TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 7 | 10 | 0 | 10 | 27 |
明大 GRIFFINS | 0 | 0 | 7 | 7 | 14 |
春の雪辱を果たし、関東王座を確かなものに―――
関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)もいよいよの最終節を迎えた。相手は春に対戦し完敗を喫した強豪・明大。レベルの高いスキル陣を多く揃える難敵だ。2年連続の全勝優勝が懸かった一戦は、第1クオーター(Q)に今シーズン初となるパントリターンTDで先制すると、終始早大ペース。ディフェンスも前半を完封に抑えるなど、課題である「試合の入り」からリズムをつかみ、27-14の快勝を収めた。
パントリターンTDを含む2TDの活躍を見せたWR小貫
試合は序盤から動いた。DL二村康介(文構4=東京・獨協)のQBサックが飛び出すなどディフェンスが機能。明大最初の攻撃をダウン更新1度に抑え。迎えたパントシチュエーション。低い弾道で蹴りだされたボールをWR小貫哲(教3=東京・戸山)キャッチすると、ブロッカーをうまく使い左に大きく展開していく。最後は待ち構えるディフェンスをステップでかわしエンドゾーンへ。「練習ではいつ出れるようになっても大丈夫なように準備はしてきていました」と今シーズン初のパントリターナー起用に小貫が応えてみせた。開始早々の先制で波に乗った早大はコンスタントにランで進め敵陣まで進攻。この日けがで欠場のQB柴崎哲平副将(政経4=東京・早大学院)に代わり、久方ぶりのスターターとなったQB宅和真人(政経3=東京・早大学院)のスクランブルでレッドゾーンへ。「きょうはすごく落ち着いてリーダーシップを持ってプレーできていた」と高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)も成長を喜ぶ宅和から、先ほど先制点をたたき出したの小貫へのパスが通りTD。3年生コンビのホットラインで点差を離すと、第2Q終盤にもFGで3点を追加。17-0で試合を折り返す。
快走を見せたRB中野。OL陣のブロッキングも光った
後半に入ると巧みなランスキルを持ったRB小泉亜斗夢(明大)のランに苦しめられ、ゴール前からのダイブでTDを献上。しかしここは負けじとRB吉澤祥(スポ2=東京・成蹊)のランを中心にゲインを重ね敵陣へ。K/P髙坂將太(創理3=東京・国立)が44ヤードFGをきっちりと決め、流れは渡さない。その後も攻撃の手は緩めず、「自分が思ってた方向に投げて相手が思ってたところに来てくれた」と、宅和からWRブレナン翼(国教4=米国・ユニバシティラボラトリースクール)へのTDパスが決まり試合を決定付けた。その後1つTDを許したがオフェンス、ディフェンスともに明大をコントロール。優位に試合を進めた早大が2年連続となるリーグ戦全勝優勝を遂げた。
リーグ戦全試合を終え、優勝の記念撮影をする選手たち
「春からの成長が見れた」と高岡監督が語るように、課題としていたファーストシリーズでの得点を挙げるなど、柴崎を欠く中で27得点を獲得したことはオフェンス全体の安定感が向上した成果だ。ディフェンスも試合開始から勢いのあるラッシュを見せ、明大を苦しめ続けた。『学生日本一』へ。次のステップはその挑戦権得るための戦い、東日本代表校決定戦。関東王者としての誇りを胸に、勝負の一戦に挑む。
(記事 涌井統矢、写真 小野寺純平、黒田琴子、小山亜美、友野開登)
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得点経過 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
TEAM | Q | PLAY | PLAYER(S) | PAT | PLAYER | G/NG | スコア |
早大 | 1 | PR | #2小貫 | K | #96髙坂 | G | 7-0 |
早大 | 2 | PASS | #12宅和→#2小貫 | K | #96髙坂 | G | 14-0 |
早大 | 2 | FG | #96髙坂 | 17-0 | |||
