TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 7 | 3 | 0 | 0 | 10 |
立命大 PANTHERS | 0 | 0 | 10 | 0 | 10 |
昨年度関西学生秋季リーグ(関西リーグ)戦2位。昨年の甲子園ボウルで早大が完敗を喫した学生王者・関学大に対し、甲子園ボウルへの出場権をかけたWESTERN JAPAN BOWL(全日本大学選手権・西日本代表校決定戦)において惜しくも1点差で敗れたもの、その実力は折り紙付き。学生NO.1の呼び声の高いRB立川玄明率いる立命大に対し、前半は10-0とリード。ディフェンスも無失点に抑え上々の試合運びであったが、後半開始早々失点を許すと、立て続けにFGも決められ同点とされてしまう。その後は『アニマルリッツ』と称される立命大のディフェンス陣の前に得点することができず。「正直、勝てた試合だった」(QB柴崎哲平副将、政経4=東京・早大学院)と、あと一歩というところで攻めきれず、引き分けに終わった。
敵地・立命大クインススタジアムに乗り込んでの一戦。この日のフィールドには非常に強い風が吹き荒れた。「それを踏まえた上でのゲームメークはしていた」(柴崎)と最初のオフェンスシリーズからWRブレナン翼(国教4=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)、WR澤島勇真(教3=埼玉・早大本庄)へのパスがヒット。相手の反則もあり一気に敵陣へと進む。最後はRB広川耕大(社3=東京・早実)がOL陣の開けた穴を、相手タックルを振りほどきながら駆け抜けTD。早大に貴重な先制点をもたらす。ディフェンスは強力な相手RB陣に加え、U19日本代表経験を持つQB荒木優也(立命大)のオプションランにも苦しめられたが、ゴール前1ヤードの敵オフェンスを2度続けて止めるなど持ち前のゴール前ディフェンスを披露し、前半を完封に抑える。勢いづいた早大は自陣1ヤードからのオフェンスからドライブを続け、K/P髙坂將太(創理3=東京・国立)が約40ヤードのFGを決め10-0で試合を折り返す。
先日の関大戦に続き、2試合連続TDのRB広川
このまま勢いに乗っていきたい早大であったが、後半開始早々相手のエースRB立川(立命大)に30ヤ―ド以上の独走TDを許し失点。風下からのオフェンスが攻めあぐねる中、自陣からのディフェンスでFGを奪われ同点とされる。「後半どこかで仕掛けてオフェンスが点を取りにいくべきだった」(柴崎)とランを中心に組み立てたオフェンスが機能せず、なかなか得点を奪えない。ディフェンスが自陣に抑え込み、35ヤード付近からの攻撃権を得るも、安定感を誇る髙坂がFGを珍しく外してしまい試合時間残り55秒で立命大に攻撃権が移る。パスオフェンスを仕掛けてくる相手に自陣深くまで瞬く間に攻め込まれFG圏内へ。試合時間残り4秒、万事休すかと思われた。しかしここで立命大は、向かい来る風の強さを考慮してかプレーを選択。QB荒木(立命大)のパスをDB永井雄太(商4=東京・早大学院)がカットしゲームセット。ドローでの幕引きとなった。
ディフェンス陣はゴール前での強さを見せた
「今年池田が言っているような『闘志』にはまだまだ足りない」(高岡勝監督、平4人卒=静岡聖光学院)と関大、立命大という関西の強豪2校との対戦を終え、納得のいく試合展開とはいかなかったBIG BEARS。しかしながら「春からずっと取り組んできている『スピード』という面で立命館に優っていた」(LB池田直人主将、法4=東京・早大学院)というように練習の成果は徐々に表れてきている。勝利を収めることはできなかったが、昨年の定期戦では3-20と全く歯の立たなかった相手に対し善戦したことも選手たちにとっては自信につながる材料であろう。ここからは立大、明大といったTOP8上位校との対戦が控えており、春シーズンの積み重ねを試すには絶好の機会が待ち受ける。関東の強者たちを相手に早大はどのようなフットボールを展開していくのか、期待が集まる。
(記事 涌井統矢、写真 山田流之介)
得点経過 | |||||||
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TEAM | Q | PLAY | PLAYER(S) | PAT | PLAYER | G/NG | スコア |
早大 | 1 | RUN | #44広川 | K | #96髙坂 | G | 7-0 |
早大 | 2 | FG | #96髙坂 | 10-0 | |||
立命大 | 3 | RUN | #5立川 | K | #9花岡 | G | 10-7 |
立命大 | 3 | FG | #9花岡 | 10-10 |
コメント
