『集大成』見せたが関西の壁高く、甲子園6度目の敗戦・・・

米式蹴球

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 14 14 28
関学大 FIGHTERS 17 11 38

 届かなかった、でもきっと残り続ける―――

 今年で74回を迎えた甲子園ボウル。2年連続6度目となる出場を果たした早大は、創部史上初となる『学生日本一』を懸け、関西の雄・関学大との一戦に挑んだ。昨年と同じカードとなった対戦は、両者譲らぬ展開の中、1ポゼッション差以内のビハインドで前半を終える。第3クオーター(Q)にWRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)のこの日3つ目となるTDで早大が逆転。そのまま逃げ切りを図ったが、今回で53回目の出場となる関西王者の執念を前に第4Qで再度逆転を許し、28-38で聖地6度目の敗戦となった。

 早大のキックで試合開始。関学大最初の攻撃をFG、2度目の攻撃をパントに抑えるなど、ディフェンス陣が上々の滑り出しを見せる。これに負けじと、普段は『スロースターター』なオフェンス陣もこの日は序盤からギア全開。RB荒巻俊介(法3=東京・早大学院)のランプレーでフレッシュを獲得するとブレナンが短いパスを捕球後に2人かわし一気に敵陣レッドゾーンへ。最後はQB吉村優(基理3=東京・早実)がタックルを受けながらも、持ち前のフィジカルを生かした走りでエンドゾーンに押し込み逆転に成功する。一気に流れに乗りたい早大であったが、強力な関学大OL陣の前にDL陣がラッシュしきれず。昨年度、年間最優秀選手にも選ばれたQB奥野耕世(関学大)からWR阿部拓朗(関学大)のホットラインに2つのTDを奪われ追う展開に。突き放されまいと、早大もQB柴崎哲平(政経4=東京・早大学院)からWRブレナンへのホットラインが55ヤードのTDパスを決め追い上げる。その後のオンサイドキックは失敗に終わったが、強気の攻めを見せつけ14-20の1ポゼッション差以内で前半を終える。

序盤LB池田主将を中心としたディフェンスが奮闘を見せた


 攻めの姿勢を緩めない早大は、後半最初の攻撃でパント体型からスペシャルプレーを仕掛ける。しかし、プレーの選択に時間がかかったこともあり、関学大に冷静に対処され不発に。関学大有利のフィールドポジションからの早大ディフェンスに、攻守交替の際の隙を突かれランで一発TDを献上。後半開始早々失点を許す展開に、チーム内に嫌な雰囲気が流れ出す。サイドラインにも不安が立ち込める中、暗雲を切り裂いたのは早大の『翼』だった。失点直後のキックオフリターンで味方のブロックの間をすり抜けると、長身を生かした長いスライドの走りで一気に敵陣まで侵攻。続くオフェンスでは柴崎の浮かせたパスをディフェンス2人に競り勝ちエンドゾーン右隅ギリギリでキャッチ。「何人カバーされても決まる」(柴崎)ブレナンにしか取れないゾーンでのTDパスで、再び6点差に詰め寄る。エースの立て続けのビッグプレーでモメンタムをつかんだ早大は、関学大にプレッシャーをかけFGを決めさせない。RB吉澤祥(スポ2=東京・成蹊)がOLの作ったわずかな隙間を突破し敵陣に走り込むと、柴崎が関学大ディフェンスのラッシュを掻い潜りRB高瀬滉平(政経4=東京・早大学院)へパスを通し攻め立てる。最後はまたしても柴崎からブレナンへパスを決め、追いかけるディフェンスを振り切り同点のTD。「今年で一番高い完成度だった」と、ブレナンと柴崎のホットラインで甲子園ボウルの一試合最多TD記録に並ぶ3つ目のTDを奪ってみせた。K/P髙坂將太(創理3=東京・国立)がトライフォーポイント(TFP)にキックを沈め逆転に成功。第3Q終盤での逆転劇に早大スタンドもこの日一番の盛り上がりを見せた。

