立命大強し、攻守共に完敗

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS
立命大 PANTHERS 10 20

 5月にしては少し肌寒い北風が吹く中、昨年の関西学生秋季リーグ(関西リーグ)の覇者である立命大との戦いに臨んだBIG BEARS。第1クオーター(Q)にFGで幸先良く先制したものの、続くドライブで立命大の誇る強力RB陣に押し込まれ逆転される。その後は2度のFGブロックなどでなんとか守りきり、点差の変わらぬまま前半を終えた。後半開始のキックで相手に50ヤード付近までリターンされると、FGを決められ点差が開く。オフェンスがさえずなかなか得点が取れない中、迎えた第4Q。またもやランで押し込まれTDを許してしまう。その後もオフェンスが攻めきれず万事休す。強豪・立命大にシーズン最初の黒星を喫した。

 第1Q、オフェンスはエースRB元山伊織(商4=大阪・豊中)のランを中心に作戦を組み立てていく。風の影響もありパスが決まらない中、ランで着実にゲインを重ねていくワセダ。自陣20ヤード付近からRB元山が立命大ディフェンスの間を一気に駆け抜け、敵陣15ヤードまで約65ヤードのゲインで流れを引き寄せる。ゴール前2ヤードまで攻め込むもののTDには惜しくも及ばず、FGで先制することに成功。このまま順調に得点を重ねていくかに思われた。しかし、第2Qに入り2度あったワセダのオフェンスは、フォルススタートなどの反則もあり、どちらもスリーアンドアウトに抑えられる。追加点は取れず前半終了。後半最初のドライブではRBを左右に動かし揺さぶりをかけるも立命大ディフェンスにあっけなく止められてしまう。その後もレシーバーへのスクリーンパスなど様々な攻撃を仕掛けるも、立命大DB陣の果敢なタックルによりダウンを更新することができない。WR小貫哲(教2=東京・戸山)の好プレーでフレッシュを獲得する場面もあったが、後半になるとランも出なくなり苦しい展開になってしまった。QBとWRとの連携もうまくいかず、ドロップも多く見られるなど今後に課題の残る試合となった。

ロングゲインを奪ったRB元山

 ディフェンスでは、最初の攻撃こそパントに抑えたが、昨年の関西リーグで優秀攻撃選手に選ばれた、RB立川玄明率いる強力RB陣に圧倒され、自陣への侵入を許してしまう。関東ではなかなか見られないサイズのある選手の揃ったオフェンス陣に「面食らってしまい、ミスタックルも続出していました」と斉川尚之主将(スポ4=東京・独協)が言うように、普段の試合のような勢いのあるタックルが見られず押し込まれる場面が目立つ。相手オフェンスを止めきれず、先制した直後にTDを取られ3-7と逆転を許す。次の攻撃でもランで攻め立ててくる立命大に対してアジャストすることができず、自陣10ヤード付近までゲインされてしまう。ここでワセダの主将が執念を見せた。4thダウンで立命大が蹴ったFGをDL斉川主将が相手ライン陣の作る強固なカベをものともせずに叩き落とす。さらには第2Q最後の相手の攻撃でもディフェンス陣がこれ以上点差を開かせまいと意地を見せFGをブロック。スコア変わらず3-7のまま試合を折り返す。しかしながら、後半開始のキックで50ヤード付近まで大きくリターンされると、FGで追加点を許してしまう。ビッグプレーで試合のモメンタムを取り戻したいワセダはDL斉川主将のQBサックなどでスリーアンドアウトに抑えていたものの、味方オフェンスのスペシャルプレー失敗で、フィールドほぼ中央から立命大オフェンスが再開。ロングパスを通されると、最後はRB立川に飛び込まれTDを献上。試合時間残り10分ほどで2TD差となり、厳しい状況に。その後もランで時間を使いながら攻める、名門のしたたかさの前に早大は手も足も出ず、最後はFGを決められ試合終了。力の差を見せつけられた。

FGブロックを決めたDL斉川主将

 全てにおいて圧倒される結果となってしまったが、関東のチーム相手ではできない経験を積むことができた今試合。ランで多くのゲインを許していたディフェンスに対し「フットボールの基本で負けていた」と、高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)が語ったように、馬力の違いを感じた。チームの目標は『学生日本一』。冬に聖地・甲子園で笑顔を見せるためにも、より一層チームを磨かなくてはならない。敗戦からしか学べないことも多くある。挫けず進め、BIG BEARS!

