DBとマッチアップし、華麗なキャッチで試合の流れを呼び寄せるWR。ここ数年のBIG BEARSは、洗練されたパスプレーを武器にTDを量産してきた。今年のWR陣はどのようなプレーを見せてくれるのか。今回はWR田口凛太郎(創理4=東京・早大学院)とWR田窪大渡(政経4=東京・早大学院)にお話を伺った。
※この取材は4月3日に行われたものです。
「ビッグプレーを起こせるような選手になりたい」(田窪)
昨シーズンを振り返る田窪
――最初に、WRというポジションについて簡単に教えていただけますか
田窪 WRというのは空中戦の主役といわれるポジションで、QBから投げられたボールを確実にキャッチしてゲインにつなげる役割を担っています。
――WRの魅力はどこにあると思いますか
田口 あまり競技を知らない方から見てもどんなプレーをしているかが分かりやすく、ボールが飛んできて歓声が上がる中、キャッチをしてゲインするという1番かっこいいポジションだと思います。
――アメフトには多くのポジションがある中で、レシーバーを選ばれた理由はありますか
田窪 僕は高校から(競技を)始めたのですが当時、新歓に誘ってくださった先輩がレシーバーをやっていて、かっこいいという単純な思いから(レシーバーに)引かれてずっとこのポジションをやっています。
田口 僕も高校からずっと同じポジションをやっているのですが、 田窪と同じで新歓で一番誘ってくださった先輩がこのポジションで、一番近くでプレーを見る中、格好いいというイメージを持って(レシーバーを)始めました。
――昨シーズンは前例のないシーズンとなりましたが、振り返っていかがでしたか
田窪 個人としては、昨シーズンは(リーグ戦が)3試合あったのですが、2試合目でけがをしてしまいとても悔いの残るシーズンではありました。チームとしてはコロナ禍で満足に試合ができない状況でも4年生が引っ張ってくれて、なんとか試合が行うことができた中で、最終戦を勝利で飾ることができたので、特別なシーズンだったと感じています。
田口 昨年は個人としてもチームとしても、とにかく例年に比べて練習時間が確保できず、グラウンドやウエートルームを使用できず限られた状況での活動となりました。ただ、だからこそ今までと比べてみんなが一番考えたシーズンだったと思っていて、練習が限られる時間でどうやってうまくなっていくかを全体で試行錯誤できたので、そこに関しては4年生が引っ張ってくれたことや各個人が考えたことで新しい文化が少し根付いたのかなと思います。
――自粛期間中はどのように部としての活動を行っていましたか
田窪 自粛期間はズームなどを用いてフィジカルトレーニングを主にやっていました。というのも、例年はウエートトレーニングとグラウンドでの練習を同時に行っていたのですが、昨年はそれができなかったので、例年以上にトレーニング面に時間を割くこととなりました。
田口 そんな感じですね。
――田口選手は明大戦でTDをあげましたが、この時の心境はいかがでしたか
田口 明大戦は点を取って取られての繰り返しだったので、そういった展開の中で決められたことは非常にうれしかったですが、それよりもチームとして勝たなければいけないという意識が強く、必死にやった結果ああいったプレーができました。ただ、あのプレーはQBの宅和さん(真人、令3政経卒)の手柄だったので、ごっつぁんでのTDという感じでしたね(笑)。
――田窪選手はおととしに引き続き、ターゲットになっていましたが、昨年を振り返っていかがでしたか
田窪 試合に出る中で最低限の仕事は何とかこなせているとは思うのですが、やはりビックプレーを起こすことやTDを量産することはまだできていないので、今年はビッグプレーを起こせるような選手になりたいです。
――新体制となり数カ月経ちましたが、チームの雰囲気はどのように感じられていますか
田口 厳しく言えば正直甘いなと思っていて、去年に比べて練習時間も大幅に増えた中で、みんなが受け身になりつつあるという印象を受けますね。ただ、その中でも幹部中心に常に変わろうということを言い続けて、最近は活気のある練習ができているのではないかと感じます。
田窪 練習中の活気でもそうですし、役割や仕事の面でも下級生が精力的に動いている部分があります。今年は4年生の人数も少なく、その分下級生の子が頑張っている印象を受けます。
――新しく主将となった永山開一選手(教4=東京・足立学園)の印象はいかがですか
田窪 永山は1年生の頃からずっと試合に出ていて、日本一に対して貪欲な男だということは同期から見てすごく伝わってきます。とにかく熱い男です。
田口 田窪も言ったように一番熱くて、4年間で一番(チームで)つらいことをやってきた人間だと思っているので、永山がトップに立つことで日本一にさせたいし、あいつくらい全員がやらなければ日本一にはなれないという今年の早稲田の主将兼シンボルという印象です。