WRブレナンはこの日3TDの活躍で何度も会場を沸かせ、敢闘賞に輝いた


 ようやくの逆転劇に、「ホッとしてしまった」と柴崎が語るように、チーム内にほんの少しだけ気の緩みが出てしまった。関東での戦いであればそのまま逃げ切れたかもしれないが、幾多の死闘を勝ち進んできた歴戦の猛者は、その隙を見逃してはくれなかった。関学大陣20ヤード付近からの攻撃で、ランを中心にゴール前まで進まれると、RB前田公昭(関学大)のダイブでTDを奪われる。2ポイントコンバージョンもあっさり決められると、次の関学大オフェンスシリーズでもFGを奪われ10点差に。残り時間少ない中で4thダウンギャンブルに出た早大は、運命の1プレーを一年間チームをけん引し続けてきた柴崎とブレナンに託す。誰もが固唾(かたず)を飲み見守る中、柴崎から鋭いパスが放たれる。勝利への望みをかけた一球。しかし、ボールはブレナンの手に収まることなく、無情にも地面に叩きつけられた。最後まで攻める姿勢を見せ続けた早大であったが、ここで万事休す。28ー38の敗戦を喫し、またしても頂に届くことはなかった。

QB柴崎のパスを中心にオフェンスは4TD28得点を奪い健闘してみせた


 「自分としてもチームとしてもやり切った感じはある」とLB池田直人主将(法4=東京・早大学院)が語るように、1年間切磋琢磨しながら作り上げてきたBIG BEARSの集大成を存分に発揮した一戦であった。試合後半での逆転劇に、誰もが日本一への扉が開きかける瞬間を見た。ただ、関学大は強かった。今回で30回目の学生王者となった青の戦士たちには、積み上げてきた勝利の経験から来る余裕があった。「6回出て、6回とも敗れてしまいました」(高岡勝監督、平4人卒=東京・早大学院))と、未だ届かぬ日本一の景色。『闘志』溢れる4年生の示した、聖地での勝利への道筋は昨年よりも鮮明に見えていたはずだ。残った下級生が、その道筋をどのように進み、どのように繋いでいくのか。早大米式蹴球部BIG BEARSの行末を、これからも見届けてほしい。

(記事 涌井統矢、写真 小山亜美、鈴木隆太郎、林大貴)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
関学大 FG #8安藤 0―3
早大 RUN #8吉村 #96髙坂 7-3
関学大 PASS #3奥野→#81阿部 #8安藤 7―10
関学大 PASS #3奥野→#81阿部 #8安藤 7―17
関学大 FG #8安藤 7―17
早大 PASS #1柴崎→#6ブレナン #96髙坂 14-17
関学大 FG #8安藤 14―20
関学大 RUN #26前田 #8安藤 14―27
早大 PASS #1柴崎→#ブレナン #96髙坂 21-27
早大 PASS #1柴崎→#ブレナン #96髙坂 28-27
関学大 RUN #26前田 RUN #21三宅 28―35
関学大 FG #8安藤 28―38


コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――甲子園ボウルの戦いを終えた、今のお気持ちはいかがですか

6回出て、6回とも敗れてしまい不名誉な記録を更新してしまい残念です。節目節目で決められなかったというところで、残念な結果になってしまったかなと思います。


――前半からスペシャルプレーを多用し、攻めた攻撃をみせました

勝負的には後半だと思っていたんですけど、スペシャルプレーはやるなら早め早めがいいと思ったので仕掛けたんですけど、ことごとく失敗してしまったのが敗因の一つかなと思います。


――前半1ポゼッション差以内で終えましたが、前半の戦いは振り返っていかがでしたか

6点差っていうのはTD1つ取ったら逆転できるので、その点ではいい点差だなと思っていました。ただ、ディフェンスが止め切れていなかったのでその部分では不安なところがあったんですけども、後半は関学大さんにオフェンスもディフェンスもコントロールされてしまったのでその部分ではまだまだなところだと思います。


――一時逆転となるパスをキャッチしたブレナン選手は、3TDの活躍でした

やっぱり期待通りというか、さすがブレナンだなと思いました。彼も次のステップに進むに向けていいゲームができたのではないかなと思います。


――柴崎選手もいくつものパスを通しました

本当にここしか通せないというところにパスを通してくれました。彼がこれからどういう道を進むのかはわかりませんが、まだまだ若いのでもう一段上のところを目指してほしいなと思います。