(記事 涌井統矢 写真 成瀬允、平川茜音)

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コメント

高岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――試合を終えて率直な感想はいかがですか

我々の目指しているところからすると、差というのが明らかになりました。立命大さんもそんなに仕上がってはいないと思うんですけど、その立命大さんに対してこれだけ差があるのは、相当やらないといけないと思いました。

――差というのは具体的にどの辺りでしょうか

スピード、強さ、全てにおいてですね。

――相手のOLはサイズがありました

OLもDLもLBも大きいですし、DBはすごく球際が強かったです。

――相手DBの素早いタックルは脅威となりましたか

他のチーム相手だったら取れるようなボールを取れなかったこと、ボールを取った後のタックルの早さという点で、1ヤード、2ヤード先に行くことができませんでした。

――早大にもディフェンスが粘り強く守る場面もありました

ディフェンスは辛抱強く我慢して最後までできたと思いますけど、それでもコンスタントにランを出されていたので、フットボールの基本で負けていたと思います。

――今試合を踏まえて今後の取り組みなどは

基本をもっと強くしないといけないですね。ヒットとタックルの2つはフットボールの大前提であるので、その部分で当たり負けないようなチームをつくっていきたいです。

DL斉川尚之主将(スポ4=東京・獨協)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

春シーズンの中で大きな一戦として位置付けていたんですけど、スコアに加え、オフェンス・ディフェンス・キッキングと、全ての面で圧倒されてしまい完敗という気持ちです。

――関西のトップチームとの戦いでした

やはり、どのポジションにしても一段階レベルが違うなと感じました。それに対して面食らってしまい、ミスタックルも続出していました。オフェンスに関しても、あまり内容は見れていないんですが3点というロースコアに抑えられてしまっていたので、まだまだ実力不足かなと思います。

――立命大とのサイズの違いというのは感じられましたか

たしかにサイズはあったんですけど、そこまでサイズの違いでフロント陣が押されているという感じではなかったです。

――ご自身としてはQBサックやFGブロックをされていましたがいかがですか

できたことは結果として良いかなと受け止めています。でも、試合に勝ってこそ良いプレーっていうのは評価されると思うので、今日は結局試合に勝てていないので、まだまだ自分の実力不足かなと思います。

――世間ではアメフトがあまり良くない話題で騒がれていますが、それについてはどうお考えですか

あのような悪いニュースでアメフトが騒がれているのは残念です。自分は本当にフットボールが大好きですし、見てくれる人にとっても面白いスポーツだと思うので、僕たちワセダもそうですし、他のチームでフットボールをやっている人も含めて良い試合をして、フットボールは面白いという風に思ってもらいたいですね。

――関西遠征への意気込みをお願いします

関西遠征は、甲子園ボウルに行った場合、遠征を経ての試合というあまり経験のないことへの慣れにもなります。対戦相手の関大はとても手強いチームですし、そこに勝ちきれるように頑張っていきたいと思います。

RB元山伊織(商4=大阪・豊中)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

この春一番のビッグゲームということで、立命大に勝ちに行くゲームをしたつもりだったのですが、真っ向勝負で力負けしてしまったのですごく悔しいです。でも、課題などが見つかって収穫にはなったと思います。

