じているので、積極的に行動するというのは自分の強みだと思っていますね。

――ご自身のポジションでここを見てほしいという注目ポイントはありますか

岸野 チームとしては下級生たちの活躍に期待してほしいと感じています。特にオフェンスにいい選手が多く、躍動してくれると思っているので、チームとしてそこに注目してほしいです。僕自身としてはビックプレーを起こせるよう頑張るので、ぜひ注目しておいてください。

宮崎 DBユニットとして全員が常に相手をイメージして練習していて、相手オフェンスとの1対1で絶対に勝つことを普段から意識しているので、オフェンスとの1対1の勝負には注目してほしいですね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 足立優大)

意気込みを書いていただきました!

◆岸野友也(きしの・ともや)(※写真左)

東京・早大学院高出身。政治経済学部4年。170センチ。75キロ。DB。高校の時から一緒にプレーしている宮崎選手に「すごく熱いプレーヤー」と称される岸野選手。持ち味の熱いプレーでビッグプレーをたくさん起こし、昨年の主力が抜けた穴をカバーしてくれるでしょう!

◆宮崎恭輔(みやざき・きょうすけ)

東京・早大学院高出身。国際教養学部4年。174センチ。68キロ。DB。昨シーズンに留学から帰ってきた宮崎選手。秋シーズンではスターターとして活躍されました。今年はDB主任としてユニットをまとめ上げる役割も担っています。宮崎選手のチームを救うパスディフェンスには注目です!