高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)
――最初のオフェンスシリーズで幸先よく先制しました
立命館さんの方も春の試合というところで、様子見で攻めたディフェンスをしてこなかったので、ウチの思った通りにプレーが決まったというところだと思います。
――非常に強い風が吹く中で、試合展開も左右されましたがキッキングに関してはいかがですか
昨日こちら(関西)に来た時点で風が強いのは分かっていたんですけど。風にどう付き合っていくかというところでした。天候は我々にはどうしようもないところなので、これを味方につけるか敵に回すかでは大きく変わってくるので対策はしていました。
――ディフェンスを振り返っていかがですか
いずれもゲインされているのがRB立川くん(玄明、立命大)だったんですけど、レギュラークラスの上級生のタックルミスがあったので、ここが修正しきれないと秋のシーズンも勝ち上がれないので。タックルは今年から取り組んでいる大きな(課題の)一つですけれども、できていないのでまだまだしっかりとやっていかないといけませんね。
――オフェンスも後半は失速気味でした
後半の方が風が強くなってきたというところもあったり、OLも立命館さんのDLにコントロールされていたところがあって。第3Qは辛抱して第4Qにということを思っていたんですが、4QでFG取るところを取りきれなかったところがコーチ陣を含めての課題だったなと思います。
――第4Q、残り4分10秒、敵陣に入り1stダウン更新まであと2ヤード場面でパントを選択されました
ディフェンスがある程度止めていたというところもあって、ここでフィールドポジションを良くすればこちらが風上でしたので、残り時間を考えても相手にオフェンスの時間を残すことなくこちらで得点して取るというところでパントを選択しました。
――きょうの試合を終えて関西の大学との2戦を終えましたが、チームの出来としてはいかがですか
まだ関西にというよりも、チームとして個人としての部分ですね。きょうも交代ミスがあって、微妙なタイムアウトを取ったりしているので。そういう部分を無くさないと競った試合では関西に持っていかれてしまいますので、そういった意味ではこの2試合はチームとしての完成度は低いです。プレーという面じゃなくて、立ち向かう姿勢。今年池田が言っているような『闘志』にはまだまだ足りないと思います。
――今回は遠征でしたが、試合へ向けたマネジメントの部分はいかがでしたか
そこは慣れてきました。ただ今回は直前で来られなくなったメンバーもいたので、そこに関しては大変でしたね。
――roots bowIなど、今後の試合へ向けた意気込みをお願い致します
次が立教さんとのroots bowIの試合をやって、駒澤さん、そして明治さんとの試合なんですけど。roots bowIは去年から監督会があって、明治の岩崎監督が「85周年だからやろうよ」ということで、フットボールをルーツ校がどう盛り上げていくかっていうのは大きな役目だと思っているので。観客の皆さんに「さすがルーツ校!」と思っていただけるように、サイドラインのマナーからきっちりとした試合をしていきたいと思っています。
LB池田直人主将(法4=東京・早大学院)
――きょうの試合の意気込みを教えてください
関西の、自分らよりも格上のチームということで、今週のゲームスローガンは去年のスローガンでもある『気魄』として、去年負けた悔しさを忘れずにという気持ちで臨みました。今回は甲子園を想定して僕らは動いていたので、気持ちをしっかりと前面に出していきました。立命館はOLも強くて確実に格上の相手なので、そこに対して、ビビることなくチャレンジしていこうという感じで臨みました。
――無失点に抑えた前半を振り返ってみていかがですか
タックルミスであったりとか基本的な部分でできていないところがあったのですが、全体的に僕たちが春からずっと取り組んできている『スピード』という面で立命館に優っていたので、そこで自分達のリズムが作れました。オフェンスがドライブしてくれたのであまりディフェンスはなかったのですが、そこでキッチリと止められたのが無失点だった要因かなと思います。
――後半の立ち上がり、失点してしまったシーンを振りかえってみていかがですか
ディフェンスのアサインメントを変えて一回やってみたんですけど、そこの自分達の弱いところを突かれてしまって、その結果TDされてしまいました。その中でも、ディフェンスのかたち上は止まってはいたんですけど、タックルミスでやられてしまったので、そこに関してはずっと自分達が言っている『足をつけるタックル』というのができてなかった部分でした。相手のRBは日本一のRBということで、そこで自分がしっかり自分のやることをできなかったのが(失点の)原因かなと思います。