――関西の強豪と試合をしてみてどういう印象を受けましたか

まず、サイズが明らかに関東のチームとは違うなと思いました。そのサイズの違いに気負いしないようにとオフェンスのメンバーとは話していて、試合に臨んでのですが、フィジカル面だけでなく、ボールに対するハングリーさという面でも関東と関西のチームでは全然違いました。そこが勝敗を分けた一番の要因かなと思います。

――1Qでロングゲインのランプレイの場面がありました。相手に追いつかれてしまいましたが、そこについてはいかがですか

あのプレイがこの試合の分け目になっていたと思います。後半は我慢の時間を続いて、相手もランを止めに来ていたのでビッグプレイを起こせずに試合が終わってしまいました。やはりチャンスの時にTDを取れるRBこそがチームを日本一に導くRBだと思うので、あのプレイのせいで負けてしまったのだと思います。

――立命大のディフェンスはどういう印象でしたか

すごくランストップを軸にしているチームなので、ランが出にくいなというチームではありました。DBの選手もすごいアグレッシブにランに来ていて、さらにパスを投げたらすぐにレシーバーにハードヒットする部分などは、関東のチームとは違うなという印象が強かったです。このような相手と真っ向勝負できないと甲子園を勝てないと思います。

――今後に向けて克服したい課題はありますか

ハートの部分が関西の大学とワセダの一番大きな違いだと思います。また、ヒットを怖がらない気持ちの部分もまだまだなので、これからオフシーズン、夏合宿を通して、当たる練習をして、気持ちで相手に勝てるように取り組んでいきたいです。

――近々関西遠征もありますが、今後の意気込みをお願いします。

同じく関西のチームですので、絶対に負けられないですし、自分は関西出身なので凱旋の意味でも絶対オフェンスが活躍して勝ちたいなと思います。

WR小貫哲(教2=東京・戸山)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

立命大が強いことは分かっていたのですが、実際に本当に強くて、特に1対1の場面で勝てないことがありました。結果的には自分も何回かパスを取ることができたのですが、自分の対面の1対1で勝ちきれなかったですし、まだまだ課題が残っていると思います。

――サイズやタックルの早さは関東にない強さは感じましたか

最初のKRでボールを取って立命大の選手のタックルを受けたのですが、そこで相手の迫力の強さはすごく感じましたし、自分にはあまり試合経験はありませんが、その中でも関東とは違うなと感じました。

――小貫選手は今年から出場機会が増えました

まだまだ自分に足りないものはたくさんあると思います。ケガ人が増えてデプスが薄くなって自分の出場機会がある中で、メンタリティーの部分で試合に臨む上での気持ちの入れ方や、そのコントロールは大分できるようになったと思いますが、試合後に試合の反省をして、次につなげようとしているんですけど、やはりまだやりきれていない部分が残っていると思います。

――1対1で勝ちきるために取り組んでいきたいことはありますか

自分は背が低く身長の面では大体の選手に負けているので、ウエイトトレーニングで体を大きくしていくことは当然なのですが、そこは自分にとって必須条件かなと思います。試合が始まってから終わるまでの一連の流れの中で、相手との駆け引きを効果的にして、相手を操ることも必要になってくると思います。駆け引きは試合に出ないと身に付かない部分もあり、これからも試合に出させてもらうことはあると思うので、1試合1試合集中して臨みたいと思います。

――今後への意気込みをお願いします

この冬から練習をしてきて、最初の頃は日本一を目指すチームに対して下級生ということもあり少し傍観者な部分もあったのですが、頑張って試合に出られるようになるにつれて、自分の中で今年日本一を決めたいと思っていますし、日本一に貢献できる選手になりたいと強く思っています。これからもWRユニットの競争は激しくなると思うので、まずはしっかりとスタメンを勝ち取って日本一に貢献できるように、秋のリーグも自分のプレーで全勝に貢献できるように、そして甲子園、その先のライスボウルで自分がスタメンで出場することを目指すのはもちろんなのですが、自分のプレーで試合を決められるような存在になりたいです。きょうもWRで決めたい場面で決められなかった場面があったので、試合を決められるWRになりたいです。