――1年間、この甲子園で勝つためにやってきた今年のチームでしたが、勝つためには何が足りなかったと思いますか

あとでゆっくりビデオを見てですけど、負けたっていうところは関学大さんの方が強かったんだなと思います。


――今年1年間のチームを振り返っていかがでしたか

すごい頑張ってやってくれたなと思います。関学大さんのことをフットボールエリートと言いましたが、うちの選手たちは色々なスポーツを経てアメフトにたどり着いた選手が多いです。試合に出なかったメンバーも含めて全員がどうフットボールと向き合うか、社会の人間として競技に向き合うか、いろいろな人に感謝をしてきょうは取り組めたと思います。それは彼らの1年間の成果ですから、来年以降も繋げていきたいなと思います。


 

――最後になりますが、四年間戦ってきた4年生にかける言葉がありましたらお願い致します

本当に今年一年間4年生のみんなが思い悩み、私から怒られながらもしっかりと取り組んできたことで成長できたと思います。この四年間、そして最後の濃い一年間を将来に生かして、フットボールという素晴らしいスポーツになにか携わってほしいなと思います。




LB池田直人主将(法4=東京・早大学院)

――試合終了直後のお気持ちをお願いします

自分としてもチームとしてもやり切った感はあると思いますけど、やはりまだまだ関西と戦うにあたっては実力が足りなかったなと。結局、昨年や3年前よりも良い試合はできて成長はしていると思いますが、最後の細かいミスや、ディフェンスであれば後半最初のシリーズ、最後のシリーズでスコアされてしまったことは負けた原因になったと思います。それでも全員が気持ちを出してやるという面はやってくれたので、それは良かったと思います。


――関学大への特別な対策は何かありましたか

特別な対策はあまりしていないですね。オフェンスもディフェンスもキッキングも、今までやってきたことをどれだけ相手にかたちを変えて見せられるか、どれだけ思いっきりできるかということをコンセプトとしてやってきました。なので今までと違うことをするよりも、自分たちが一年間やっていたことを関学大相手に出し切ろうということでやってきました。


――ディフェンス面ではランプレーでのゲインを許す場面が見られました

そうですね。原因はいろいろありますが、前半後半通じて同じようなプレーでやられて、自分たちも対策をしていたのですが、それでも練習でやっているスカウトチームの代とは違ったり、わかっていても止められていない部分があったりしました。結構難しいプレーに対し試合中に慣れていけなくて、いろいろ作戦を混ぜられてきたときに気づいたときにはやられているということがありました。長いランが出てしまったのは、自分たちはギャザーを大事にしていたのですが、そこができていなかったためなので修正していってほしいかなと思います。


――第4Qでは最大10点のビハインドでした。劣勢の中ではどのような意識でプレーされていましたか

自分たちとしては劣勢であろうと勝っていようとやることは変わらないので、どのようなときでも攻める姿勢、気持ちを出して相手に向かっていく姿勢を大事にしていました。


――主将として過ごした一年間を振り返っていかがでしょうか

いろいろしんどいこともあって最後も勝って終わりたかったなと思いますが、自分たちのやってきたことを全て出して負けてしまって、そこは今までの努力が足りなかった部分だと思います。後輩には何が駄目だったのか、何が足りなかったのかをしっかりレビューしてもらって、日本一になれるように頑張ってほしいと思います。


――今年のチームはどのようなチームだったでしょうか

良くも悪くも仲が良くて、和気あいあいとしていたチームだと思います。その反面、練習では緩い雰囲気が出てしまうこともありました。それでも全員で戦おう、やっていこうという意識は本当にチーム全体にあったので、今年の4年生全員がつくり上げてきた、仲良い中にも厳しさがある、ということは最低限できていたと思います。ただ日本一になるためには取り組みがまだまだ足りなかったと思うので、そこは反省するというか後輩に託したいなと思います。

 

――ご自身のBIG BEARSでの四年間は振り返っていかがでしょうか

自分は1年から4年まで試合に出させていただいて、コーチの方や先輩方に感謝していますし、そういった面で自分はあまり苦労なくやってこられたので、最後まで思い切りやらせてもらいました。また、ずっとLBだったのですが、4年生になっていわゆる4-2のLBとなって、いろいろ自分で考えながらやってきました。そういった面で充実した4年間だったのかなと思います。