明大 | 3 | RUN | #32小泉 | K | #3埒見 | G | 17-7 |
早大 | 4 | FG | #96髙坂 | 20-7 | |||
早大 | 4 | PASS | #12宅和→#6ブレナン | K | #96髙坂 | 27-7 | |
明大 | 4 | PASS | #8櫻井→#15吉田 | K | #3埒見 | G | 27-14 |
コメント
高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)
――パントリターンでの先制でしたが、振り返っていかがでしたか
今年はどっちかというと藤崎がメインで出ていたんですけど、久しぶりに小貫がリターナーで存在感を出してくれたかなと思います。ちょっと反則もしてしまったんですけど、小貫の成長っていうのはいろいろな意味でも良かったなと思います。
――課題とされていたファーストシリーズで得点に結びつけましたが、その点はいかがですか
柴崎がけがで宅和が先発という事で、彼は春も何試合か先発で出ていたんですけど、きょうはすごく落ち着いてリーダーシップを持ってプレーできていたので、宅和の成長も見れて良かったなと思います。
――オフェンスは27得点でしたが、振り返っていかがでしてか
ラインズもこの間の法大戦でけが人が出て少しメンバーが変わってはいたんですけど、ライン戦で優位に立てたのでRBも気持ちよく走れたんじゃなかったのかなと思います。
――柴崎選手のけがの状態はいかがですか
大丈夫かと。甲子園には間に合うとは思います・・・。
――フレッシュな下級生の選手の出場多く見られましたが、彼らのプレーはいかがでしたか
フレッシュというわけではなく順番で出していたので、1年生も何人か出ていて思った以上のパフォーマンスを出してくれて彼らにとってもいい経験になったなと思います。
――ディフェンスも前半無失点に抑えましたが、前節の法大戦から修正された点も多いと思いますが振り返っていかがですか
DLが結構結構いいプレッシャーをかけてきたというところで、たまにRBが抜けてくることもありましたけど、きょうはディフェンスのベテランのメンバーは、明治のRB小泉選手始め良いRBが揃っていて、春のリベンジということもあったのでそこについては燃えていたのでタックルの面に関しても頑張っていましたね。
――反則が多い試合になりましたが、その点はいかがですか
そうですね。そこはやっぱり大きな課題ですね。ここまでのリーグ戦は割と少なめできたんですけど。競り合ってる中で反則してしまうのは仕方がないんですが、フォルススタートなどは普段試合にあまり出ていないメンバーがやってしまったというところもあるので、この1週間で修正していきたいと思います。
――対戦相手の明大のオフェンス、ディフェンスの印象としてはいかがですか
春に対戦した時は非常に苦しい試合をした相手ですし、きょうは西本選手と渡邊選手が出ていなかったのでその2人が出ていたらもうちょっとディフェンス陣も苦しめられたのかなと思います。明治のディフェンスに対してはうちのオフェンスが頑張ってコントロールできたというところで春からの成長が見れたなと思います。
――次戦、東日本代表校決定戦・東北大戦へ向けた意気込みをお願いします
甲子園ボウルをかけた一戦です。過去、かなり苦戦を強いられてきたチームなので前半でどれだけ自分たちのフットボールができるか、自分たちのペースに持っていけるかっていうのが一つのテーマだと思っていますので、1週間という短い準備期間ですが、その短い時間の中でどれだけ集中して準備できるかというところで、時間を有効的に使って東北大戦なんとか勝利できればなと思います。ありがとうございました。
RB中野玲士(商4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたが
メンバーがいつもと違い、自分が引っ張っていかないといけないなと思ってがむしゃらに走れたのですが、TD取れていないことが自分の中ではすごく悔しいです。オフェンスの目標としていた点数にも届いていないのでそこにも悔いが残っています。でも、勝てたので良かったです。
――ランプレーはコンスタントにゲインしていましたが、RBユニットとして振り返っていかがですか
