「楽しむ」フットボールで、花道を飾る

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
ALL TOP8 14 20 47
ALL BIG8

 関東1部リーグTOP8とBIG8、北海道、東北から選抜されたトップレベルの選手が競い合う、オールスターゲーム・カレッジボウルが今年も富士通スタジアム川崎にて開催された。早大からは今年度チームの主将を務めたDL斉川尚之(スポ4=東京・獨協)、エースRB元山伊織(商4=大阪・豊中)を筆頭に8名が選手として出場。「めちゃめちゃ楽しかった」(斉川)、「普通に楽しかった」(LB中村匠、人4=大阪・豊中)と、終始和やかなムードで行われた。試合は早大の所属するAII TOP8がAII BIG8を相手に実力を見せつけ47-0で完勝。多くの4年生たちが学生として最後のフットボールを笑顔で終えた。

 AII BIG8のキックオフをRB荒竹悠大(立大)がいきなりのビッグリターン。一気に敵陣に攻め込むと、そこからパスを展開。スピード感溢れるWR遠藤健史(法4=東京・早大学院)と安定感のあるボールキャッチを見せるTE松岡直希(政経4=東京・早大学院)へのパスが立て続けに決まりゴール前へ。最後も松岡直へパスがヒットしTD。早大学院時代から共にプレーしてきた早稲田コンビが躍動し、All TOP8が幸先良く先制に成功する。ディフェンスは今回のチームの主将も務めた斉川の怪物感満載のタックルなども飛び出し無失点に抑える。北海道選抜としてAII TOP8でプレーをしたWR成田将吾(北海大)への身長を生かしたTDパスで追加点を加え、迎えた第2クオーター(Q)終了間際。敵陣ゴール前まで攻め込むと、ここぞとばかりに前日からインスタグラムで告知していた「豊中高校スペシャルプレー」を披露。元山がFBとしてリードブロッカーを務め、中村匠がTBとしてボールをキャリー。OL川西貫太(中大)のブロックも決まり、豊中三人組でTDを獲得。他大学の選手と共にプレーをするカレッジボウルならではのプレーで会場を沸かせた。

先制のTDパスをキャッチしたTE松岡直

 後半に入ってもAII TOP8の勢いは止まらない。OL金子竜也(法4=東京・早大学院)、OL五十嵐真弥(文4=千葉・市川)らOL陣のパスプロテクションが機能し、再び成田へのパスが通りエンドゾーンを陥れる。ディフェンスでは試合終盤に斉川のサックを含む強烈なタックルが連続で飛び出すなど、個々の技量を遺憾なく発揮し完封に抑え込む。最後はリーグ戦でも早大が多いに苦しめられた、QB、WRをどちらもこなす稀代のエンターテイナー・WR高津佐隼矢(法大)が独走でエンドゾーンを駆け抜けゲームセット。AII TOP8が勝利し、年に一度のフットボールの祭典は今年もフットボールを楽しむ学生たちの笑顔と共に幕を閉じた。

カレッジボウルでも躍動したDL斉川

 真剣勝負でミスの許されないリーグ戦とは異なり、遊び心のあるスペシャルプレーなども見られ、フットボールの魅力の詰まった一戦となったカレッジボウル。きょうこの地でプレーした多くのプレーヤーが口にした「フットボールが好き」という言葉。その言葉を体現するかのように生き生きとプレーをする選手たちは強い輝きを放っていた。四年間の月日は、フットボールを愛する青年たちを、フットボールを愛する一人前の社会人へと成長させた。

(記事 涌井統矢、写真 大島悠希、篠田雄大、鈴木隆太郎、安岡菜月)

コメント

DL斉川尚之(スポ4=東京・獨協)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

めちゃめちゃ楽しかったです。あとは、勝てて良かったです。昨年は負けてしまっていたので、今年は完勝できたので、やったぜという感じです。

――BIG8の選手の印象は
いかがでしたか

リーグ戦で当たったことはないんですけど、何人か知ってる選手もいてラインズのサイズの大きさは感じましたね。

――BIG8のチームから、東大がTOP8に上がってきます

BIG8から上がってきたチームがリーグ戦で勝利をあげると、リーグ戦の結果も変わってきますし、関東のアメフトのレベルが上がるための良いきっかけになると思うので、自分は引退したんですけど来年どういうリーグ戦になるかっていうのは楽しみですね。