――最後に後輩に向けて一言お願いします

 

自分はまだまだ取り組みが足りないと思うので、今年もそうでしたけど、1年生から4年生まで本当に全員で日本一になりたいと思い、きょうのこの悔しさを忘れずにどれだけやれるかだと思います。スタメンに4年生が多く上手かった選手が抜けますが、それよりも良いパフォーマンスを見せていかないと勝てないと思うので、どれだけストイックにできるかが大事だと思います。そこをしっかりミーティングで話すなり先輩に聞くなりして、来年再来年3年後、まずここにまた戻ってこられるように。そしてここに戻ってきたときに満足するのではなく、勝つということを掲げてやってほしいかなと思います。




QB柴崎哲平副将(政経4=東京・早大学院)

――試合を振り返っていかがでしたか

勝てなかったことがすごく悔しいですし、勝たせられなかったことはすごく申し訳ないです。それでもこの大舞台でこんなにワクワクする試合ができたことはすごく楽しかったです。フットボール人生の中でも本当に忘れられない試合になりました。


――一時はブレナン選手へのパスで逆転する場面もありました。逆転した時のお気持ちとしてはいかがでしたか

ようやく逆転できた、このままいけば勝てるという気持ちと、少し安心してしまった気持ちがありました。ホッとしてしまった自分がいたことが、そこで突き離せなかった最大の要因だと思います。本当にそこは申し訳ないです。それでも、この試合で一番楽しいと思える瞬間でした。あの瞬間の興奮は忘れられません。


――この試合ではTDパスをブレナン選手に3度決められましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

ブレナンに頼ってしまったなというところもありますが、ディフェンスをしっかり見て、パスターゲットを選択できていたと思います。昨年の甲子園よりフィールドを落ち着いて見ることができてました。


――改めてになりますが、ブレナン選手との4年間、そして今年1年間のパスユニットを振り返っていかがでしたか


ブレナンが四年間一緒にいてくれたおかげでここまで成長できました。彼が僕に求め続けてくれたことに対して本当に感謝したいです。今年のパスユニットは、最初はすごく不安でしたが、最後の秋シーズン、甲子園では安定した捕球やランアフターキャッチに何度も助けられました。甲子園ではこのパスユニットだからこそ、僕もギリギリの中でプレーできました。本当に感謝したいです。


――関学大ディフェンスの印象としてはいかがでしたか

さすがだなと思わされる場面は多かったです。組織として守ってくる点や、関東ではほとんどされなかったDLにチップされる場面など。それでも、全然勝負できてたと思います。


――10点差で迎えた最後のオフェンスシリーズ。どのような気持ちで迎えられましたか

ただただ、勝つという気持ちでした。とにかく時間を残してオンサイド決めて、逆転してやろうと。勝つ気持ちは最後まで持ち続けていました。


――最後の4thダウンギャンブルを失敗してしまい、ベンチに戻る際には笑顔も見られましたが、この試合ご自身の『集大成』は見せることができましたか

100%ではないですが、見せられたと思います。それもレシーバーと、被サック0と本当に守り続けてくれたOLのおかげです。仲間のおかげで、自分のプレーを甲子園でできました。やり切ったという気持ちはあります。


――BIG BEARSとしての四年間、そして早稲田を背負った七年間振り返って、今なにを思いますか

最後まで勝てないQBだったなと思います。本当に申し訳ないです。やり切った気持ちもありますが、チームメイトや応援してくださった方々の言葉、涙を見たときは本当に悔しかったです。それだけは心残りです。それでも、最後、自分たちの戦い方、甲子園で関学に対抗する方法を早稲田に残せたなと思います。
後輩たちには僕たちが残した道を走り抜けて関西に勝って日本一になってほしいなと思います。