今年のRBユニットは全員が良いレベルにいて誰が試合に出てもおかしくない状況で、そのなかで序列争いをしてそれで残った人が試合に出るのですが、そこを勝ち抜いたという自信をみんなが持っていて辛い試合も乗り切れていると思います。だからRBユニットとしては誰が出てもすごくいいプレーが多かったと思います
――RBの競争が激しいということをどのように捉えていらっしゃいますか
自分はすごく良いことだと思っています。下級生の突き上げなどが自分の刺激になったりもしているので、RBユニット全体として上手くなっていくことができるので序列争いが激しいことは良い方向に働いているのではないかと思っています
――ラストイヤーでのリーグ優勝ですがシーズンを振り返っていかがですか
出れていない試合もあって我慢の時期だったのですが、そういうことをしっかりと乗り越えてここまでたどり着けたというのはチームとして大成功でした。みんなの力でここまでこれたなと思っています
――東日本代表校決定戦、甲子園と続いていきますが今後への意気込みをお願いします
これからも辛い試合が続いていくと思うのですが、自分たちは日本一が目標なので、東日本代表校決定戦をしっかり勝って、甲子園も勝ちたいと思います
WRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)
――きょうの試合全体を振り返っていかがですか
きょうの試合は出だしがカギだったかなと思っていて、ディフェンスが決めてからのパントリターンTDを小貫が決めて、そこからずっと前半は早大がモメンタムをつかんでいたと思います。明大は優れたRBや走れるQBがいて、後半は早大の得意ではないランディフェンスも今後の課題ではあるのですが、ドライブがずるずる続いてしまっていたかなと思います。
――第4QでTDを決められましたが、振り返っていかがですか
残り2分を切っている場面で続けてランが出ていて、時間を削ろうという作戦だったので、ずっとブロックなのかなと思っていたのですが、宅和くんに次パスだよと言われた時はすごく嬉しくて、絶対これは取らなきゃなと思っていました。やはりTD取れた時は気持ちよかったです。
――きょうはランプレーで攻めるオフェンスの場面が多かったと思いますが、その中でのご自身のプレーを振り返っていかがですか
やはりレシーバーとしてはボールをキャッチするのが楽しいので、正直辛いというか悔しい気持ちがありました。ランがたくさん出ている中で、ランでコントロールしようというゲームプランだったので、ブロックに入っていました。やはりキャッチの方が楽しいのですが、ブロックでロングゲインを取れたところもあったので良かったなと思います。
――リーグ戦第6節のPlayer ofthe weekに選出されましたが、どのような気持ちでリーグ戦最終試合に挑まれましたか
Player ofthe weekを受賞できて嬉しかったのですが、個人としては今季の目標としてチームとして日本一と、個人としてWRの記録をつくりたいと思っていました。この試合が始まる前の時点で、歴代と比べて13キャッチと209レシーブヤード足りていなかったので、そこの記録を目指して試合に挑みました。
――早大BIG BEARSとして最後のリーグ戦を全勝優勝で終えられましたが、振り返っていかがですか
チームとして全勝できたことはすごく良かったと思います。個人的な課題やミスとしては、去年に比べて落球の数が多かったことと、ディープパスを取りきれなかった場面もあったので、シーズンとしては満足していないです。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
負けたら最後なので、絶対東北大戦に勝って、甲子園も勝ちたいです。個人でも活躍したい気持ちもあるのですが、チームとして初の日本一を成し遂げたいです。
DL古田泰一(法4=東京・早大学院)
――試合を振り返っていかがでしたか
試合前の雰囲気は特に前節で優勝したせいで多少緩くなっていて、試合の入りもあまり良くないと思っていました。でもディフェンスが「スロースターター」と毎試合課題として言われているファーストシリーズで、相手オフェンスを気持ちよく止めることができて、パントリターンでTDできたことでいい流れができたと思います。