「自分が一番チャレンジし続けて、姿勢で見せていきたい」(田口)
今年1年の意気込みを語る田口
――WRユニットでも多く4年生が抜けた中で、お二人はどのように今年のユニットを引っ張っていきたいですか
田窪 昨年から4年生が多く抜けて試合経験のあるレシーバーが少なくなったのですが、逆に言えばどの選手にも試合に出るチャンスが回ってきたので競争意識が出ますし、僕ら4年生を筆頭にユニットの仲間でもありライバルでもあるという部分を見せて、練習でも盛り上げて(チームを)引っ張っていくという意識は自分たちの中で強く持っています。
田口 田窪も言ったように4年が少なく、2、3年はチャンスだと思ってくれているので、そこでコミュニケーションを取りながら失敗を恐れずに前に出てきてほしいということは言っています。そういった点でも自分が一番チャレンジし続けて、姿勢で見せていきたいです。
――今シーズンからQBが新しくなることについてはいかがですか
田窪 去年も、ずっとチームを引っ張ってきたQBの方から宅和さんに変わってシーズンを戦ってきたので、QBが変わるという部分ではそこまで問題意識はないですね。
田口 去年は宅和さんや吉村さん(優、令3基理卒)がいて、(QBの)層が厚かったのですが、今年になって4年生が抜けたことでポジションの枠が空いて競争は激しくなっていると感じます。QBに関してもミーティングや普段の姿勢からも宅和さんや吉村さん以上に自分が一番になってやるという意識が見えるので、不安材料は特にないかなと思います。
――お互いの印象はいかがですか
田窪 プレーの部分で言えば、僕にはできないようなプレーや持ってないものを田口は持っているので、そういった部分では刺激になるし、助けてもらっています。高校の頃はポジションが違う時期もあったのですが、ライバルとして意識していたので、選手としても同期としても大切な存在ではありますね。また、普段から仲がいいのですが、プライベートではチャラいですね(笑)。
田口 おい(笑)。
一同 (笑)。
田口 散々な言われようをされたのですが、良きライバルであり、良き相棒ですね。僕の中ではこの3年間、田窪が一番のライバルだと思って、こいつには負けないという気持ちでやってきました。だからこそ、田窪が持っていて僕が持っていないものや僕が持っていて田窪が持っていないものが多くあって、そういう点で刺激をもらって、お互い伸びてきたのかなと思っています。また、チームに対してもとても考えているやつなので、隠れた熱い男という印象です。
――自分のWRとしての武器は何だと考えていますか
田窪 親に感謝したいのですが、体の大きさを生かしてキャッチやブロックができることです。それは僕にしかできないと思っているので、フィジカルの部分は武器として使っていますし、今後も使っていかなければいけないと思っています。
田口 僕は特に恵まれた体格ではないのですが、クイックネスが一番(の武器)かなと思っています。それは普段のクイックネスの練習から必ず一番を取る意識でやっていますし、それはプレー面でも発揮できていると思います。
――田窪選手から見ても田口選手の強みはクイックネスだと感じていますか
田窪 そうですね。あとは、レシーバーはいろいろな方向に走るのですが、その時の(動きの)キレは他の選手よりも一つ抜けている部分だと思います。
――田口選手から見て田窪選手の強みやすごいと思うところは何ですか
田口 田窪は自分では体格(が武器)と言うのですが、オールラウンダーな選手だと思っています。強みとしてはフィジカルから生まれるブロックとキャッチの力が一番の特徴かなと思います。
――プライベートでも一緒に遊ぶに行くと先ほどお聞きしたのですが、具体的にどう過ごしているなどはありますか
田口 普通にご飯を食べに行ったり、ドライブに行ったりしています。2人で遊ぶ時もありますし、あと何人かで遊ぶ時もあります。
――最後に今年1年の個人としての目標をお願いします
田口 個人記録がアメフトでは出るのですが、そのレシービング部門で1位を獲得することです。
田窪 僕はおととし、ブレナンさん(翼、令3国教卒)が出した秋リーグの記録を超えることです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 足立優大)
意気込みを書いていただきました!
◆田口凛太郎(たぐち・りんたろう)(※写真右)
東京・早大学院高出身。創造理工学部4年。172センチ。73キロ。WR。昨シーズンは明大戦でTDをあげるなど活躍。抜群のクイックネスを武器に今年のWR陣を引っ張ってくれるでしょう!
◆田窪大渡(たくぼ・ひろと)
東京・早大学院高出身。政治経済学部4年。182センチ。84キロ。WR。U19世界選手権日本代表に選ばれた経歴を持つ。代表で培った経験と恵まれた体格を生かし、相手DBを圧倒してくれるでしょう!