――今後の目標などがありましたら言える範囲で大丈夫ですので、お願い致します

もっともっとステップアップして成長したいです。きょうのような感動を見てる人に与え、自分もワクワクできるよう、このスポーツと真摯に向き合っていきたいです。また、自分が学んだことを伝えていきたいなとも思います。コーチとか興味あります。色々な道があるので、少し考える時間を作って新しい一歩を踏み出します。少なくとも、このスポーツとはずっとなんらかのかたちで関わり続けたいです。


――来年以降もチームは続いていきます。後輩にかける言葉がありましたらお願い致します

まずは感謝です。後輩たちの成長がなかったらここまで来れなかったし、本当に一緒にプレーしてて心強かったです。来年からは今日感じたことを忘れずに、やり抜いてほしいです。自分たちで考えて、自分たちがやり切れると思った道を走り抜けてほしいです。少しでも力になれることがあったら、いくらでもサポートしたいです。




 

DL二村康介副将(文構4=東京・獨協)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

3Qの途中で逆転したシリーズもあって、チームとしても甲子園で勝って次につなげていくということを決めていたので、そこの部分で最後4Qに離されてしまったところはやはり力不足を痛感したので悔しいですね。


――相手のオフェンスラインの印象はいかがでしたか

すごい元気で気持ちが入ってプレーしていて、前もめちゃくちゃ声を出していて、僕らも負けじと気持ち入れてという意味ではすごくいいライン戦はできたかなと思っています。


――後半ではDLが相手を押しているシーンが何度も見られましたが、後半を振り返っていかがでしたか

僕自身昨年出場して個人的に自分は戦えるといった自信をもって挑んでいて、他のDLのメンツはまだまだ経験が少ない人が多かったので、そこらへんが後半に入って自分たちに自信を持ってプレーできるようになったというところが一つあるのかなと思います。


――試合を通して何度もQBサックをするチャンスが多く見られたと思いますが、奥野選手にうまくかわされるシーンが何度も見られました。それについてはどのように感じられましたか。

やはり奥野選手は逃げるのがうまいし、逃げてから投げるのもうまいといったところで僕らがどれだけプレッシャーをかけていい状態で投げさせないか、投げる前に仕留めるかといったところが勝負になるかなと思っていたのですが、やはり逃げるコースであったりというのが一枚二枚上手だったかなといったところは正直なところですね。


――この一年のDLユニットを振り返っていかがでしたか

今年から伊藤信彦コーチという元々日体大出身で富士通フロンティアーズの主将を務めていた人がDLのポジションのコーチになって、本格的に指導を今年から開始していただいて、DL全員が厳しい練習を乗り越えて全員が自信をつけて激しく最後までプレーをするというふうに一年かけて上達していたのかなとは思っていたので、今年結果を出せなくて残念な気持ちです。


――ご自身の四年間を振り返っていかがでしたか

本当に自分の中でも集大成だなという思いはあって、ここで結果を残して、チームとしてもしっかり勝って日本一になりたいという思いはあったんですけど、やはり関学の方が一枚上手だったのかなといったところで今はすごい悔しい気持ちとなんというかなんとも言えないような感じですね。


――最後に後輩へのメッセージをお願いします

試合に負けた後のセレモニーの景色とかは絶対に忘れてほしくないです。結構下級生も試合に出てる中で、自分たちはしっかり戦えている自信も多少は持ったと思うのでそこら辺をしっかりこの悔しさを忘れないことを含めて練習に生かしてやはり来年以降もっともっと強いチームにしていってほしいという思いはありますね。




OL香取大勇(スポ4=東京・佼成)

――試合を終えての率直な気持ちをお聞かせください

悔しいです。途中逆転してそのままもう1回TDを取って勝てると思ったけど、最後はKG(関学大)の底力を見せつけられて負けてしまったので、そこは悔しいというのが率直な気持ちです。


――相手のDLと対峙(たいじ)してみての印象はいかがでしたか

スカウティングの時点から、相手のことを想定して練習に取り組んでいたので、それが実際に試合でも相手に臆することなくプレーすることができたのではないかと思います。


――ランプレーが止められた場面が多かったと思いますが、その点に関してはいかがですか

相手のディフェンスのコールがうまくはまって止められてしまったのかなと思っていて、OLなどの1対1の部分では負けている印象はなかったのですが、LBのスピードで隙間から刺されてロスしてしまってプレーが出なかった部分があると思うので、そこがランが出なかった原因じゃないかなと思います。