――TOP8の選手と共にプレーをしてみていかがでしたか

元々知っている選手もいたんですけど、一緒に練習を重ねていく中でそれぞれのキャラを知っていけたりして、友達として面白いなってやつもたくさんいたので、このカレッジボウルを通して交流できて良かったなと思います。

――斉川選手にとってのフットボールとは何ですか

自分にとってフットボールとは、自分が成長できる場でもありましたし、専門性の高い競技でこれだけ多くのメンバーがいる中で、複雑なスポーツだからこそ色々なやつと色々なことを考えてやっていということを四年間を通して学べましたし、何よりもそれが楽しかったので、一言にまとめることはできないんですけど色々なことを学ばせてくれたというのが僕にとってのフットボールでしたね。

――最後に、DLの後輩へのメッセージをお願い致します

今年は僕であったり、同期のDL上田(雄大、人4=東京・明治学院)やDL丸茂(宏太郎、スポ4=山梨・甲府西)が引退して抜けた穴はあると思うんですけど、3年生以下にもポテンシャルが高い選手が多くいるので、誰が試合に出るかっていうのはとても楽しみですし、誰が出たとしても日本一を目指せるユニットだと思うので、後輩に日本一を託して、俺はめちゃくちゃ応援しています。

LB中村匠(人4=大阪・豊中)

――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか

普通に楽しかったですね。気楽にできました。とにかく僕のランプレーでファンブルしないことだけを考えてましたね。

―― BIG8の選手の印象について

シーズン中も今までも試合を見たことがなく、スカウティングとかもしてこなかったです。TOP8はきれいなフットボールをしようとしているんですけど、BIG8は昔ながらというか痛いフットボールをしてくるので、そういうのが強みであり警戒すべき点かなとは思っていました。

――TOP8の選手と共にプレーしてどう感じたでしょうか

やっぱりみんなレベルが高くて楽しかったです。普段だったら気にするようなDLやDBのミスとかも全然なくて、のびのびとプレーができて単純に楽しかったですね。

――OL川西貫太選手(中大)とRB元山伊織選手(商4=大阪・豊中)との豊中高校出身の3人でTDを獲得しましたが、そのシーンを振り返ってどのように感じましたか

ゴール前でコールしてくれるというのは事前に聞いてたので、この試合はTDを取って3人でセレブレーションをして写真を撮るんだということに集中してました。LBには集中してませんでしたね(笑)

――甲子園ボウルを今振り返ってみて

準備不足というか、関学のレベルを見誤ってた感じですね。練習ではだいぶ再現してもらったんですけど、それ以上にうまいしタイミングも違っていたので。もっと準備できたかなとは思うんですけど、正直次やっても勝てないと思います。僕まだ甲子園ボウル以来その試合を見てないんですよ。もうたぶん死ぬまで見ないと思います。悔しいので。なので甲子園のことはあまり考えないようにしてます。

――ご自身の4年間を振り返ってみて

いやーもう大変でしたよ。つらいことも苦しこともたくさんあったんですけど、でも試合が楽しかったし何より同期と出会えたことが4年間で一番有意義なことだったと思います。今振り返ってみたらすごい充実した4年間で、アメフト部で過ごせてよかったなと思います。

――LBの後輩へのメッセージをお願いします

早稲田のLBは代々強いといわれているので、これからも早稲田のLBというブランドを上げてもらうためにも後輩のみんなには頑張ってもらって、チームの核となるメンバーに育ってくれるよう楽しみにしています。

WR遠藤健史(法4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

きょうは勝ち負けよりも楽しむことを意識してやってたので、純粋にフットボールを楽しむことができてよかったです

――BIG8の選手の印象は

個々のレベルとしては同じぐらい高いと思っていましたし、その上で、勝ちに来るっていう風には聞いていて、気合が入っている印象があったので、すごく手強い相手だったなと思いました。