――最初の明大のオフェンスシリーズでのサックの場面を振り返っていかがですか
二村の個人技です。この試合では明治のランプレーがDLにとって春からの大きな課題だったのでサックできたのは逆に驚きました。
――明大のRBの印象はいかがでしたか
小泉選手は高校の時から相変わらず動きがキレていて良かったです。それ以外は特に印象に残っていません。
――DLの出来としてはどのように捉えれていますか
多くのメンバーでローテションでき、全員が自分のレスポンスを全うできていて良かったと思います。
――シーズンを通してのDLの出来はどのように捉えられていますか
全体としてあまりプレーに絡むことができませんでした。相手がロングパスをしてこなかったこともありますが、サックも少なくまだまだ発展途上のポジションだと思います。
――東日本代表校決定戦、そして甲子園ボウルへの意気込みをお願いします
もっとDLが活躍して目立てるように頑張りたいです。
QB宅和真人(政経3=東京・早大学院)
――今回の試合を振り返ってみていかがでしたか
そうですね、結構緊張して試合に望みましたが最初に小貫(WR小貫哲、教3=東京・戸山)がTDを決めてくれてだいぶ気が楽な状態で試合に入れたのが良かったかなと思います。最初の方は難しいプレーとかなかったのでそこで自分のリズムを作れたのかなと思います。
―フル出場となりましたがご自身プレーされてみてどのような感想を持たれましたか
結構楽しめたというのが1番の感想かなと思います。大学に入ってから初めてフル出場した試合で、集中力が途中切れそうになる場面でも気合を入れて頑張りました。
――今シーズンでのQB柴崎哲平(政経4=東京・早大学院)のプレーを見て、今回の試合に生かしたことはありますか
いつも一緒に練習してて上手いと思うところは盗めるようにしているのですが、試合では特にゲームを作る上で不必要なボールトラブルを起こさないとか、簡単なパスをちゃんと決めたりとか、パスを飛ばしてリズムを作るとか、そういったところはスキル以外でもめちゃくちゃ尊敬している部分でもあるのでそういうところは一歩づつでもできたかなと、そういうところをできるようにしようというのは1つの目標としてありました。
――2つのTDパスを振り返ってみていかがでしたか
きょう2回TDパス決まったんですけど、特に2つ目のTDでのパスは自分が思ってた方向に投げて相手が思ってたところに来てくれたって感じで1番嬉しかったかなと思います。
――今回の試合で反省点などは何かありましたか
普段、柴崎さんと一緒に練習しているOLとかは自分がプレー始まるまでのリズムとか違ったりして、不必要な反則などがあったりしたのはチームとしても課題だと思います。あとは自分がGLなった時とかインターセプト含めそういった反則で最後TDを取りきれなかったのはツメの甘いところだと思います。
――今後の意気込みをお願いします
東北大との試合や甲子園ボールと続く中、自分にも試合に出るチャンスは残っていると思うので、残り試合が少なくなってきたからこそ自分なりのかたちでチームに貢献できることを考えていきたいと思います。
WR小貫哲(教3=東京・戸山)
――先制のパントリターンの場面を振り返ってみていかがですか
自分自身パントリターンを務めるのが久しぶりで、緊張していた部分もあったんですけど、結果としてチームに流れを持っていけたので良かったなと思っています。
――今シーズンパントリターンでの得点は初となりましたが、今季のリターナーとしての出来はどのように捉えられていますか
秋の公式戦ではリターナーを一回もやってきていなくて、今回が初だったんですけど、練習ではいつ出れるようになっても大丈夫なように準備はしてきていました。それで今回出る機会があって、チャンスをものにできたので良かったです。
――TDパスもキャッチされましたが、あの場面を振り返ってみていかがですか
あそこは練習から絶対に決めようと宅和と話していたので、決まって良かったと思います。
――ご自身の秋シーズンのプレーをふりかえっていかがでしたか
所々流れを動かせるプレーができたのは良かったなと思うんですけど、際どいところだったり、大事なところでのブロックだったりで決め切れていなかった部分があるので、そこをこれからの東日本と甲子園ボウルに向けて突き詰めていきたいなと思います。