――QBサックを0に抑えましたが、パスプロテクションに関してはいかがでしたか

相手のスピードをすごく警戒して練習に取り組んでいたので、それが実際の試合でもQBサックがなく、プレッシャーがあまりかからなかった要因だと思うのでそこは胸を張れるよかった部分だと思います。


――後半の10点差になってしまって以降の展開を振り返っていかがですか

今まで関東のリーグでもそういったシチュエーションで逆転してきたので、そこに関しては誰も諦めず最後まで取り組めたのではないかと思います。


――この試合で引退になりますが、四年間を振り返っていかがでしたか

1年生の頃から(試合に)出させてもらっていて、1年生の時は先輩に頼りっぱなしで負けにつなげてしまった部分もあったので、その借りを返すつもりでやっていて、3年生の時には自分が負けさせたといってもいいぐらい悲惨な結果で、この1年間本気で取り組んできました。最後の甲子園では自分としては満足のいく、自分の力を出し切れたのかなと思うし、(今までの)甲子園のなかでも1番楽しかったと思います。


――最後に後輩へのメッセージをお願いします

こういった試合を経験できたということはすごく貴重なことだと思うし、オフェンスで28点取ることができたというのはすごく早稲田のオフェンスにとっていいことで次につなげられる部分もあったと思うので、この試合で出たミスや欠点を見直して来年の日本一につなげてもらいたいなと思います。




WRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)

――きょうの試合全体を振り返っていかがですか

結構いい感じにオフェンスと進んでいて勝てるかなと僕は思っていたのですが、結局最後の第4Qでは0点でした。関学は強かったなと最後に感じました。


――今の率直なお気持ちを教えてください

やはり負けたというのは本当に悔しくて、改めて負けることって辛いなと思いました。でも、甲子園という本当に大舞台でアメフトをプレーできて、強いディフェンスとやれたというのは楽しかったです。


――きょうの試合で3TDを決められましたが、それぞれ振り返っていかがでしたか

あれは相手のミスカバーレッジで、コーナー(CB)が内に入っていて、セーフティ(S)のヘルプがいなくて、これは来たなと思いながら取りました。ちょっと足が遅いので追いつかれるかなと思って、後ろを向きながら走っていたんですけど、逃げ切れたのでよかったです。2つ目は結構ボールが浮いていて、前を相手に入られていたので、とりあえず相手より先に跳んでボールをつかもうと思っていました。相手の手を置く位置がうまくてジャグってしまって、これはやばいとその時は思いました。最後になんとかつかめて。あとはサイドライン側だったので、足を残すことを意識したら、結果オーライでした。最後のTDではレシーバーのコーチたちが細かいディテールにこだわって教えてくれたテクニックを一つ使いました。ダブルプラントといって、2回プラントを踏んで相手の足の動きを少し止めるものなのですが、それがうまくはまって、哲平(QB柴崎)にもそれが見えていて投げてくれたので、TDをとれたというかたちでした。


――3TD目が第3Qの早大の逆転場面となりました。その時のお気持ちを教えてください

何がなんだかわからなくて、興奮状態でした。


――関学大のディフェンスの印象はいかがでしたか

個人的にはそこまでやられているとか疲れているとかはあまり感じていなかったです。11人でやるスポーツなので、他のヘルプやLBを良い位置に置いて、自由に動けないようにしているのは感じたのですが、別に嫌という気持ちはなかったです。なので個人的には勝てていたかなと思います。


――甲子園ボウルに向けて、『No Regrets』という目標を掲げられていたと思います。チームとしては悔いの残る結果となりましたが、個人として目標は達成できましたか

自分の最大限のベストを尽くすことができたので後悔はないかもしれないです。


――大事な場面での柴崎選手とのホットラインが目立ちましたが、課題とされていた意思疎通の完成度はいかがでしたか

きょうは今年で一番高い完成度だったと思います。


――早大でアメフトをプレーしてきた4年間を振り返っていかがですか

本当に色々な人に助けてもらい、色々な人に出会えて、早稲田にしてよかったなと今は思います。


――学生日本一への挑戦は後輩へと託されることとなりました。チーム、そして後輩に向けてメッセージをお願いします

負けることは辛いし、負けたら何も残らないというのが事実なので、もうこんな気持ちをさせないように、来年も頑張ってほしいと思っています。


――最後に、ご自身の今後の目標を教えてください

学生アメフトキャリアはこれで終わってしまったのですが、僕自身はこれからもアメフトを続けようと思っているので、まずは海外のトライアウトに向けて頑張っていきたいと思います。