――TOP8の他大学の選手と共にプレーして

本当にすごい選手ばかりで自分自身も刺激を貰えましたし、いろんなことを吸収できて楽しかったなと思います。

――WRに法大の高津佐隼矢選手がいました

本当に1人でプレーを作っていける選手でもありますし、大学を代表するレベルの選手なので、一緒に練習していても刺激を貰えましたし、試合の中でも同じフィールドの中に立てて嬉しかったです。

――改めて、4年間のアメフト生活を振り返って

あっという間だったというのが一番の印象で。しんどいこととかもいろいろあって、最後も甲子園で勝ちきれなかったんですけど、それよりも楽しい思い出が今は思い返せるので、そういう意味では、濃く楽しい4年間だったなと思います。

――卒業後はフットボールとはどのように関わっていかれますか

まだ全然考えてないんですけど、社会人でやるのか、学生コーチをやるのか、その辺りはまだまだ未定なんですけれど、何かしらの形で関わりたいなという風には思っています。

OL金子竜也(法4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

去年TOP8がBIG8に負けたのもあり、皆で楽しくやりながらも勝とうと言っていたので、実際オフェンスで多くの得点をする事ができて、勝つ事ができたのは良かったです。

――BIG8の選手の印象について

体が予想以上に大きい選手もいて、久しぶりのヒットだったので、最初の方は痛いなと思う時もありました。良い場面は無かったですが、やられる場面も無かったので、良かった感じでした。

――TOP8の選手の印象について

練習している間に発言する事が全体的に多く、頭を使い考えてプレーをしていることが分かって、他校のレベルの高さを感じることがありました。

――甲子園ボウルを今振り返るといかがでしたか

難しい質問ですね。あの時の悔しさは忘れられないですが、やりきった、悔しいという気持ちよりは、自分の中では終わったという部分が強くあります。フットボールは終わったと感じる部分もあったのですが、今日楽しくプレーをすることができたのは良かったです。

――ご自身の大学4年間を振り返って

自分は未経験で入部をして、1年生や2年生の頃は分からないことが多くて、チームのお荷物的存在であることを自分で実感していました。その後、3年生で試合に出させてもらえるようになってからも結果を出せず、辛い時間も大変長かったです。今振り返ってみると、最高の同期や後輩達とフットボールをできた時間は楽しくきれいな思い出で、最高の思い出しかなく、最高の4年間とは言えないですが、自分自身としては楽しかったです。

――OLの後輩にメッセージをお願いします

今年は本当に後輩たちに助けてもらいました。最後のスタメンは、自分以外の4人が4年生ではなく下級生から出ており、本当に頑張ってくれました。逆に下級生が出場をしていたことは、来年も練習を積んでいけば今年以上の良いユニットが作れると思うので、期待をしています。頑張ってください。

松岡直希(政経4=東京・早大学院)

――先制のTDを決められるなどご活躍されたと思いますがきょうの試合を振り返っていかがですか

学生生活最後の試合で、高校時代から知っている仲間も多かったので、楽しむことだけを考えてプレーしていたら自然と良い試合運びをすることができ、良かったです。

――対戦相手のBIG8の選手の印象はいかがですか

本気で我々TOP8を倒しにいくという意気込みだということを聞いていて、こちらも正々堂々と力勝負で勝とうということを意識していたので、勝てて良かったです。

――TOP8の選手と共にプレーしてみていかがでしたか

レベルの高い仲間とプレーできたことは本当に幸せで、それをかみしめながらアメフトを楽しむことができたので、最高の時間を過ごすことができました。

――ご兄弟である慶大の拓希選手と共にプレーされてみていかがでしたか

7年間ずっとライバル校でやってきてずっと敵同士の関係だったのですが、今回の試合でついに一緒にプレーすることができ本当に幸せでした。そしてそのような機会を設けてくださった皆さんに感謝したいです。

――大学4年間のアメフト生活を振り返っていかがですか

苦しいこともたくさんありましたが、本当に充実した楽しい4年間でした。

――最後に卒業後アメフトとどう関わっていかれるかお聞かせいただけますか

アメフトが大好きなのでこれからも続けていくつもりです!