――引き分けという結果をどのように捉えていますか
立命館に対して引き分けということはポジティブに捉えたいとは思うんですけど、きょうの立命館の動きとかをみていても本調子じゃないというか、いつもの立命館よりはあまり強くはなくて。前半リードしてる中で後半0-10なので、そこに関しては課題が残ったかなと思います。後半にはキックを外してしまうなどのミスが出て。前回の関大戦でも挙げられたんですけど、FGBとか色々なメンツのミスとかがまた起こってしまったので、それは僕らの中でも気が緩んだ部分があったと思うのでそこも課題ですね。でも、関西の大きなOLに対して、ライン戦で負けていなかったのは自信になったと思います。
――関西のチームとの2試合を終えていかがですか
関大戦は正直ひどかったんですけど、立命館戦に関しては割と気持ちを入れてできたのかなと思います。あとは、関東にはない相手のフィジカルが分かったりとか、それに対してラインがある程度通用するというのもわかったので、そこに関してはよかったのかなと思います。コミュニーケーションも関大戦はうまくいかなかったので、今回の試合でしっかりとできていたことはよかったです。タックルについても、やっぱり関西のRBは強いので、ディフェンス側である僕はタックルについて極めていきたいと思います。
――今後の意気込みを教えてください
roots bowIとかで立教であったり、明治であったり、関東のTOP8の2チームと当たるので、そこに対して今までの課題を詰めていきたいです。明治が今関学大に勝ったので、去年も苦しめられた明治に対して、自分達の課題を潰せるかというのがカギになってくるので、守りに入ることなくやっていきたいと思います。
QB柴崎哲平副将(政経4=東京・早大学院)
――試合を振り返っていかがでしたか
正直、勝てた試合だったなと思っています。勝負所を間違えたなと思っていて、特に後半どこかで仕掛けてオフェンスが点を取りにいくべきだったなと思っています。
――第4Q終盤、敵陣に侵入してダウン更新まで残り2ヤードというところでパントとなった場面などもありましたが、あの場面でのギャンブルも考えられていましたか
そうですね。(ギャンブルで)いきたかったという思いもあったんですけど、あの場面を作ってしまったのも(QB)サックだったので。3rdダウンで取りきれなかったりだとか、そこの微妙なヤード感覚とかは詰めていかないといけないなと思います。
――きょうの試合はQBサックが多かったと思うのですがその点はどのように捉えられていますか
僕がちょっと動き過ぎてしまったなというところがあって。今までとプレッシャーの感じ方が違った部分もあったところでちょっと動き過ぎてしまったのが原因かなと思っています。もっともっとOLとコミュニケーションを取っていきます。
――立命大のディフェンスはいかがでしたか
まぁ、さすがだなと思いましたね。特に後ろ(セカンダリーポジション)はシステムもすごくて。特に13番のDB荒尾選手(亮汰、立命大)が圧倒的に1人だけレベルが違くいました。うちのWRがそこで全然勝てていない状況があって、正直関東では味わえない感覚でした。
――試合をしてみて立命大との差は感じられましたか
オフェンスだけで言えば、個々のスキルが圧倒的に違いすぎて、真っ向勝負で綺麗に出ているプレーがほとんどなくて、そこら辺の差はかなり感じましたね。
――きょうのフィールド状況として、かなりの強風の中での試合でしたが、パスプレーへの影響はいががでしたか
向かい風の時はかなりしんどいというのは分かっていたので、それを踏まえた上でのゲームメークはしていたので。第3Qなんかは(向かい風のオフェンスで)かなり時間をうまく使って、いかに時間を流すかというかたちだったんですけど、その状況で勝負を仕掛けなかったのでこのような結果になったのかなとも思います。
――きょうの試合で新たな課題は見つかりましたか
正直、たしかにすごく強くて。個々のスキルをあのレベルにまで持っていかなきゃいけないなと思うんですけど、とはいえ勝てない相手じゃなかったなというのはあって。間違いなく勝てるチャンスはありましたし。ただそこを勝ちきれていないというのは1つ弱さだなと思うので。個人の能力、勝負所の勘とそこで勝ち切るというところですね。
――今後への意気込みをお願いします
チーム全体、特にパスユニットをしっかり全体としてレベルアップするようにリーダーとしてもですし、自分のスキルとしても全体をしっかり底上げして。特に、層が圧倒的に薄いのでしっかり全体が上がっていくように、個人としてもチームとしても試合を重ねていくごとにしっかりと成長できているようにしていきたいと思います。