DB永井雄太(商4=東京・早大学院)

――試合を終えられて、今の気持ちを聞かせてください

勝てなかったことは悔しいですが、後悔はあまりないです。本気で勝てると思って自分たちができる準備をしっかりして、それをフィールドでもしっかり出せたので、負けたことは悔しいですが後悔なくやり切れたかなと思います。


―― きょうの試合振り返っていただけますか

後半はCBとしてDB我妻航汰(商3=茨城・茗溪学園)が出ていたのですが、本当に彼がチームを救ってくれたかなと思います。


―― パスが通されたシーンもあったように見受けられましたが

チームとしてまずはランを止めるというなかで、DBとしては厳しい戦いではありましたが、そのなかでも1対1にこだわり切れなかったことが要因かなと思います。


―― 米式蹴球部としての四年間はいかがでしたか

日本一にはなれませんでしたが、最高の仲間に囲まれた四年間だったと思います。


――試合後のハドルではどのようなことを話されましたか

後輩への感謝の思いとこの悔しさを忘れないで欲しいということを話しました。


――後輩へのメッセージをお願いします

甲子園を勝つ場所にして欲しいと思っています。サポートは何でもするので、OBとして勝たせてください。




K/P髙坂將太(創理3=東京・国立)

――今回の試合を終えての感想をお願いします

やはり関学強かったなということと、何もできなかったなと思います。自分としてもチームとしてもまだまだやれなかったことがあるのでしっかり大事なことを修正してやっていきたいと思います。


―ご自身のプレーに100点満点で点数をつけるなら何点でしたか

自分としては50点だと思っています。チームを勢いづけるパントにはならなかったし、勝つために求められたことを100パーセント遂行できなかったので、本当にそこは自分の力不足だと感じます。


――昨年も甲子園ボウルに出場されていましたが、今年は何か気持ちの面で変化などはありましたか

前の取材でも話したと思いますが、やはり昨年の甲子園ボウルは関学を前にして驚いてしまったんですけど、今年1年は関学を意識してやってやるっていう気持ちでしっかりやっていました。


――来年以降もチームの中でキッキングが重要になりますが、意気込みをお願いします

先ほどおっしゃられたとおり、柴崎さんとか翼さん(ブレナン)が抜けてオフェンスってもっともっと頑張らなきゃいけない状況で、キッキング、パント、FGは今年よりももっともっとできないといけないなと思うので、しっかりとこのシーズンで学んだことを生かして、少しでも成長して来シーズン絶対この場所に戻って来られるように、戻って来て絶対勝てるようにしたいので成長していきたいと思います


――先輩方の最後の勇姿をご覧になっていかがでしたか

そうですね、やっぱり1番長く共にプレーしてきた代なので、色々と言われることもありましたし、キッキングだったら先輩とは今年1年間一緒にああしよう、こうしようと試行錯誤しながら頑張ってきた代なので、本当にその先輩を勝たせられなかったというのは自分が1番悔しいと思うところです。こういう思いは二度としたくないので、本当にこの甲子園で勝たなきゃいけないと思いました。来年は本当に厳しい戦いになると思ういますが、勝ちたいという気持ちです。




WR小貫哲(教3=東京・戸山)

――今のお気持ちをお願いします

チームとしてはやれることをやれるだけやって、その中でもミスとかもあったと思いますし、個人的にも悔いが残るかたちになってしまったんですけど、そこも含めて実力だったのかなと思います。


――前半、パスキャッチが目立ちましたが振り返ってみていかがでしょうか

あのゾーンは日頃からQBと合わせたりしていて、前半は決められたりしたんですけど、後半からアジャストしてきたのでそこでもっと対応してパスが通る様にできたのかなと思います。


――4年生のプレーをする姿を見ていかがでしたか

いつもは自分がオフェンスユニット内で引っ張っていこうという気持ちでやっていたんですけど、今回は4年生も目の色を変えてプレーしていて自分自身としては4年生に引っ張られながら試合をやっているなという感じでした。


――来年度への意気込みをお願いします

柴崎さんと翼さん(ブレナン)のホットラインがあってのパスユニットだと思うんですけど、来年そこの二人が抜けるので、そこをどう埋めていくかというのをシーズンに向けて練っていかなければいけないと思っています。総合力で今年のユニットを超えれるようなユニットを作っていきたいなと思います。




DB大西郁也(法3=東京・早大学院)

――まず、今の率直な気持ちを教えてください

昨年と同じ相手である関学に負けてしまって悔しい限りです。


――きょうのご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか

きょうは僕自身自由に動けるアサインメントが多くて、そういった中では要所でのタックルで自分の役割が果たせたのかなと個人的には思ってます。ただ、ボールを出す中でサードダウンショートの状況でフレッシュをたくさんとられる場面が多々あって、そういったところで流れを持っていかれて、38失点という結果になったのかなと思います。


ーー一時、逆転した場面がありましたが、その時のチームの雰囲気を教えてください

チームでは今年こそは勝ちたいと中で逆転して、いい流れになっていたと思います。


――関学は奥野選手を起点として攻撃を仕掛けていましたが、奥野選手のプレーについてどう感じていましたか

(奥野選手は)走るのが速くて、自分たちはラッシュを入れていたんですけど、奥野選手はスクランブルをしてきて、最初はパスカバーができているのに、(奥野選手を止めるのに)時間がかかってパスを通されてしまったので、そういうプレーが奥野選手自身の武器だと思います。


――関学との差はどこにあったと思いますか

対応力ですかね。ファーストシリーズを耐えたんですけど、そこから自分たちのサイドの幅の弱点を早々に見抜かれてしまって、そういうところで向こうにリズムを作られて自分たちがすぐに対応できなかったのが差だったのかなと思います。


――昨年と比べて、ご自身のプレーはいかがでしたか

昨年は1試合を通してプレーに絡めたなというシーンがなかったんですけど、今年(の試合)は結構プレーに絡むことができていて、そういった点で自分は関学相手に1年間で成長したと思います。


――きょうで4年生が引退してしまいますが、その背中をみて何か思うことはありますか

今年の4年生たちはフットボールに対してとても真摯(しんし)に取り組んでいて、それぞれが本気で勝ちたいと思っていて、スタメンに4年生が多い中で、どれだけの人間が4年生の『闘志』を受け継いで次につなげていけるかが大事だなと思います。


――今後に向けての意気込みをお願いいたします

これでシーズンが終わって世代交代なのですが、甲子園で関学にまた負けたということを一人一人が心に留めて、どうしたら関西の大学に勝てるのかを入念に考えて行く必要があると思いました。




RB吉澤祥(スポ2=東京・成蹊)

――初めての甲子園ボウル出場でしたがいかがでしたか

本当に全然何にもできなくて。ただ悔しいです。悔しさだけです。


――ご自身のランプレーでゲインする場面もありましたが、そのプレーを振り返ってお願いします

OLの先輩がしっかりブロックしてくれて、そこを自分が思いっきり走っただけです。本当にOLの先輩に走らせてもらっただけですね。でも、その時はすごく楽しかったです。やっぱり、自分の力では何にもできなかったです。悔しいです。


――実際に関学大と戦ってみての印象を教えてください

やはり強いですね。でも、みんな何にもできなかったわけではないと思います。関学のアメフトに関してどういうチームだと言うことはできないですが、やはり最後までやりきってくるチームで、強かったなと思います。

――RBのポジションをRB中野玲士選手(商4=東京・早大学院)、荒巻選手、広川耕大選手と4人で争ってきた1年を振り返ってお願いします

すごく楽しかったです。やっぱり、やっている時はめちゃくちゃきついと思っていたし、痛い所もあって、何度もやめようかなとかもういいかなとか思うこともあったのですが、続けてきて先輩と争うということはすごく楽しかったです。